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関東大学対抗戦A 対早稲田大学戦

関東大学対抗戦A 対早稲田大学戦

2018/11/04

11月4日(日)・秩父宮ラグビー場
○帝京大学(5勝)45-28早稲田大学(4勝1敗)●



《帝京大学》
[FW]
(1)岡本⇒細木(2)呉⇒清水(3)淺岡⇒當眞(4)今村⇒矢澤(5)秋山(6)菅原(7)安田⇒トンガタマ(8)マクカラン(ブ)
[BK]
(9)小畑⇒末(10)北村(11)宮上⇒奥村(12)マクカラン(二)⇒本郷(13)尾﨑(14)木村(15)竹山

《早稲田大学》※先発のみ
[FW]
(1)鶴川(2)宮里(3)小林(4)三浦(5)下川(6)佐藤(7)幸重(8)丸尾
[BK]
(9)齋藤(10)岸岡(11)古賀(12)中野(13)長田(14)桑山(15)河瀬

【前半】【得点経過】
【5分】帝7-0早
ラインアウトから連続攻撃。ラックからSH小畑-SO北村-CTB尾﨑-WTB宮上と渡り、宮上が抜け出してトライ。ゴール成功。

【12分】帝14-0早
ラインアウトから連続攻撃。ラックから、SH小畑-PR淺岡と渡り、淺岡が飛び込んでトライ。ゴール成功。

【19分】帝21-0早
スクラムを押し切って、No8マクカラン(ブ)がトライ。ゴール成功。

【30分】帝28-0早
スクラムを押し切って、No8マクカラン(ブ)がトライ。ゴール成功。


【後半】【得点経過】
【4分】帝28-7早
カウンターアタックからつながれ、トライを奪われる。

【10分】帝35-7早
ラインアウトから連続攻撃。ラックから、SH小畑-SO北村-CTB尾﨑-WTB木村と渡り、木村がトライ。ゴール成功。

【14分】帝35-14早
ラインアウトから攻められ、トライを奪われる。

【18分】帝42-14早
相手の攻撃にHO呉がプレッシャーをかけ、パスが乱れてノックオン。こぼれ球をSO北村が拾って、そのまま走り切ってトライ。ゴール成功。

【23分】帝45-14早
WTB竹山がPGを決める。

【25分】帝45-21早
ラインアウトからつながれ、トライを奪われる。

【38分】帝45-28早
スクラムからつながれ、トライを奪われる。


《BRIEF REVIEW》

対抗戦5戦目の相手は、ここまで帝京と同じく全勝できている早稲田大学。夏合宿での練習試合では、14-28で敗れている。対抗戦の舞台で、しっかりと雪辱を果たしたいところだ。だが、開始早々、ピンチを迎える。深く蹴り込まれたキックオフを帝京がノックオン。ここから攻められる時間帯が続く。ゴール前で3分近く攻め続けられる中、全員で必死のディフェンスを見せる。LO秋山のタックルで相手がノックオンをすると、すかさず奪ってピンチを脱した。ここから帝京の時間帯となる。5分、ラインアウトからつなぎ、WTB宮上のトライで先制すると、12分にはPR淺岡が後ろから走り込んでボールをもらい、ステップを切るように相手をかわしてトライ。さらに、この日、マン・オブ・ザ・マッチにも輝いたFL菅原がタックルされても倒れない強さを見せてチャンスをつくり、19分のスクラムトライにつなげる。攻められる場面も多々あったが、SO北村、WTB木村、FB竹山らの好タックル、LO今村の好セービングなどで、相手の得点を許さない。30分にもスクラムトライを奪い、28-0で前半を折り返した。後半も同じようにやり続けようと臨んだが、ややスローダウン。4分には相手の個人技もあり、敵陣深くからつながれ、トライを奪われる。10分に帝京がBK展開で、WTB木村がトライを奪うが、直後にライアンアウトから抜け出されて失点する。攻められる時間が増えても、全員で守り続け、相手にプレッシャーをかけていく。18分、そのプレッシャーが功を奏す。HO呉が鋭く前に出るディフェンスを見せると、相手のパスが乱れる。ノックオンしたボールが、SO北村に納まり、そのまま走り切ってトライ。23分にはFB竹山がPGを決め45-14とする。その後も攻められる時間が長くなるが、途中出場のPR細木、CTB本郷らが好タックルを見せる。終了直前にもトライを奪われ、さらに自分たちのミスでピンチになりかけるが、相手の蹴ったボールをFB奥村がスピードを活かして追いつき、セービングして確保。最後はタッチに蹴り出し、帝京が45-28で勝利した。






《POST MATCH INTERVIEW》

■岩出雅之監督
「早稲田大学さんがラグビー部創部100周年という年のゲームということで、帝京大学ラグビー部の草創期からいろいろとお世話になっておりますし、私自身も監督就任時から早稲田大学さんの背中を一生懸命追いかけてきました。そうやってチームも育ってきたという思いもあり、そして、何より、しっかりした準備をされて臨んでくるだろうと思っていましたので、我々もそれに負けない良い準備をして臨み、その中で選手には成長できるものをつかんでほしいという思いで選手たちを送り出しました。今日の結果は、そうした我々の準備がよかったこともあるでしょうし、学生たちが成長してくれていたこともあると思います。
後半の戦いぶりなど、まだまだ課題もいただきましたので、それらをきちんと総括して次戦以降に臨んでいきたいと思います。試合の中身に関しては、前半は我々のディフェンスと要所でしっかりと取り切れたことで安定したゲーム運びができたと思います。後半は基本的なことでミスをして、早稲田大学さんにチャンスをプレゼントするような流れになってしまったと思います。次戦の明治大学さんは、ボールをうまく継続してくるチームですので、我々もそれに負けないようにしていきたいです。我々は挑戦者として、やるべきことをやり続けたいと思います。また、そうした挑戦を通して、さらに成長していける試合にしたいと思います。」

■キャプテン・LO秋山大地(4年)
「今日は、揺るがず、逃げない強い気持ちをもってブレイクダウン、タックルで相手にプレッシャーをかけ続けることで、準備してきたことを出すことができた試合だったと思います。前半は特にそれができていて、ペースを握ることができたのですが、後半では軽いミスが重なり、スコア的にも後半だけを見ると負けているので、次の明治大学戦に向けて、今日の反省を活かしていきたいです。Aチームは明治大学さんには今年、一度も勝てていないので、この2週間で今日出た課題を修正して、勝ち切ることができるように、挑戦する気持ちをもってやっていきたいと思います。」



■1年ぶりの試合でも思い切ってプレーできた・FL安田司(2年)
「Aチームのゲームは1年ぶりでしたが、とても楽しかったです。久しぶりに秩父宮で試合ができましたし。もちろん、まだまだ物足りないところもあるのですが、まずはケガなく試合を終えることができたので、よかったです。1年間、ラグビーをしていなかったので、正直、試合前は不安もありましたが、自分のやるべきことに責任感を持ってやろうと思って試合に臨み、試合が始まったらその不安もなくなり、思い切ってプレーできました。根気強く、細かいところまで丁寧にやるという部分も出すことができたかなと思います。ケガの間、外から試合を見ることができたことで、それまでと異なる視点でプレーを見ることができるようになり、これはとても貴重な経験だったと感じています。ただ、プレーの質の部分はまだまだで、ボールキャリーで自分の強みの部分が出せませんでした。こだわったタックルの精度も、何本か外されて、ピンチになってしまったので、そこは次の明治大学戦に向けて修正していきたいです。」



■チームとしての一体感を感じている・CTB本郷泰司(3年)
「後半のラスト15分くらいからの出場でしたが、前半は厳しいところに行けていたのが、後半、ちょっと緩みが見えてきて、ディフェンスもどんどん悪くなっているように見えたので、そこを僕が出て行くことで引き締めて、もう一度、前半のようなディフェンス、アタックができるように、そのトリガーとなれるようにと思って試合に入りました。ただ、僕が出たから何が変わったというわけでもなく、インパクトも存在感も出せませんでした。リザーブとしての役割は流れを変えること。それができなかったのは、残念です。約半年ぶりのゲームでしたが、もっと気持ちの入ったタックルでチームの雰囲気を変えていきたかったです。正直、ケガをしている間は焦りとか、もどかしさもありましたが、戻った時にそれをすべてぶつけてやろうと思っていました。先週のジュニア戦で復帰できて、その試合では自分らしいプレーが出せたのですが、Aチームのレベルでも出せるプレーヤーにならないといけないと強く感じました。チーム自体の雰囲気はすごくよくて、『チーム・ワン』になってきていることを実感します。次戦の明治大学さんは、春、僕も出ていた試合で負けてしまった相手なので、自分のやるべきこと、タックルと前に出るアタック、そして何かを変えられるようなプレー、チームが乗っていけるようなプレーを積み重ねて、最後は勝てるように、また、リーダーシップを発揮して、周りを盛り上げて、チームを引っ張っていけるような存在となれるように頑張りたいと思います。」



《PICK UP PLAYERS》

得意のロングキックを封印し、体を張るLOへ転身

LO 矢澤蒼(4年)
YAZAWA AOI



医療技術学部スポーツ医療学科
御所実業高校出身
身長192cm/体重98kg


■AチームとしてはFWデビュー戦となりましたが、試合を振り返って、感想をお願いします。
「まずは、対抗戦でAチームの23人に選ばれ、ファーストジャージを着ることができたことをうれしく思っています。」

■LOとしての練習はいつ頃から始めたのでしょうか。
「1ヵ月ほど前にFWにコンバートしました。毎日、映像を振り返ったり、練習でも福田コーチやFWのみんながサポートしてくれたりして、自分としてもだんだん板についてきたかなと思っているところです。」

■試合では、入ってすぐにスクラムでしたが、どんな気持ちでしたか。
「セットアップをしっかりやって、8人でしっかり押すということを意識してやりました。LOとしては、まずは姿勢。そして、8人まとまって押すという意識で組みました。」

■そもそもFWをやることになったきっかけは?
「岩出監督から『大きな体を活かして、体を張ったプレーができるポジションの方が、帝京のファーストジャージを着るチャンスが増えるのではないか』『努力すれば、けっして遅すぎるということはないよ』とアドバイスをいただき、LOをやろうと思いました。今日はもっともっとタフに体を張っていきたかったです。次の試合でチャンスをいただければ、もっとタフに、80分間出られるように頑張りたいです。」

■やってみての手応えは、いかがですか。
「自分たちからのキックオフで、相手にいいタックルができて、ターンオーバーからチャンスにもつながったのはよかったです。そういったタックルなどで、セットでの要となっていきたいです。」

■今後、LOとしてボールをもったときに、得意のキックをするということもあり得る?
「うーん、シーンによってはあり得るとは思いますけど……まずは体を張るプレーを芯に置いてやっていきたいです。ただ、そういう器用さの部分も、岩出監督からは『どんどん出していきなさい』と言われているので、チャンスがあれば出していきたいです。」

■あらためて、次戦に向けての意気込みをお願いします。
「次戦、対抗戦になるのか、ジュニア選手権になるのかわかりませんが、いずれにしてもまずは自分自身のやるべきことを明確にして、80分間、戦い抜けるように、また、仲間のために戦うマインドセットをして戦いたいと思います。」


ずっとSOとしてやってきたが、4年生のこの時期にLOにコンバート。192cmという身長はまさにLO向き。この日は後半35分という時間帯からの出場。いきなりスクラムの場面で、後ろからしっかりプレッシャーをかけた。トライを取られたあとのキックオフでは、ボールが乱れたところにいち早く駆けつけ、チャンスにつなげた。岩出監督の「努力次第でファーストジャージを着る可能性が高まるポジション」とのアドバイスに、本人も非常に前向きに取り組んでいる。チームとしても、新たな可能性がまた一つ、花開こうとしている。


《COLUMN》

―― リベンジ or リスペクト ――


 この日は、夏合宿での練習試合で14-28と2トライ差をつけられて敗れた早稲田大学との試合でした。

 夏の敗戦後は、普段は常に冷静なバイスキャプテンのブロディ・マクカランが涙を見せるなど、みな、悔しい気持ちを隠さず表現していました。いまでも思い出せば、その悔しさが込み上げ、溢れてくるに違いありません。

 その相手との再戦ですから、気持ちが入らないわけはありません。試合後の共同記者会見でも「夏に惨敗した相手に対して、どんな気持ちで臨んだのか」といった質問が出ました。「夏のリベンジに燃え、それを果たした帝京」という、ある意味、ステレオタイプの結論を想定していたのでしょう。それも当然です。

 夏にダブルスコアで敗れている相手との再戦であれば、雪辱に燃えるのは当たり前。一昔前の(あるいはそれ以前の)体育会系組織なら、「おまえら、悔しくないのか!」(ドラマのセリフですみません)、「夏の屈辱を死ぬ気で晴らすぞ」みたいなノリになっていても、まったく不思議ではありません。

 事実、ある記事では秋山キャプテンの言葉として「『夏合宿で早大に負けて凄く悔しかった。プレッシャーを受けてしまっていたので、今日は自分たちがプレッシャーをかける、前へ出るプレーをしようと臨んだ』と話した」とありました。ただ、これだと「夏に負けて悔しかったので、その悔しさを晴らすべく、前に出るプレーをしようと臨んだ」と読めます。

 それはそうなのですが、秋山キャプテンが述べた言葉の真意は「リベンジ」ではありませんでした。秋山キャプテンが実際に述べた言葉は「夏、負けたことについてはすごく悔しく、ずっとその悔しさを持ち続けてやってきたのですが、特別な思いではなくて、まず目の前の早稲田さんにしっかりチャレンジしようという思いで挑みました」というものでした。つまり「ずっと悔しい気持ちはあったが、それはとりあえず横に置いておいて、目の前の相手に対して、前に出て行くプレーでチャレンジしていこうと臨んだ」ということでしょう。

 岩出監督も記者会見では開口一番「早稲田大学さんがラグビー部創部100周年という年のゲームということで、帝京大学も草創期からいろいろとお世話になっていますし、私自身も監督をさせていただいてから早稲田大学さんの背中を一生懸命追いかけてきて、そうやってチームも育ってきたという思いもあります」と述べています。これらの言葉の中に「リベンジ」はなく、「リスペクト」しかありません。
(岩出監督の「草創期からいろいろとお世話になった」という言葉を補足しますと、帝京大学ラグビー部の草創期、早稲田大学含め、主に対抗戦グループの他校からコーチの方々が来てくださり、指導をしてくださったという事実があります。)

 負けた悔しさは自分たちが燃えるための燃料として使うだけで、試合に臨む際は相手をしっかりとリスペクトして戦う。それが帝京の強さの秘密の一つなのでしょう。

 次戦は、春・夏と連敗している明治大学との試合。ここでも「リベンジ」の気持ちは自分たちのエネルギーにだけ使い、試合では強い相手をしっかりとリスペクトして戦ってくれることでしょう。






《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。


HO 照内寿明(1年)
國學院大學栃木高校出身
身長168cm/体重95kg

「自分のアピールポイントはボールキャリーです。スクラムも自分の中では強みにできるかなと思っています。課題はスローイング精度がなかなか上がらないところなので、スローイングに力を入れて練習しています。帝京大学ラグビー部は、先輩との関係性がすごくよくて、自分が考えていた以上に先輩方が優しく、仲良く接してくださいます。これからもラグビー面だけでなく、人間として日々成長できるように頑張っていきたいと思います。」


HO 大澤陸大(1年)
黒沢尻北高校出身
身長169cm/体重90kg

「自分はタックル、ブレイクダウンでの低いプレーにフォーカスして、強みとして取り組んでいます。ただ、HOとしてセットプレー、スクラム、ラインアウトの安定の部分が全然足りていないので、そこは課題です。帝京大学ラグビー部は兄(大澤大和)から聞いていた以上にすばらしい環境で、上級生と多くコミュニケーションを取らせてもらう中で、さまざまな知識を身につけることができています。たまにですが、兄からもアドバイスをもらえています。今後は、まずは体づくりをして、そして必要な知識をさらに増やしていきたいです。最終的にはAチームで、大学選手権の舞台に立って、チームに貢献できるように頑張りたいと思います。」


分析 増田賢司(1年)
静岡聖光学院高校出身
身長165cm/体重60kg

「ラグビーの分析は高校時代に興味をもち、2学年上の川畑一航さんに『一緒にやってみないか』と誘われて始めました。自分が一番心掛けているのは、自分のやるべき仕事を速く、正確にやることです。僕が間違ったデータを入力してしまうと、間違った情報をチームに伝えることになってしまうので、正確さは最も気をつけています。非常に責任の重い仕事ですが、いまは(川畑)一航さんが前を走って引っ張ってくれているので、プレッシャーなどを感じることなく、自由にやらせてもらえています。帝京大学ラグビー部に入って感じたのは、みんな一日一日をとても大事にしているということです。自分たちの活動を惰性に任せることなく、意識高く取り組んでいるので、自分もそれに負けないように一日一日を大切に過ごすという意識が高まりました。今後、学年が上がっていく中で、もっとチームの力になれるように自分のやるべきことをしっかり全うしていきたいです。」



左から増田賢司・照内寿明・大澤陸大

《NEXT MATCH》
関東大学対抗戦A
対明治大学(http://www.meijirugby.jp/)
11月18日(日) 秩父宮ラグビー場
14時キックオフ

過去の対戦成績:関東大学対抗戦13勝27敗(大学選手権3勝0敗)
[明治大学の直近5戦]
9月15日 ○88-0青山学院大学(関東大学対抗戦A)
9月30日 ○31-17日本体育大学(関東大学対抗戦A)
10月7日 ○66-21筑波大学(関東大学対抗戦A)
10月20日 ○110-0成蹊大学(関東大学対抗戦A)
11月4日 ●24-28慶応義塾大学(関東大学対抗戦A)

(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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