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全国大学選手権大会・準決勝 対筑波大学戦

全国大学選手権大会・準決勝 対筑波大学戦

2012/01/03

攻守に力を見せ完勝。いよいよ階段はあと一つ


1月2日(月・祝)・国立競技場
○帝京大学 29-3 筑波大学●

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《帝京》
1吉田⇒佐藤 2白 3前田(龍)⇒辻井 4ボンド⇒小瀧 5マニング 6小山田⇒大和田 7松永(浩)
8李 9滑川 10森田 11南藤⇒小野 
12南橋 13中村(亮)⇒中村(有) 14伊藤(拓) 15竹田

《筑波》※先発のみ
1中川 2彦坂(圭) 3古賀 4鶴谷 5園中 6水上 7崎野 8山崎 9内田(啓介) 10松下 11竹中
12中靍 13山下(昂) 
14彦坂(匡) 15内田(啓太)

大学選手権準決勝の相手は、対抗戦でも対戦している筑波大学。突破力のある快足両WTBを擁し、東海大学、明治大学という強豪校との接戦を制して準決勝へと駒を進めてきた。勢いに乗る相手だが、帝京としてはこの勢いをしっかり受け止め、自らの強みを前面に出して戦いたいところ。


【前半戦】
いよいよ新春の国立・準決勝がやって来た。この日はいつもにも増してアップから気合い十分の帝京フィフティーン。岩出監督も試合後『選手の様子をみていると今季一番の気合いで試合に臨めましたと語ったように、選手それぞれでしっかりと声を掛け合う。また同時に落ち着いた表情も見せ、目の前の準備に集中している様子だ。気持ちの充実も窺えた。
強風、しかも国立競技場独特の巻くような風の中、準決勝がキックオフとなる。

序盤。筑波大のBK展開に対して、帝京は堅いディフェンスでしっかりと守る。CTB中村(亮)らが前に出るディフェンスで相手の前進を阻む。
敵陣22mラインの内側でマイボールスクラムを得ると、この日の戦い方を宣言するかのようにFWで強力にプッシュをかける。相手の再度の反則にも、その都度、スクラムを選択。FW戦へのこだわりを見せる。試合後、筑波のゲームキャプテンが「対抗戦とはスクラムの圧力がまったく違いました。帝京は8人がまとまってしっかり足をかいてくるパワーを感じました」と吐露したように、とにかくFWで圧力をかけ続ける。
No8李が前進し、さらにFWがかたまりとなって押し込む。

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しかし、ゴールラインを越えるも、グラウンディングできずに5mスクラムとなる。10分を越えるFW戦。途中、ラックでボールに絡まれ、相手ボールとなるが、FB竹田のカウンターアタックからしっかりと継続。FL松永、SO森田らが大きくゲインし、再びゴール前へと運ぶ。

ここまできたらFWで取り切るのみ。HO白の前進で相手ディフェンスが下がった瞬間、LOボンドがピックアンドゴー。そのまま飛び込み、先制トライを挙げる(7-0)。

相手の攻撃も、FW、BKともに気持ちの入ったタックルで防ぐ。組織立って積極的に前に出るディフェンスで、相手の出足を止める。ゴール前まで迫られても、圧力をかけてターンオーバーし、ピンチを脱する。

27分、帝京は惜しいチャンスでノックオンするが、直後の相手ボールスクラムをしっかり押し込む。SH滑川が鋭い出足で相手をつかまえると、FWが殺到してターンオーバー。ゴール前でのチャンス。ここでラックから白が持ち出してトライ。後ろからサポートした松永と一体となってのトライだ(14-0)

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その後、相手のWTBに走られるシーンもあるが、決定的なピンチにまでは至らせない。WTB南藤はタックルに、キックチェイスにと奮闘する。前半終了間際、BK攻撃でつかまりターンオーバーされるも、相手は自らタッチキックを蹴って前半を終わらせてしまう。これは帝京のディフェンスでの圧力の強さを物語るシーンと言えよう。

前半はしっかり守って、きっちり取り切った。前週の同志社大学戦ではラインアウトに苦しんだが、この日はFL小山田を核として修正。相手ボールラインアウトを奪取するシーンも多く見られた。

後半もBK展開してくる相手に対して、いかに堅く鋭いディフェンスができるかに注目だ。

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【後半戦】
勝負の後半戦が再開される。開始直後、帝京は相手ラインアウトを奪取!
さらにマイボールラインアウトもキープし、FWで前進する。森田の突破から相手の反則を誘うとPGをきっちりと決めて、17-0と突き放す。

その後、PGで3点返されるなど守りの時間帯となるが、積極的に前に出るディフェンスでプレッシャーをかける。相手につながれても、鋭い出足のディフェンスがピンチを一転、チャンスに変える。
そして…ハーフウェイ付近でプレッシャーをかけ続けると、滑川がインターセプトに成功!
そのまま、50m以上走り切ってトライ(22-3)。得点差とともに、相手に与えた精神的ダメージという点でも大きなプレーだ。

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点差が開いたところで、帝京はBK攻撃も見せる。だが、いい形を作りかけるものの、相手のプレッシャーもあり、仕留め切るまでには至らない。しかし、ディフェンスでは集中を切らさず、好タックルを連発。継続されても相手の前進を阻み、危ない場面すら作らせない。

終了間際には、22mライン内側からのラインアウトからモールを押し込む。途中出場でSOの位置に入っていたチームで1、2を争う努力家・中村(有)が滑川からのパスを受けると、BKに展開すると見せかけて自ら仕掛ける。4年生の、全部員の想いを運ぶ。そのまま抜け出してトライ。ホーンが鳴り、29-3で帝京が決勝戦進出を決めた。

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攻撃面ではFW戦で圧倒。相手の攻めも堅い守りで防ぎ切った。ここまでの大学選手権、すべての試合で相手をノートライに抑え込んでいる。全員の献身的なタックルの賜物と言えるだろう。
いよいよ次なる戦いは決勝戦。いうまでもなく、この試合もスタンドから声をからし続けた控え部員を含む4年生にとっては、最後の大学生との試合となる。残された階段はあと一つだ。

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《試合後のインタビュー》

■岩出雅之監督
「あけましておめでとうございます。今日の試合は、筑波大学さんが1回戦、2回戦と強いチームに勝って勝ち上がってきましたので、そうした勢いを持っているチームを勢いに乗せないことが大事だと考えていました。まずはFWに奮起を促して、どれだけみんながタックルに行けるか、また、立ち上がりからFWでどんどん押していこうというプランで臨みました。そのゲームプランどおりにスタートできFWの気持ちにもよりいっそう火が点いて、頑張ってくれました。中盤以降もみんながよくタックルをし続けてくれていたので、心配なくゲームを見ることができました。
いよいよ決勝戦。まずはこのステージに来ることができたことを喜びたいと思います。そして、次はこのステージでしっかり力を出し切ること。その上に最高の喜びが待っています。ここまでに得られた経験と力を次の決勝戦にぶつけ、自信とチームの進化、そして、最高の喜びを得られるよう頑張ります。引き続きご声援のほど、よろしくお願いいたします。」

■キャプテン・SO森田佳寿(4年)
「今日は『この一戦に全力で臨もう』『自分たちのやってきたことをしっかり出そう』と言って臨みました。試合内容に関しては、風がとても強かったことと、筑波大学さんのプレッシャーが非常に厳しかったためにミスも出たのですが、最後までタックルに、ブレイクダウンに、その他一つ一つのプレーに全員が我慢強くできたのではないかと思います。出た課題についてはしっかりと修正して、この勢いをもって、次の天理大学さんとの試合にしっかりとした準備をして臨みたいと思います。」

■FW戦でひたむきに前に出た・PR前田龍佑(4年)
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「今日のテーマは『一途一心』。試合前に出ていないメンバーの顔を思い浮かべることで緊張せずにグラウンドに立てるのですが、『彼らのためにもやらねば』という気持ちで臨みました。筑波大学さんに対しては、対抗戦のときは自分たちのスクラムが全然組めていなかったので、今日の試合はFWでしっかり前に出るということを強く意識していました。次戦は出られない仲間のためにも自分ができることをすべて出し切って、絶対に勝って、3連覇を成し遂げたいと思います。」

■攻守に鋭い出足を見せ続けた・SH滑川剛人(4年)
「FWの強みを生かした帝京のラグビーができたと思います。ディフェンス面でもノートライに抑えられたことは自信になります。先週の同志社大学さんとの厳しい試合で、チーム全体が引き締まったように思います。自分のインターセプトからのトライは狙っていたわけではなく、前に出るディフェンスをしたことから生まれたと思っています。次戦に向けては、まずは部員136人全員が一つになって決勝戦に進むことができたことを喜びたいです。そして、たとえ1点差でも勝ち切るゲームをして、目標だった優勝を必ず成し遂げたいと思います。」

■厳しいディフェンスをし続けた・WTB南藤辰馬(3年)
「まず、勝てたということが一番大きいと思います。対面にはいいプレーヤーがいましたが、分析もして、対策も練習してきましたので、焦りもなく、やってきたことをやり切るだけでした。残るはあと1試合。136人の代表として、またこの国立のピッチに立てるように、短い時間ですがこの一週間、コンディションも含めていい準備をしていきたいと思います。」

■体を張ってディフェンスし続けた・WTB伊藤拓巳(4年)
大学選手権は負けたら終わりということで緊張感もありましたが、前半からすべてを出し切ることを意識して試合に臨みました。特にディフェンスの部分でしっかりできたことは次につながると思います。チャンスのところでミスが出たことは悔しいのですが、しっかりコミュニケーションできればBKでもっと前に出られると思うので、修正して次に臨みたいです。天理大学さんはCTBが強いチームなので、ディフェンスからしっかり流れを作っていきたいです。次戦は自分のやるべきことをやって、何が何でも勝ちたいです。4年間の集大成となるように、いい準備をしたいと思います。」

■ロングキックにカウンターアタックにと活躍した・FB竹田宜純(2年)
「勝ててよかったというのが今の正直な感想です。ただ、風がきつかったこともあり、キックの部分で前半にミスしてしまい、自分の役割をやりきれなかったことは反省です。次はしっかりとやり遂げたいと思います。今、チームの雰囲気はものすごくいいので、さらにチームが一つになって、何が何でも優勝したいと思います。

■公式戦初出場が国立の大舞台も落ち着いてプレーした・PR辻井健太(4年)
今日は初めてのAチームのメンバーに入って緊張もありましたが、出られない4年生や下級生も含めたチームの代表として、思い切ってプレーしようと思っていました。短い時間でしたが、スクラム、ラインアウト、モールで自分の力を出すことができたと思います。入ってすぐのプレーがスクラムでしたが、絶対に組み勝とうと思って行きました。いいスクラムが組めてよかったです。次戦はまたメンバー争いからになると思いますが、自分の持ち味を出してメンバーに入って、試合に出て活躍できるように頑張りたいと思います。」

■好判断でダメ押しトライを奪取・SO中村有志(4年)
「今日は帝京の強みの部分で戦えたので、とてもいい試合だったと思います。FWがスクラムで圧倒できていたので、ベンチで見ていても安心感がありました。途中出場するとき、BK展開の場面では前半から森田から南橋へのパスが多かったので相手が南橋を警戒することで自分の前のスペースが開くだろうと思っていました。そこを狙ったら、狙いどおりにトライが取れて、めちゃくちゃうれしかったです。次戦で出るチャンスをもらえれば、この1年、そして4年間やってきたことをすべて出し切りたいです。そして、部員136人の気持ちを背負ってタックルに行きたいと思います!


《PICK UP PLAYERS》

「4年力」を発揮して優勝を目指す
FL 小山田岳(4年生)

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OYAMADA TAKESHI
1989年4月22日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
伏見工業高校出身
身長183㎝/体重87㎏/血液型A型

■まずは今日の試合の感想を聞かせてください。
「勝ててうれしいの一言です。」

■今日の試合で一番よかったところはどこだったと思いますか。
「これまでラインアウトが不安定なところがあったのですが、今日はかなり修正できましたし、そこは自分の役割を果たすことができたのではないかと思っています。」

■筑波大学のFW第三列も強力だったと思いますが、戦ってみていかがでしたか。
「たしかに強力でしたが、うちの15人をずっと信じて戦っているので、相手がどうこうよりも自分たちの強みを出すことを意識して戦いました。」

■小山田選手からはよく「4年生の結束」という言葉が聞かれますが、現在、4年生はいい形で結束していますか。
「はい。去年、優勝したときに雑誌に『4年力』という記事が載りましたが、やはり自分たち4年生の結束が大事だといつも思っています。大学選手権の前に4年生が集まって『決起集会』をやったのですが、それを機にメンバー外の4年生もそれまで以上にいろいろとサポートし合い、チームが一つになれていると感じています。」

■次戦でも「4年力」が大きな力になりそうです。
「ここでもう一度、4年生が一つになって決勝戦に臨むことが大事だと思います。今年も決勝で『4年力』を示したいと思います。」

■いよいよ3連覇が見えてきました。
「むしろ『自分たちの代で優勝する』ということを意識してやってきましたので、『3連覇』よりも『優勝』するためのいい準備をして臨みたいと思っています。」

■では、決勝に向けての意気込みをお願いします。
「ここまで、去年の第三列、特に自分としては去年の吉田光治郎キャプテンを越えたいと思ってやってきました。決勝戦では今までやってきたことを爆発させて、去年の第三列を越える働きをしたいと思います。日にちは少ししかありませんが、そのための準備をして決勝戦に挑みたいと思います。」
高校3年生のときに花園の決勝で敗れた悔しさがいまでも忘れられず、頑張るモチベーションになっているという。今シーズンのジュニア選手権の決勝で敗れたことで、悔しさが再び湧きあがり、モチベーションがさらに高まったと話す。4年生として日頃からチームを引っ張る意識も強い。1年生のときから3年連続で日本選手権に出場するなど、大舞台での経験値も高い。岩出監督からは時には厳しい叱責を受けてきたが、それも期待値が高い裏返しからかもしれない。決勝では持ち前の激しさを存分に発揮することで、過去の悔しさを優勝の喜びに変えることができるだろう。

《NEXT MATCH PREVIEW》

【1月8日(日)大学選手権決勝 VS天理大学 国立競技場 14時キックオフ】

いよいよこの日がやってきた。大学選手権3連覇を目指す決勝戦の相手は、関西の雄・天理大学。両CTBを中心とした強力な攻撃力で圧倒し、決勝まで進んできた。その攻撃力を帝京の鉄壁のディフェンスが迎え撃つ。スタンドでの赤い服、赤い旗、赤い声援が選手たちの力になる。ぜひ多くの方々に国立競技場で大きな声援を送ってほしい。また、選手たちに力を与えるとともに、大学選手権決勝の決戦の大舞台に立ち合える喜びを共に分かち合おう。

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(文/木村俊太、写真/志賀由佳)

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