SPECIAL

特集

トップ
   
特集
   
第55回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 準決勝 対天理大学戦

第55回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 準決勝 対天理大学戦

2019/01/02

1月2日(水)・秩父宮ラグビー場
●帝京大学7-29天理大学○



《帝京大学》
[FW]
(1)岡本(2)呉⇒清水(3)淺岡⇒當眞(4)今村⇒藤田(5)秋山(6)菅原(7)和崎⇒安田(8)マクカラン(ブ)
[BK]
(9)小畑(10)北村⇒宮上⇒末(11)奥村(12)本郷⇒尾﨑(13)マクカラン(二)(14)木村(15)竹山

《天理大学》※先発のみ
[FW]
(1)加藤(2)島根(3)小鍛治(4)由良(5)モアラ(6)岡山(7)佐藤(8)マキシ
[BK]
(9)藤原(10)松永(11)中野(12)池永(13)フィフィタ(14)久保(15)立見

【前半】【得点経過】
【10分】帝0-5天
スクラムから展開され、トライを奪われる。

【17分】帝0-12天
スクラムを押し込まれ、ペナルティトライを奪われる。


【後半】【得点経過】
【3分】帝7-12天
ラインアウトから連続攻撃。FB竹山が相手ディフェンスの裏へキック。WTB木村がインゴールで押さえてトライ。ゴール成功。

【12分】帝7-19天
モールを押し込まれ、トライを奪われる。

【17分】帝7-26天
スクラムから攻められ、トライを奪われる。

【28分】帝7-29天
ペナルティゴールを決められる。


《BRIEF REVIEW》

大学選手権準決勝の相手は関西の覇者天理大学。夏の菅平でも苦しめられた相手だ。開始から帝京は攻撃を仕掛けていくが、ミスが重なり、逆に守る時間帯が続くことになる。そして、5分にアクシデントが起こる。相手の突進を止めたSO北村が倒れ、脳震盪の疑いありで交替となった。10分、スクラムから攻撃され、最後は外でタックルを外されて、先制トライを許してしまう。さらに17分、ミスで与えたスクラムを押し込まれ、ペナルティトライとなってしまった。その後も、攻められる時間帯が続く。攻めても、相手のプレッシャーが強く、ミスを突かれて抜け出され、ゴール前まで運ばれるが、WTB木村の戻りで何とか止める。その後、FB竹山、WTB宮上らの走りでチャンスを作るが、相手のプレッシャーでミスが起こり、スコアできない。0-12で前半を折り返した。後半、先にスコアしたのは帝京。ラインアウトからFWで攻め、BKへ。FB竹山がインゴールへキックし、WTB木村が追いつきトライ。FB竹山が難しい角度からのゴールも決め、7-12とする。これで帝京が自分たちのペースを取り戻すかと思われたが、相手のプレッシャーは緩まない。攻めても大きな前進ができず、ターンオーバーを許してしまう。逆に12分、17分と連続失点。28分にはPGを決められてしまう。帝京も最後まで必死の攻撃を見せるが、相手のプレッシャーも最後まで緩まず、7-29でノーサイド。帝京は大学選手権準決勝で敗れ、目指していた10連覇はならなかった。






《POST MATCH INTERVIEW》

■岩出雅之監督
「今日は相手の天理大学さんのラグビーがすばらしく、それがすべてだったように思います。スクラムやSOの早期の退場など、細かなことがゲームの流れを左右したかもしれませんが、何よりも天理大学さんがすばらしいラグビーをし、我々も全員がそれを感じたと思います。ゲーム終盤は、得点上、逆転が厳しい状況になりましたが、最後まで力を振り絞って頑張っていましたので、強い天理大学さんというチームに最後まで挑戦し続けた帝京の学生たちには『よく頑張ったな』と褒めてあげたいです。12日の決勝戦では天理大学さん、明治大学さん両校がすばらしい試合をしてくれるだろうと思っています。連覇については、当事者は当然、それを望みますが、それを阻止しようと多くのチームが挑んできますので、我々としてはさらにそれを越えていこうとすることでお互いの成長があると思ってやってきました。1年1年、積み上げてきましたが、この連覇が止まったことが悲しいものではなく、久しぶりに味わう本当の悔しさを大切にして、挑戦する姿勢をより高めてほしいと思います。試合後、選手たちはロッカールームで泣いていましたが、これまで多くのチームのそうした涙を見てきたので、我々も同じように涙して、しかし次は笑えるようにそれぞれのステージで頑張っていこうという話をしました。選手たちの頑張りを誇りに思いますし、4年生は次のステージで、3年生以下は新しいチームで頑張ってほしいと思います。最後になりましたが、今シーズンも皆様にはさまざまな形で応援、サポートをいただきました。学生たちも、スタッフも、すでに前を向いて歩み始めておりますので、今後とも変わらぬ応援、サポートをいただけたらうれしく存じます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。」



■バイスキャプテン・No8ブロディ・マクカラン(4年)
「『これがラグビー』ですね。『This is Rugby.』。全部勝つことはできません。今日は天理大学さんが強かったです。僕たちもいい準備をしましたが、足りていませんでした。悔しいですね。それしか、言葉がないです。もう大学でラグビーすることはないと思うと残念ですが、自分は次のチームでもっと成長できるようにポジティブに考えて、やっていきたいです。後輩たちには頑張って、新しいレガシーをまた作ってほしい。自分たちは9連覇まででしたが、後輩たちはまた1から積み重ねてほしい。来年、勝ったらすばらしいですよね。これまでは先輩方に作ってもらっていたものを、自分たちが1から作り始めるわけですから。たいへんですが、ぜひやってほしいと思います。」



■バイスキャプテン・FB竹山晃暉(4年)
「すごくいい準備をした実感もありましたし、出場メンバーも出場しないメンバーも、チームが1つになってきたという実感もありました。しかし、天理大学さんのプレッシャーも厳しく、またSO北村選手が早い時間帯で抜けるというアクシデントもあり、チームにもショックというか、マイナスの方に作用してしまったように思います。10連覇という目標を掲げてやってきた中、プレッシャーもありましたが、このチーム、大学で学べたもの、ラグビー以外の部分も含めて、次のカテゴリーで活かしていきたいです。バイスキャプテンとして物足りない部分がたくさんあったと思いますが、後輩たちには、ここから帝京大学の新しい一歩を踏み出せるように、自分自身もやれることをやっていきたいです。」



■楽しみを作っていってほしい・FL菅原貴人(4年)
「天理大学さんが真っ向勝負で挑んでくるのはわかっていて、特にFW勝負になるだろうと思っていたので、自分もしっかりと真っ向勝負していこうと思っていたのですが、相手の得意なスクラムから崩され、自分たちのペースでラグビーをする時間が少なくなり、こういった結果になってしまったと思います。後輩たちには、この悔しさを忘れずに、1年間、もう一度、自分たちのやりたいことを確認して、楽しみを作っていってほしいです。」



■残りの時間も4年生として後輩たちのために使っていきたい・FL和崎慶一(4年)
「いまは悔しいという気持ちと、やってきたことを全部出しても勝てなかったという実力の差が出てしまったという気持ちがあります。久しぶりのAチームでしたが、まずは選ばれるように必死で練習に臨み、選ばれてからはチームの代表として体を張り続けようという思いで練習に励んでしました。いい準備をしてきたつもりだったので、余計に悔しいです。僕らの代で連覇は途切れさせてしまいましたが、後輩たちが来年は笑えるように、残りの時間もしっかりと下級生たちと関わり合って、少しでも成長してくれるように一緒に練習していきたいと思っています。」



■ラグビーを楽しんで、勝って笑ってほしい・SH・SO小畑健太郎(4年)
「天理大学さんは強かったです。特にディフェンスがすばらしかったです。途中、SOに入るなどイレギュラーなことがありましたが、あまり対応できなかったのが悔しいです。周りの声なども全然聞けていませんでしたし、ゲームコントロールも最悪でした。全然プレッシャーが違い、難しかったです。この経験は次のステージで活かしていきたいです。後輩たちには、今後もラグビーを楽しんで、そして最後に勝って笑ってほしいです。」



《PICK UP PLAYERS》

この悔しさを含め、学んできだことを各自が今後に活かしてほしい

LO 秋山 大地(4年・キャプテン)
AKIYAMA DAICHI



医療技術学部スポーツ医療学科
つるぎ高校出身
身長191cm/体重111kg


■まずは試合を振り返ってください。
「今日は1年間やってきたこと、準備してきたことを100%出し切ろうと思って臨みました。自分たちがやるべきことは100%出し切ったと思っています。残念な結果になりましたが、グラウンドに立っていたメンバー、立てなかったメンバー、帝京大学全員で戦った結果です。一緒に戦ってくれたメンバーを誇りに思います。今日の結果をしっかりと受け止め、この悔しさを4年生は今後の人生に、1、2、3年生は来年につなげていってほしいと思います。」

■相手の天理大学さんはやはり強かった。
「すばらしいラグビーだったと思います。コンタクト、セットプレー、ランプレーなどすべてのプレーにおいてレベルが高く、いい準備をしてきたのだなと感じました。」

■この1年、どんな思いでやってきたのでしょうか。
「10連覇という目標に向かって、先輩方から受け継がれてきたものを後輩たちに繋いでいきたいという思いでやってきました。もちろん、プレッシャーはありましたが、自分たちにしかできないチャレンジですので、むしろ幸せなことだと感じて頑張っていこうと4年生の間でも話し合って、やってきました。自分たちにしかできないチャレンジをさせてもらえた1年間だったので、結果は残念ですが、とても充実した1年間を過ごさせてもらったと思っています。『結果がすべてじゃない』と言うと、負け惜しみとかきれいごとに聞こえてしまうかもしれませんが、やはり学べたことはたくさんありましたし、悔しさも含めて、それらを自分たち4年生は次のステージで、3年生以下は次のチームに活かして、頑張ってくれたらと思います。」

■この1年で一番きつかったのは。
「夏合宿でしょうか。3試合のうち2試合で負けて、なかなかうまくいかずに、修正もうまくできずに、自分のキャプテンとしての力不足を感じましたし、一番悩んだ時期だったように思います。」

■個人として、この1年間で一番学んだことは。
「自分の性格上、これまではあまり人に厳しいことを言えなかったのですが、キャプテンとしてはそれではダメだということです。厳しいことを言わないのも優しさだと勘違いしていたと思います。でも、仮に相手が傷つくことであったとしても、それが相手のためになる、相手の成長につながるのであれば、しっかりと厳しいことを言うのが優しさでもある。それが相手のためでもあり、チームのためでもあると学びました。」

■チームのみんなにメッセージをお願いします。
「みんなを笑顔にできなかったことは申し訳なく思います。悔しい気持ちはありますが、この仲間たちと一緒に戦えたことを誇りに思います。チームというのはどこでも、1年間かけて徐々にまとまっていくものだとは思いますが、早い段階から自分たちの目標を常にリアルに明確に持って、見失うことなく、毎日を生きていければ、チームはもっと早く団結できると思います。僕たちは大学選手権に入ってから、よりリアルに目標を見据えられるようになって、いいまとまりができてきたのですが、来シーズンはその緊張感を知っているメンバーを中心に、もっと早い時期からまとまっていってほしいと思っています。」


この1年、キャプテンとして常に先頭に立ってチームを引っ張ってきた。春季大会の第1戦で敗れるというスタートだったこともあり、自身のキャプテンシーについて悩むことも多かったようだ。夏合宿での連敗、対抗戦での敗戦など苦しい1年だったはずだが、「そのときは苦しい、つらいと思ったことも、後になってみると、そのおかげで成長できたと思える。いまはありがたい経験をさせてもらえたと感じている」と語る。悔しさという学びを経て、次のステージでのさらなるチャレンジへとつないでいく。








《COLUMN》

―― 笑って終わるという「特別」な状況を取り戻すために ――


大学選手権準決勝で敗れ、帝京の10連覇の夢は破れました。ここ数年の大学選手権決勝を見ても、僅差のゲームが多くなり、どちらが勝ってもおかしくないという試合が続いていました。今シーズンは春季大会での敗戦、夏合宿での2敗、そして天理大学との接戦、さらには対抗戦での敗戦と、他校との差が縮まっていることは全員が感じていたことだと思います。

試合後には「帝京のやってきたことを他校が見習って、大学ラグビー全体のレベルが上がってきた」という言葉をいただくなど、9連覇してきたことに対する功績を称えてくださる方々もいらっしゃいました。しかし、それを乗り越えることでさらにお互いにレベルアップしていこうというチャレンジをしてきた中、結果が残せなかった悔しさは言葉では言い表せないものがあり、それは、選手たちの大粒の涙がすべてを物語っていたように思います。

ただ、岩出監督が「試合後、選手たちはロッカールームで泣いていましたが、これまで多くのチームのそうした涙を見てきた」と語っているように、昨年度までの9年間、帝京以外のチームはすべてそうした悔し涙を流してシーズンを終えていたわけです。ただ1校を除いて、すべてのチームが必ず悔し涙を流すというのは非常に酷なシステムですが、それが現実であり、これまでの9年間の方がむしろ特別な状況だったと言えるでしょう。

最後に笑って終われるというその状況はけっして当たり前ではなく、むしろ特別なものであり、だからこそ、自らの日々の努力によって勝ち取らねばならないものだという、それこそ当たり前のことを改めて思い知らせてくれた敗戦でした。

この悔しさをしっかりと受け止めることこそが、次への糧となるはずです。今回の敗戦という結果は、もう変えることはできません。変えられるのは、次の戦いだけです。

選手たちはもう前を向いて、次に向かって歩み始めています。今シーズンの戦いは終わりましたが、それは来シーズンの始まりでもあります。自分たちに足りなかったものは何かを改めて見つめ直して、もう一度、特別な状況、最後に笑って終わるという瞬間を迎えるための道筋を確認し、歩んでいってほしいと思います。

そこに真剣に向かい合う選手たちに対しては、我々ファンも全力で応援し、サポートしていきましょう。次への戦いはすでに始まっているのです。


《NEXT MATCH》

今シーズンのゲームは終了しました。応援ありがとうございました。
今後の活動予定につきましては、決まり次第、随時、このホームページにてご連絡させていただきます。
今後とも、応援・サポートのほど、よろしくお願いいたします。


(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

特集一覧