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関東大学春季大会Aグループ 慶應義塾大学戦

関東大学春季大会Aグループ 慶應義塾大学戦

2019/05/19

5月19日(日)・百草グラウンド
○帝京大学(勝点18)42-20慶応義塾大学(勝点1)●



《帝京大学》
[FW]
(1)北⇒髙井(2)李(承爀)⇒上片(3)奥野⇒田中(4)久保⇒水谷(5)本山(6)安田(7)山添⇒中野(8)金(隆)
[BK]
(9)春野⇒前田(10)北村⇒高本(11)二村⇒李(承信)(12)岡村(13)尾﨑(14)木村(15)奥村

《慶応義塾大学》※先発のみ
[FW]
(1)原田(2)安田(3)室星(4)川端(5)篠原(6)川合(7)山本(8)濱野
[BK]
(9)若林(10)鎌形(11)宮本(12)木村(13)三木(14)安西(15)高木

【前半】【得点経過】
【2分】帝0-5慶
ラインアウトから攻められ、トライを奪われる。

【5分】帝0-10慶
ラインアウトから攻められ、ラックから持ち出されてトライを奪われる。

【21分】帝7-10慶
スクラムから連続攻撃。モールで前進し、ラックに。ラックから、SH春野-CTB岡村と渡り、岡村が抜け出す。さらに、FB奥村にパスし、奥村が走り切ってトライ。ゴール成功。

【31分】帝14-10慶
ラインアウトから連続攻撃。ラックから、FL山添が持ち出してトライ。ゴール成功。


【後半】【得点経過】
【2分】帝21-10慶
ラインアウトからモールで前進。ラックになり、連続攻撃。ラックから、FL安田が持ち出してトライ。ゴール成功。

【6分】帝21-15慶
ターンオーバーから攻められ、トライを奪われる。

【23分】帝28-15慶
スクラムから連続攻撃。ラックから、No8金が持ち出してトライ。ゴール成功。

【27分】帝35-15慶
スクラムから連続攻撃。ボールが乱れる場面もあるが、WTB木村、FL中野がうまく拾ってつなぐ。ラックから、SO北村-FB奥村と渡り、奥村が抜け出してトライ。ゴール成功。

【37分】帝42-15慶
スクラムから連続攻撃。ラックから、PR田中が持ち出してトライ。ゴール成功。

【41分】帝42-20慶
ラインアウトから攻められ、トライを奪われる。


《BRIEF REVIEW》
春季大会第3戦の相手は慶應義塾大学。帝京は開始早々、やや甘さが出てしまう。不運な展開も相まって、2分、5分と立て続けにトライを許す。ただ、ここからは徐々に落ち着きを取り戻し、スクラムを押してターンオーバーするなど、力強さも戻ってくる。21分にはCTB岡村がチャンスを作り、FB奥村がトライ。31分には、ゴール前のラックからFL山添がトライを奪い、逆転。14-10で前半を折り返した。後半は早い時間帯に、FL安田のトライで追加点を奪う。ミスからの失点もあるが、落ち着いたプレーを続け、しっかりと得点を重ねていく。42-20でノーサイド。帝京が春季大会3連勝を飾った。



《POST MATCH INTERVIEW》

■岩出雅之監督
「今日はケガや教育実習などの関係で4年生のリーダー陣がほぼいない状態でしたが、3年生以下にとってはとてもいい経験になったのではと思っています。うまくいかない時間帯を、どう落ち着いて進めていくか。こうしたゲームを経験することでリアルに実感でき、成長につながっていくでしょう。また、こうしたゲームだからこそ、一人一人が自分自身に対してリーダーシップ、オーナーシップを発揮し、自分をコントロールしてプレーすることの大切さを学んでくれたのではないかと思っています。年齢や学年だけではなく、経験値としてまだまだ若いチームなので、スタートの部分でのんびりしてしまったところもありましたが、今日のような試合を経験していくことで、少しずつ成長し、また少しずつ責任感が出てきてくれることを期待しています。最後になりましたが、80分間、粘り強いプレーをしてくださった慶応義塾大学さんに感謝を申し上げます。ありがとうございました。秋には、ファンの皆様にさらにいいゲームをお見せできるよう、我々も精進してまいります。」

■ゲームキャプテン・SO北村将大(3年)
「今日のゲームは、厳しいプレー、激しいプレーにフォーカスして臨んで、それができていた部分についてはよかったと思いますが、前半、甘い部分、ディフェンスで受けてしまう部分があって、失点したり、相手を勢いづけるプレーをしてしまったりというところがあったので、そこは反省点です。前半の入りからいい準備をして、開始直後の、お互い元気な状態でも負けないようにしていきたいです。今日の自分は、ゲームキャプテンという立場でした。普段からSOとしてゲームコントロールを意識してやっていますが、チームに対して、その場に合った的確なコミュニケーションをする、的確なプレー選択をするという部分はまだまだだと感じました。自分は3年生ですが、試合に出れば学年は関係ないですし、特にBK陣は試合経験も多いので、一人一人がより自覚をもって、もっともっとリーダーシップを発揮していかなければいけないと思っています。次戦の東海大学さんとの試合も厳しさ、激しさが問われるゲームになると思うので、今日の反省を活かし、いい準備をして、いいパフォーマンスを出していきたいと思います。」



■チームの先頭に立ち、プレーで牽引・PR北隼人(4年)
「Aチームのメンバーに入ったのは、去年の天理大学さんとの試合(大学選手権準決勝)以来で久しぶりだったのですが、コンタクトレベルの低さなど、自分の未熟さを感じました。ただ、その未熟さを感じられたことで、ここから大きく成長できるきっかけになるとも感じています。自分は、4年生としてプレーで、特にスクラムでチームを引っ張っていこうと思って、臨みました。スクラムではある程度、手応えを感じることができたのですが、フィールドプレーでのコンタクトはもっと強くならなければと感じました。ただ、それもいい経験ができたと思っています。チームは、盛り上げていくための声出しも、学年関係なく出ているので、いい雰囲気ですし、成長できていると感じます。次の東海大学さんは、スクラムに力を入れているチームだと思うので、FW8人でまとまって、しっかりとしたスクラムを組みたいと思います。去年の大学選手権での敗戦をベンチで経験した者として、その空気感をチームで共有できるようにやっていきたいです。」


 
■初の先発出場で多くの貴重な経験を積んだ・SH春野日向(3年)
「今日はAチームの試合で初めての先発出場でした。自分なりにしっかり準備をして試合に臨んだつもりだったのですが、試合中、予想外のことが起こったとき、経験が足りない分、対応できないところがありました。そういうときの対応力をもっと磨かなければと感じました。今日はたくさん失敗がありましたが、それをマイナスにとらえず、次に出るときまでには修正して、試合に臨みたいです。ここ数試合は後半、リザーブとしての出場で、その時間帯だと相手も疲れているので、こちらのやりたいことがいろいろできたのですが、試合の入りのところ、相手が疲れていない状態で、かつ味方の固さもまだ残っている時間帯に、どのようにゲームを作っていくかが課題です。ゲームメイクも北村に任せ切りになってしまって、自分では動かせていなかったので、そこでの課題も見えました。先発出場を経験して、準備の大切さを実感しましたし、もっと相手のことをしっかりと研究して臨むという部分でも、まだまだ甘かったと感じました。次戦以降、今日の反省をプラスにとらえて活かしていきたいです。先発とリザーブでは、ゲームの組み立て方も変わると思いますが、どちらで出ても大丈夫なように、しっかりと準備をして試合に臨みたいと思います。」



《PICK UP PLAYERS》

スクラムの要として進化し続ける

No8 金隆生(3年)
Kim Ryung Seng



医療技術学部スポーツ医療学科
大阪朝鮮高級学校出身
身長179cm/体重102kg
■今日の試合を振り返ってください。
「今日は『コリジョン(ぶつかり合い)』をテーマとして、FWでどんどんガツガツ行こうと言って、試合に臨みました。前半は慶応大学さんの攻撃に、ディフェンスで受けてしまうところもあったのですが、自分たちのやるべきことを試合中に再確認して、役割を全うしていく中で、FW全体でいいプレーができるようになって、チームにもいい流れを持ってくることができたかなと思います。」

■今日は北村選手がゲームキャプテンを務めるなど、3年生もそれぞれがリーダーシップを発揮するようなチーム編成だったように思いますが、リーダーシップについてはどうでしたか。
「キャプテン、バイスキャプテンが不在で、4年生も少ない中、ゲームキャプテンの北村に任せっきりではなく、人数も多い3年生全員がリーダーシップを取って、まずは自分自身を引っ張って、そして周りを引っ張っていけるようなプレーをしようと心掛けてやりました。」

■手応えはどうでしたか。
「周りへの声掛けはできていたと思うのですが、もっと自分が、特にFWとして流れを引き寄せるようなプレーを見せたかったです。次は、自分がチームに勢いをつけられるプレーをしたいです。」

■今年のFWは、昨年以上にスクラムに力を入れているように見えますが、スクラムをコントロールするNo8として、今、スクラムにはどんな手応えを感じていますか。
「去年、天理大学さんに敗れたときから、FWとしてはスクラムに力を入れて練習してきて、まだまだ成長過程ではありますが、今日は相手ボールのスクラムでターンオーバーできたりと、いいスクラムもありました。このあと、東海大学さん、明治大学さんとの試合になりますが、両チームともスクラムに自信を持っているチームだと思うので、自分たちはもっと高いスタンダードで練習していって、スクラムを強みにできるようにしたいです。」

■フィールドプレーに関してはどうですか。
「今はチームとしてBKでのトライが多いかなと思いますが、もっとFWがガツガツ行って、僕たちFWがチームを引っ張っていけるように頑張りたいです。」

■今後への意気込みをお願いします。
「FWとしての力強さを出して、チームを勢いづけられるように頑張ります。」


この春シーズン、No8として先発で出続け、成長を続けている。シーズン当初は、SHとの連携やボールタッチ等で課題も見られたが、経験を重ねながら改善されてきた。スクラム強化を図る中、ボールキープという重要な役割も担う。また、3年生ながら、声でリーダーシップを取ることも意識している。もちろん、プレーの激しさも常に意識する。新たなスクラムの要は、日々、進化を続けている。



《COLUMN》

―― リーダーシップとオーナーシップ ――


この日の試合、ゲームキャプテンを務めたのは3年生の北村将大選手でした。1年時からゲームに出ており、経験豊富で、もちろん高いリーダーシップの持ち主ですが、ゲームキャプテンを務めるのは初めてです。

リーダーシップを発揮できる4年生もいましたが、岩出監督は「彼らには、自分の役割に専念してほしい」と考えて、3年生の北村選手をゲームキャプテンに抜擢したと言います。もともとSOはゲームメイキングを担うポジションでもあるので適任と言えますが、やはり初めての経験ですから、(本人は口にはしませんが)プレッシャーも小さくなかっただろうと想像できます。

こういった状況では、一部のリーダーによる「リーダーシップ」以上に、一人一人の「オーナーシップ」が大事になってきます。「オーナーシップ」というのは、「誰かに頼ったり、やらされたりするのではなく、やるべきことを自分の問題としてやろうとする意識」のことで、あえて日本語にすれば「当事者意識」という言葉が当てはまるでしょう。

組織をまとめるリーダーシップ以前に、一人一人が「オーナーシップ」を持って、やるべきことをやる。それによって、組織は有効に機能するようになります。

これは、一人一人が自分自身に対してリーダーシップを発揮し、行動していくこととも言えます。「自分は声を出してチームを引っ張るのは苦手」と述べる人も少なくないのですが、少なくとも自分自身に対してはリーダーシップを発揮して、当事者意識を持って行動していく必要があります。

オーナーシップを持って行動していくことを続けると、自分だけではなく、組織全体へのオーナーシップも育ち、自然に「リーダーシップ」も身についていくはずです。

一人一人がリーダーシップ(かつオーナーシップ)を身につけている組織は、とても強い組織です。実際のリーダーは一人いればいいのですが、リーダーシップを身につけた人は何人いてもいいですし、むしろ多ければ多いほど、組織への当事者意識の高い人が増えることになります。

この日の試合はチームにとって、そんなリーダーシップとオーナーシップを身につけるためのすばらしい経験を得られるものだったと思います。


《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。


PR 金森栄人(1年)
秋田工業高校出身
身長174cm/体重128kg

「自分はボールを持ったときのキャリーや、大きな体を活かしたスクラムを得意としています。課題はパススキル。キャッチングも含めて鍛えていきたいです。また、体力面もまだまだ低いと思うので、上のチームで活躍するためにもフィットネスを頑張って、体力をつけたいです。帝京大学ラグビー部は、当たり前なのですが、高校のレベルとは段違いに違っていました。特にBKは動きもキレがすごいですし、パスもうまいし、足も速いし。こういう人たちといっしょにプレーできるんだと思うと、すごくワクワクします。また、高校の先輩の水谷健人さんからは『練習は多少きついと感じるかもしれないけど、大丈夫』と聞いていたのですが、自分はリハビリ中で実感はしていないものの、みんなの練習を見ていると『これで“多少きつい”程度なのか』と(笑)思いました。でも、早くケガを治して、このレベルを当たり前にしていけるように、これから頑張りたいです。焦らずケガを治して、万全の状態で戻って、上のチームで活躍できるようにしたいです。」


CTB 菅原海人(1年)
京都工学院高校出身
身長170cm/85kg

「自分の持ち味は、相手に当たり負けないフィジカルとロングキックです。課題はフィットネス。まずはそこを克服して、アジリティも上げていって、何でもできるCTBになっていきたいと思っています。帝京大学ラグビー部は、強いコンタクトの練習をしたり、フィットネスに力を入れているなど、高校時代とは全然違うと感じています。週2回のフィットネスはウエイトトレーニングのあとに行うので、すでに足がきつい状態でさらに負荷をかけてというトレーニングで、これを普通にやっている先輩たちはすごいと思います。自分も早く普通に感じられるように頑張りたいです。今は下のチームですが、やがては上のチームで活躍できるようになり、大学選手権優勝に貢献できる選手になりたいです。」


PR 小松桃斗(1年)
高鍋高校出身
身長177cm/体重122kg

「自分の強みは、体重を活かしたフィジカル面です。相手を弾き飛ばすような、前に出るプレーをしていきたいです。課題は体の硬さです。柔軟性をもっとつけて、スクラムでいい姿勢が取れるように頑張りたいです。帝京大学ラグビー部は、先輩方のレベルがものすごく高くてびっくりしました。PRでも足の速い先輩がたくさんおられますし、また、ラグビー以外の面でもレベルが高く、自分もそのレベルをめざして頑張りたいです。今はケガをしているので、まずはそれをきちんと治し、早く試合に出られるように、筋トレもスキルの練習も、さらには知識の部分も強化していきたいと思います。」



左から金森栄人・菅原海人・小松桃斗

《NEXT MATCH》
関東大学春季大会A
対東海大学(https://seagales.com/)
5月26日(日) 山梨中銀スタジアム
13時キックオフ

(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
 

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