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関東大学春季大会・第2戦 関東学院大学

関東大学春季大会・第2戦 関東学院大学

2012/05/14

収穫と課題の見えた第2戦


5月13日(日)・百草グラウンド
○帝京大学 73-24 関東学院大学●


《帝京》
1猿渡⇒森川 2泉 3浅堀⇒出渕 4今村 5マニング 6イラウア⇒筬島 7藤田(哲) 8大和田⇒深村
9天野⇒塚本 10中村 11磯田 12野田⇒山崎 13徳富⇒権 14小野 15竹田

《関東学院》※先発のみ
1五艘 2小川 3稲垣 4川野 5井澤 6阿部 7栗山 8安井 9井上 10楢崎 11佐々木 12伊藤 13高橋
14竹内 15杉町

「関東大学春季大会」第2戦の相手は、昨年度大学選手権ベスト4の関東学院大学。帝京としては第1戦がまずまずのスタートであっただけに、勝敗はもちろん、この時期ゆえ、次への成長へとつながる中身の濃い内容のゲームにしたいところだ。

【前半戦】
キックオフ直前の帝京。泉主将を中心にいつも通りの気合いのこもった表情を見せる。その気迫通りに開始早々から激しさを見せる。徐々に帝京のラグビーに慣れ始めたFLイラウアの突破から大きく前進。一旦は相手ボールになるが、厳しいディフェンスでターンオーバー。相手がペナルティを犯すと、WTB小野がクイックスタート。SO中村が仕掛けて相手ディフェンスを引き付け、CTB野田へパス。そのままインゴールへと走り込み、開始1分で先制点を挙げる(7-0)。

6分には、この試合抜群の機動力を見せたFL藤田、No8大和田らの突破で前進を図るとBKへ展開。野田が突破し、最後はWTB磯田へと渡ってトライ(12-7)。

野田、徳富のCTB陣は端から見ると自信を持ってプレーしているように見受けられた。しかしながら、ともにディフェンスでのコミュニケーションを課題としてあげる。野田は「コミュニケーション・ミスでいらないトライを与えてしまったところが反省点です」と語り、徳富は「コミュニケーションとリアクション。いいタックルができるように、対面に対する立ち位置などをすばやく意識すれば、もっといいディフェンスができると思います」と振り返った。

その後もミスは散見するも、それでもFW、BK一体となって前進を図る帝京。ラインアウトからFWが押し込み、大和田がインゴールへ。トライに見えるもグラウンディングが認められずにキャリーバックとなるが、しっかりと修正したスクラムで、相手のペナルティを誘発。クイックから大和田がそのまま持ち込んで逆転のトライをあげる(19-14)。

シーソーゲームの様相を呈し始めたが、そんな展開もここまで。帝京がようやく底力を見せる。その牽引役となったのは、ゲームMVPを獲得したFB竹田だ。まずは21分、FL藤田、LOマニングらの前進でチャンスを作り、竹田が相手ディフェンスを突破してトライ。


1本返されるが、34分にはパスミスでこぼれたボールをすばやく拾って、そのまま走り切りトライ。その2分後にも、キックオフからしっかりとつないだボールを竹田が持ち込んでトライ。相手ディフェンスを鋭い走りでラインブレイクし、そのまま走り切る切れ味に、スタンドからは感嘆の声が上がる。

前半終了間際にはFW、BKでつないだ後、最後は磯田が抜け出し、45-19で前半を折り返すこととなった。

前半は多少ミスも目立ったがそれでも地力の差は明らかで、攻撃面では何度もいい形を作り、得点を重ねることができた。特にスクラムを修正し、ペナルティが減ってからは、攻撃する時間も大幅に増えた。後半も積極的なチャレンジを続けたいところだ。

【後半戦】
ハーフタイムに岩出監督からなされたアドバイスは、「ミスをしたあとのコンセントレーション(集中)」と「フラストレーションのコントロール」の二点。積極的なチャレンジと、ミス後の処理への対応、また思うような展開にならないときのマインドコントロールの大切さなどを確認して後半へと臨むこととなった。

後半も徐々にだが、着実にと集中力を高めていく帝京。6分、10分と野田が連続トライ。相手ボールに対して全員が厳しくディフェンスに行き、ターンオーバーあるいは相手のペナルティを誘い、すばやく展開して抜け出すという評価に値するトライだ。

その後、途中出場の選手たちも活躍。SH塚本、SO山崎の2年生ハーフ団が積極的な仕掛けを見せる。仕留めるまではいかなかったが、チームにリズムをもたらせる。CTBに入った権も大きく前進してチャンスメイク。


PR森川、PR出渕はセットプレーのみならず、フィールドプレーでも活躍。特に森川は再三にわたって、ボールに絡む。FL筬島も好タックルでその存在感をアピール。

27分、CTBの位置に入った中村がこぼれ球に反応し、32分には磯田が快足を飛ばしてトライをあげる。さらに終了間際の相手の必死の攻撃も防ぎ切り、73-24で勝利となった。
 

《試合後のインタビュー》

■岩出雅之監督
「今日も大勢の方にご観戦いただき、ありがとうございました。今日のゲームで、やや失点が多かったことについて、選手たちはいろいろと反省しているかと思いますが、けっしてネガティブになる必要はなく、今の時点ではまだまだこのくらいの段階なのだということを認識して、見つかった課題にこれから真剣に取り組んでもらえればと思っています。必要なことが実感できたわけですから、意味のあるいいゲームだったと思います。特に下級生たちはあせる必要はまったくありませんし、まだまだこれから時間をかけて積み上げていってくれればと思います。
今日も新しいことにどんどんチャレンジしたゲームでした。チャレンジしているからこそミスも起こるわけですが、今後はどんな状況でもしっかりとしたプレーができるように、高い志をもって練習に取り組んでくれることと思います。やろうとしていることが不明確なままでは、うまくはなりません。やろうとしていることがどういうことなのか、学生自身が気づくことが大切です。今日のゲームも自信を失わないレベルで、厳しく考えてくれれば、今後の成長につながるものになることでしょう。
最後になりましたが、関東学院大学の選手、関係者の皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました。」

■キャプテン・HO泉敬(4年)


「今日のゲームは、やや課題も出たのですがその課題を次につなげていくための材料として、今後、少しずつでも積み重ねができればと思っています。『激しく、厳しく』と言って臨んだのですが、少し軽いプレーが目立ちましたし、ペナルティで自滅してしまった部分もありました。そんな中でも、ミスや失点のあと、みんなから自発的にコミュニケーションして、『ここを修正しよう』というように確認し合うことができたのは、選手の自発的な取り組みという意味でも成長している点だと思います。来週は社会人との対戦ということで、接点やセットプレーでのプレッシャーはより厳しいものになると思いますが、それに負けないようにしっかりと練習して臨みたいと思います。」

■プレーでもコミュニケーションでもチームを牽引した・FL藤田哲啓(4年)
「全体として積極的にプレーできた点としては、ボールキャリアへのサポートが挙げられると思います。サポートするところでのコミュニケーションをさらによくすれば、今後より有効になるのではないかと思います。前半は少しミスが多く、自分たちの切り替えが遅かったために、そこを突かれてトライされた場面がいくつかありました。ミスした後のリアクション、ディフェンスへの切り替えをもっと早くしなければと思いました。アタック面では、いま挑戦していることがあるのですが、トレーニング不足によるミスも多かったので、もっとトレーニングして精度を上げていきたいです。」

■冷静な球さばきと積極的な仕掛けを見せた・SH天野寿紀(4年)


「新しいチャレンジの部分ではいいところもあり、そこはチームとして収穫だと思います。ただ、この一週間、『激しさ』をテーマにやってきて、それを出そうと思って臨んだのですが、コンタクトでのミスが多くて、自分たちがやるべきことができない場面もありました。次はまずセットプレーを安定させて、自分たちがやるべきことをしっかりとやった上で、新しいことにチャレンジしていきたいと思います。」

■切れのある走りを見せた・WTB磯田泰成(2年)
「WTBとしてもっともっと外でボールをもらっていきたいと思います。自分からコールすることと、コミュニケーション不足で前のプレーヤーが抜けたあと、そのまま内に入ってしまうことがあった点は課題として捉えています。来週は、今日出たいろいろな反省点を修正して、BKでのコミュニケーションをしっかりと取りながら、自分の強みであるスピードを生かせたらと思っています。」

■何度もラインブレイクを見せた・CTB徳富大樹(4年)


「アタックでは、立ってつなげているところはよかったのですが、つなぎ自体が中途半端なものも多かったので、そこは修正したいです。アタックで裏を狙うにしても、まず自分が対面をとめるということを意識してやっていますし、縦でもらうにしても常にあいているところを意識して狙っています。コミュニケーション不足でCTBのところで抜かれて、トライを取られた場面もありましたが、リアクションとコミュニケーションしながら、すばやくリポジションして、対面に対する立ち位置などをもっと意識したら、いいタックルができると思います。あとは、コンタクトで当たり勝つことですね。次の試合では、まず一人一人が当たり勝つこと、また自分がチームを勢いに乗せられるようなディフェンス、アタックを目指して頑張りたいと思っています。」

■堅実なディフェンスでチームを鼓舞した・WTB小野智寛(4年)


「今シーズン2試合目で自分たちもまだまだ発展途上ですし、これからの練習、試合で積み重ねをしながら、自分たちのできるプレーの幅を広げるチャレンジし、夏、秋へとつなげていきたいと思っています。ゲームテーマとして、これまでやろうとしてきたチャレンジの部分に加えて、『激しさ』、ブレイクダウンやタックルの部分での精度と激しさを意識して臨みました。いい場面もあったので、次戦ではさらに原点に返って、自分たちのやるべきプレーをしっかり確立させていくことが大事だと思います。」

■Aチーム初の公式戦も仕掛けで強みを見せた・SH塚本奨平(2年)
「仕掛けの部分では、僕からの仕掛けでFWにいい球を供給できた場面もあったので、そこはよかったです。次は声のコミュニケーションをさらに意識して、周りを生かせるようにしたいです。今日は自分がテーマとしている『球さばき』と『仕掛け』を意識して臨んだのですが、『球さばき』の部分でうまく出せなかったところもあり、『仕掛け』の部分も通用したところと僕のところで崩してしまったところがありましたが、この経験を糧にしていきたいです。」

■積極的な仕掛けでチャンスを作った・SO山崎雄希(2年)


「自分は思い切り仕掛けて、オフロードでもつなげるというところが持ち味だと思っているので、今日はまずまずできたのですが、しっかりとした仕掛けとそのあとのつなぎで味方を生かせるように、どんどん自分から体を張っていきたいと思っています。自分から仕掛けて行って、抜け出したところまではよかったと思いますが、そのあとのプレーが雑なところがあったので、そこを丁寧にしないといけなかったと反省しています。もっと周りのプレーヤーを生かせるようなプレーヤーになれるように、練習して鍛えていきたいです。」



《PICK UP PLAYERS》


「帝京の12番」を担うハードタックラー
CTB 野田滉貴(3年生)



NODA KOKI
1991年4月8日生まれ
経済学部経済学科
長崎南山高校出身
身長175㎝/体重81㎏/血液型B型

■今日のゲームは攻撃面で抜け出したり、いいトライもたくさんありました。
「積極的に行けトライも取れたのですが、まだまだ縦に行くところと外に行くところの使い分けができていないので、もう一回やり直していきたいです。」

■外から見ていて頼もしく映りますが、自分として成長できていると感じるところはどんなところでしょうか。
「つなぎの部分ではFWとコミュニケーションを取って、練習したことがしっかりと出せているので、そこはいいところだと思っています。」

■自身の一番の強みはどこでしょうか。
「自分の強みはタックルなのですが、その強みのタックルで今日は反省もあります。一対一のタックルなら自信があるのですが、もっと高いレベル、周りとコミュニケーションを取りながらのディフェンスというところがまだまだできていないので、そこをもっとレベルアップしていきたいです。」

■チーム全体を見たとき、ここが成長しているなと感じるところはどんなところでしょうか。
「特に相手の嫌がるところへボールを積極的に動かしていこうという意識で動かせているところは、成長できているなと感じます。もっと精度を高めていきたいと思っています。」

■モチベーションも高くもってチャレンジできているようですね。
「やはり、帝京といえばFWというイメージを多くの人がもっていると思うのですが、FWだけじゃく、BKも強いんだというところを出していきたいですね。組織としてどう表現していくか。そこが大事だし、楽しみでもあります。」

■次戦に向けて、ここを強化していきたいという点はどこでしょうか。
「アタックでは無駄なミスなどすることなく、しっかりと自分らしいアタックをしたいです。ディフェンスも、今日出てしまったミスを練習で修正して、次戦は社会人相手でも自分らしいタックルをしたいと思っています。」

U-20日本代表にも選ばれた経験をもつハードタックラー。今日の試合では、抜かれてしまったことへの反省の弁が出たが、ピンチを救うタックルも再三見せていた。アタック面でも縦へ、外へと果敢にチャレンジ。今後、体づくりを強化し、アタックでの精度を高め、さらにディフェンス力を向上させていければ、「ポスト南橋」への期待もより一層高まっていくことだろう。潜在能力は十分。あとは日々の積み重ねでそれを開花させるだけだ。
 

《NEXT MATCH PREVIEW》

【5月20日(日)招待試合 VS豊田自動織機シャトルズ 瑞穂公園ラグビー場 14時キックオフ】

次戦は瑞穂公園ラグビー場での招待試合、豊田自動織機シャトルズとの一戦。毎年、この時期に社会人のチームと対戦できるのは、とても貴重な経験となる。うまさ、強さ、激しさ……それらを実際に体感することで一つでも多く吸収し、今後の糧にしたい。果敢なチャレンジと基本に忠実なプレーの両立に注目しよう。



(文/木村俊太、写真/川本聖哉)
 

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