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名古屋市ラグビー祭 豊田自動織機シャトルズ

名古屋市ラグビー祭 豊田自動織機シャトルズ

2012/05/21

 社会人相手に貴重な経験と勝利!


5月20(日)・瑞穂公園ラグビー場
○帝京大学 33-24 豊田自動織機シャトルズ●


《帝京》
1川満⇒森川 2泉⇒徳永 3出渕⇒浅堀⇒深村 4今村 5マニング 6筬島⇒松永(浩) 7藤田
8イラウア⇒伊藤(哲) 9荒井(康)⇒天野  10中村 11磯田 12荒井(基)⇒前原 13権⇒山崎 
14小野⇒南藤 15竹田

《豊田自動織機》※先発のみ
1奥田 2鈴木 3上田 4岡崎 5フィフィタ 6コリ 7高田 8長谷川 9吉田 10調 11大門 12岩根 13坂井
14テアウパ 15飯田


春の第三戦は舞台を名古屋・瑞穂公園ラグビー場に移し、社会人・豊田自動織機シャトルズとの対戦。トップリーグにも参画するなど社会人の有力チームだが、相手が誰であろうと、帝京としては自分たちのラグビーをやり切るのみ。持てる力をどこまで出せるかに注目だ。


【前半戦】
キックオフ直前、岩出監督からは「今、自分がやるべきことを確認して、そこにチャレンジしていこう。この時期、チャレンジして失敗するのはかまわない。ここをスタートと思い、しっかり前に進んでいこう」と声がかけられる。

この声に応えるように、開始直後から敵陣深く攻め込む帝京。相手のペナルティからクイックで攻め、継続。最後はNo8イラウアがハンドオフで相手をなぎ倒してトライ。開始1分、幸先よく先制点を奪う(5-0)。

だがさしもの相手は社会人の強豪、ここから守りの時間帯となる。荒井(基)、権の両CTB、PR川満、HO泉らの好タックルでしのが、ボールを奪い返すまではいかず、継続され、少しずつ前進を許してしまう。

さらにLOマニングが激しさを見せ、ターンオーバー。チャンスになりかけるが、パスがつながらず、惜しいチャンスを逃す。

このあとも守る時間帯が続く。この日も再三、好タックルを見せたFL藤田らが必死で止めるも、ボールを奪い返すまでには至らない。そして、少しずつ後退を余儀なくされる。17分、インゴールからタッチキックを狙ったボールをチャージされ、同点トライを許してしまう。



その後も攻められるが、必死の守りでターンオーバー。だが、相手のプレッシャーも早く、裏へのキック攻撃が多くなる。それをカウンターで攻められ、また防戦となるという流れになり、得点チャンスがなかなか生まれない。

それでも必死の守りを続ける帝京。だが、36分、スピードに乗った相手を止め切れず、逆転を許してしまう。前半終了間際には、攻め込んでのラインアウトをクリーンキャッチできず、乱れたボールを奪われ、つながれトライ。前半を5-19で折り返すこととなった。




【後半戦】
ハーフタイム。岩出監督が選手たちに呼びかける。「技術や作戦の問題じゃないぞ。ハートでいこう!」。前半以上に気持ちの入った攻めのタックルを、そして相手に継続を許すキックを極力控え、ボールを持ったら積極的に攻めあがる確認が行われた。

選手たちも「相手にボールをつながれるのは、タックルが弱いから。強い気持ちで、もっと突き刺さるタックルをしていこう!」と呼びかけ合い、後半に臨むこととなった。

だが、後半も辛抱の時間が続く。開始早々、相手にスペースを与えると展開され、追加点を許してしまう。しかし、これで巻き返す意地を見せる帝京。前半とは打って変わり、次々とタックルで突き刺さっていく。二人目のタックラーの寄りも早くなり、相手を後ろに倒すシーンが目立ち始める。

相手を激しく倒すことで、つなぎのスピードも緩めることができ、ターンオーバーのチャンスも増える。さらに、こぼれ球への働きかけも素早くなる。No8伊藤(哲)、FL松永(浩)らが体を張って、ボールを奪う。

5分。FB竹田の前進からチャンスを作り、SH天野から最後は中村が抜け出しトライ。反撃ののろしをあげる(12-24)。

前半は相手の攻撃に対して受けに回る場面も見えたが、後半は攻められていても激しさで優っているので、まったく危なさを感じさせない。攻めては、一人一人が積極的に前に出て、当たっていく。相手を下げながらつなげるので、さらに前に出やすくなる。積極的な強い気持ちをもったことで、前半とは明らかに違った流れとなっていく。

17分。途中出場のPR森川がボールを持って前進。攻め込んだラックから、BKへ展開し、WTB磯田が抜け出してトライ(19-24)。

得点差で射程距離に捉えると、流れも完全に帝京ペース。攻められるシーンもあるが、そのたびに突き刺さるタックル、素早い寄り、素早い戻りで防ぐ。

そして迎えた34分。CTBの位置に回った中村が縦に突破。攻め込んで、ゴール前でラインアウトを得ると、しっかりとモールを形成。押し込んだところで、天野が持ち出して同点トライ。ゴールも決まって、26-24とついに逆転。

残り時間が少なくなるが、相手も必死に攻めてくる。だが、ここも鋭い出足で止め、相手のミスやペナルティを誘う。逆にゴール前で再度ラインアウトを得ると、モールで押し込んで最後は中村がトライ。



帝京は社会人チーム相手に、33-24で逆転勝利を収めた。

前半はやや苦戦するも、気迫で上回った後半は見事にゲームを支配。気持ちの入れ替えでここまでチームが変われるのは、基本と土台がしっかりしてきている証拠ではないだろうか。勝利はもちろん、いろいろな面での気付きのきっかけとなった点でも、この試合の大きな収穫といえるのではないか。
 

《試合後のインタビュー》

■岩出雅之監督
「この時期に社会人のチームと試合ができることは、たいへん意義深いと考えています。まずは豊田自動織機さん、ならびに名古屋市ラグビー協会の関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
社会人のチームはうまさも厳しさも学生とはまったく違い、学生の余裕のなさもはっきり見えましたし、逆にいいところも見えました。こうしたプラス面、マイナス面の両方が次へと生きてくると思います。毎年、ここで豊田自動織機さんと対戦させていただくことで、その試合からチームが上昇気流に乗っていくことができています。今年もそうした位置づけの試合になりそうです。
チームが自信をつけていくには、その元となる部分、すなわち向かっていく気持ちが大事になります。今日は後半、それが出てくれたかなと思っています。もちろん、前半も我々の力、後半も我々の力なので、その気持ちの切り替えスイッチを各自がどうやって押すかが今後の課題となるでしょう。今日はハーフタイムで私が少し押しましたが、学生には周囲に押してもらうのではなく、アップの段階から自分で押せるようになってほしいと思っています。こうしたセルフコントロールも、日頃の練習で養うことが大切なのですが、それに気づいてくれたことで、次の練習からよりしっかりとやってくれることと思っています。」

■キャプテン・HO泉敬(4年)
「今日の試合は学ぶことがとても多かった試合だと思います。後半、気持ちを入れ替えて逆転できたことで、自分たちのラグビーをすれば必ずいいゲームができるんだと改めて確認できましたし、自信にもなりました。ただ、前半は技術うんぬんの前にハートの部分が全然出せていなくて、体を張るという基本的なことができていませんでした。後半立て直すことができたのですが、監督からのハーフタイムでの指示で立て直すのではなく、自分がキャプテンとしてグラウンドでみんなに気づかせてあげるべきでした。そこは自分がもっと成長しなければならないところです。
それでも今日学んだことを成長につなげて、この試合がチームのターニングポイントだったと言えるようにしたいです。今『激しさ』をテーマにして取り組んでいるのですが、技術、スキルの面以外にハートの部分を前面に出して、泥臭いプレーをひたむきにやることからのスタートになると思います。今まで練習でやってきたことを出すことはもちろん、アップの段階から気持ちを高めていって、ゲームの最初からハートを前面に出せるようにしていきたいと思います。」

■セットプレーの安定に貢献した・LO今村哲央(3年)
「今日はセットプレーを頑張ろうと思って臨みました。スクラムは安定していてよかったと思います。社会人相手ということで、コンタクトレベルもフィットネスレベルも高かったのですが、後半はみんなの気持ちが引き締まって、一人一人が『やろう』という気持ちになり、自分たちのプレーを粘り強くやれたのでよかったです。ただ、ラインアウトでミスがあったり、フィットネス不足から走れていなかったところもあったので、そこは修正したいです。次は、もっと突き刺さるようなタックルを出したいと思います。」

■社会人の激しさを体感しさらなる成長を誓った・筬島直人(3年)


「自分のやるべきことをやるということと、それにプラスして自分の強みを出すというテーマで臨みました。自分のやるべきことはタックルであり、激しいタックルこそ帝京ラグビーのベーシックな部分で、それができなければ話にならないのですが、今日はこのベーシックな部分からもう一度しっかり鍛えていかなければと強く感じた試合でした。次の練習から、今日出た課題をしっかり意識して取り組んでいきたいと思います。」

■今期A初出場も安定感のあるプレーを披露した・CTB荒井基植(4年)


「自分の強みであるディフェンスの部分で、しっかりファースト・セカンドのタックルと、両センターでコミュニケーションして、ファーストフェイズやキックチェースでのタックルをしっかりやろうと考えて臨みました。タックルの回数はそこそこ行っていたと思うのですが、ファーストタックルで突き刺さるようなタックルができていないところがありました。これができないとチームのディフェンスの流れを悪くしてしまうので、そこはしっかり修正していきたいです。また、復帰戦ということもあって、フィットネスがまだまだ追い付いていないところがあり、それもタックルの精度に影響してしまったので、フィットネスを高めていきたいです。今日は弟(SH・荒井康植)と一緒にプレーしたのですが、やはり彼のプレーは気になりますね。これからもお互いにいい刺激をし合って、チームに貢献していけたらと思います。」

■激しいタックルで成長の証を見せた・CTB権裕人(2年)
「今日は、タックルをしっかりやろうと思って臨みました。いいタックルもあったのですが、何回か抜かれるシーンもあって、そこは反省です。前半よくなかった流れが後半は変わったのですが、ハーフタイムに監督に言われてからではなく、また上級生に頼るのでもなく、自分たち下級生からもっともっと流れを変えられるプレーや行動をしたかったです。後半のみんなの気持ちの入り方がすごかったのですが、自分がいた前半からそれを出したかったです。次は、絶対に抜かれないディフェンスとボールを持ったときのアタックの部分を出していきたいと思います。」

■フィールドプレーで力強く前進した・PR森川由起乙(2年)


「後半からの出場だったので、ハーフタイムで言われた修正すべき点を頭において、さらに、自分の強み、自分がやろうと決めたことを意識して臨みました。具体的にはセットプレーの部分、特にスクラムで我慢強くしっかりした姿勢を取って安定させることを意識しました。また、自分の強みであるフィールドプレーではまずはタックル、そしてそれにプラスしてボールを持ってのプレーを意識しました。後半は一人一人、気持ちの入れ替えがしっかりできていたので、その強みがプレーにも出たと思います。次もまずはコンタクトの部分で勝つこと、セットプレーを安定させてゲームの主導権を握り、相手をコンフューズさせることを意識してやっていきたいと思います。」

■社会人との対戦で成長のための課題をいくつも得た・浅堀航平(1年)
「自分の強みを一つだけでいいので出していけるようにと思い、スクラムをその強みにして出していきたかったのですが、今日はそのための課題がたくさん見つかった試合でした。スクラムそのものは安定していたと思うのですが、一列の二人の先輩方がしっかり足を掻いているのに、自分の足が止まってしまう場面もあり、そういうところをもっともっと練習して、改善していきたいです。また、もっとフィットネスを高めて、強いタックルをしたり、アタックのときにも一発で倒されない強さを身につけたいと思います。」

■Aチーム初出場ながら「激しさ」を発揮した・CTB前原巧(2年)


「チームのテーマである『激しさ』の部分で、今日はタックルをしっかりやろうという目標をもって臨みました。Aチームでの試合は初めてだったので最初は緊張で硬くなっていたのですが、先輩たちの周りからのサポートや激しい雰囲気などで支えてもらって、グラウンドでは緊張を忘れることができました。後半はみな、自分からどんどん行こうという積極的な雰囲気があって、その姿勢を自分も感じ取れたのでどんどん行けました。あの雰囲気があったからこそ、最終的に勝利できたのだと思います。自分の強みは体を張ったタックル。まだまだ体が小さいのですが、トレーニングを重ねて体を大きくして、さらにタックルに磨きをかけて行きたいと思います。」


《PICK UP PLAYERS》


安定したスクラムでPR争いに名乗りをあげる
PR 川満大二朗(3年生)



KAWAMITSU DAIJIRO
1991年8月14日生まれ
経済学部経済学科
宮古高校出身
身長175㎝/体重110㎏/血液型A型

■Aチーム初出場でしたが、どんな気持ちで試合に臨んだのでしょうか。
「初めてで緊張もありましたが、今までやってきたことを試合で出すだけだと気持ちを整理してこの試合に臨みました。」

■今日、Aチームのスターティングメンバーに選ばれたのは、どんなところを期待されてのことだと思いますか。
「セットプレー、特にスクラムの安定の部分だと思っています。」

■前半、苦しい展開の中でもスクラムは非常に安定していましたね。
「スクラムはしっかり安定させることができたのでよかったです。ただ、圧倒したわけではないので、もっと練習して、圧倒できるようなスクラムを組んでいきたいです。」

■試合全体を通しての感想を聞かせてください。
「今日は『激しさ』をテーマに臨んだのですが、自分が出た前半は激しさが足りなかったです。個人の課題として、スクラムとタックルを挙げていたのですが、そのタックルの部分が甘かったのは反省点です。」

■自身の強みはやはりスクラムですか?
「はい。あとはラインアウトのリフトです。セットプレーの安定の部分でしっかりとチームに貢献したいです。」

■フィールドプレーはどうですか?
「フィールドプレーも意識してやっています。ただ、今日はあまり走れていなくて、アタック、ディフェンスともにあまりボールにフォーカスできていなかったので、今後しっかり走れるようにフィットネスを高めていきたいです。しっかり走って、いいタックルができるように頑張っていきたいと思います。」

強力PR陣にまた一人、期待の選手が現れた。劣勢だった前半も、スクラムは安定。そのスクラムを支えた功労者の一人だ。自身が下がったあとの後半での逆転劇もあり、「激しさ」への反省の弁も出たが、それもさらなる成長につながるいい刺激となるに違いない。今日のような高いレベルでの経験を重ねていくことで、たくましさも増していくはず。沖縄の大地で育ったナチュラルパワーは無限の可能性を秘める。


《NEXT MATCH PREVIEW》

【5月27日(日)UTY招待試合 VS明治大学 山梨中銀スタジアム 14時キックオフ】
次戦は山梨での招待試合、明治大学との一戦。対抗戦のライバル校との対戦となる。相手もオープン戦で59-26で同志社大を退け、調子を上げてきている。まだまだ勝敗にこだわる時期ではないが、秋にいいイメージで戦うためにも、しっかりとしたチャレンジをして勝ち切りたいところだ。



(文/木村俊太、写真/志賀由佳)
 

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