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関東大学対抗戦A 早稲田大学戦

関東大学対抗戦A 早稲田大学戦

2019/11/10

11月10日(日)・秩父宮ラグビー場
●帝京大学(4勝1敗)32-34早稲田大学(5勝)○



《帝京大学》
[FW]
(1)泓⇒北⇒泓(2)李(承爀)(3)細木(4)久保⇒本山(5)水谷(6)金(隆)(7)上山(8)安田⇒トンガタマ
[BK]
(9)土永(10)北村⇒押川(11)尾﨑⇒マクカラン(12)本郷(13)新井(14)木村(15)奥村

《早稲田大学》※先発のみ
[FW]
(1)久保(2)森島(3)小林(4)中山(5)三浦(6)相良(7)幸重(8)丸尾
[BK]
(9)齋藤(10)岸岡(11)古賀(12)中西(13)長田(14)安部(15)河瀬

【前半】【得点経過】
【3分】帝0-3早
PGを決められる。

【6分】帝5-3早
スクラムから、No8安田-SH土永-SO北村-CTB本郷-SO北村-WTB尾﨑-WTB木村-FB奥村と渡り、奥村がトライ。

【10分】帝5-10早
キックカウンターからつながれ、トライを奪われる。

【15分】帝10-10早
キックカウンターから連続攻撃。CTBマクカランが前方へキック。WTB尾﨑が追いついて、走り切ってトライ。

【23分】帝10-17早
ラインアウトからつながれ、トライを奪われる。

【32分】帝17-17早
ラインアウトから連続攻撃。ラックから、SH土永-WTB尾﨑と渡り、尾﨑がトライ。ゴール成功。

【35分】帝22-17早
WTB尾﨑がパス・インターセプト。尾﨑がそのまま走り切ってトライ。

【40分】帝25-17早
FB奥村がPGを決める。


【後半】【得点経過】
【2分】帝25-24早
ターンオーバーからつながれ、トライを奪われる。

【28分】帝32-24早
スクラムから連続攻撃。ラックから、PR細木が持ち出してトライ。ゴール成功。

【35分】帝32-29早
ラインアウトから攻められ、トライを奪われる。

【44分】帝32-34早
スクラムから攻められ、トライを奪われる。


《BRIEF REVIEW》

対抗戦第5戦の相手は早稲田大学。夏の菅平での練習試合で敗れている相手だが、個人技に長ける相手を、チーム力で止めていきたいところ。開始早々、PGで先制されるが、ここからはまさにシーソーゲーム。点の取り合いとなるが、けっしてルーズなゲームではなく、お互いに好守を見せながらの展開となる。30分過ぎからの連続トライを含め、WTB尾﨑が前半だけで3トライをあげ、25-17で前半を折り返した。後半の入りで突き放したかった帝京だが、早々にミスから失点してしまう。しかし、この日の帝京はこれまでの試合での動きとはまったく違い、全員がタックルへの意識を高く持ち、相手に突き刺さっていく。28分にはFWでトライを奪い、32-24と突き放す。ただ、ここから厳しい展開となってしまう。35分にトライを奪われ、3点差。さらに、ロスタイムにトライを奪われ、32-34でノーサイド。けっして内容の悪い試合ではなかったが、最後の最後に逆転のトライを許し、帝京は対抗戦初黒星を喫した。




《POST MATCH INTERVIEW》

■岩出雅之監督
「まずは、最後まで強い気持ちで戦い続けられた早稲田大学さんに敬意を表したいと思います。我々も頑張ったと思いますが、最後の最後、経験の浅さが出てしまいました。『ゲームの終わらせ方』という部分での判断、マネジメントがしっかりできていれば、あるいは違った結果になっていただろうと思っています。選手はこうした苦い経験をして、また成長してくれるのではないかと思います。今年は去年のFWが全員卒業し、経験の浅さから、判断の部分が未熟だったのですが、今日の試合では成長が見られたところもありました。最後のところは、苦い経験として今後に活かしてもらいたいと思います。ミスをした選手だけではなく、チーム全体で集中力を高めていくことを学んでほしいと思っています。ただ、成長も見られましたので、すべてをネガティブに捉えるのではなく、今日をスタートにして、この経験を今後につなげてほしいと思います。」

■キャプテン・CTB本郷泰司(4年)
「今日の試合は『タックルをし続けよう』と言って、試合に臨みました。タックルでいいシーンも何度かあったのですが、逆にイージーなミス、ペナルティもあり、そこで付け込まれてしまいました。最後の最後は、早稲田大学さんの展開力のあるアタックに対して、自分たちは我慢し続けようと言っていたのですが、我慢しきれませんでした。ここは反省すべきところと感じています。ただ、FW陣がすごく成長してきていて、とても頼りがいのあるFWになってきているので、頼もしく思います。今日のこの苦い経験を練習で活かして、積み重ねをして、成長して、次の明治大学さんとの試合に挑みたいと思います。」



■悔しさを噛みしめるも、FWとして手応えも感じられた・HO李承爀(3年)
「今日は『FWで圧倒しよう』と言って臨んだのですが、できた部分とできなかった部分がありました。あとは、最後の集中力、自分の判断というところが欠けていたと思います。ラスト5分で自分たちがどうボールキープしていくかというところでの判断力が欠けていました。ただ、プレーのパフォーマンス自体に対する手応えは、十分に感じることができました。試合前からタックルでしっかりと倒すという意識を高く持てたので、そのマインドセット、心の準備はできていたと思います。ですが、勝ち切れなかったことは悔しいですし、そこは自分たちの実力不足だったと思います。この悔しさをどう活かしていくかは、自分たち次第。最後に『この試合があったから優勝できた』と言えるように、練習に励んでいきたいです。次は明治大学さんとの試合。春に負けていますし、今日以上のパフォーマンスをしないと勝てないと思うので、今日以上にいいマインドセットをして、必死で勝ちに行きたいと思います。」



■スイッチの入れ方を意識して、プレーの質も変わった・LO久保克斗(3年)
「僕自身、先日の筑波大学戦でのパフォーマンスがあまりよくなくて、岩出監督からは『スイッチの入れ方を考えるように』と言われました。その『スイッチの入れ方』を考えながら今週の練習に励み、試合にも臨んだ結果、いくつかいいタックルができ、先日の課題を修正できたと感じています。タックル、ブレイクダウンで激しく身体を当てることにフォーカスしていたので、その部分はよかったと思っています。後半の最後、自分が入替で代わったあとに逆転されてしまって悔しかったですが、自分が80分間、激しいプレーを続ける体力がなかったことが要因なので、ここは自分の中での反省点になりました。ここまで、春・夏と敗れたゲームがあったのはFWが活躍できていなかったからだと思っています。今日の試合は敗れましたが、これまでとは違った、FWが成長した部分を少し出せたのではないかと感じています。でも、まだまだ足りないので、もっともっと成長して、BKを引っ張っていけるくらいにまでなって、今年の帝京FWは決して弱くなんかないというところを、ここから見せていきたいです。次戦の明治大学さんには、春に敗れていますし、すごく強い相手ですが、今日の試合で出た課題を修正して、試合後は勝利の笑顔を皆さんにお見せできるように頑張りたいと思います。」



《PICK UP PLAYERS》

経験と自信を得て、次へ

SO 押川敦治(2年)
Atsushi Oshikawa



教育学部教育文化学科
京都成章高校出身
身長172cm/体重82kg


■久しぶりの対抗戦、後半からの出場でした。まずは試合の感想からお願いします。
「初めての秩父宮で、相手も早稲田大学さんということで、お客さんもすごく多くて、客席からの迫力も感じましたし、実際にプレーしてみて、プレッシャーもありました。ただ、その緊張も楽しむことができたと思います。完璧というわけではありませんが、キックなどで自分らしいプレーも出せたので、手応えも感じることができました。チームは負けてしまって悔しいですが、その悔しさをこの秩父宮のピッチで味わうことができたので、ここから個人としても、チームとしても、もう一段上に行けるように頑張りたいです。」

■今日、久しぶりにメンバーに選ばれたのは、どのあたりを評価、期待されてのことと捉えていますか。
「ジュニア選手権でプレーしていたときから、エリアマネジメントを強く意識していて、それがチームがやろうとしている戦術とうまく合致したというのと、そのジュニア戦での自分のプレーを評価していただいたのかなと思っています。」

■今日は、特にキックで手応えを感じられたんですね。
「そうですね。もっと高いレベルをめざしていきたいです。」

■同時に課題も見つかった?
「緊迫した点の取り合いというゲーム、後半、僅差でリードしているという状況でプレッシャーのかかる中、勝ち越している状況のときに勝ち切れるゲームメイクをして、最後の5分、10分をどれだけ引き締まったゲームにできるかという部分がハーフ団の仕事だと思うので、チームを勝ち切らせるために何をすべきかを考える部分が、今日、課題として出たと思います。」

■試合前は、どんなふうにマインドを作って臨んだのでしょうか。
「早稲田大学さんには夏合宿での練習試合で負けていて、僕自身はAチームの試合には出ていなかったのですが、当然、悔しさはもっていました。また、初の秩父宮で多少なりとも緊張するだろうと思っていたのですが、自分の力でいまできることをやろうと決めて臨みました。」

■次戦に向けて、意気込みをお願いします。
「まだまだ僕自身、Aチームのメンバーに定着しているわけではないので、まずは次もメンバーに選ばれること。ピッチで自分の持ち味を発揮する機会を、明日からの練習で作っていかなければと思っています。自分がチームに貢献できることは何かを考え、メンバーに選ばれるように努力して、選ばれたら、相手が嫌がることを継続的にやり続け、前に出続けたいと思います。」


後半開始からの出場。久しぶりの対抗戦が超満員の秩父宮で緊張もあったというが、本人は「それも含めて楽しめた」と語る。もともとキック力、判断力には定評があったが、ケガもあって、試合経験はこれからというところ。自身の強み、やるべきことを理解しているのも頼もしい。リーダーシップへの意識も高い。経験値を高めて、さらに活躍の場を広げたい。


《COLUMN》

―― スイッチは入った ――

この試合で、帝京は今季対抗戦の初黒星を喫しました。夏合宿での練習試合でも敗れている相手ですから、当然、厳しい戦いが予想されましたが、勝てる展開でもあっただけに悔しさもひとしお。「ここでこれがなければ(あれば)」ということがいくつも重なり、この結果となってしました。

ただ、この日の、特にFW陣の動きは、これまでの試合とは明らかに違っていました。一言で言うと「相手に突き刺さっていく意識」でしょうか。一部、その意識が出過ぎて、ノーボールタックルのペナルティにつながったところもありましたが、そこは今後の課題として、積極的に前に出るタックルを次々と見せてくれた姿は、とても頼もしく思えました。

試合後の記者会見が終わったあと、あるベテラン記者さんから声を掛けられました。

「今年の帝京FWは例年ほど強くはないって聞いてましたけど、強いじゃないですか」

前半部分でちょっと悔しい気持ちになり、後半部分でちょっと誇らしい気持ちになるという不思議な言葉でした。

総合的に考えると、今年の帝京FWは決して弱いわけではなかったが、ここまではその力を出し切れていなかったということなのでしょう。そして、この日の試合では、その強さの片鱗が少し出てきてくれたのでしょう。

このあたりのことを、試合後、LO久保克斗選手に投げかけてみると、「スイッチの入れ方への意識」という話が返ってきました。

「ここまでの試合で、FW陣が強くないと見られてしまうのは、自分たちの甘さなので仕方がないと思います。個人的には今日は、『スイッチの入れ方』を意識して準備してきました。」

これまでは、スイッチが入らないか、だいぶ時間が経ってから入っていたようです。でも、この日はしっかりと最初からスイッチが入って、内容のあるいいプレーがたくさん出たのです。

もちろん、「それでも負けてしまったではないか」と言われれば、そのとおりです。しかし、自分でスイッチを入れることができるようになったのだとすれば、ここからの成長が非常に楽しみになってきます。

すでに出てしまった結果は残念ながら変わりません。でも、未来はここから変えられます。彼ら自身の手で、どんな未来を作っていくのか。楽しみに見守っていきたいと思います。



《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。

PR・LO 長谷川翔舞(1年)
京都工学院高校出身
身長183cm/体重113kg

「僕の強みは、ボールキャリーです。課題は高校時代からそうだったのですが、ディフェンスです。前に出るタックルでしっかり相手を倒し切るようにしたいです。ポジションは、もともとはPRだったのですが、高校の途中でLOをやるようになり、大学でもLOが中心ですが、両方できるように練習しています。帝京大学ラグビー部は、練習に対する一人一人の意識やモチベーションがとても高いです。自分も負けないように頑張ろうという気持ちになります。今後は、上のチームでいいプレーができるように、やるべきことを地道にやって行って、試合で活躍できるようになりたいです。」

SH 岡本泰斉(1年)
中部大学春日丘高校出身
身長172cm/体重73kg

「自分の強みはタックルです。SHとしてはアピールポイントだと思うのですが、SHの先輩方はみなディフェンスがいいので、先輩方のプレーを見て、自分も負けないようにしなければといつも思っています。課題はボールさばきや状況判断。甘い部分があるので、克服できるように頑張っています。帝京大学ラグビー部は、OBの先輩方からずっと続いている『文化』がすごいと感じます。『脱体育会系』など、いい文化がたくさんありますが、上級生が下級生にそれらを伝えて、その下級生が上級生になったときに、またその下の代に伝えて続いてきていることがすごいと感じます。今後は、まずしっかり体づくりをして、上のチームで公式戦に出場し、チームに貢献したいです。」

LO 康勇樹(1年)
東京朝鮮高級学校出身
身長187cm/体重113kg

「自分は高校時代からモールプレーを強みにしています。モールの核になったり、前の壁として相手を押し込むプレーが得意です。課題はたくさんありますが、特にタックルと判断力は大きな課題だと思っています。自分で判断する力を鍛えることと、タックルの成功率を上げていくことに力を入れていきたいです。帝京大学ラグビー部は、高校時代の先輩方から『思っている以上に練習は厳しい』ことや『みな、高い目標を持って練習に取り組んでいる』ことなどを聞いていたのですが、これらはそのとおりでした。また、これは聞いていなかったのですが、一人一人の考え方がしっかりしていて、常に考えて行動していること、誰かに言われてやるのではなく、自分が意志をもって能動的に動くところはすごいと感じています。自分もそれに引っ張られるように、自ら能動的に動くことを意識できるようになりました。今は下のチームでプレーしていますが、今後は一つでも上のチームでプレーできるように頑張ります。また、私生活の部分でも、誰よりもしっかりやりたいと思っています。」


左から長谷川翔舞、岡本泰斉、康勇樹

《NEXT MATCH》
関東大学対抗戦A
対明治大学(https://www.meijirugby.jp/
11月24日(日) 秩父宮ラグビー場
14時キックオフ

過去の対戦成績:関東大学対抗戦13勝28敗(大学選手権4勝1敗)
[明治大学の直近5戦]
8月31日 ○59-33筑波大学(関東大学対抗戦A)
9月8日 ○139-5成蹊大学(関東大学対抗戦A)
9月15日 ○103-0日本体育大学(関東大学対抗戦A)
11月4日 ○63-12青山学院大学(関東大学対抗戦A)
11月10日 ○40-3慶応義塾大学(関東大学対抗戦A)

(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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