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春季オープン戦 慶應義塾大学

春季オープン戦 慶應義塾大学

2012/07/02

春シーズンを締めくくる好ゲーム


7月1日(日)・百草グラウンド
○帝京大学 34-5 慶應義塾大学●



《帝京》
1森川⇒出渕 2亀元 3深村⇒徳永⇒高田 4今村 5マニング 6藤田(哲)⇒大和田 7松永 8イラウア
9荒井(康)⇒天野⇒荒井(康) 10森谷 11磯田 12荒井(基)⇒菅谷 13南藤⇒前原 14小野(寛) 15竹田

《慶應》※先発のみ
1小田 2渡辺 3平野 4山田 5佐藤 6茂木 7小山田 8市橋 9宮澤 10高田 11瀧口 12大石 13甲斐
14鈴木 15新甫

春シーズンラストゲームの相手は、対抗戦のライバル校・慶應義塾大学。しっかりとしたゲームを披露し、シーズンの集大成を飾りたい。

この日もキャプテン泉が欠場するなど、多くの主力を欠く布陣。だが、バイスキャプテン小野(寛)ら4年生がキャプテンシーを発揮し、チームを一つにまとめたい。


【前半戦】
春のラストの80分が開始される。試合開始から、積極的に攻め上がる帝京。だが、相手の前に出るディフェンスもあり、決定機にまでは至らない。逆に攻められるシーンも散見されるが、この日CTBに入った南藤らの好タックルでしっかりと止める。

11分、ラインアウトからFWで前進。SO森谷が一度仕掛けてから展開する。途中、パスが乱れるものの、WTB磯田がこぼれ球をうまく拾い上げて加速する。相手ディフェンスを振り切って、インゴールへ飛び込み、帝京が先制点を挙げる(5-0)。

この日も帝京は、激しいディフェンスでターンオーバーを連発。FL松永、No8イラウア、LOマニングらがブレイクダウンで厳しくボールに働きかける。これによって、攻られてもすぐに地域を挽回する。



攻撃面では、久しぶりの出場となったFB竹田がカウンターアタックや積極的なライン参加で前に出る。相手ディフェンスを翻弄する力強い突破を何度も見せる。

竹田は自身のプレーをこう振り返る。
「久しぶりで緊張もありましたが、今日は自信になるプレーもいくつかありました」
普段は非常に謙虚なコメントが多い竹田だが、この日は自身でも納得のいくプレーができていたようだ。

26分には、その竹田、さらには森谷らの前進でチャンスを作り、FWも相手ボールのスクラムをコントロール。反則を誘い、マイボール・ラインアウトを得ると、クリーンキャッチからモールで前進。最後はマニングが持ち出してトライ。追加点を挙げる(12-0)。

その後、攻められる時間帯もあるが、藤田(哲)、松永の両FLらが好タックルを連発。FWは相手ボールスクラムもしっかりコントロールし、SH荒井(康)が鋭い出足を見せて、相手SHの動きを止める。

このまま、前半終了。12-0で折り返すこととなった。

相手の厳しいディフェンスもあり、前半はロースコアの展開となったが、ゲームの主導権は常に帝京が握っていた。後半も接点での厳しさを出しつつ、ミスや反則を減らしていきたいところだ。


【後半戦】
ハーフタイム、岩出監督からは「厳しいゲームが一番の練習になる。もっと体をしっかり当てていこう。また、ベストな選択は何かを考えて、常に自分で判断しよう」とのアドバイスがなされる。

また、前半は小雨がぱらつく程度だったが、後半、雨足が強くなった。滑りやすいボールも丁寧につないでいきたいところ。

後半が再開される。前半にも増して、接点での厳しさを見せる帝京。攻撃ではしっかりと前進。守りでは激しく当たって、常にターンオーバーを狙う。

後半も攻撃参加の竹田が力強い突破を見せる。南藤、磯田、小野(寛)らBK陣の突破で大きく前進する。



11分には相手ゴール前でスクラムを押し込み、No8に入った大和田が持ち出してトライ。その直後には、SH天野が仕掛けて前進し、荒井(基)へと絶妙なパス。そのままインゴールに入りトライ。相手云々ではなく、自らの春の取り組みを披露することで、さらなるリズムを作り出す帝京。20分には、スクラムとともに夏以降に本格強化を目論むモールを形成し、そのままトライ(29-0)。

守っても、A初先発のHO亀元らの好タックルでターンオーバーを連発。前半同様の厳しいブレイクダウンを見せる。

32分にはスクラムからBKへと展開。(ケガから復帰しスピードを取り戻してきた)WTB菅谷に回ると、そのまま走り切ってトライ(34-0)。直後、こぼれ球を拾ったCTB前原も大きく前進する。ゴール前でタックルを受けながらも、必死でインゴールへ。入ったかに見えたが、判定は惜しくもノットリリースザボール。結局追加点はならず、ここでノーサイド。34-5で帝京が勝利を収めた。

 雨にも関わらず最後まで見届けてくれた帝京ファンからは、温かな拍手と歓声が選手たちに浴びせられる。それを受ける選手たちの表情も明るい。
 この春、確実な手ごたえを掴んだ帝京ラグビー部。およそ2週間のOFFを挟んだ夏、さらに熱く燃える。

 

《試合後のインタビュー》

■岩出雅之監督
「今日は自分たちの強みの部分がきちっと出るように、また慶應大学さんの強みを出させないようにということを意識して臨みました。春シーズンの締めくくりのゲームでしたが、春にはまだやっていないことがたくさんありますし、急に多くのことができるようになるわけではないので、テーマを絞ってやってきました。試合前には、『自分たちが全力でやり切って、しのぎを削るようなゲームになったところから強化が始まる』という話をしました。おおむね引き締まったいいゲームだったと思います。
春シーズンの学生たちの頑張りを見ていますと、全体をとおして、このくらいはやってくれるだろうという結果は出してくれたと思います。今後も自分たちの凄味が出てくるようなトレーニングを積み重ねていってほしいと思います。その結果、個々の動きがさらに鋭くなることで、チームの中身が濃くなっていくと思います。学生たちはいま、自分自身で考えるということをとても意識してやっています。それによって、チームの中身をさらに濃くしていくための土台作りができていると思いますので、この土台の上に一人一人がどういったことを積み上げて、どういった行動を取っていくのか、非常に楽しみです。
また、学生の頑張りのおかげで、関東大学春季大会という公式戦において優勝することができました。今後、個々の充実という部分をチームとして意図的に積み上げていくことで、よりいっそうの成長を見せてくれると思います。
秋にはその成長ぶりを皆様にお見せできるように努力してまいりますので、どうぞ今後とも応援のほど、よろしくお願いいたします。」


■ゲームキャプテン・WTB小野寛智(4年)


「試合前に自分がチームに言ったのは、『慶應大学さんは最後の10分でも諦めない気持ちが強いので、我慢強く、油断せず、最後まで自分たちのラグビーを貫き通そう』ということでした。しかし、ラストワンプレーでトライを取られてしまい、自分たちの隙、甘さを感じました。ただ、これはまだまだ成長できる部分が見つかったということですから、夏合宿、さらに秋のシーズンに向けて修正していって、自分たちのやるべきラグビーを最後までやり切る力をつけていきたいと思っています。春シーズンを振り返りますと、試合を重ねるごとに自分たちのやろうとしているアタック、ディフェンスが着々とできるようになってきたと思います。気持ちの部分も含め、まだまだ課題も多いですが、試合ごとにそうした課題が明白になり、気づくことができたいいシーズンだったと思います。これをしっかりと生かして、さらなる成長につなげていきたいと思っています。」

■スクラムに手応えを感じつつもさらなる成長を目指す・PR深村亮太(1年)


「今日は自分がやるべき仕事であるスクラムで、しっかりプッシュできてよかったと思います。このところAチームで毎試合出場させていただいていますが、試合を重ねるごとにいいスクラムが組めるようになってきていて、そこには自分自身でも成長を感じています。今日は春シーズン最後のゲームでしたが、いままでで一番いいスクラムが組めたと思います。今後はヒットと姿勢の部分をもっと強化して、秋にはどんな相手でも押し切れるスクラムを組みたいと思っています。」

■激しいタックルで相手の出足を止め続けた・FL松永浩平(4年)


「ゲーム全体としては、ディフェンス、特にタックルがよかったことと、ブレイクダウンでのいい働きでターンオーバーを多くできた点がよかったと思います。ブレイクダウンは、この春シーズン、こだわって取り組んできたことなので、それが出せたのはとてもよかったと思います。ただ、最後の最後にトライを取られてしまったのは反省です。一人一人の甘さ、隙が出てしまい、そこを突かれたと思うので、全員が精神的に強く、たくましくなっていくことが夏以降に向けての課題だと思います。また、前半はミスも多く、慶應大学さんの厳しいディフェンスもあり、なかなか得点を奪えませんでした。アタック面で、厳しいディフェンスにどう対応していくのかも課題だと思います。春シーズンは、一人一人が自分のやるべきことにチャレンジしている姿が見えてよかったと思いますが、さらにもっと上を目指すために、一人一人が自ら考え、判断して、自主性をもって努力していくことが大切だと思っています。」

■トライゲッターとしての自信も深まった・WTB磯田泰成(2年生)


「今日は春シーズン最後ということで、練習でやってきたこと、特にコンタクト、キックチェイスといった部分を意識して出し切ろうと思っていました。できた部分もありましたし、修正すべき部分もたくさんありました。今年はここまでケガもなく、ゲームもほぼフル出場することができ、トライを取り切る場面で取れたシーンもたくさんありました。トライはチームメイトがみんなで前進して、最後の最後に自分のところに回ってきた結果なのですが、取るべきところでチームに貢献できたことはとてもうれしいですし、自信にもつながりました。まだまだ細かいミスも多いのですが、今後は小さなミスがチームに大きな影響を与えてしまうこともあるので、ミスの防げるプレーヤーになっていきたいです。これからも、トライを取ることを自分の仕事としてやっていきたいと思っています。」

■ブランクを感じさせない力強さを見せつけた・FB竹田宜純(3年)


「今日は久々で緊張したところもありましたが、自分なりに納得できるプレーもあったので、今後につながるいいゲームだったと思います。ただ、ミスも多く、修正ポイントもたくさん見つかりました。春シーズンはケガで3試合も欠場してしまい、チームに迷惑をかけてしまいましたが、チームとしては4月の頃に比べて、やろうとしていることができるようになってきているので、これからさらによくなって、秋のシーズンにはもっといいゲームをお見せできるようにしたいと思っています。」

■後半、素早い球さばきでゲームをコントロールした・SH天野寿紀(4年)


「今日は後半からの出場だったので、自分が出たら少しでもインパクトを与えられるような、流れを変えられるようなプレーをしようと思って臨みました。また、チームとしては、春シーズンの締めくくりとして、今までやってきたことをしっかり出そうと言って臨みました。自分自身のプレーとしては、教育実習があって約3週間休んでいたこともあり、体の動き、キレの部分で課題が多く出てしまいました。チームとしても、一人一人がしっかり考えて、判断できるチームになっていけるようにしなければと思っています。これから、今までやってきたことを生かしながら、さらに積み上げができるように、学生コーチとしてもそこを意識してやっていきたいと思っています。」

■チームキャプテン・泉敬(4年)
「今日は、慶應大学さんの粘り強いアタックで最後にトライを取られてしまいましたが、これであらためて気付いたのは『僕たちはチャレンジャーである』ということです。常に謙虚に、泥臭くチャレンジし続けることが必要なのだと気づかせていただいたことは、今日の大きな収穫だったと思います。僕たちの原点は、体をしっかりと当てること。逃げずに体を当てて、タックル、ブレイクダウン、セットプレーにこだわりをもってこれからもやっていきたいと思います。この春シーズンを振り返りますと、最初は『努力する1年』『自分自身で意志を示す』というところからのスタートでした。自分自身、ラグビー面、生活面、メンタル面などいろいろと考えることも多かったのですが、その経験はとても大きくて、たいへん充実した春シーズンを送ることができました。今日はチームとして、自分自身で考え、判断して、行動するということを掲げていたのですが、チームのみんなには『これはこれからのシーズンに向けて、さらには社会に出てからも自分自身の力になる』という話をしました。考えてわからないことがあれば、周りの仲間、先輩に聞いてわかるように努力することが大事ですが、まずは自分で考えることから始めるようにと言っています。春シーズンは充実したものになりましたが、これからも充実できるように一人一人が努力していくこと、これに尽きると思います。」

 

《PICK UP PLAYERS》


セットプレーの安定でチームに貢献
HO 亀元貫地(4年生)



KAMEMOTO KANCHI
1991年2月13日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
都城工業高校出身
身長172㎝/体重107㎏/血液型A型

■Aチーム初出場でしたが、試合にはどんな気持ちで臨んだのでしょうか。
「初出場ということはできるだけ意識しないようにして、まずはチームが春シーズンに取り組んできたことをやり切ろうと思っていました。また、HOというポジションは泉キャプテンの代わりとして出場するわけですから、4年生としてどれだけチームを引っ張っていけるかを意識してやりました。」

■実際にプレーしてみて、そこを発揮することはできましたか。
「スクラム、ラインアウト一つ一つはいいところもあったのですが、リーダーシップの面だったり、自分がやるべき仕事という面で見ると、まだまだ力不足を感じました。自分の強みはセットプレーなのですが、要所要所でノットストレートをしてしまったり、スクラムでは若いPR陣を自分がしっかりと引っ張ってあげなければいけなかったのですが、慶應大学さんをスクラムで圧倒できなかった点は悔しいです。」

■ただ、スクラムは総じて安定していましたし、ラインアウトもうまくキープできていたように見えました。
「スクラムはもっと圧倒したかったですし、ラインアウトも大事な場面でのミスをなくしていきたいです。もっともっと高いレベルを目指して努力していきます。」

■フィールドプレーでのいいタックルもありましたね。
「ありがとうございます。ブレイクダウンはこの春、こだわって取り組んできたことで、練習から常に意識してやってきました。その結果が、いいプレーにつながったのだと思っています。」

■今日の先発出場はどんなところを期待されていたと思いますか。
「やはりセットプレーの安定だと思います。慶應大学さんとはいつもタイトなゲームになりますが、キッキングゲームになるケースも多いですし、今日は天候も悪いということで、そうした中ではセットプレーの安定がゲームの重要なポイントになりえます。自分の強みであるセットプレーをしっかり安定させるということが、自分の最大の仕事だと思っていました。また、試合前に意識した部分と重なりますが、泉キャプテンが不在ということで、4年生としてチームを引っ張っていくことも期待されていたと思います。」

■そのリーダーシップの部分については、自分自身、どう評価していますか。
「要所要所で体を張るという点ではできたところもあったと思います。ただ、チームがしんどいときに、4年生の自分がもっとチームを盛り上げていけたらよかったです。特に最後、トライを取られた場面のような、チームが一番しんどいところでみんなをもっと鼓舞して、引っ張っていけるような存在になっていかなければと感じています。」

■4年生ということで、就職活動も頑張っているのでしょうか。
「はい。JR九州さんから内定をいただいています。」

■最後に今後に向けての抱負を聞かせてください。
「春シーズン、4年生としてチームを引っ張ってきたつもりですが、今日、Aチームのゲームに出て、自分の甘さの部分、まだまだ成長できる部分を確認することができました。これから夏、秋に向けてもチームをしっかりと引っ張っていきたいと思います。また、泉のポジションを脅かして、自分が試合に出るという強い気持ちで練習にも取り組んでいるので、対抗戦のグラウンドに自分が立っていられるように、しっかりと準備していきたいと思います。自分と泉と多くの部員が高いレベルで切磋琢磨してポジションを争うことで、チーム全体に相乗効果、シナジーが生まれて、チームのレベルが上がっていくだろうと思っています。そういういい空気を作っていけるように、自分からしっかりと練習に取り組んでいきたいと思います。自分の姿を見せることで、下級生たちにいい影響を与えられるように頑張っていきたいと思います。」

より高いレベルを見据えて、冷静にプレーを分析してくれたが、今日のゲームでは強みであるセットプレーは安定していた。4年生としての自覚をもち、常にリーダーシップを意識している点も頼もしい。「高いレベルでポジション争いをすることでチームにいい影響を与えたい」という姿勢も心強い。戦力としても、リーダーシップの面においても、チームに不可欠な存在となりつつある。


《NEXT MATCH PREVIEW》
このゲームで、春シーズンの日程はすべて終了した。関東大学春季大会という公式戦での優勝も果たし、いい形で春を締めくくることができた。今後は大学の試験もあり、しばらくの間、オフとなる。試験期間終了後の夏合宿等のスケジュールに関しては、
こちらで随時更新しますのでご確認ください。

(文/木村俊太、写真/志賀由佳)
 

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