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関東大学対抗戦A・第4戦 対慶應義塾大学戦

関東大学対抗戦A・第4戦 対慶應義塾大学戦

2012/10/22

『危なげない戦いで開幕4連勝!』


10月21日(日)・秩父宮ラグビー場
○帝京大学(4勝0敗) 25-8 慶應義塾大学●(1勝2敗)

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《帝京大学》
[FW]①森川 ②亀元⇒高田 ③出渕⇒古賀 ④小瀧⇒今村 ⑤マニング ⑥大和田 ⑦松永(浩)⇒坂手 ⑧李
[BK]⑨流⇒天野 ⑩森谷⇒金田 ⑪磯田 ⑫荒井(基)⇒中村 ⑬権 ⑭小野(寛) ⑮竹田

《慶應義塾大学》※先発のみ
[FW]①青木 ②渡辺 ③平野 ④遠藤 ⑤山田 ⑥茂木 ⑦佐藤 ⑧鹿児島
[BK]⑨宮澤 ⑩浦野 ⑪瀧口 ⑫高田 ⑬大石 ⑭新甫 ⑮武谷

  【前半】  
対抗戦第4戦の相手は慶應義塾大学。昨年度、対抗戦5位とはいえ、ここ一番のゲームにフォーカスしてチームを仕上げてくる力をもったチーム。けっしてあなどれない。帝京としては、最後まで集中力を持続して、厳しいプレーを見せ続けたい。

ウォーミング・アップ中、全員を集めた岩出監督から声が掛かる。
「もっと気持ちを出していこう。失敗してもかまわないから常に集中して戦おう」
アップ中に全員集めて指示を与えるというのは、あまり見られないことだ。
監督のこの指示のあと、選手たちの動きが変わる。ウォーミング・アップで受け手を突き飛ばすほどのタックルが出る。直前に迫ったキックオフに向けて準備は整った。

いよいよキックオフ。試合開始直後はキックの応酬。お互いにキックでエリア獲得を狙う。SO森谷、FB竹田を中心に、爆発的な足の長いキックで相手を退ける。帝京はBK展開でもWTB磯田が前進。惜しいところでタッチに出されるが積極的な攻めが見られる。

その直後、ラックから展開されて先制トライを奪われるが、帝京の選手たちは慌てる様子も微塵もない。BKラインへのディフェンスが厳しいとみるや、BKだけでなく、FWでの前進も図る。FWでの連続攻撃でじわじわと前進すると、LO小瀧がいい角度で走り込み、SO森谷からパスを受けてそのままトライ。ゴールも決まって逆転に成功する。

秩父宮の大舞台も3試合目。HO泉、FLイラウアら主力は欠くが、帝京の選手たちは伸び伸びとプレーしている印象を受ける。その後もキックの応酬が続く場面があるが、帝京は積極的にカウンターを仕掛けたり、強みであるFWを前面に出したりと、多彩な攻撃を見せ、得点を重ねる。

ディフェンスでも、HO亀元、FL松永(浩)、No8李、CTB荒井(基)、CTB権らの好タックルでしっかりとシャットアウト。相手の2人目の寄りも早く、ターンオーバーできそうでできない場面が続くが、それでも集中を切らさずに止め続ける帝京。

ハーフタイムは22-5で折り返すことに。前半はFWを積極的に縦に使い出してからは、BKも機能しはじめ、いい形で前に出るシーンが増えたようだ。相手の厳しいディフェンスに、惜しい場面で何度か取り切れなかったが、それでも得点を重ね、大きなリードでの折り返しとなった。


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  【得点経過】  
【9分】帝0-5慶
自陣22m内側でのマイボール・ラインアウト。モールを形成し、押すが、真ん中を割られてボールに絡まれる。そのままターンオーバーされ、FWで前に出られる。ラック周辺のディフェンスに人が割かれたところを外に展開され、トライを奪われる。

【18分】帝7-5慶
マイボール・ラインアウトのボールが乱れるも、LO小瀧がうまく拾って前に出る。FL松永(浩)、CTB荒井(基)、PR森川、LOマニング、FL大和田らがつないで、最後はいい角度で走り込んだ小瀧にSO森谷が絶妙なタイミングでパス。
そのままインゴールへ飛び込んでトライ。ゴール成功。

【24分】帝12-5慶
相手のキックをWTB小野(寛)がキャッチ。CTB権にパスし、前進。ラックからSH流が仕掛けて前に出て、さらにPR森川、No8李らFW陣を使って前進。最後はFL大和田が抜け出してトライ。

【31分】帝17-5慶
帝京がFWで前に出てから、BKへと展開。CTB荒井(基)からWTB磯田へのパスが通らずタッチへ。相手はラインアウトから出たボールをキック。磯田がキャッチして、前進し、ラックを形成すると右へ展開。WTB小野(寛)がつかまるが、FL松永(浩)が前進。ラックになるも、SO森谷から磯田へとつながり、相手ディフェンスをかわしてトライ。

【38分】帝22-5慶
キックの応酬から、FB竹田がカウンターを仕掛ける。No8李、SO森谷、FL大和田、CTB荒井(基)ら、FW、BK一体となって前進し、さらにSH流が仕掛けて前に出て、WTB小野(寛)へとパス。そのまま走り切ってトライ。


  【後半】  
後半も序盤からキックの応酬でスタートする。長いキックに加え、競り合える位置へのハイパントも多くなる。

12分にはドロップゴールを決められるが、相手は厳しいディフェンスに攻め切れないと踏んでの選択か。実際、帝京は粘り強くディフェンスし、相手の前進を阻む。この日も攻守に体を張り続けてチームをリードしたPR森川、CTB荒井(基)がチームを引き締める。
夏合宿の負傷から戦列を離れていたCTB中村も、わずかなプレー時間ながら安定したプレーでチームに安心感を与える(中村は戦列復帰するまでにウエイトトレーニングにこれまで以上に勤しみ、さらなるパワーアップに成功したようだ)。

ここからは両チーム一進一退が続く。帝京もチャンスを作るが、いま一歩のところでミスが出るなど、取り切れない。相手のディフェンスも厳しいが、帝京も負けじと接点でプレッシャーをかけ、ターンオーバーする。

お互い、攻め込むものの取り切れない展開が続き、結局、後半は両チームともノートライ。
このままノーサイドとなり、28-5で帝京が勝利を収めた。

この試合、帝京のスクラム、ラインアウトは総じて安定していたように映った。初出場の亀元も派手さはないが、セットプレーにタックルに奔走していたのが印象に残った。さらには今季初スタメンのFL大和田も、持ち前のアタックはもちろんのこと、もう一方のFL松永とともにしつこくボールキャリアを追い回し、鉄壁の防御をより強固なものにした。

試合後、選手たちは、集中力を最後まで持続できなかったことを反省点として挙げていたが、後半にトライを奪われてはいないことを考えれば、「集中力が切れた」とは言えまい。現に敵将・田中監督が「帝京さんの厳しいDFはなかなか穴が見出せなかった」と試合後吐露したように、相手の揺さぶりを真正面から受け止めシャットアウトした。

次はいよいよ早稲田戦を迎える。「うちはあくまでもチャレンジャー。キーになるのはスクラムでしょう。まずは自分たちの強みを出して、今後につながるチャレンジをしたいと思います」。ノーサイド直後の記者会見でそう決意表明した岩出監督の引き締まった表情は、次戦でのさらなる躍進を予感させてくれた。


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  【得点経過】  
【12分】帝22-8慶
相手のBK展開をしっかりと止め続けるが、ゴール正面付近でできたラックから出たボールでドロップゴールを決められる。

【19分】帝25-8慶
ラックを押し込み、ターンオーバーすると、相手がオーバーザトップの反則を犯す。一時交代でWTBの位置に入っていた中村がPGを決める。


《AFTER MATCH SAY》

■岩出雅之監督
「この試合からは、よりゲームを左右するような厳しいタックルをしてくるチームとの対戦となることを覚悟して臨みました。接点で相手の圧力がかかる中、どのようにして我々のペースにもっていくかを考えてほしいと思いながら、送り出しました。前半は、先制トライを取られながらも、しっかりと持ち直してくれたと思います。後半もいいところもあり、また、もう少しでトライを取れそうな場面もいくつかあったのですが、結果として弱冠甘いプレーが出てしまったところがありました。しかしながら、この反省を生かし次はよりチャレンジしてくれると思います。
チームで見ると両FLはしっかりした仕事をしてくれていましたし、スクラムに関しても機会は少なかったのですがちょっとした部分が噛み合えば、スクラムトライまで持っていけそうな気配はありました。
今日は我々のいい部分もたくさんありましたが、慶應義塾大学さんの粘り強さに、学ぶべきところが多かったと思っています。厳しくやり続けることが今日のテーマでしたが、次戦以降に向けていい意味でつながる試合にするために、学生たちには練習からより厳しく臨んでくれることを期待しています。」

■ゲームキャプテン・WTB小野寛智(4年)

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「今日は、自分たち一人一人の厳しさがチーム全体の厳しさにつながるようにと言って臨みました。全体的に自分たちのペースできた試合でしたが、後半に、自分たちの集中力、厳しさが続かなかったところが、受け身に回ってしまった原因だと思っています。慶應大学さんのプレッシャーが強かったこともありますが、そうした中でも自分たちのプレーができるように、もっと一人一人が厳しさをもって日々取り組まなければいけないと感じました。この経験を次に必ず生かします。一人一人の考え方、そしてリーダーである4年生たちの意識付けをより明確にして、毎日の練習を試合と同じイメージで取り組んでいきたいと思います。」

■前に出るプレーで再三チャンスを作った・FL大和田立(3年)

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「今日は、自分の持ち味であるボールを持って前に出る強さを出すことができたと思います。ただ、ボールを両手で持つといった基本的な部分での甘さが出てしまったことは反省点です。慶應大学さんのセカンドタックルが厳しく、自分たちの思うようなプレーができなかったところも修正点だと思います。次も試合に出していただいたら、自分たちの強みを出して相手にチャレンジしていきたいと思います。」

■攻守にわたって体を張り続けた・No8李聖彰(3年)

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「自分たちがこれまでやってきたことを、どれだけ出せるかということを考えて臨みました。前半はいいところも出ましたが、後半は自分たちの軽いミス、甘いプレーが見られたので、そこはこれからの修正点です。疲れてくる時間帯で厳しさを継続できなかったのだと思います。ただ、慶應大学さんに勝てたのは素直にうれしいですし今日のゲームを大きな収穫として、次につなげていきたいと思います。」

■復帰戦で1トライを奪取した・WTB磯田泰成(2年)

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「1トライは取りましたが、たくさんあったチャンスで取り切れなかったのは反省です。過去の試合では今日ほどキックチェイスに走るケースは少なかったので、少しバテてしまい、チームに迷惑をかけてしまいました。キックチェイスに関しては想定していたとはいえ、久々のゲームということもあって、自分のスタミナが思ったよりも持続しなかったのが悔しいです。攻撃の場面も、ボールをもらえるチャンスが何度もあったのですが、そこで呼び込めるタイミング、コミュニケーションの精度をもっと上げていきたいです。次につながるゲームにはなったので、日々の練習から厳しさをもってやっていきたいと思います。」

■対抗戦初出場も落ち着いてスクラムを安定させた・PR高田和輝(3年)

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「初めての対抗戦ということで、試合前は少し緊張もありましたが、試合自体にはそれほど緊張せずに入ることができました。今日はチームとして「厳しさ」をテーマとしていたので、自分の強みであるスクラムで厳しさを出そうと思い、どれだけ低いスクラムを見せられるかを意識して臨みました。スクラムは2回あって、2回ともいいプッシュはできたのですが、プレッシャーを掛け切るまではいかなかったので、そこは反省です。次はもっと厳しさを見せて、自分の持ち味であるセットプレーで圧倒したいです。」

■途中出場ながらしぶとくタックルに行き続けた・PR古賀雄紀(3年)

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「短い時間でしたが、対抗戦という大きな舞台を経験して学ぶことがたくさんありました。自分の持ち味であるスクラムの部分で、まだまだ技術が足りないことを実感しましたので、相手を押し切れるような強さを身につけられるように努力していきたいと思います。自分のもう一つの強みであるタックルについては、今日はしっかり行けていたと思うので、そこは自信をもって次につなげていきたいです。次の試合はもっと長く出られるように、自分のスキルを磨いていって、相手が強豪でもひるまずにセットプレーを安定させたいと思います。」

■今期初出場、短時間ながら存在感十分・CTB中村亮土(3年)
「2か月ぶりの試合でしたが、短い時間でも出場できたことは、ゲーム感を取り戻すという意味でも自分にとって大きな収穫だったと思います。ケガの影響はもうありませんので、あとはゲーム感の部分だけだと思っています。後半の停滞した流れの中での出場だったのですが、体が元気な分、厳しいタックル、そして走りまくるインパクトプレーヤーとなれるようにと思って入りました。アタックの機会は少なかったので、とにかくタックルに行くことを考えてやりました。チームとしてこれから2週間、一人一人が自分に厳しく日々の練習に取り組んでいきます。次は、特にディフェンス、ブレイクダウンのところにこだわっていきたいと思っています。」


《PICK UP PLAYERS!》

常に向上心を見せ、チームを引っ張る
HO 亀元貫地(4年生)
KAMEMOTO KANCHI

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1991年2月13日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
都城工業高校出身
身長172㎝/体重107㎏

■公式戦初出場初先発でしたが、試合を終えたいまの気持ちを教えてください。
「公式戦に出られたことは自分にとって、今後の成長につながるいい経験になりました。4年間積み上げてきたものを出そうと思ってプレーしましたが、全力でやった中、自分のいいところ、足りないところが明確になったゲームでした。修正点がわかったという意味でも、いいゲームだったと思います。」

■試合前はどんな気持ちで臨んだのでしょうか。
「昨日のジャージ渡しのときから、部員145人全員の気持ちを受け止めて、まずはタックルからしっかりやろうと思っていました。泉キャプテンがいつも言っている『泥臭く、ひたむきに』を心掛けて、思い切りプレーしようと思って臨みました。」

■前半の最初から気持ちの入ったいいタックルがありました。
「ありがとうございます。あそこはとにかく気持ちで行きました。」

■春の練習試合でも慶應大学戦に出場していましたね。そのときは「スクラムで圧倒できなかったところが悔しい」というコメントをもらっていました。今日はどうでしたか。
「完全にプレッシャーを掛け切れたわけではありませんでしたが、スクラムは自分たちがこだわってやってきた部分ですし、春に比べればかなりの手応えは感じています。これからもまだまだ成長できる部分だと思うので、今日のゲームもプラスに捉えて、今後に生かしていけると思います。」

■ラインアウトも含めたセットプレー全体は、どう評価していますか。
「自分の強みはセットプレーだと思っていますし、そこを信頼されて出させていただいたと思っているのですが、今日は秩父宮独特の空気感だったり、慶應大学さんの激しいプレッシャーもあり、うまく対応できなかったところもありました。ただ、これも次につながるいい反省材料だと思っています。」

■気持ちの部分ではどうでしたか。
「今日は、アップのときにチームとして気持ちの入り方がいま一つで、監督から一言いただいて気合いを入れ直すということがありました。「厳しさ」というテーマで今週、取り組んできたのですが、自分自身、初出場ということで、チームに支えられてプレーしていたところがあったかもしれません。次からは、4年生として自分が常にリーダーシップを取っていけるようにしなければと思いました。」

■「チームとして」という話が出ましたが、ジュニア選手権も連勝するなど、チームの雰囲気そのものはとてもいいように見えます。
「そうですね。チーム全員が一つの目標に向かって努力している空気感が、AチームにもBチームにも、さらにはその下のチームにもいい形で影響して合って、結果として勝利につながっているように思います。」

■最後に次戦以降へ向けての意気込みを聞かせてください。
「今日は対抗戦に初めて出場することができましたが、自分のゴールはここではありません。大学選手権決勝で自分がフィールドに立って活躍できるように、今日出た反省点をしっかりと修正して、全力で練習に取り組むことで自分を磨き、いま以上に信頼される4年生となれるように努力していきます。」

対抗戦初出場ながら、落ち着いたプレーでチームを引っ張った。いつも「泉キャプテンの代わりではなく、ポジションを争うライバルとして切磋琢磨し、その雰囲気をチーム全体に伝えたい」と言っているように、向上心も高く、また4年生としての自覚も持っている。帝京の層の厚さを証明する選手の一人と言えよう。4年生ながら、まだまだ成長しそうな点も頼もしい。プレーでの今後の活躍に期待するとともに、4年生らしいリーダーシップにも注目したい。


《NEXT MATCH!》

関東大学対抗戦第5戦 対早稲田大学(http://www.wasedarugby.com/
11月3日(日)秩父宮ラグビー場 12時キックオフ

過去の対戦成績:関東大学対抗戦6勝27敗(大学選手権2勝2敗)
[早稲田大学の直近5戦]
  8月19日 ○38対12 慶應大●(練習試合)
  8月26日 ●  0対43 帝京大○(練習試合)
  9月  9日 ○85対14 日体大●(関東大学対抗戦)
  9月30日 ○83対10 青山学院大●(関東大学対抗戦)
10月14日 ●  7対26 筑波大○(関東大学対抗戦)


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(文/木村俊太、写真/志賀由佳)

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