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~帝京大学ラグビー部での誇りを胸に~ 「同じ気持ち、同じ心で戦っていました…」

~帝京大学ラグビー部での誇りを胸に~ 「同じ気持ち、同じ心で戦っていました…」

2013/01/18

私たちのいるべき場所
学生レフリー&分析・須藤惇、マネージャー・田脇美春 インタビュー

~帝京大学ラグビー部での誇りを胸に~
「同じ気持ち、同じ心で戦っていました…」


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2013年1月13日、史上初の大学選手権4連覇の快挙を成し遂げた帝京大学ラグビー部。
この偉業達成の裏に欠かせない二人がいる。4年生の学生レフリー・分析の須藤惇、マネージャー田脇美春だ。
大学選手権決勝の数日前、そして決勝直後の二人に迫った。

〔須藤惇・すどうじゅん・・・4年生、神奈川県・桐光学園高校出身、169cm、75kg、医療技術学部スポーツ医療学科。
自ら志願しラグビー部の門を叩き、学生レフリーを務める傍ら、分析部門で勝利に貢献した〕

〔田脇美春・たわきみはる・・・4年生、福岡県・築紫高校出身、156cm、経済学部経済学科。
『帝京大学ラグビー部のマネージャーになるため』に上京。献身的にチームを支え続けた〕



【この日のために】

優勝まであと一勝と迫ったある日。いつものようにパソコンに向かう須藤惇、後輩たちに指示を出しながら決勝戦の準備をする田脇美春。二人のその姿からは、自信が感じ取られた。その自信の裏にあるものとは。1年生の頃から優勝を経験し、気づけば負け知らずの彼ら。決勝に向けての二人の思いは特別なものだった。

■須藤惇
いい準備はできています。選手たちも、僕自身も。何ヶ月も前から決勝の準備をしてきました。4連覇にチャレンジできるチームは日本で他にいないし、こんな経験ができる人間は少ないと思うんです。挑戦できるだけで幸せです。

■田脇美春
4年生という主体になる学年になり、選手権へ向けての準備の仕方もよりわかってきました。準備は万端です!仕上がっています(笑)。選手が試合でしっかりと力を発揮できるように私も万全の準備をしてきました。私が今までで出会ったチームのなかで一番強いチームだと思います。


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【自らの成長】

帝京大学ラグビー部で過ごした4年間は彼らにとってあまりにも大きすぎる、そして濃密な日々であったようだ。学生生活のなかで普通では味わうことのできない環境に身を置いた二人が、実感したものとは。

■田脇美春
私が帝京大学ラグビー部に入った時は、何でも仕事をやりたがり過ぎるところがありました。高校時代にもラグビー部のマネージャーをやっていて、その時と私は同じ感覚でやっていたんです。教えるだけ教えて、結局は自分がやってしまう。一生懸命やろうやろうとして前ばかり見てしまっていたんです。そんな時、監督に『ここは高校じゃないんだぞ。』と言われて、気づかされました。そこからは、もっと視野が広くなりました。仕事の効率も上がってきたと思います。

■須藤惇
僕は以前、今の自分から言わせればブレているときがありました。監督の話も受け入れられないほどでした。でもそんな時、スタッフのみなさんが助けてくれたんです。相談に乗ってくれたり話を聞いてくれました。僕はスタッフのみなさんに気づかせていただきました。同級生もそうです。2年生の後半、3年生になるときに冊子を作る作業をしていて、同級生と話す時間ができて、そこからよく話をするようになりました。2年前の決勝の前日なんて朝まで話をしていました。チームの考えや文化の話、さらなる文化を創造して今までの4年生を越えていかなければいけないと、話だしたら止まらなくなってしまって。そういう日々があったからこそ今の自分がいると思っています。


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ちょっと質問!

○二人にとってのラグビー部ってどんな存在です?
田脇「私の居場所だと思います。支えになっています。」
須藤「安心できる場所。グラウンドに上がるとホッとします。」

○選手ではなくてマネージャーや分析につくことで、家族や周りの反応はどんな感じでした?
田脇「家族には、東京にいくことを反対されていました。きっといまだに、私がここでどんなことをやっているかわからないと思います。久しぶりに会った友だちからは『まだやってたんだ!』と言われて、ちょっと複雑でした(笑)。もっともっと帝京大学ラグビー部のことを知ってもらいたいなと思います。それが目的ではないですが、優勝してテレビや新聞に載せていただいて、私はこんな素晴らしいところにいるんだぞ、と。両親にも、東京に行かせて良かったと思ってもらいたいです。」
須藤「僕はもともと違う大学に行こうと思っていて、だから親は僕が『帝京に行く』と言った時驚いたと思います。家に帰ってもずっとラグビー漬けで、早稲田戦のあと親から熱いメールが届いたのですが、返信し忘れていたんです。そのあと何日か経って『返信できないくらい忙しいんですね!』と親からメールが来て、その時は申し訳なかったなと。けれどもう答えは出るはずです。なぜプレーヤーではなくこういう仕事をしているのか、なぜこの大学に来たのか、僕のなかではそれが正解にできているんです。」

○二人は昔から仲が良かったんですか。
田脇「昔は、話したこともありませんでした。」
須藤「確かに、1年生の頃とかは話した記憶ありませんね。」
じゃあ気づいたら近くに居た・・・みたいな!?
須藤「なんでそんなロマンチックな言い方するんですか!(笑)」
田脇「今も別にそんな仲が良いとは・・・(笑)けれど色んなことをはっきりと言える仲だとは思います。スドジュンにはっきり言う人あんまりいないので。」
須藤「あ、はい。一番はっきり言われます。(笑)」

○後輩にはどんな思いでいますか?
田脇「3年生以下のみんなにしっかりと繋げていけるように、私もしっかりと自分の仕事をやらなくてはいけないと思います。後輩がマネージャー文化を引き継いでいってくれたらなと思います。」
須藤「色んな形で受け入れたり、感じたり分析の仕事をしていたからこそ、気づいたことはたくさんあります。1年目からすごくヒントになりました。この4年間で僕のやるべきことは精一杯やりました。でもまだこれは限界じゃないと思っています。分析の後輩の深澤にはある程度形は残していきたいけど、自分なりにアレンジして、僕の事を抜いてもらいたいです。彼自身が分析の容量を広げていってもらいたいです。」

○それでは最後にお二人の野望をお聞かせください。
須藤「野望と言って良いかわからないのですが、今いるチームメイトたちが卒業して各学校やチームに行った時に、気軽に呼んでもらえるレフリーになることです。」
田脇「たくさんの人々に帝京大学ラグビー部を知ってもらって、ゆくゆくは世界の誰もが知っているチームになってもらいたいです。そのために、もっともっと素晴らしさを伝えていきたいです。」
須藤「世界か!随分でかいね~!」
田脇「だって野望だから!」


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そして…。1月13日、彼らの念願はついに現実の物となった。
優勝直後、チームメイトたちのなかで喜びを噛みしめる二人に話を聞いてみた。


■田脇美春
優勝が決まった瞬間は、今までの出来事が頭の中を走馬灯のように流れてきました。みんなの準備、そして努力があったからなし得たのだと思います。私たちをここまで連れてきてくれて…本当に感謝の気持ちでいっぱいです。一緒に分かち合えて本当に嬉しいですっ!


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■須藤惇
みんなにはありがとうと言いたいです。みんなの想いをしっかりと形にしてくれました。試合の中で、帝京が守りに入ってしまった部分もあるけど、勝負のターニングポイントをしっかり抑えられたのが、良かったと思います。試合に出たいけど出られない部員もみんな、同じ気持ち・同じ心で戦っていました。そして、みんなの分もメンバーが本当に死ぬ気で頑張ってくれました。4年生が形にしてくれました…。下級生たちには、帝京の『未来』に繋げていってもらいたいです!


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【No Side!!~取材後記~】
私は今まで、マネージャーとは裏方の仕事だと思っていました。実際、私のいた柔道部にはマネージャーがいなかったので、どのようなことをしているのかも知りませんでした。しかし、帝京大学ラグビー部と出会い、私のマネージャー像は一変しました。
「このチームのマネージャーは、裏方ではない。むしろ表!だ。」
選手と一緒になってグラウンドを走り回る姿、そしてコミュニケーションを図る姿は圧巻でした。きっと選手のみんなもその存在の大きさに、大いなる影響とパワーを得ていることと思います。
須藤くんは話し出すととことん話し込んでくれる熱い人です。ラグビーのルールでわからないことがあれば熱心に教えてくれる、私のラグビーの先生です。
田脇さんは、まさしく癒し!でした。
田脇さんと須藤くんの掛け合いも妙に合っていて、話しているこちらも楽しくなってしまいました。
最後に聞いた二人の野望は今回書ききれないくらい、大きくて熱いものでした。卒業後の帝京大学ラグビー部の皆さん、そして二人の活躍が楽しみでなりません。


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[ライター・プロフィール]
あいすけ(青木愛)
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属
神奈川県平塚市出身。
中学1年から柔道を始める。元全柔連強化指定選手、弍段。
現在、「近代柔道」誌連載エッセイ『一本笑負』ほか、執筆活動を展開中。
また、大学3年からNSC東京に通い現在は芸歴4年目。

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