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2013関東春季大会 第3戦・対拓殖大学戦

2013関東春季大会 第3戦・対拓殖大学戦

2013/05/28

「2013関東春季大会 第3戦・対拓殖大学戦」

5月25日(土)・百草グラウンド
○帝京大学 33-29 拓殖大学●
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《帝京大学》
[FW]
((1)高田⇒古賀 (2)竹井(勇) (3)深村⇒徳永 (4)筬島⇒山口⇒服部 (5)今村 (6)河口 (7) 平野 (8)小野⇒黒木
[BK]
(9)塚本 (10)山崎 (11)岩出 (12)大橋⇒濱野 (13)牧田 (14)別所 (15)宮崎
 
《拓殖大学》※先発のみ
[FW]
(1)岡部 (2)川俣 (3)具(智元) (4)吉田 (5)ウヴェ・ヘル (6)西原 (7)石松 (8)篠崎
[BK]
(9)茂野 (10)ステイリン (11)永野 (12)山谷 (13)松崎 (14)塩倉 (15)山本

【前半】【得点経過】
【5分】帝7-0拓
帝京ボールのスクラムからFW、BKで前進。最後はCTB牧田が抜け出してトラ イ。ゴール成功。
 
【8分】帝7-5拓
相手ボールのラインアウトから突破され、トライを奪われる。
 
【11分】帝12-5拓
帝京ボールのラインアウトからFWで前進し、BKへ。CTB大橋が持ち込んでト ライ。
 
【14分】帝12-10拓
キックから相手に展開され、トライを奪われる。
 
【23分】帝19-10拓
相手のペナルティからクイック・リスタート。
CTB牧田-WTB別所で前進し、再 び牧田へと渡り、最後はFL平野が飛び込んでトライ。ゴール成功。
 
【35分】帝19-17拓
ターンオーバーされ、走られて、トライを奪われる。
 
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 【後半】【得点経過】
【13分】帝19-24拓
帝京ボールのスクラムをターンオーバーされ、つながれて、トライを奪われる。
 
【20分】帝19-29拓
相手ボールのラインアウトからつながれ、トライを奪われる。
 
【29分】帝26-29拓
帝京ボールのスクラムからFW、BKで前進。最後はCTB濱野がトライ。ゴール 成功。
 
【39分】帝33-29拓
帝京ボールのスクラムから、FW、BKでつなぐ。
ラックからSH塚本-SO山崎、 再び塚本へと渡って、飛び込んで逆転トライ。ゴール成功。
 
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《  BRIEF REVIEW  》

相手の激しい圧力もあり、やや厳しいゲームとなったが、最後はチームが一つになって攻め続け、逆転勝利を収めた。前半はペナルティからピンチを招くことが多かったが、後半は改善された。PR高田、FL平野、CTB牧田ら4年生が下級生を引っ張り、チームをまとめた点も大きかった。若手中心のメンバーで臨んだ試合だっただけに、下級生たちが自信を得る上でも大きな勝利となった。
 
《  AFTER MATCH SAY  》
 
■岩出雅之監督
「今日は厳しいゲーム内容の中で勝利できたことは選手達は自信をもっていいと思います。しかし、『勝った、負けた』という結果だけでなく、競い合う中で得られた多くのこと、経験をしっかりとこれからに生かし、より厳しいゲームを勝ち上がっていけるような選手、チームの成長につなげてほしいと思っています。具体的な内容としては、場面場面での判断と対応をしっかりとしていくこと、自らそれに合ったプレーをしていくことが、ゲームをさらに安定させることにつながると思います。選手たちにとっては、誰かからの指示を待たないことが大事だと実感できるゲームになったのではないかと思います。ゲームを安定させる要素はどこなのかということに気付いて、そして自分自身の鍛え方に気付いて、今後に生かせるようにしていってほしいと思います。最後になりましたが対戦校の拓殖大学さんの益々の躍進を祈念しております。有難うございました。」
 
■ゲームキャプテン・FL平野和飛人(4年)
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「今日はいままでやってきたことを思い切り出し切ること、また若いメンバーも多かったので、上級生がゲームメイキングをしっかりとしていこうと言っていたのですが、相手のプレッシャーも強く、できたところとできなかったところがあり、課題の見えたゲームになりました。それでも、最後まであきらめずに走り切って、チームが一つになって逆転勝利できたことは若いメンバーにも大きな自信になると思います。自分自身は学生コーチをしているので、プレーヤーとしてももちろん、学生コーチとしても今後、チームがより成長できるように頑張っていきたいと思っています。」
 
■最上級生として積極的に体を張り続けた・PR高田和輝(4年)
「今日は、相手の力強い外国人選手などのキーマンに対して、まず上級生から体を張っていこうといって臨みました。特に両CTBの4年生が体を張ったタックルをしてくれたので、FWとしてはとても助かりました。ただ、公式戦の経験が少ない4年生が多かったため、強力に引っ張るというよりも、お互いに判断を委ねあってしまったところがありました。前半、ゲームコントロールがうまくいかなかったのは、そこに原因があったと思います。後半は我慢し続けて、最後に逆転できましたし、反省点も多く見えたという点でもとてもいいゲームだったと思います。」
 
■巧みなゲームコントロールと力強いアタックで貢献した・SO山崎雄希(3年)
「今日は激しく戦うことを意識して臨みました。できた部分もありましたが、相手の攻めに対して受けに回ってしまったところも多かったのでそこは修正点です。また、SOとしてエリアマネジメントをもっと意識してできればよかったと思っています。ただ、最後までみんながあきらめずに戦って勝利できたことは評価できますし、見えた修正点をしっかりと改善して、もっと成長していきたいと思います。」
 
■冷静な判断で先制トライを奪取した・CTB牧田旦(4年)
「自分たちのミスや甘さ、チームの若さなどで厳しいゲームになりましたが、公式戦で勝利できたことは大きな自信になりました。先制トライは、BKとして前を見て判断することを心掛けていたことが実践できたと思っています。相手ディフェンスがあいたのが見えたので、思い切って突いていきました。ただ、自身のディフェンスでは内側とのコミュニケーション不足があったので、そこは修正点として見えました。最後の最後に逆転でき、勝利できたことは帝京の代表としての意地とプライドを見せられたと思いますし、自信になる部分だったと思います。今後は4年生として、ラグビーだけでなく、生活面でも下級生の手本になれるように頑張りたいと思っています。」
 
《  PICK UP PLAYERS  》
 
試合の流れを変えられるインパクト・プレーヤーとしての素質十分
CTB 濱野大輔(2年)
 
HAMANO DAISUKE
1994年1月6日生まれ
教育学部教育文化学科
桐蔭学園高校出身
身長172cm/体重83Kg
 
■今日はどんな意識で試合に臨んだのでしょうか。
「後半、リードされていた場面での出場でしたので、自分としては『激しくプレーする』ことをテーマにして、逆転してやろうと思って入りました。点差もそれほど大きくはなかったですし、時間も十分にありましたので、絶対に逆転できると思っていました。」
 
■具体的なプレーの部分について、どんなことを考えていたのでしょうか。
「まずは敵陣に入って、一本取ろうと言い合いました。前半は、セットプレーが不安定だったのと、反則が多かったことが失点につながっていましたから、自分としては反則をしないことを意識していました。」
 
■実際にプレーしてみて、どう感じましたか。
「アタックに関しては、縦に激しく行こうと思っていた自分のイメージどおりに激しく行けてトライにつながったので、そこではある程度、流れが作れたのかなと思っています。ただ、甘いところもありましたので、そこは修正したいと思います。」
 
■最後の最後に逆転しての勝利でしたが、粘り強く戦えた要因は何だったのでしょうか。
「最後まであきらめない気持ちを出せたことだと思います。残り10分くらいから、相手もミスが増え始めたので『焦っているのかな』と思いながらプレーしていました。こちらは、残り10分くらいからFW、BK一体になって前に出る本来の形が出始めたので、『行けるぞ』と思ってやっていました。」
 
■今後への意気込みをお願いします。
「もっと激しさを見せられるように頑張ります。」
 
自身のコメントにもあるように「激しさ」を前面に出すCTBだ。「イメージどおりの激しいプレーでトライを取れた」と語るように、その激しさはチームに勢いを与え、試合の流れを変える力をもつ。もちろん、ディフェンスでの激しさも持ち合わせている。体重も増え、力強さもさらに増している。名門・桐蔭学園で主将を務めていたことからもわかるように、リーダーシップにも優れ雰囲気のあるプレーヤーであり、今後の成長次第では、帝京の大きな戦力となり得る存在だ。

《  COLUMN  》
 
―「分かる」と「解かる」―
 
『公式戦を戦う帝京の代表としてのプライド見せることをテーマとして臨みました。』 普段は比較的物静かな平野ゲームキャプテンは、この試合に懸けた想いを熱く語ってくれました。 そして同時に彼は、至極冷静にこのゲームをレビューしてくれました。 熱いハートと冷静沈着な判断こそが、土壇場での拓大戦の勝利を呼び込んだ要因だったのではないでしょうか。
 
岩出監督はよく、「『分かる』と『解かる』の違いについて考えなさい」と言われます。
両方とも「わかる」と読むのですが、両者の意味はまったく違うと言うのです。
 
簡単に言うと「分かる」は頭でわかること。「解かる」はすらすら解けて、いつでも実践できる状態にあることです。「分かる」はやり方がわかっただけにすぎませんが、「解かる」はすっかり腑に落ちた状態になっているというわけです。数学の方程式で言うと、「分かる」は「2次方程式の解は因数分解すると求められる」と頭でわかっている状態、「解かる」は「実際の2次方程式を見て、すらすら因数分解ができる状態」ということになります。
 
ラグビーとどう関係があるのか?と思うかもしれませんが、大いに関係があります。 あるプレーをしようとしたとき、そのプレーについて頭でわかった状態が「分かる」です。まずは「分かる」ことがないと、話になりません。でも、「分かった」だけでは不十分なのです。頭で分かっても、そのプレーをすらすらとできるようになるわけではないからです。
 
そのプレーがすらすらとできるようになるには、練習を重ねて、体全体で「解か る」状態になっている必要があります。知っているのとできるのとでは、まったく違うわけです。
 
岩出監督はこうも言います。
「数学で方程式の解き方を知っていてもすらすら解けなければおもしろくないし、苦しいだけ。でも、勘どころのようなものが解かってきて、やがてどんな数字が出てきてもすらすら解けるようになる。そうなると、解くのが楽しくなってきます。ラグビーもそう。わかっていてもできないという状態は苦しい。でも、それを乗り越えるためには練習しかありません。そして、やがてすらすらとそのプレーができるようになると、楽しくなるのです。」
 
今日、選手たちは例えば「相手の留学生選手の当たりは強い」ということを知識としてではなく、体感として感じることができました。いままでそれを頭で分かっていても、腑に落ちるところまでは行っていなかったかもしれません。しかし、この日、体で感じることができたことで、「自分はどこまで鍛える必要があるのか」ということが解かったのではないでしょうか。
 
ここ数試合、伸び伸びとプレーしているように映るSH塚本ーSO山崎あたりは、その典型ではないでしょうか。またCTB牧田ー大橋の最上級生コンビに引っ張られるかのように、HO竹井弟やWTB別所らルーキーたちも、物怖じすることなくプレーしているように見えます。
「他人を頼るのではなく、自分で判断して行動することが大切」ということは、皆、頭では分かっていたはずです。 しかし、ギリギリの局面で思わず判断を他人に委ねてしまう。それはまだ「解かる」にまで至っていないからでしょう。 この日のゲームが、「分かる」から「解かる」に変わるきっかけにできるとすれば、勝利以上に有意義な試合だったと言えるでしょう。
 
(文/ 木村俊太)

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