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2013関東大学対抗戦A・第1戦 対成蹊大学

2013関東大学対抗戦A・第1戦 対成蹊大学

2013/09/17

「2013関東大学対抗戦A・第1戦 対成蹊大学」

9月15日(日)・百草グラウンド
○帝京大学(1勝0敗)92-0 成蹊大学●(0勝1敗)
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《帝京大学》
[FW]
(1)森川⇒竹井(2)坂手⇒上田(3)東恩納⇒深村(4)小瀧(5)町野⇒飯野(6) イラウア⇒大和田(7)杉永(8)李
[BK]
(9)流⇒荒井(10)松田(11)磯田(12)野田⇒牧田(13)権⇒前原(14)森谷 (15)竹田
 
《成蹊大学》※先発のみ
[FW]
(1)小池(2)石田(3)廣江(4)嶺岸(5)瀬良(6)井上(7)八木(8)池田
[BK]
(9)平丸(10)原島(11)仲澤(12)原田(13)大芝(14)宇都宮(15)糸賀

【前半】【得点経過】
【12分】帝7-0成
スクラムでの相手の反則で得たFKから前進。ラックからのボールをSH流-SO松田-WTB森谷と展開し、そのままトライ。ゴール成功。
 
【25分】帝14-0成
ゴール前のスクラムを押し込み、No8李が持ち出してトライ。ゴール成功。
 
【29分】帝21-0成
ペナルティからCTB野田がクイック・リスタート。相手ディフェンスの足が完全に止まり、野田が中央にトライ。ゴール成功。
 
【36分】帝28-0成
相手がパスミスしたこぼれ球をPR東恩納が拾って前進してトライ。ゴール成功。
 
【38分】帝33-0成
BK展開からCTB野田が前進。ラックからSH流-SO松田-CTB権-FB竹田-WTB磯田と渡り、磯田が抜け出してトライ。
 
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 【後半】【得点経過】
【5分】帝40-0成
ラインアウトからFW、BKでつないで前進。ラックからNo8李が持ち出し、前進してトライ。ゴール成功。
 
【10分】帝47-0成
FW、BKで前進。ラックからさらにBKへ展開。WTB森谷へと渡って、相手ディフェンスを引きずってトライ。ゴール成功。
 
【19分】帝54-0成
ラインアウトから、FW、BKで前進。ラックからSH流-FB竹田-No8李と渡 り、李が抜け出してトライ。ゴール成功。
 
【23分】帝61-0成
スクラムからBKへ展開。CTB権が前進し、ラックに。再度BK展開で、WTB磯田へと渡り、磯田が抜け出してトライ。ゴール成功。
 
【26分】帝68-0成
自陣からBKへ展開。WTB磯田へと渡り、磯田が抜け出す。追いすがる相手ディフェンスを振り切って独走し、トライ。ゴール成功。
 
【28分】帝75-0成
キックオフからのボールをBKへ展開。CTB権、CTB牧田が前進。ラックになるも、SH流-FB竹田-WTB森谷と渡り、トライ。ゴール成功。
 
【32分】帝80-0成
スクラムからBK展開。WTB森谷が前進。ラックになって、再度BK展開。WTB磯田へと渡り、トライ。
 
【38分】帝85-0成
相手ボールのスクラムを押し込み、出たボールをSH荒井がインターセプト。荒井- SO松田-CTB前原と渡り、前原が抜け出してトライ。
 
【40分】帝92-0成
キックオフのボールを自陣から展開。SO松田が前進。WTB森谷へとうまくパスがつながり、森谷が前進してトライ。ゴール成功。
 
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《  BRIEF REVIEW  》

いよいよ関東大学対抗戦が始まった。開幕ゲームの相手は成蹊大学。この日は台風が接近している影響で、朝から大雨。キックオフ時には止んでいたものの、グラウンドは人工芝に水が浮く状態。濡れたボールが滑り、前半は終始攻め続けながらも得点 チャンスでノックオンが散見する。それでも、相手に攻める機会をほとんど与えず33-0でハーフタイムを迎えた。 後半はハンドリングも安定し、トライの山を築く。80分間でペナルティが1つというのも特筆もの。規律を守りながら、集中して攻め続 け、92-0という大差で勝利した。
      
《  AFTER MATCH SAY  》
 
■岩出雅之監督
「対抗戦が始まりました。学生たちには、長くて短いシーズンの始まりという意識をもって、オープニングゲームにふさわしい気持ちの部分を精一杯出していこうと言って、送り出しました。できた部分、できなかった部分と両方がありますが、今日が完成形というわけではありませんので、セットプレー、ボールを動かす技術、コミュニケーション、コンタクトの正確さなどについては、これから少しずつ高めていきたいと思っています。一度にたくさんのことはできませんから、一歩一歩上へ上がっていって、本当の強さを身につけていってほしいと思います。
今日はミスも出ましたが、しっかりと丁寧にプレーしようとしていた姿勢はよく出ていました。それはペナルティが非常に少なかったところにも表れていると思います。今シーズンは大学選手権5連覇と日本選手権での打倒トップリーグ4強を目標として努力を続けています。どうか、チームの成長、そして学生一人一人の成長ぶりを温かく見守っていただき、またスタンドからは大きな声援をいただけますよう、お願いいたします。」

 
ゲームキャプテン・No8李聖彰(4年)
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「今日は今シーズンのファーストゲームということで、これまで積み上げてきたことをしっかり出せるかという部分にフォーカスして臨みました。集中力に関しては悪くなかったと思いますが、コミュニケーションミスなどが、特に前半は多く出てしまい、自分たちで自分たちのテンポを崩してしまっていたところがありました。ボールが滑るという条件はあったにしても、それに対する修正がゲームの中でしきれず、そのミスがやや多い状態のままゲームを進めてしまいました。ここは直していかなければいけません。ミスのないようにすることはもちろんですが、どうしても起こってしまうミスをゲームの中でどれだけ修正していけるかというところを、もう少しみんなで見つめ直していきたいと思います。みんな、自分たちのやるべきことを大まかな部分ではかなり理解できて来ていると思いますが、あとは細かな部分の精度を上げることが大事になってきます。今後も方向性は変わらないので、次のゲームに向かってミスを減らし、やるべきことの精度を上げる努力をしていきたいと思います。」
 
■公式戦初出場を果たし、いい手応えをつかんだ・HO上田陸(2年)
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「短い時間でしたが、対抗戦初出場というすごくいい経験をさせてもらいました。ファーストジャージを着るのも初めてで、責任感と重みを感じることができました。同時に、自分の反省点も見つかりましたので、これから一生懸命練習して、少しでもチームに貢献できるように頑張りたいです。自分の一番のアピールポイントはスクラムですが、今日は周りのみんなと一緒にまとまってうまく押せたと思います。フィットネス、技術、メンタルともまだまだ成長途上だと思っていますが、自分でしっかり考えて行動して、なにごとにも一生懸命やるという心構えで、日々の練習に取り組んでいきたいと思っています。」
 
■難しいコンバージョン・キックをことごとく決めた・SO松田力也(1年・ゲームMVP)
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「対抗戦の開幕戦ということと、慣れたFBではなくSOというポジションということで緊張もあったのですが、先輩方のサポートもあって、とてもいい感じでプレーすることができました。ただ、今日納得いったのはプレイスキックだけなので、反省点を次に生かすためにもっと頑張らないといけないと思いました。SOとしては、ゲームコントロールも、BKラインの動かし方もまだまだなので、もっと勉強して、しっかりコントロールできるようにしたいです。プレイスキックは、先週の和歌山遠征でよくなかったので、今日はここはしっかりやろうと思って臨みました。いい集中力で蹴ることができてよかったです。今後もどのポジションでもチームに貢献できるように頑張っていきたいので、さらに努力を重ねていきたいと思います。」
 
《  PICK UP PLAYERS  》
 
WTBを経験し、ラグビーの幅が大きく広がる
WTB 森谷圭介(2年)
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MORIYA KEISUKE
1994年3月4日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
正智深谷高校出身
身長184㎝/83㎏
 
■対抗戦の開幕ゲームでしたが、振り返っての感想を聞かせてください。
「今日は春、夏とやってきたこと、積み上げてきたことをしっかり出すというテーマで臨みました。うまくいったところも、いかなかったところもありましたが、どちらも次に生かせるようにしていきたいです。」
 
■WTBでの出場でしたが、このポジションについてはどんなふうに考えていますか。
「SO、FBを中心に練習してはいますが、春、夏もWTBでの出場がありましたし、また違った視点でチームを見ることができるようになっていると思います。WTBをやる上で必要な動きを学べるのと同時に、SO、FBにこうしてもらったらいい プレーにつながるということも学べました。こうしたことはWTBをやってみないとわからないことが多いので、自分の中でのラグビーの幅が広がっていると思います。」
 
■逆に、WTBをやっていて難しいと感じることもあるのでしょうか。
「自分はあまり足が速くないので(笑)。あとは、リポジションでしょうか。それと、外側から相手がよく見えるポジションなので、内側の選手とコミュニケーションを取って、攻撃オプションなどで何をすべきかを伝える役割があります。これは最初の頃に比べるとだいぶできるようにはなっていますが、もっともっと成長できるところだと思っています。」
 
■ディフェンス面でもSOやFBとは違ったことが要求されますね。
「ディフェンスも、内側に何人余っているとか、そういうことを内側の選手とコミュニケーションを取って、つながりをもってやっていくことを意識しています。」
 
■今、自身が最も取り組んでいることは何でしょうか。
「まず一つは、体づくりです。体重と筋力アップに取り組んでいます。あとは、コミュニケーション。チームがどう動けばいい形ができるのかといった判断とそれを伝えるコミュニケーションを心掛けて練習しています。」
 
■去年のインタビューで、「高校時代は『このくらいでいいかな』と思っていたところも、大学に入って『もっと成長したい』と思うようになった」という話を聞きました。今もそうした成長への貪欲さは変わっていないのでしょうか。
「そうですね。毎日の練習でポイントをしっかりと押さえてやるという部分や、自分で考えて行動するというところは、去年と比べて、さらに成長できているかなと思っています。まだまだ未熟なところがあるので、もっともっと成長していきたいです。」
 
■意識の部分で特にこだわっていることはありますか。
「練習でも私生活でも、上級生の先輩たちがいいモデルになってやってくれているので、自分たち2年生は1年生の手本になるような行動をするように心掛けています。」
 
■今後へ向けての意気込みをお願いします。
「まずはしっかり試合に出て、チームに貢献できるようにすること。そして、一つ一つの練習を大事にして、レベルアップしていきたいです。今はWTBをやらせていただいていますが、SOやFBに入っても、高いレベルでプレーできるように、どのポジションでもいいプレーができるようにイメージをしっかり持って練習に取り組んでいきます。」
 
昨シーズンはSOでの出場がほとんどだったが、今シーズンはFB、WTBと活躍の場を広げている。「WTBがいいプレーをするためにSOやFBにどう動いてほしいかは、WTBをやってみないとわからない」と語るように、非常に前向きに取り組んでいる。この前向きさは「できるようになった」「よくなっている」という言葉が多く出てくることからもよくわかる。本人は「足が速くない」と笑うが、もともと定評のある突破力は、WTBとしても十分に武器になる。森谷自身のラグビーの幅の広がりは、そのままチームの幅の広がりになっている。

《  COLUMN  》
 
――ホームとアウェイ――
 
スポーツの試合には「ホーム」と「アウェイ」という考え方があります。
簡単に言うと、試合が行われる競技場が自身の地元のチームがホーム、逆のチームがアウェイです。

 
このホームとアウェイですが、一般的にはホームチームの方がアウェイチームよりも有利だとされています。サッカーではその差があまりにも大きいので、不公平にならないように「ホーム&アウェイ方式(お互いのホームで1試合ずつ行う方式)」で試合が行われるケースがほとんどです。
 
ホームチームが有利な理由には、「慣れた場所なので、過度に緊張することなく、普段の実力を発揮しやすい」「移動距離が短くて済むので、いいコンディションを保ちやすい」「自分たちを応援してくれる観客が多いので、気持ちが乗っていきやすい」といったことが考えられます。
 
さて、今回の成蹊大学との試合は百草グラウンドで行われました。言うまでもなく、これは帝京大学にとっては完全に「ホーム」です。ラグビーの場合、ホームチームが極端に有利になるという傾向は低いようですが、それでも先ほど述べたような「慣れた場所」「移動距離が短い」「応援団が多い」という条件は、どう考えても有利に働くと考えられます。
 
しかし、ハーフタイムで岩出監督は選手たちにこう言いました。
 
「ホームだけれど、アウェイのつもりで戦おう。」
 
この発言は正直、意外でした。「アウェイだけれど、ホームのつもりでリラックスして戦おう」というのなら、「いつもどおりの平常心で戦おう」といった意味になります。でも、あえて好条件を捨てて、悪条件に身を置いたつもりで戦おうというのです。
 
最初は「好条件に甘えることなく、気持ちの上だけでも自分たちに厳しくしていこう」という意味に解釈したのですが、どうもしっくりきませんでした。でもその謎は、試合後、中村亮土キャプテンと話をしたことで解けました。
 
中村キャプテンはこう言いました。
 
「百草グラウンドでの試合は、あまりに普段と同じすぎて、対抗戦の試合だといういい意味での緊張感が持ちづらいんです。」
 
つまり、「アウェイのつもりで戦おう」というのは「好条件に甘えない」という意味ではなく、「『ホームすぎて、スイッチが入りにくい』という悪条件を取り去りなさい」という意味だったのです。
 
試合、特に対抗戦という公式戦に臨むには、あるいは厳しく痛いプレーをしていくためには、普段の練習とは違った適度な緊張感が必要です。そのためには練習とは違う、「試合のスイッチ」を入れなければならなかったわけです。
 
例えば、秩父宮ラグビー場で大勢の観客に見守られているという状況は、それだけでこのスイッチを押す手助けをしてくれます。しかし、百草グラウンドではあまりにも普段と同じすぎて、自分で頑張ってスイッチを入れないと試合モードの精神状態になることが難しいのです。
 
もちろん、普段の練習の精神状態が甘いという意味ではありません。そうではなく、試合に臨むにあたっては、どんなに厳しい練習の精神状態よりも、さらに一段異なる精神状態になっておく必要があるということです。
 
ゲームを見る限り、前半はやや「ホーム」の精神状態が強かったようです。ですが、後半は試合の精神状態ができてきて、適度な緊張感の中、いいプレーができていました。
 
今シーズンの公式戦は、百草グラウンドで戦うゲームはもうありません。しかし、どこで戦うにしても、試合モードの精神状態になるスイッチを自分自身で押すことは、とても大事なことです。今季の帝京ラグビーのさらなる進化を、存分に予感させてくれる出来事でした。
 
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《  NEXT MATCH  》
 
関東大学対抗戦A・第2戦
対青山学院大学戦(www.aogaku-rugby.com
9月23日(月・祝) 新潟市陸上競技場
13時キックオフ
過去の対戦成績:関東大学対抗戦31試合22勝8敗1分(全国大学選手権の対戦はなし)
[青山学院大学の直近5戦]
8月17日 ○42-24専修大学(夏季練習試合)
8月20日 ●34-45関東学院大(夏季練習試合)
8月22日 ○43-17摂南大(夏季練習試合)
8月25日 ●29-34天理大(夏季練習試合)
9月15日 ● 0-45明治大(関東大学対抗戦A)

(文/木村俊太、写真/志賀由佳)

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