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関東大学対抗戦A 対慶應義塾大学戦

関東大学対抗戦A 対慶應義塾大学戦

2014/12/01

11月30日(日)・秩父宮ラグビー場
○帝京大学(7勝0敗)48-0慶應義塾大学(4勝2敗1分)●

《帝京大学》
[FW]
(1)森川⇒徳永(2)坂手(3)東恩納⇒深村(4)金(嶺)⇒亀井(5)小瀧(6)イ
ラウア⇒町野(7)杉永(8)河口⇒飯野
[BK]
(9)流(10)松田(11)磯田(12)森谷(13)前原⇒濱野(14)尾崎(15)重

《慶應義塾大学》※先発のみ
[FW]
(1)青木(2)神谷(3)出口(4)小山田(5)白子(6)廣川(7)木原(8)森川
[BK]
(9)宮澤(10)矢川(11)服部(12)石橋(13)川原(14)金澤(15)浦野

【前半】【得点経過】
【1分】帝7-0慶
LO金が大きく前進。ラックからSH流-SO松田と渡り、松田が前方へゴロキック。WTB
磯田、CTB前原、FB重の3人が反応よく追いかけ、重がキャッチし、そのままトライ。
ゴール成功。

【9分】帝14-0慶
ラックからSH流-SO松田-CTB森谷と渡り、森谷が抜け出す。そのまま飛び込んでト
ライ。ゴール成功。

【33分】19-0慶
LO小瀧が大きく前進。さらに、FB重の前進でのラックからSH流-FLイラウアと渡り、
イラウアがトライ。



【後半】【得点経過】
【4分】帝24-0慶
ラインアウトからSH流-FL杉永-FLイラウアと渡り、イラウアが前進。さらに、イラ
ウアからSO松田-CTB前原とパスが渡り、前原が抜け出してトライ。

【14分】帝29-0慶
ラインアウトからSH流-WTB磯田と渡り、磯田が大きく前進。つかまるも、SH流が前
方にゴロキック。追いかけたCTB森谷が押さえてトライ。

【18分】帝34-0慶
ラックでターンオーバー。SH流が前方へキック。走り込んだSO松田がさらにキック。
そのまま走り続け、インゴールで押さえてトライ。

【26分】帝41-0慶
ラックでターンオーバー。WTB尾崎が拾って走る。そのまま走り切ってトライ。ゴー
ル成功。

【39分】帝48-0慶
ラックでターンオーバー。SH流-HO坂手と渡り、坂手が押し込んでトライ。ゴール成
功。



《BRIEF REVIEW》
対抗戦第7戦の相手は慶應義塾大学。昨季、大学選手権ファイナルステージ準決勝を
戦った相手だ。立ち上がり、いきなりBKが走り込みトライを奪うと、9分にも追加点を奪う。この
まま帝京ペースで進むかに思われたが、自分たちのミスやペナルティ、またブレイク
ダウンでの相手の果敢なチャレンジなどもあり、守る時間帯も長くなる。それでもLO
小瀧やFLイラウアらの前進などもあり33分に加点し、前半を19-0で折り返した。
後半はターンオーバーから3トライを奪うなど、攻めのディフェンスを見せる。
攻め込まれても、組織的にしっかりと止める。
SH流、SO松田らハーフ団のタックルも光り、相手に大きなゲインを許さない。
前後半ともに相手に得点を許さず、48-0で勝利し、対抗戦全勝優勝を決めた。


《AFTER MATCH SAY》

■岩出雅之監督
「今日は学生たちがこの対抗戦の最終戦というものの持つ意味を、いかにしっかりと
理解して臨むかということをチームの中で押さえながら、試合に臨みました。と同時
に、これからの大学選手権を考えると、これまで6試合を戦ってきて、このあと大
学選手権決勝まで進ませていただくと仮定すると今日を含めて6試合を戦うことにな
るので、ちょうど半分になります。その点も考慮して、これからの厳しい戦いにも打
ち勝っていけるような力を伸ばすチャレンジをしていこうという話もしました。学生
たちは気合いを入れて試合に臨んだと思います。ただ、立ち上がりに簡単に2つトラ
イが取れてしまったことで、少し緊張の張りが緩んでしまったところがあったように
思います。学生たちが伸びていくためには、そこを一番大切にして、緩ませずにしっ
かりと緊張の糸を張り続けるという強い気持ちを持続する資質を身に付ける必要があ
ります。そういう意味では、選手にもチームにもいい反省材料になったと思います。
ただ、トータルとして最後まで失点を許さなかったこと、また、多くの場面でディ
フェンスからの切り返しでスコアまで持っていけたことは、確実にディフェンス力が
上がっていると言えますし、相手を止めるだけではなく、そこから攻撃に入れる切り
返しの強さが身に付いているのではないかと思っています。アタックに関しては、ま
だまだ課題がありますが、これからの試合で一歩一歩、厳しさを増しながら取り組ん
でいきたいと思いますし、学生たちもそうした環境の中で奮い立って成長してくれる
と思うので、今後を楽しみにしています。
最後になりますが、土日の2日間
計5試合対戦いただきありがとうございました。慶應大学さんとは、昨年同様、ファイルステージで再戦させて頂けることを楽しみにしセカンドステージを一戦一戦しっかり戦いたいと思います。」

■キャプテン・SH流大(4年)
「今日は対抗戦の最後のゲームということで、まず今までやってきたことをしっかり
と出し切ること、そして、大学選手権につながるような成長ができるゲームにしよう
と言って、試合に臨みました。気合いの入ったプレーで、立ち上がりからスコアする
ことができたのですが、それを80分間続けることができず、要所要所で集中力の欠け
る場面がありました。そこをまず反省として挙げたいと思います。トータル的には、
慶應大学さんを0点に抑えることができたということが自分たちにとっては収穫だっ
たと思います。アタックに関しては、まだまだノックオンやペナルティなどミスも
多々ありましたので、ここをもう一度、修正して、次の大学選手権に向かっていきた
いと思います。」


■後半、トライにつながる力強い前進を見せた・LO小瀧尚弘(4年)
「今日は、絶対に途中で気を抜かないようにしようと言って試合に臨んだのですが、
まだ試合が決まらないうちに少し気を抜いてしまったところがあり、自分たちの甘さが出
てしまいました。前半はあまりいい試合とは言えなかったと思います。後半は、出られない
仲間の分まで激しくやり切ろうと言って臨んで、ある程度、できたと思います。ハー
フタイムで監督から『LOの力強さが足りない』との指摘があり、後半はブレイクダウ
ンでも、スクラムでの押しでも、力強さを意識しました。選手権に向けては、とにか
くこれまでやってきたことを80分間出し切ること、仲間のためにも絶対に気を抜かな
いという確固たる意志を持ってやるべきだと思いますし、自分としては、今日指摘し
ていただいた力強さの部分にフォーカスしていきたいと思います。」


■復帰戦で80分間、しっかりと戦い続けた・FL杉永亮太(4年)
「自分は早稲田大学戦でケガをしてしまい、チームに迷惑を掛けてしまったのです
が、復帰に向けてサポートしてくださった方々への感謝の気持ちを込めて、また、復
帰戦ということで初心に戻った気持ちで『まずはタックルから』と自分の中で決めて
試合に臨みました。80分間プレーできたことはよかったのですが、前半の早い時間帯
に2トライできたことで、どこかに油断が生まれ、チームがあまりよくない状態で
ゲームが進んでしまったので、そこは修正点だと思います。後半は、波に乗れたとこ
ろがあり、そこで継続して攻めることができたのでよかったです。FLの仕事として
タックル、そしてブレイクダウンの激しさ、ジャッカルといった部分で、出られない
メンバーのためにも自分が体を張っていかなければと思っているので、そこは自分の
やるべきこととして、今後もしっかりやっていきたいです。大学選手権に向けても、
FLとして体を張ってチームに貢献し、トライに繋がったり、トライを阻止したりと
いったことに繋がるプレーをし、チームを支えるプレーヤーになっていきたいと思い
ます。」


■常に冷静なプレーでゲーム・コントロールした・SO松田力也(2年)
「今日はいつも心掛けているゲーム・コントロールの部分と、自分の役割としての
キックやディフェンスを意識して臨みました。初めにいい感じでトライが取れて、流
れに乗れるかなと思ったのですが、そのあとプレーが雑になってしまって乗り切れな
かったところは課題です。自分自身としては、キックの精度のところで、今日は立て
直すことができず、ゴールキックもタッチキックももっと集中して蹴らなければと思
わされた試合になりました。後半のトライについては、しっかり(流)大さんとうま
くコミュニケーションが取れて、いいトライにつながったと思います。大学選手権に
向けては、チームとしてはもっとプレーの精度を上げていくということがあります
し、その中で自分はSOとしてしっかりチームをコントロールできればと思っていま
す。また、プレイスキック、タッチキックは得点に繋がる大事な部分なので、そこは
自分の責任としてもっと練習して、いい集中力を持ってやっていきたいです。一試合
一試合、いいレベルアップをして、必ず最後に笑えるようにやっていきたいと思いま
す。」


《PICK UP PLAYERS》

チームから信頼されるFBになることを誓う
FB 重一生(2年)
SHIGE ISSEI


1994年12月5日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
常翔学園高校出身
身長170cm/82kg

■まずは今日のゲームを振り返って、感想を聞かせてください。
「今日は自分の中でしっかり自分の役割を明確にして臨みました。いい面、悪い面、
両方出たと思うので、次の大学選手権に向けて、悪い面は修正し、いい面をもっと伸
ばして、チームに貢献したいと思います。」

■「自分の役割」というのは、具体的にどういうところ意識したのでしょうか。
「特にキック処理の面で、しっかりキャッチするといったところです。慶應大学さん
はキックの多いチームだと思っていたので、キック処理をしっかりやろうと意識しま
した。あとは気持ちの入ったプレー、2年生だからといって遠慮することなく、思い
切ったプレーをしようと思っていました。」

■最初のトライは反応よく、思い切って走ったいいトライでした。
「ありがとうございます。ラッキーな面もありましたが、しっかりチェイスできた結
果だと思います。これからもしっかり前を見て、チャンスがあればどんどん狙ってい
きたいと思います。」

■重選手は自らボールを運んでいくカウンターアタックも魅力ですが、今日はいいパ
スもありました。

「相手もおそらく僕がボールを持って仕掛けてくることはわかっていると思うので、
ディフェンスが自分に寄ってきたときには、あいたスペースを使おうと意識していま
した。」

■対抗戦が終了しましたが、今、どんな気持ちでしょうか。
「まだまだ自分は大学生のレベルに対して追い付けていない部分があるのですが、
もっと経験を積んで、何事にも前向きに取り組んでいきたいという気持ちです。」

■では、今後の目標と大学選手権に向けての意気込みをお願いします。
「もっとチームでのコミュニケーションをしっかり取ることと、キック処理、キック
カウンターの面でもっと味方に頼られるような、後ろにキックを蹴られても味方が
まったく心配しないFBになりたいと思います。大学選手権では、一戦一戦、目の前の
相手としっかり戦って、ファイナルステージに勝ち上がっていきたいです。いいコ
ミュニケーションで戦えるように頑張ります。」


去年1年間、ケガで出場できなかったが、今シーズンは対抗戦7試合中5試合に出場し
た。実践での経験を積み、着実に成長を遂げている。以前は、カウンターアタックで
は自身で仕掛けていく傾向が強かったが、本人が語るように、状況判断のレベルも上がっている。「まだまだ大学生の
レベルに追い付いていない」と言うが、今後も高いレベルでの経験値を積み上げてい
くことで、さらに成長していくことだろう。「味方に頼られるFBになりたい」と誓う
その言葉は、「チームメイトからの信頼」の大切さを悟った証拠と言えるだろう。大
学選手権でのさらなる成長が楽しみだ。


《COLUMN》

――ラグビーのPDCAサイクル――

対抗戦が終了し、いよいよ大学選手権セカンドステージが始まります。帝京は対抗戦
の優勝を7戦全勝で飾り、対抗戦1位枠での出場を決めています。

この日の試合を見る限り、いい状態で臨むことができそうですが、「大学選手権6連
覇」「打倒トップリーグ」という目標を掲げる帝京としては、まだまだ進化、成長し
ていかなければなりません。

基本的な部分を挙げていけばキリがありませんが、あれもこれもとな
ると逆に「虻蜂取らず」にもなりかねません。

FL杉永はこんな話をしてくれました。
「チームとしては一歩ずつ、いきなり階段を10段上がるのではなく、1段ずつ成長し
ていけるようにしたいです。」

最終的に10段の階段を上がるとしても、一気に10段上がることはできません。1段ず
つ着実に上がっていくしかないのです。

その方法についても、杉永がわかりやすく話してくれました。
「具体的にこれをやるというのはミーティングや練習で明確にしていきますが、何を
やるにしても、一歩一歩積み重ねて次の試合に臨み、その試合によってさらに成長で
きるようにやっていきたいです。」

ビジネスの世界に「PDCAサイクル」というものがあります。「PDCA」とは「Plan(計
画)」-「Do(実行)」-「Check(評価、点検)」-「Act(処置、改善)」で、こ
のサイクルを続けることによって、らせん階段を上るように仕事の内容を継続的に良
くしていくことができるというものです。

ラグビーで言うと、「Plan」は杉永が言う「やるべきことをミーティングで明確にす
る」といったことに当たるでしょう。あるいは、「練習」もここに含まれると考えら
れます。

「Do」はもちろん、試合で実際にプレーをすることに当たります。「Check」は試合
後、ビデオを見るなどして点検、評価すること。「Act」は多くの選手が口にしてい
る「次の試合に向けて修正して」と言うときの「修正」に当たるでしょう。

ビジネスの世界でも、「Do」をしてみて、その結果しか見ないケースが意外に多いも
のです。ある企画をやってみた。「あまりうまくいきませんでした。」「じゃあ、別
のことをやろう。」「うまくいきました。」「よかった、よかった。」これで終わり
です。

大事なのは「Do」→「Check」→「Act」という流れを、次の「Plan」に反映させるこ
とです。つまり、杉永が言う「その試合によってさらに成長できるようにやってい
く」ということです。試合をきちんと点検して、改善点を改善して、次の計画に盛り
込む。それを繰り返すことで、上りのらせん階段になっていくわけです。

らせん階段ですから、これもまた、10段を一気に上ることはできません。1段ずつ、
着実に上っていくことで、結果として上へ上へと上がっていくことができるのです。

もちろん、負けることが許されない大学選手権ですから、結果にこだわることも大切
なのですが、毎試合の「Do」を、らせん階段を上るための階段の1つにできるかどう
かはさらに大切なことになってきます。

さあ、帝京はここからまだまだらせん階段を上がります。どこまで上がって行ってく
れるのか。そんなふうに試合を見るのもまた、観戦の楽しみを増やしてくれるのでは
ないでしょうか。


《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。

No8 有馬顕人(1年)
大分雄城台高校出身
身長183cm/体重87kg
「自分の強みはアタックです。ボールを持ってゲインする突破力をアピールしたいで
す。課題としては、セットプレー、およびディフェンスの強化、そしてそのための体
作りに取り組んでいます。帝京大学ラグビー部はいろいろな意味でレベルの高い部なので、学生生活でもラグビーでも自
分自身が成長できるように、真剣に取り組んでいきたいです。早く上のチームに上
がって、少しでもチームに貢献できるように頑張りたいと思います。」

WTB 羽鳥悟史(1年)
東京農業大学第二高校出身
身長173cm/82kg
「ランで突破するところと、ディフェンスでしっかりタックルに入るところが自分の
アピールポイントです。タックルは強みでもありますが、今以上に前に出て強いタッ
クルをするというところは課題でもあるので、しっかり体作りをしていきたいと思っ
ています。また、先輩方からディフェンス面もアタック面も、多くのことを学ぶこと
ができています。最初は、ラグビー面だけでなく生活面でも、自分たち1年生は何も
わからない状態だったのですが、まず先輩方がやってくださるので、それを見て自分
たちのやるべきことも、少しずつですが、わかるようになってきました。これから
しっかり体を作って、ラグビーをもっと勉強して、上のチームで活躍できるようにな
りたいですが、それ以上に人間としても成長していきたいと思っています。」


《NEXT MATCH》
第51回全国大学ラグビー選手権大会・セカンドステージ第1戦
対戦相手未定
12月14日(日) レベルファイブスタジアム
14時キックオフ


第36回関東大学ジュニア選手権・決勝
対明治大学戦
12月6日(土) 秩父宮ラグビー場
12時キックオフ


(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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