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関東大学春季大会A・第2戦 対流通経済大学戦

関東大学春季大会A・第2戦 対流通経済大学戦

2015/05/19

5月17日(日)・百草グラウンド
○帝京大学(2勝0敗)67-12流通経済大学(1勝2敗)●


《帝京大学》
[FW]
(1)徳永⇒浅堀(2)小川⇒中村(3)深村⇒呉(味)(4)飯野(5)金(廉)(6)
イラウア(7)亀井(8)マクカラン⇒秋山⇒上原
[BK]
(9)荒井⇒吉川(10)松田(11)竹山(12)園木⇒矢澤(13)濱野(14)津岡⇒石
垣(15)鎌田

《流通経済大学》※先発のみ
[FW]
(1)古村(2)中村(3)足立(4)鶴田(5)加藤(6)西川(7)花澤(8)大西
[BK]
(9)黒木(10)東郷(11)杉森(12)藤林(13)テアウパ(14)落合(15)八文字

【前半】【得点経過】
【2分】帝5-0流
ラインアウトからモールを押し込み、HO小川が押さえてトライ。

【5分】帝10-0流
SO松田が相手ディフェンスの裏へキック。FLイラウアが追いかけ、拾って前進。止め
られ、ボールがこぼれるも、LO飯野が拾ってトライ。

【13分】帝17-0流
FLイラウアの強烈なタックル。こぼれ球をFL亀井が拾って前進。FLイラウアがさらに
前進し、CTB園木にパス。園木が抜け出してトライ。ゴール成功。

【17分】帝17-7流
相手につながれ、最後は抜かれてトライを奪われる。

【20分】帝24-7流
SH荒井、CTB濱野が前進。ラックからSH荒井-SO松田-WTB竹山と渡り、竹山がトラ
イ。ゴール成功。

【28分】帝24-12流
ターンオーバーからつながれて、トライを奪われる。

【33分】帝29-12流
スクラムからフォワードで連続攻撃。ラックから、SH荒井-CTB園木-WTB竹山と渡
り、竹山がトライ。

【38分】帝36-12流
ラインアウトからモールを押し込み、PR徳永がトライ。ゴール成功。



【後半】【得点経過】
【13分】帝43-12流
ターンオーバーからBKでつないで連続攻撃。SO松田が抜け出してトライ。ゴール成
功。

【16分】帝48-12流
ターンオーバーからBKでつないで連続攻撃。CTB園木が抜け出し、SH荒井にパスし、
荒井がトライ。

【27分】帝55-12流
FW、BKで連続攻撃。ラックからHO中村が持ち出してトライ。ゴール成功。

【31分】帝60-12流
ラックでWTB竹山がターンオーバー。PR呉が抜け出してトライ。

【37分】帝67-12流
相手ボールスクラムを押してターンオーバー。そのまま押し切って、LO飯野が押さえ
てトライ。ゴール成功。



《BRIEF REVIEW》
春季大会第2戦の相手は、昨季リーグ戦の覇者・流通経済大学。だが、特にこの時期
の試合は相手との勝負以上に、自分たちの基準を高くして戦えるかが重要になる。前
半2分にモールを押し切って先制するも、その後はなかなか効果的に前進することが
できず、ターンオーバーから攻められる機会が増える。ディフェンスも、似たパター
ンで突破されるケースがあり、2トライを奪われる。それでも、FW、BKで得点を重
ね、36-12で折り返した。ハーフタイムで岩出監督から「相手の戦い方を見て、それ
に対応する状況判断をしっかりとしよう」とアドバイスがあった。後半はその状況判
断の部分で一人一人の意識が高まり、ターンオーバーされる回数も減り、攻撃の時間
が長くなる。この日は、イラウア、亀井の両FL、さらには途中出場のNo8上原らが鋭
く、激しい動きを見せる。途中出場のSH吉川も素早い球さばきでテンポを変える。結
局、後半は相手を無失点に抑え、67-12で帝京が勝利した。

《AFTER MATCH SAY》
■岩出雅之監督
「今日は、『勝敗以上に個人の成長、チームの進化が大事。それによって結果はつい
てくる。まずはしんどいときに走り、痛いところに入って、いいコミュニケーション
をしよう』と言って送り出しました。また、それにプラスして、状況判断とそれに基
づいた正しい選択をしっかりとすることを期待していました。勝敗だけに価値である
なら今日はいいゲームだったと言えるのかもしれませんが、残念ながら、特に前半は
『選択の間違いはうまくいかないことのスタートになる』という見本のようなゲーム
になりました。ただ、判断力には個人差、経験値の差がどうしても出ます。そこは個
人のレベルアップとともに、チームで学んでいかなければいけないところだと思いま
す。暑さや大勝した後のゲームになったことなど、甘さが出る要因はいろいろありま
したが、そういうときにきちっとできるかどうかは、選手たちに本当の向上心がある
かどうかにかかってきます。かみ合わせがうまくいかないときに、なぜうまくいかな
いのか、どうすればいいのかに自分たちで気付いて、修正していける力を一人一人が
身に付けるのとともに、上級生など経験値の高い選手には、気付かない人に気付かせ
るためのリーダーシップを身に付けてほしいと思います。どの試合でも学ぶことはた
くさんありますが、今日の試合は特に学びの多い試合になったと思います。これを春の財産にして、
この試合で出た課題を次に活かせるようにしてほしいと思います。」

■ゲームキャプテン・HO小川一真(4年)
「今日はゲームキャプテンとして出場したのですが、自分の経験値のなさ、甘さが出
てしまいました。締まらないゲームになってしまい、反省しています。ハーフタイム
に監督からヒントをいただいたのですが、その前に自分が気付いてチームに声を掛け
ていかなければいけないのに、余裕があまりなくて、それができなかったのが締まらない
ゲームになった原因です。自分のプレーとしては、セットプレーは安定していたので
すが、フィールドプレーで相手を見て状況判断するところができませんでした。ここ
からしっかりと自分で考えて、どうすればいいのかをチェックしていきたいです。」


■激しいディフェンスで相手の攻撃を止め続けた・FL亀井亮依(3年)
「チームとしてはやってきたこと、準備してきたことをしっかりと出すことと、その
ためのメンタル、コンディションを整えること、個人としては、昨年から課題として
いるタックル、ディフェンスの精度を上げること、ブレイクダウンでの判断、そして
ハンドリングスキル向上への挑戦を課題として試合に臨みました。自分としてはディ
フェンス面では大きなミスはなかったと思っていますが、ゲームの流れを変えるよう
なタックル、ターンオーバーできるタックルが帝京の7番としてはまだまだだったの
で、そこを伸ばしていきたいです。ハンドリングについては、すぐにはうまくならな
いかもしれませんが、一日一日積み重ねて、上達していきたいと思っています。BKか
らパスをもらうことも少なくないので、そこで力強いプレーができるように、ハンド
リングスキルを向上させていきたいです。」


■ゲームメイク、リーダーシップ向上を誓う・SO松田力也(3年)
「特に前半、自分がSOとして、ゲームメーカーとして、ゲームを作れず、相手に流れ
を渡してしまったところはすごく反省しています。勝つためということもあります
が、相手がどう攻め、どう守ってきているのか、どういう目的でプレーしているのか
を早い段階で自分が気付いて、判断しなければいけないのに、自分の意識の低さ、勝
ちに貪欲になり切れていなかったところが反省点です。自分たちの基準のところで、
自分たちがコントロールし切れなかったところありました。これからまだまだ試合は
続きますが、今日の経験をいかにプラスに変えるかは自分の努力、考え方にかかって
くると思うので、しっかりそこをプラスに変えて、チームを引っ張っていけるよう
に、来週以降の試合に臨んでいきたいと思います。」


■FBとして安定感のあるプレーを見せた・FB鎌田健太郎(3年)
「久しぶりのAチームでの試合でしたが、相手のディフェンスを見てスペースを見つ
けるところや、ブラインドサイドを攻める際のハーフ団とのコミュニケーション不足
など、自分の足りない部分が見つかったので、そこを克服していきたいです。自分に
余裕がないことが問題だと思うので、しっかり余裕を持ってプレーできるように、自
分の気持ちをまず整理整頓してやっていきたいと思います。80分間、Aチームでプ
レーできたことはいい経験ができたと思いますが、これを軸にして、さらにレベル
アップしていきたいと思います。」



《PICK UP PLAYERS》

激しいプレーだけでなく、上級生としての自覚も十分
No8 上原充(3年・ゲームMVP)
UEHARA ATSUSHI


1994年10月11日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
桐蔭学園高校出身
身長175cm/体重85kg

■今日はどんな気持ちで試合に臨んだのでしょうか。
「今日はキャプテン、副キャプテン不在、そして下級生も多い中、自分も上級生の一
員として言葉だけでなく、姿で引っ張ろうと思って試合に臨みました。」

■プレーしてみての感想を聞かせてください。
「体の面などで通じないところもあったのですが、自分の持ち味であるタックルを
しっかりやろうと心掛け、何本かしっかり入れたので、そこはよかったと思いま
す。」

■手応えを得られたのでしょうか。
「いえ、まだまだ自分では満足のいくプレーができなかったので、日々、努力して
もっと成長していきたいです。」

■アタックでも前に出るプレーがありました。
「ありがとうございます。ボールを持ったらしっかり前に出ようと思っていたので、前に出られてよかったです。」

■ゲームMVPは、チームからの評価も高かった証しだと思います。
「素直にうれしいですが、今度はリザーブではなく、スタートから出られるように頑張りたいです。」

■リザーブで、入るタイミングも一定しない中、気持ちの面では難しくはなかったですか。
「いつでも入れるように気持ちの準備はしていたので、それは問題ありませんでした。」

■先ほど、「タックルが持ち味」とのことでしたが、他に強みとしてアピールしたい
部分はありますか。

「高校時代にキャプテンをやっていたこともあってか、監督からは『もっとどんどん
リーダーシップを取っていくように』と言われていました。今、3年生ですが、試合
中は下級生でもリーダーシップを取っていくようにしようと言われているので、リー
ダーシップを特に意識して強みに加えようと思っています。自分が1年生のとき、3、
4年生の先輩方が何もかもやってくださったので、今度は3年生になった自分がまず率
先して行動して、1年生たちに見せ、それを見た彼らがまた上級生になったときに1年
生に姿で示していくという帝京のいい文化につながっていけばと思っています。」

■最後に、次戦以降への意気込みをお願いします。
「Aチームに居続けられるように、さらにはスターディングメンバーとして出られる
ように頑張りたいと思います。」


後半途中からの出場だったが、激しく、かつ安定感のあるプレーを見せた。自身が
「持ち味」を語るタックルだけでなく、ボールキャリアとしても力強さを見せ、かつ
リーダーシップへの意識も高い。「体の面をもっと強くしたい」と語るように、ウエ
イトトレーニングなどでさらに体を大きくしていければ、今以上に活躍してくれるこ
とは間違いない。岩出監督は「まだまだ一発で局面を変えるような力強さは足りない
が、安定感があるので、安心して長い時間任せることができる」と評価する。この日
は諸事情で出場時間が短くなってしまったが、本来は長い時間任せることで力を発揮
するという。今後の成長が楽しみな新星が、また一つ、輝きを放ち始めた。


《COLUMN》

――相手の出方を見て状況判断し、選択するということ――

この日、得点だけを見れば帝京の圧勝でした。しかし、選手たちからはひたすら「反
省のコメント」が続きました。SO松田の口からは誤って「今日の敗因は」などという
言葉が飛び出すほどでした。

その理由は、特に前半、相手のディフェンス、アタックの形を見て、それに対応する
のではなく、自分たちの決めた形にこだわったプレーをし続けてしまったことによる
ものでした。

岩出監督は「じゃんけんで相手がパーを出してきているのがわかっているのに、『俺
たちは得意のグーで勝負するんだ』と言って、グーを出し続けていたようなもの」と
たとえていましたが、まさにそんな状況でした。自陣でこれをやってしまうと、ピン
チになる可能性が高まります。

ハーフタイムにこうしたたとえを交えてヒントを出していましたが、前半の間は「自
分たちで考えなさい」という姿勢を貫きました。「考える練習をずっとやってきてい
るから」(岩出監督)とのことでしたが、この試合は考えるためのいい材料が揃って
いたと言えそうです。

また、岩出監督はこう言いました。

「一人一人がラグビーをきちんと理解して、状況判断ができるように練習しています
し、試合でも学ぶようにしています。しかし、選手の経験値などの差もあり、できる
選手と時間がかかる選手がいますので、そういう状況ではできる選手の中の上級生が
リーダーシップを発揮して、チームに伝えてあげる必要が出てきます。」

ただし、「自分たちのプレーにこだわる」とか「自分たちの強みを前面に出す」こと
を大事にするケースもあります。岩出監督はこう続けます。

「たしかにこれまで、帝京としても、まず自分たちのこういう強みを出していこうと
いう指導をしてきた側面もありました。しかし、その段階からもう一歩進んで、相手
の状況を見ながら、自分たちのどの強みを相手にぶつけていこうかを選択するという
段階に入ったということだと思います。特に春は、相手のデータがほとんどない状態
なので、ゲーム中に判断しなければならないことが多くなります。ゲーム中にいかに
いい判断ができるかが大事になるのです。」

つまり、帝京は、進化の段階として一段上がったということです。じゃんけんの
「グー」の強さで勝負しようとしていた段階から、相手が「パー」を出してきている
なら「チョキ」で勝負しようと考える段階に入ったのです。

ラグビーはじゃんけんのように単純ではないので、相手関係によっては「グー」にこ
だわって勝ち切れる場合もあります。しかし、それは進化の前段階、本当に強い相手
を想定していない段階だったのです。

強みをたくさん持っているチームには、「今日の相手にはどの強みで勝負しようか」
という選択肢がたくさんあります。あとは、正しい選択をするための判断力を養うこ
と、経験の浅い選手が多くいる場合に経験豊富な選手がリーダーシップを発揮して、
チームを同じ方向に向けることです。帝京はそうした段階に入ったわけです。

良薬は口に苦し。今日のような試合での「苦い経験」へ経て、帝京はまた一つ進化
し、成長していきます。


《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。

PR 淺岡俊亮(1年)
京都成章高校出身
身長187cm/体重127kg
「自分のアピールポイントはボールを持った時のアタックです。スクラムは高校では
通用していたことが、大学では通用しないので、そこを徐々に1年間かけて、上級生
と組めるように成長していきたいと思っています。帝京大学ラグビー部は一人一人の
意識が高いです。ラグビーの強さもありますが、キャプテンを中心として高いレベル
の基準を持って取り組んでいて、とてもまとまりのあります。1年間
で自分のスタンダートを上げていって、1年生の最後には先輩方に少しでも追いつけ
るように努力して、ファーストジャージを着られるように頑張りたいと思います。」

WTB 竹山晃暉(1年)
御所実業高校出身
身長175cm/体重80kg
「自分たちの一番の強みは、この帝京大学ラグビー部というすばらしい環境、6連覇して
いるチームでラグビーをさせてもらえていることです。プレー面ではWTBで出たとき
にはフィニッシャーとしてトライを取り切ることを意識していて、そこを強みとして
プレーしようと心掛けています。課題はたくさんありますが、特にディフェンスの強
化、コミュニケーション力、状況判断というところをしっかり克服したいです。1年
生だからという言い訳はせず、選ばれてピッチに立っている者の責任として、また部
のいい文化を自分が上級生になったときに下級生に伝えられるようになるためにも
しっかりやっていきたいです。目標としては、高校時代にできなかった日本一という
最高の景色をぜひ見てみたいということと、自分が4年生のときにV10したいというこ
とはとても意識しているので、長く苦しい道のりだと思いますが、チームに貢献し、
リーダーシップを取って、V10を達成したいです。また、社会人としての力をこの4年
間で身に付け、卒業後、帝京大学OBとして、社会で活躍できる人間になりたいと思っ
ています。」


《NEXT MATCH》
関東大学春季大会A・第3戦
対東海大学戦(http://seagales.com/)
5月24日(日) 百草グラウンド
13時キックオフ


(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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