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名古屋市ラグビー祭 対豊田自動織機シャトルズ戦

名古屋市ラグビー祭 対豊田自動織機シャトルズ戦

2015/06/02

5月31日(日)・瑞穂ラグビー場
○帝京大学38-28豊田自動織機●


《帝京大学》
[FW]
(1)徳永⇒浅堀(2)坂手(3)深村⇒呉(味)(4)金(廉)⇒姫野(5)飯野⇒大
西(6)イラウア⇒山口(7)亀井(8)マクカラン⇒吉田
[BK]
(9)荒井⇒吉川(10)松田(11)竹山(12)園木(13)石垣⇒矢澤(14)津岡⇒飯
山(15)宮崎

《豊田自動織機》※先発のみ
[FW]
(1)浪岡(2)神谷(3)川崎(4)藤井(5)長谷川(6)竹内(7)岡崎(8)バツベ

[BK]
(9)下平(10)片桐(11)松井(12)大橋(13)河合(14)徐(15)山下

【前半】【得点経過】
【9分】帝5-0豊
ラインアウトからモールを押し込み、HO坂手がトライ。

【15分】帝10-0豊
ラインアウトからBKへ展開。WTB竹山が抜け出し、SH荒井-FB宮崎とつないで、宮崎
がトライ。

【33分】帝10-7豊
スクラムからBKに抜け出されて、トライを奪われる。

【37分】帝10-14豊
パスをインターセプトされ、そのまま走られ、トライを奪われる。

【44分】帝10-21豊
ペナルティのクイックリスタートから、つながれてトライを奪われる。


【後半】【得点経過】
【7分】帝17-21豊
ラインアウトから連続攻撃。ラックからSH荒井-SO松田-No8マクカランとつない
で、マクカランがトライ。ゴール成功。

【17分】帝24-21豊
ラインアウトからモールを押す。ラックになるも、LO姫野が持ち出してトライ。ゴー
ル成功。

【26分】帝31-21豊
スクラムからNo8マクカランが持ち出して前進。つかまってラックになるも、さらに
FWで連続攻撃。最後はFLイラウアが持ち出してトライ。ゴール成功。

【31分】帝31-28豊
連続攻撃でつながれて、トライを奪われる。

【35分】帝38-28豊
WTB竹山がナイスセービングでターンオーバー。SO松田につなぎ、松田が抜け出し、
自陣から走り切ってトライ。ゴール成功。


《BRIEF REVIEW》
ここ何年も続けて招待していただいている名古屋市ラグビー祭。対戦相手はトップ
リーグの豊田自動織機シャトルズ。試合開始直後は一進一退。ターンオーバーでピン
チを脱すると、一転して帝京が攻める時間帯となる。9分にはモールを押し込んで、
15分にはBKでつないでトライを奪う。だが、連続トライで安心したか、その後、相手
の猛攻を受け始める。約10分の間に3トライを奪われ、10-21で前半を折り返した。
ハーフタイムに岩出監督から、「もしかしたら、楽をしようとしているのでは?」と
のアドバイスがなされる。「ファイティングスピリットで負けていてはゲームには勝
てない。必死になれば自然といいタックルも出るし、いいアタックも出る」と気持ち
の面で負けているのではないかとの指摘があった。後半はその気持ちのスイッチが
入ったのか、動きが見違えるようによくなる。FLイラウア、No8マクカラン、LO飯
野、LO姫野らFW陣が奮闘すれば、SO松田、CTB園木、CTB石垣、WTB竹山らBK陣も奮
闘。連続トライで逆転に成功する。一時、3点差まで詰められるが、35分、WTB竹山が
すばやい反応でボールを奪うと、SO松田が自陣から走り切るトライで突き放し、38-
28でノーサイド。トップリーグに勝利した。また、このゲームに先立って行われた、
朝日大学と帝京Bとの試合は59-12で帝京Bが勝利した。


《AFTER MATCH SAY》
■岩出雅之監督
「今日は、『1+1=3にしていくのがチームだ』という話をして送り出しました。お
互いの相乗効果、一人ではできないことも人が集まることでできるようになる。そう
いうつながりを持てるようにチームが成長していってほしいということです。話をし
ていきなりそういったチームシナジーが感じられるようにはなりませんが、そうなる
ように一戦一戦、意識して戦ってほしいという思いです。ゲームの中身の方は、激し
いゲームになればなるほど、ちょっとした隙が大きく作用してくるということを体験
できた、いいゲームだったと思います。試合の入りのところは悪くなかったと思いま
すが、先制し、得点を重ねたことで心に隙ができてしまったように見えました。ハー
フタイムでは怒るとか叱るではなく、その部分を冷静に指摘したつもりです。怒られ
て気合いを入れるのではなく、自分たちの力で気合いを入れることができなければ、
本当の意味での気合いは入りませんし、いつまでも他人に頼るチームになってしまう
おそれがあると思います。こうした学びができるのは、厳しいゲームを経験できたと
きだけですが、今日は豊田自動織機シャトルズさんの厳しいプレーのおかげでいい学
びを得ることができました。豊田自動織機の選手、スタッフ、関係者の方々にはあら
ためて感謝を申し上げます。チームは、毎年ここで厳しいゲームをさせていただくこ
とで、大きく成長させていただいていますが、今年もまた、さらに大きく成長してく
れるだろうと思っています。また、その前の試合で戦ってくださった朝日大学さん、
並びに主催者の方々にも感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございまし
た。」

■キャプテン・HO坂手淳史(4年)
「今日はゲームの入りはとてもよかったのですが、そのあとリラックスしすぎたとこ
ろがあり、前半の中盤あたりから相手の攻めに受け身になってしまいました。そこは
反省点です。ハーフタイムに監督から、気持ちの部分の修正点を指摘していただいた

いのですが、そこを自分たちで修正することができればと思いますし、しなければいけないことだと思います。個人のプレーとしては、久しぶりということもあり、まだまだ体が動いていない部分もあったのですが、徐々にラグビー勘を戻して、チームに貢献し、信頼されるプレーをしたいと思います。チームとして
は日本一を目指して練習に取り組んでいますが、まずは目の前のことを一つ一つ大事
にしていかなければいけないですし、そうやって成長して、一歩一歩、目標に近づけ
る努力をしていきたいと思います。今後の試合でも、今日出た反省点であるゲームの
厳しさというものを出していきたいと思います。」


■プレーと声の両面でチームを牽引・LO飯野晃司(3年)
「今日は相手がトップリーグということで、自分の中では気持ちを入れて臨んだつも
りだったのですが、前半、立て続けにトライをされてしまった時間帯がありました。
油断したわけではないのですが、心の隙ができてしまったようです。こうした心の隙
を作らないようにしなければいけないということが学べた試合だったと思います。後
半は、自分たちのやるべきことが明確になって、気持ちの面もしっかりと作ることが
できたと思います。地元愛知でのゲームでしたが、そこはなるべく意識しないで、い
つものようにしっかり元気に走るという自分のやるべきことに集中するように心掛け
ました。今日は坂手さんが帰ってきてくれましたが、声を出してチームを鼓舞すると
いう意識はずっと持ってプレーしているので、そこは継続してやっていきたいです。
このあとの試合でも、やるべきことは、これまでやってきたことをやり切ることだ
と思うので、自分たちの成長のために一戦一戦、戦って行きたいと思います。」


■後半、見違えるような動きで前に出た・CTB園木邦弥(3年)
「トップリーグ相手ということで、接点で負けないことと前半から気持ちで前に出て
いこう、受け身になると前に出られてしまうので、前半から圧倒しようという気持ち
をチームで確認して臨みました。しかし、前半の途中から受け身になってしまったの
で、そこはしっかり修正していきたいです。個人としては、地元ということもあり、
緊張もあって、最初は体の動きもよくなかったのですが、後半はしっかり前も見えて
いましたし、ディフェンスのコミュニケーションもしっかり取れたので、いいイメー
ジでできました。ハーフタイムに監督から気持ちを入れることを指摘していただい
て、後半は硬さも取れてよくなったのですが、そこは前半から自分たちで自立して
やっていかなければいけないことでした。まだまだ自立できていないところがあるの
で、チャレンジしながら、いろいろなことを吸収しながら、この経験をプラスにして
いけるように努力したいと思います。」


《PICK UP PLAYERS》
初心に戻って飛躍への再スタートを切った
LO 姫野和樹(3年)
HIMENO KAZUKI


1994年7月27日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
春日丘高校出身
身長188cm/体重114kg

■久しぶりのゲームでしたが、試合前はどのようなことを考えて臨んだのでしょうか。
「今年の春シーズンは初めてのゲームで、すごく緊張するだろうと思いましたし、し
かも地元開催ということで、自分の気持ちもすごく昂った状態でした。ですが、その
昂った状態を抑えて、一番いい状態に持って行くことを心掛けて試合に臨みま
した。」

■やはり、地元での試合という意識は強かったのでしょうか。
「瑞穂ラグビー場でプレーするのは高校生のとき以来でしたので、すごくなつかしい
思いがありましたし、初心に戻れたような気もします。」

■プレーした手応えはいかがでしたか。
「復帰戦ということもあって、あまり走れていなかったと自分では感じているのです
が、そこは今後、徐々にコンディションを上げていきたいと思います。」

■ケガからの復帰に向けては、どのような気持ちで取り組んでいたのでしょうか。
「新チームになってから、同期の3年生たちが何人も試合に出るようになって、そん
な中、自分もやらなければという思いがありました。こうして、春シーズンの半ばと
いう早い段階で復帰できたのでよかったです。」

■今後への意気込みをお願いします。
「相手がどこであろうと、自分たちがどうかというところが大事なので、
春シーズンに積み上げてきたものを、まずは次の試合で、そしてさらにその次の試合
でも出し切れるようにしていきたいと思います。個人的には、スタートから出られ
るように、もっともっとコンディションを上げていきたいと思います。」


ケガからの復帰戦となったこの試合、地元愛知での開催ということもあり、本人もか
なり気持ちが入っていたようだ。後半からの出場だったが、その気持ちを体現するか
のように激しいプレーを見せる。後半17分には、ラックからすばやく持ち出し、逆転
トライを奪った。「まだまだ走れていない」と語るが、状態は上向き。コンディショ
ンは今後よくなっていくはずだ。上半身のトレーニングは欠かさず、腕や胸まわりの
筋肉はかなり大きくなっている。素質は誰もが認めるところ。瑞穂ラグビー場で「初
心に戻れた」という大器が、大いなる成長への再スタートを切った。


《COLUMN》

――気持ちが本能をコントロールすることでプレーが変わる――

この日はトップリーグの豊田自動織機シャトルズとの試合でしたが、帝京は前半と後
半とでまったく違うチームかと思うほど、プレーの質が変わっていました。実際に
は、ハーフタイムでのメンバーの入替は一人だけでしたから、メンバーが替わったの
ではなく、選手たちの意識が変わったのです。

ハーフタイムで岩出監督は「もしかしたら間違っているかもしれないけれど」と前置
きをした上で、選手たちにこう言いました。

「楽をしようとしているのではないか。だから、厳しさが出ないのではないか。」

こう表現して、がむしゃらさ、必死さが足りないのではないかと指摘されました。

トップリーグ相手ですから、試合前には油断とか慢心などはなかったはずです。しか
し、前半開始15分で2トライを奪ったことで、無意識のうちに「このままのペースで
トライできるのではないか」と感じてしまったのかもしれません。それを感じ取った
岩出監督は、「間違っているかもしれないけれど」と前置きしつつ、選手たちに伝え
ました。

この前置きについて、岩出監督は「あまりストレートに言うと、怒られたとか叱られ
たと感じてしまうかもしれません。怒られたり、叱られたりして気合いが入るのでは
なく、自分たちで気持ちを作っていってほしいのです」と述べられました。

やはり、後半、選手たちの動きがよくなり、連続トライで逆転し、最後まで集中力を
切らさなかったのは、ハーフタイムに気持ちを入れ替え、気合十分で後半に臨んだか
らなのでしょう。

ラグビーは、見事なまでに気持ちがプレーに反映されるスポーツです。痛いスポーツ
なので、気持ちが入っていないと、無意識のうちに痛いことから逃れようとしてしま
いがちなのです。人間は痛いという感覚を本能的に避けるものです。防衛本能とでも
言えるでしょう。その本能が機能しないと命に関わりますから、生命維持にとってと
ても重要な本能であると言えます。
痛さから意識的に逃げているわけではなくても、人間の生命維持の本能がそうさせて
しまうことがあるのです。

しかし、ラグビーというスポーツをやる限り、痛さから逃げ切ることはできません
し、逆に気持ちが入っていない状態で痛いプレーをしてしまうと、ケガをするリスク
が高まってしまいます。

この試合前、おそらく全員、トップリーグ相手ということで気合いはかなり入ってい
たはずです。それでも、2トライを先制したところで、痛いこと、苦しいことに向
かって行く気持ちよりも、それを避けようとする本能が勝り始めます。
極端な話ですが、、そのことに気付かないままプレーを続けてしまうと、
防衛本能、生命維持の本能によって、体の動きも鈍くなってしまいます。

帝京の選手たちはすでに理解していますが、
このときに大事なことは「気づき」です。「いまの自分たちは、防衛本能、生命維持
の本能が勝ってしまっている」と気づいて、痛いこと、苦しいことへ向かう意識を呼
び戻し、本能の方を自身でコントロールしてしまうことです。意識して痛さへ向かう
ことは、集中力も増すので、ケガのリスクも低減させてくれます。もちろん、いいプ
レーも自然に出てきます。

この日のゲームはトップリーグの力を体で感じることができたのと同時に、こうした
気持ちのコントロール法をも学ぶことができた、とても有意義なゲームになりまし
た。


《THE NEW FACE》
ニューフェースたちの声を紹介します。

FL申賢志(1年)
大阪朝鮮高級学校出身
身長176cm/体重93kg

「FLとして低く刺さるタックル、ジャッカルやターンオーバーでチームにチャンスを与えられるようなプレーをすることが長所であり、役割だと思っています。ただ、大学生は高校生とは体や当たりの強さが全然違うので、そのレベルでも通用するように鍛えていって、当たり負けしないタックル、跳ね返されることのないタックルをしたいと思っています。帝京大学は練習面だけでなく、私生活、人間性の部分で皆とてもしっかり取り組んでいて、監督もコーチも上級生も特に人間性の部分を見てくださるので、プレーのうまい下手以上に、人間性を重視している部だと感じています。今後は、その人間性を高めながら、早くAチームにからめるように、そして試合に出ていいプレーができるように頑張ります。」

CTB原口遼雅(1年)
延岡星雲高校出身
身長172cm/体重92kg

「CTBとしては体重がある方だと思うので、その重さを活かした、相手に当たり負けしないプレーが強みだと思っています。逆に課題としては、コミュニケーションの部分があると思っています。チームメイトとしっかりとしゃべってコミュニケーションしないと、試合中、何もできないので、まず声でコミュニケーショ
ンを取ることを意識して取り組んでいます。帝京大学ラグビー部は、入部前はたくさん練習しているのだろうと思っていたのですが、単に練習しているのではなく、頭を使う練習をしていて、常にいろいろなことを考えているチームです。今後の目標としては、Aチームに入って、早くチームに貢献できるようになりたいです。まずは先輩方、上のチームの人たちのプレーをよく見て、自分に足りないものは何かをしっかり考えて、うまい人のプレーを盗んで、体力もつけて、技術も一つ一つ身に付けていけるように努力したいです。」



《NEXT MATCH》
関東大学春季大会A・第4戦
対早稲田大学戦(http://www.wasedarugby.com/)
6月7日(日) 早大上井草グラウンド
13時キックオフ


(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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