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関東大学春季大会A・第5戦(静岡県ラグビーフェスティバル) 対明治大学戦

関東大学春季大会A・第5戦(静岡県ラグビーフェスティバル) 対明治大学戦

2015/06/16

6月14日(日)・静岡県草薙総合運動場球技場
○帝京大学(5勝0敗)47-14明治大学(1勝3敗)●


《帝京大学》
[FW]
(1)徳永⇒浅堀(2)坂手⇒大西(3)深村⇒呉(味)(4)山口⇒姫野(5)飯野⇒
吉田(6)イラウア(7)亀井(8)マクカラン
[BK]
(9)荒井(10)松田⇒中村(良)(11)竹山(12)園木⇒鎌田(13)石垣(14)宮
崎(15)重⇒矢澤

《明治大学》※先発のみ
[FW]
(1)植木(2)中村(3)塚原(4)東(5)小林(6)近藤(7)井上(8)桶谷
[BK]
(9)兵頭(10)忽那(11)林(12)鴇田(13)松浦(14)高橋(15)田村


【前半】【得点経過】
【7分】帝0-7明
ラインアウトからモールを押し込まれ、トライを奪われる。

【13分】帝7-7明
ラインアウトからモールを押し込み、SH吉川-SO松田-FB重と渡り、重が抜け出して
トライ。ゴール成功。

【25分】帝14-7明
ラインアウトからラックに。LO山口が持ち出して、抜け出しトライ。ゴール成功。

【32分】帝14-14明
ラインアウトからモールを押し込まれ、トライを奪われる。

【39分】帝21-14明
ペナルティからクイックリスタートで前進。ラックからPR深村が持ち出してトライ。
ゴール成功。


【後半】【得点経過】
【3分】帝28-14明
ラインアウトからモールを押し込む。HO坂手が抜け出してトライ。ゴール成功。

【14分】帝35-14明
ラックからFB重が持ち出す。抜け出して、重がそのままトライ。ゴール成功。

【23分】帝40-14明
ラインアウトからFWで連続攻撃。ラックからSH吉川-FB重と渡り、重がディフェンス
をかわしてトライ。

【32分】帝47-14明
ラックからSH吉川-No8マクカラン-CTB石垣-WTB竹山と渡り、竹山が走り切ってト
ライ。ゴール成功。


《BRIEF REVIEW》
静岡県草薙総合運動場球技場で行われた春季大会第5戦(最終戦)。相手は明治大学。
開始早々、相手のプレッシャーを受ける。ミスもあり、ゴール前まで運ばれると
ラインアウト・モールで先制点を献上してしまう。だが、帝京は相手の激しいプレーにも
冷静に対応し、我慢をしながら、徐々にペースを取り戻していく。
13分に同点に追いつくと、LO山口のアタックなどで大きく前進し、26分には逆転。
その後、モールで失点し追い付かれるも、前半終了間際にFWが頑張り、突き放す。
21-14で前半を折り返した。ハーフタイムには岩出監督から「クールマインド、
ホットハート。笑顔で、厳しいタックルを出そう」との声が掛かる。
後半は帝京が激しさを取り戻す。3分にモールから加点すると、その後も帝京ペースで進む。
HO坂手、FLイラウア、FL亀井らが激しいタックルで相手を止めれば、LO飯野はドロップアウト
のボールをうまくキャッチして大きく前進する。BKも、この日、Aチームに久しぶりに
戻ったFB重が、抜け出した相手をしっかり止めるタックルを見せれば、WTB竹山は持ち味の
スピードとステップを見せる。急遽、先発となったSH吉川もラックサイドで激しい
プレッシャーを受けながら、80分間、しっかりとボールをさばく。47-14でノーサイド。
帝京が勝利し、春季大会Aを5戦全勝、勝ち点30で終えた。これによって、
他校の結果を待たずして、春季大会Aでの4年連続優勝を決めた。


《AFTER MATCH SAY》
■岩出雅之監督
「今日は『場面に合わせた正しい判断をしていこう』という話をして送り出しました。
特にこの時期は、こちらが『ああしよう』『こうしよう』と言うのではなく、
場面に合ったことを自分たちで判断して、コミュニケーションしてプレーすることを
期待しています。特に前半はうまくいかない時間帯もありましたが、
こうした厳しいゲームを経験できたことはチームにとってたいへん有意義だったと思います。
春季大会は5戦全勝で優勝という結果をいただきましたが、これに満足せず、
秋、冬と皆様にさらにいいプレーをお見せできるよう、精進してまいります。
最後になりましたが、ご招待いただきました静岡県ラグビーフットボール協会ならびに
大会関係者の方々に感謝申し上げます。2019年のワールドカップの会場となる静岡県で、
ラグビーの普及、発展のお手伝いができたとすれば、この上なく光栄です。」

■キャプテン・HO坂手淳史(4年)
「今日は前半、風下ということもありましたが、我慢の時間帯が続きました。
それでも『我慢の時間帯はあるぞ』と話していて、その時間帯に我慢できたことで、
試合の中で修正していけましたし、それによって後半はいい流れになったと思います。
ただ、モールで2本取られたところはFWとして、これからの課題になると思います。
ミスもありましたが、それを引きずらず、次にどうするかに意識を向けることが
できましたし、もちろんミスが起こらないのがベストですが、起こってしまったら
その次にどうするかというところを意識してプレーできたと思います。
自分としては、考えることも増え、その考えと体の動きとをどうマッチさせるかとい
うところがまだまだですが、少しずつよくなってはいるので、今後、夏、秋に向けて、
考えとプレーがもっと一致してくることで自分自身、もっとチームを引っ張って
いけると思います。」


■セットプレーに手応えを得た・PR徳永一斗(4年)
「今日は特にスクラム、ラインアウトとそこからのモール、キックオフといった
セットプレーで絶対に勝つことをFWの目標としてやりました。
キックオフはよかったですし、ラインアウトもしっかりとやれていたのでよかったです。
スクラムは、相手がいろいろ仕掛けてくる中で、自分たちも対応していけましたが、
やり切るところまではいかなかったので、試合の中で修正して、
自分たちがやりたいことがもっとできればよかったです。また、次はブレイクダウンでも
しっかり仕事ができるように頑張りたいです。」


■FWのまとまりを実感している・PR深村亮太(4年)
「スクラムもやるごとによくなっていったので、そこはよかったと思います。
自分たちの形で組めれば大丈夫でした。フィールドプレーも悪くはなかったと思いますが、
特別いいというわけでもなかったので、次はもっといいプレーをしたいです。
FWは去年のメンバーが多く残っていて、彼らはやるべきことがわかっているので、
新しいメンバーにそれを教えて、それによってみんながまとまってきていると思います。
次戦では、まずは今日の反省点である、最初のスクラムで受けてしまわないようにすること、
それにフィールドプレーでもっといいプレーができるように頑張りたいと思います。」


■1番と3番の両立に自信・PR浅堀航平(4年)
「個人的には1番のポジションに今年初めて取り組んでいて、かなり安定させること
ができてきたので、それを3番に戻ったときにもできるようにして、1番、3番と
両立できるようにしていきたいです。FWではいつも『セットプレーで圧倒しよう』と
言っているので、次戦も自分が出たときには最初からセットプレーでどれだけ相手を
圧倒できるかを意識してやっていきたいと思います。」


■Aチーム初先発で80分間プレーした・SH吉川浩貴(1年)
「今日は急遽先発することになったのですが、自分のプレーはまだまだ帝京の9番と
してふさわしくないと感じさせられたゲームでした。具体的には、80分間の集中力が
足りなかったこと、体力面で最後まで自分のフルの力を出し切る体力がなかったこと、
明治大学さんの激しいラックサイドのプレーにストレスを感じる場面もあって、
その気持ちが技術面にも影響してしまったことなどです。ラックサイドで激しく来られても、
強いメンタルでプレーすること、パスのスキル、集中力、体力を向上させていくことに
力を入れてやっていきたいです。ただ、今日9番で出させていただいて、
80分間プレーできたことは、自分としてはとてもいい経験になりましたし、
今後につながる試合になったと思います。次戦にどのような形で出るかはわかりませんが、
とにかくこの一週間、誰かに言われてやるのではなく、自分で何をやるべきかをしっかり
振り返って、アフターチェックをして、自分で考えて行動を起こして行きたいと思います。」



《PICK UP PLAYERS》
メンタル面が改善し、積極的なプレーで活躍
LO 山口健太(3年)
YAMAGUCHI KENTA


1994年8月17日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
東京高校出身
身長185cm/体重98kg

■この試合、どんな気持ちで臨んだのでしょうか。
「今日は久々にAチームでスタートから出られるということで、この春、ずっと取り組んできた
マインドセットの部分で、自分の一番いいパフォーマンスが出せる状態を自分で意識しながら
臨みました。」

■そのマインドセットの部分は、うまくできたのでしょうか。
「いつもはよく『気負いすぎている』と言われるので、自分の中ではとにかくリラックスして
臨もうと思ってやりました。自分としては、けっこういいコンディションで臨めたのではないか
と思っています。」

■実際、いいプレーが出ていたように思いますが、プレーした手応えはいかがですか。
「ありがとうございます。自分のいい面がしっかり出せれば、どこに対しても通用するんだ
という自信が得られました。」

■ディフェンス面ではどうだったでしょうか。
「自分の持ち味はタックルだと思っているので、刺さるタックルをどんどんしていこうと
思ったのですが、前半は刺さるディフェンスができていなかったのが、
今日一番の課題になりました。」

■今日、いいプレーが出せたのは、今までと何か変わったところがあるのでしょうか。
「やはり、マインドセットの部分が一番大きいと思います。Aチームの試合に出ると、
いつも相手に関係なく緊張しすぎてしまい、スタッフ、コーチ陣からもそこをずっと
指摘されていたので、今日はとにかく気負わず、自分の出せるものだけをしっかり出そうと
思っていました。そこがおそらく一番変わったところだと思います。」

■そう思えるようになったのには、何かきっかけのようなものがあったのでしょうか。
「きっかけではないかもしれませんが、フィジカルコーチの加藤慶さんから、
ウエイトトレーニング中でも、グラウンドでもいつも『自分の力を出せ』
と声を掛けていただいたのは大きかったと思います。
自分はいつもビビりすぎていて、何かにつけて『チキン』と言われていたのですが(笑)、
もう絶対にそんなことを言われたくないと思って(笑)、そうやって常に意識するように
なったおかげで最近、変わってきたのかなと思います。」

■メンタルが強くなってきましたね。
「少しずつですが、そうかもしれません。」

■今後への意気込みをお願いします。
「今までは自分の力が『8』だとすると、その『8』をしっかり出し切れるようにしようと
いうことに取り組んできたのですが。それが少しずつ形になってきたので、
次はその『8』の力を『9』にして『10』にしてと、どんどん増やしていけるように、
自力を高めていけるように取り組んでいきたいと思います。」

Aチームでは久しぶりの先発出場となったが、アタックではトライを含めて、大きく前進する
シーンが何度もあり、ディフェンスでも相手の厳しいプレッシャーの中、積極的に体を当て続けた。
好プレーにつながった最大の要因は「マインドセットがうまくいったこと」だと分析する。
これまで緊張しすぎて、気負ってしまうところがあり、自分の力を十分に出し切れない
ところがあったが、メンタル面での成長でリラックスして試合に臨めるようになっている
成長の段階としても新たなステージに移ったようだ。


《COLUMN》

――第一列、スクラムへの自信――

この日の試合、もしファーストスクラムだけを見たとしたら、
「帝京のスクラムは大丈夫なのか?」と思う人がいたとしても仕方がないかもしれません。
マイボールスクラムながら、やや安定せず、最後はペナルティを取られてしまいました。

スクラムは非常に繊細で、緻密な駆け引きがあるので、細かな部分については攻守双方に
それぞれの主張があると思いますが、いずれにしても、プレーで起こった現象だけを
スタンドから見る限り、帝京はマイボールスクラムでペナルティを取られてしまいました。
ですが、PR陣はまったく問題ないと言わんばかりに、冷静にプレーを続けます。

そして、実際、その後はファーストスクラムのようなことはなく、相手のノックオンの
ボールがタッチに出た際には、帝京がスクラムを選択するなど、自信を持ってスクラムを組んでいました。
ハーフタイムにも、相馬朋和コーチからこんな声がかかります。
「大丈夫。自分たちの形で組めるようにきちんと準備して組めば、ちゃんと安定するから」

帝京の第一列は、スクラムにかなりの自信を持っています。
その自信の源を探ろうと話を聞いてみると、いくつかのキーワードが浮かんできました。
PR深村はこう語ります。

「セットアップが早くなっていますね。しっかり準備できて、自分たちの形に早くできるので、
相手よりも早くセットする点は意識しています。」

PR徳永はこう言います。
「ファーストスクラムで相手のことを分析して、その後、自分たちのやりたいことを
やるための対応ができるようになっていると思います。
相手がいろいろ仕掛けてくる中でのオプションが増えているので、
今日も何度かそれが使えるシーンがありました。
自分たちもオプションを用意しておくことで、相手の仕掛けに対して混乱しなくなりました。」

HO坂手はこう言います。
「今日は、相手が今までにされたことのない特殊な組み方をしてきたので、
最初は戸惑うところもありましたが、自分たちが今までやってきたことを思い出して
『こういう対応がある』『こんな対応もある』というふうに、どんどん対応していけました。
そんなに難しく考えることではなかったです。
試合の中で修正できたので、よかったです。」

まとめてみると、「素早い準備」と「対応力」ということになるでしょうか。
まず、自分たちから早く準備することで自分たちのテンポで組めますし、
準備がしっかりできていれば自分たちの形で組みやすくなります。
もう一つの対応力の部分は、相手もいろいろと仕掛けてきて、
こちらの組みたい形では組ませないようにしてきますから、
そういうときにどう対応していくかということです。

「こう来たのならこう対応すればいい」「こっちで来たのならこっちで対応しよう」と、
対応策を持っていることで試合中に自分たちで修正できますし、
一度押されたぐらいでは動揺せず、余裕と自信を持って組むことができます。
そして、その余裕と自信が生まれる最大の源は、「自分たちの形に早くできる」(深村)、
「自分たちのやりたいことをやる」(徳永)、「自分たちが今までやってきたことを思い出して」(坂手)
という、自分たちにとってのベースの部分があるからでしょう。

相馬コーチはスクラムに関して以前からこう語っています。
「技術的なことはいろいろありますが、スクラムは最終的には小手先の技術ではなく、
基本に忠実に真っ直ぐに押すことです。」

基本に忠実に真っ直ぐに押すというところに絶対の自信があるからこそ、
何かあっても冷静にその対応策を考えることができ、実行することができるのです。
常に立ち返るべき基準があるのです。

まだまだ、これから取り組んでいくこともたくさんありますが、
それは伸びしろもまだまだあることを意味しています。
今後の帝京のスクラムの進化に注目です。


《THE NEW FACE》
ニューフェースたちの声を紹介します。

FL呉 季依典(1年)
京都成章高校出身
身長176cm/体重93kg

「高校生の頃からブレイクダウンでの激しいプレーを意識してやっていたので、
大学でもそこを活かしていきたいと思っています。
ただ、ファーストタックラーがタックルしたあとのセカンドのプレーが課題で、
そこの精度と回数を向上させていきたいです。
FLとしてはそこでの仕事量を増やしていかなければと思っています。
帝京大学ラグビー部は一人一人の意識の高さ、
何に対しても力を抜かずにやり切るところがすごいと感じます。
まずは課題としているブレイクダウンでのプレーをしっかりやれるように
もっと運動量を上げていけるようにしたいです。
また、兄(呉味和昌・3年)と同じピッチに立ってAチームの試合に出る
というのが目標なので、実現できるように頑張りたいと思います。」

FL・No8小山 翔也(1年)
新潟工業高校出身
身長176cm/体重93kg

「あまり器用な方ではないのですが、その分、激しいプレーを得意としていて、
高校時代からコンタクトプレーがアピールポイントでした。
ヒットのところ、タックルのところでは誰にも負けないように頑張っています。
課題は体力面で、もっと走れるように努力しています。
また、ラグビーに関する知識がまだまだ足りないので、もっと頭を使って、
考えるプレーができるように知識を身に付けたいと思っています。
帝京大学ラグビー部は先輩方がとてもやさしくて、仕事も先輩方が率先してやられて、
すごく支えていただいていると感じています。
また、皆、頭を使ってラグビーをしています。
今後は、まずAチームに関われるようになること、また、
ただチームにいるだけではなく、何かで貢献したり、
活躍したりできるようになりたいと思います。」



《NEXT MATCH》
招待試合・飯田ラグビーフェスティバル対慶應義塾大学戦(https://www.kurfc.com/)
6月21日(日) 飯田市総合運動場
12時キックオフ

(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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