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2025/11/30【 関東大学対抗戦A 】vs慶應義塾大学 マッチレポート

2025/11/30【 関東大学対抗戦A 】vs慶應義塾大学 マッチレポート

2025/12/02

関東大学対抗戦A 対慶應義塾大学戦

11月30日(日)・熊谷スポーツ文化公園ラグビー場
○帝京大学50-19慶應義塾大学●

《BRIEF REVIEW》

対抗戦最終節の相手は慶應義塾大学。前節での敗戦の悔しさを払拭し、大学選手権へ向け、もう一度、自信と誇りを取り戻すためにも大事な一戦だ。

試合開始直後から帝京が躍動する。FWの強い当たりとBKのすばやい展開で前進する。WTB生田の前進でチャンスを作る。ミスもあるが、積極的な攻めが目立つ。

先制したのは帝京。9分、キックカウンターでSO本橋が前進して連続攻撃。ラックから、SH三田村-FB吉田-FL呉山と渡り、呉山がディフェンスをはじいて前進してトライ(7-0)。

その後、ペナルティなどもあり、ゴール前に攻め込まれる時間帯となる。しかし、しっかりと守って地域を挽回。相手のペナルティからチャンスを作る。18分、ラインアウトから連続攻撃。LOフィシプナが前進。ややパスが乱れてもボールはキープし、連続攻撃は続く。ラックからWTB生田が持ち出し、走り切ってトライ(14-0)。

ペナルティがあり、再度、ゴール前まで攻め込まれる場面となるが、必死のタックル、そしてLO坪根のスティールでピンチを防ぐ。29分、直後のラインアウトから連続攻撃。CTB佐藤(楓)が前進。PR上野、PR森山が前進。ラックから、SH三田村-CTB大町-WTB吉田(有佑)と渡り、吉田がトライ(21-0)。

34分には、クイック・スローインから連続攻撃。FB吉田(琉)が前進。CTB大町からWTB吉田(有佑)へとキックパス。ここは止められるが、さらに連続攻撃。ラックから、SH三田村-FB吉田(琉)-PR上野-SO本橋-WTB吉田(有佑)と渡り、吉田がディフェンス2人をかわしてトライ(26-0)。

ここから帝京のペナルティが重なり、ピンチとなる。全員での必死のタックルが続き、最後はFB吉田(琉)がスティールし、ペナルティをもらす。これをタップキックから蹴り出し、前半を26-0で折り返した。

後半開始直後の帝京もエンジン全開。キックオフから攻め、CTB佐藤(楓)が大きく前進。SH三田村の仕掛けでさらに前進し、チャンスを作る。3分、マイボール・ラインアウトでペナルティのアドバンテージをもらいながらBK展開。SH三田村-CTB大町-SO本橋-WTB生田と渡り、生田が走り切ってトライ(33-0)。

ここから帝京のペナルティが増え、ゴール前まで攻め込まれる。11分、ラインアウトからつながれ、トライを許す(33-7)。

それでも帝京の激しく攻める意識は衰えない。直後の13分、キックカウンターから連続攻撃。ラックから、SH三田村-SO本橋-LO坪根-CTB大町-CTB佐藤(楓)と渡り、佐藤が抜け出し、大きく前進。ディフェンスをはじいて、さらに前進し、WTB吉田(有佑)にパス。吉田からLOフィシプナへと渡り、フィシプナがディフェンスを引きずりながらも前進してトライ(38-7)。

20分にはラインアウトからつながれトライを奪われるが(38-12)、帝京の攻めの意識は衰えない。30分、キックカウンターから連続攻撃。WTB日隈が前進。ラックから、SH三田村-SO本橋-LOフィシプナ-WTB生田と渡り、生田が走り切ってトライ(45-12)。

攻められる場面もあるが、SO髙本の好タックル、CTB佐藤(楓)のスティールで逆にチャンスを作る。39分、ラインアウトから連続攻撃。ラックから、SH山本が仕掛けてFL呉山へとパス。さらにWTB日隈へとつなぎ、日隈が走り切ってトライ(50-12)。

44分、クイック・リスタートからつながれ、トライを奪われるが、ここでノーサイド。50-19で帝京が勝利し、対抗戦を5勝2敗、勝ち点33で終えた。


《COLUMN》
―― チームが一つの絵を見る ――

「チームが一つの絵を見る」。ラグビーではよく言われる言葉です。
相馬監督は囲み取材の場で「チームで一つの絵を見られるようになっていってほしい」と語りました。この言葉を初めて聞く人には、もしかするとややわかりにくい表現かもしれません。

同じ一つの絵を150人の人が見た時、見た絵は同じでも150人の受け止め方は150通りでバラバラです。特に細部に関する記憶、印象、受け止め方はバラバラなはずで、「この絵のこの部分の絵の具の盛り上がり方が…」といったようなところまで細かく見えている人は稀です。

同じ絵を見ているにもかかわらず、人によって見えている部分と見えていない部分があったり、重要だと思っている部分が人によって違っていたりします。これは、その絵を150人に模写させてみるとよくわかります。細かいところまで見ると、間違いなく150通りの異なる絵ができあがっているはずです。

ラグビーについても、「こういうラグビーをやろう」とチーム全員で意思統一を図っても、細かいところまで共通理解がされているわけではありません。細部になればなるほど、むしろバラバラである可能性の方が高いでしょう。

このバラバラのラグビーイメージを、細部に至るまで可能な限り同じにしていく。それができるチームが、自分たちのラグビーができるチームです。そして、そういうチームこそが強いチームなのです。

実際に細部まで正確に同じ絵を同じように見ることは簡単ではありません。しかも、試合に出ているAチームだけではなく、150人超のチーム全員が同じ絵を見ていなければいけません。

ここからはどれだけの人が、どこまで細部にこだわりつつ、同じ絵を同じように見ることができるかが大事になってくるのです。

(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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