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春季オープン戦・第7戦 対サントリーサンゴリアス

春季オープン戦・第7戦 対サントリーサンゴリアス

2011/06/18

日本選手権王者相手に内容のある好ゲームを展開

6月18日(土)・サントリー府中スポーツセンター
●帝京大学 17-59 サントリーサンゴリアス○



《帝京》
1前田(恵)→猿渡、2泉→亀元→泉、3西村→出渕、4小瀧→松永(真)、5マニング→今村、6藤田→杉永→平野、7松永(浩)→天野→伊藤(哲)、8大和田→斉藤→堤、9滑川→塚本→流→天野、10中村(亮)→山崎→中村(有)、11柳→南藤、12南橋→荒井、⑬森田→ゴン、14菅谷→池上、15竹田→小野

《サントリー》※先発のみ
1仲村、2木下、3小川、4田原、5眞壁、6西川、⑦佐々木、8小澤、9柳原、10曽我部、11宮本(賢)、12宮本(啓)、13村田、14大島、15竹本(竜)

春季オープン戦第7戦は、昨シーズンの日本選手権の覇者サントリーサンゴリアスとの対戦。最高峰の相手に対して、これまで積み重ねてきたことをどこまでぶつけられるかが注目された。
ここまでのオープン戦は、持ち前のFWとDF力に加え、攻撃力アップのために、ボールと人を大きく動かし、走り勝つラグビーを模索してきた帝京。そのためには、この試合でもセットプレーやブレイクダウンからの安定した球出しが必須条件だ。しかし、今日の相手はトップリーグでも最高レベルのチーム。そうやすやすと安定した球出しを継続させてはもらえないだろう。だとすれば、まずはディフェンス。そして、数少ないチャンスをいかにものにするか。この2点が帝京にとっての重要なポイントとなるはずだ。

【前半戦】
開始早々、怒涛の攻めを見せるサントリー。しかし、今日の帝京のディフェンスには安定感が感じられる。前節でAチームデビューを果たしたFL松永浩、HO泉、PR西村らのFW陣、BKもSH滑川、WTB菅谷を中心に、まず、前に出るタックルでしっかりと止める。さらに2人目の寄りも素早い。一方サントリーの集まりも早く、ターンオーバーには至らないが、前で止めるディフェンスができているので守りながらも前進できている。
「2人目、3人目のディフェンスの練習もたくさんしてきましたが、一番はやはりファーストタックラーの精度。最初のタックルがまずまずよくできていたので、2人目、3人目が仕事をすることができました」(CTB森田佳寿:4年)。緊張感のある試合展開が続く 。
折からの雨でスリッピーなグラウンド状態の中、互いにつばぜり合いを見せる両チーム。帝京はさらにPR前田(恵)、泉、LOマニング、松永浩らFW陣が好タックルを連発すれば、BKも負けじとCTB南橋、CTB森田、菅谷らがしっかりと体を当てる。常に複数の人数で止めながらも、相手もラックに人数をかけざるを得ないことと、帝京の早いリポジションによってディフェンスラインは乱れない。
「タックルはやはり今年の課題でもあるので、今まで以上にタックルとブレイクダウンはしっかりやっていこうと意識して臨みました。まだまだですが、トップリーグ相手にある程度止められたことは自信になりました」(PR西村尚紀:4年)。選手たちの表情はイキイキと感じとられる。





耐える時間帯をしのぐと、今度は帝京にチャンスはいきなりやって来る。FWの献身的な走りで徐々に陣地を進めると、滑川、SO中村亮らの冷静なゲームメイクもあり13分、ゴール前ラインアウトを得る。そして、しっかりとモールを形成し、そのまま押し込みトライ。先制点を奪う(5-0)。
この日も密集で力を見せたNo8大和田立が振り返る。「前半15分過ぎくらいまでは自分たちのペースで、ファーストトライも取れて、非常に流れもよかったですね。自分としてもU-20で走るラグビーを経験したこともあり、去年と比べてだいぶ走れるようになってきました」

その後も臆することなく戦いを挑む帝京。スクラムを中心としたセットプレーやDFでも大崩れすることなく、時計は時間を刻む。途中13人で戦わなければならない時間帯もあり4トライを許すも、緊張感を保ったまま5-26で前半を終了することとなった。





【後半戦】
後半、帝京はメンバーを一新。1年生も多く、若いメンバーが中心となる。チームとしては元より、彼らがどこまでアピールできるかにも注目だ。前半同様、相手の圧力、展開力は承知の上。サントリーも後半はLO眞壁、篠塚、SOヒューイット、FB長友らを中心にさらに攻め込んでくるはず。本物の圧力を経験し、その中でも自分たちのよさをいかに出していくかをテーマとしたいところだ。
だが、後半は先に出合い頭のトライを献上してしまう。相手WTB成田に個人技で抜かれ、ノーホイッスルトライを許してしまう。その後も耐える時間帯が続く。FL天野、CTB荒井ら個々のタックルはしっかりと入るが、個人技で抜かれるシーンが続き失点を重ねてしまう。





それでも気落ちせず、アタック面で輝きを見せる帝京。ここ数試合、冷静なゲームメイクを見せるルーキーSO山崎から、パスを受けた荒井が抜け出しチャンスを広げる。さらにテンポのいいボール出しでのBK展開から、この日も快足を見せたWTB池上が大きくゲイン。チャンスを作ると、ゴール前ラインアウトからのサインプレーでFL杉永がトライ(10-45)。
「アタックに関しては自分のよさを出せたところがありました。ただ、状況判断が全体的によくなくて孤立してしまったシーンもあったので、そこは反省です」(SO山崎雄希:1年)。だが流れは悪くない。チームのアクセントとなった同じく1年生のSH塚本奨平も振り返る。
「FWがしっかり走っていいボールを出してくれていたので、自分の持 ち味であるテンポのいい球出しができました。今後はパスの精度、ディフェンス、状況判断のレベルを上げていきたいです」





その後も相手の個人技で失点を許すが、最後まであきらめない者にはチャンスが訪れる。ノーサイド直前に見せ場がやって来た。帝京はBKの連続展開後、パスミスでチャンスを逃したかに見えたが、必死で奪い返し、再びつなぎにかかる。するとこの試合戻りのDFでも奮闘した池上が縦勝負に出る!相手のディフェンスを振り切り、そのままトライ。最後まであきらめない気持ちが生んだトライであった。
結局、前後半合計3トライを奪い、またDFでも100点満点とはいかずも、ある程度の手ごたえを残し、オープン戦7戦目を終えることとなった。
 
■全体を振り返ると、特に前半のディフェンスに関しては今季のチームのベースとなり得る内容のものではなかったかと思われる。途中人数が2人少なくなる状況ながら、個々のディフェンスは総じて揺るがなかった。「少ないチャンスをものにする」という部分も、モールを押し込んでの先制トライである程度実証できた。得点差は開いたが、社会人王者相手に十分評価できる内容だった。
後半の失点は相手の外国人選手や日本代表クラスによる個人技が主なもの。もちろん反省点はあろうが、若い選手編成で臨んだことを加味しても十分な及第点といえるのではないか。むしろ、アタック面でBK展開からチャンスを作り、2トライした点は帝京が取り組んでいる得点力強化の成果の一端を見せてくれるものだった。特に、猿渡・出渕といったPR陣が社会人のスクラムを経験できたことに加え、前出のHB団プラスFL平野、杉永ら1年生たちの光るプレーは、今後の大きな成長を期待させた。
敢えていうのであれば、チームとしてペナルティでシンビンを取られてしまった部分には気をつけたい。今後、本当の勝負どころで起これば大きな痛手にもなりかねない。レフリーから注意があれば、1人1人が意識して気をつけるようにしていきたいところだろう。
FWの走る意識も高く、今後さらに持久力の強化が期待できる。それによって、ボールと人を動かして、相手と状況によっては走り勝つラグビーへの進化も可能となるだろう。今日のゲームはその進化へと加速するターニングポイントになるかもしれない。

《試合後のインタビュー》

■岩出雅之監督
「まずは、この時期にサントリーさんというすばらしいチームと試合ができたことに感謝したいと思います。今日に関しては、いいところも出たし、甘いところも出たという試合でした。トップリーグのチームのうまさ、厳しさに対して、どれだけチャレンジできるかという試合でしたが、学生たちは一生懸命タックルに行っていましたから、タックル面では少しは自信を持ったのではないでしょうか。
ただ、タックルに行ったから満足というのではなく、きちっとした連携プレーを確認しなければいけないところもあったので、そうした部分は少し厳しく見直して行こうと思っています。チームとしては劇的に進化するときもありますし、停滞を我慢強く耐えながら少しずつ伸びていくときもあります。そういう意味でも、もう1、2か月くらいほしい春シーズンですが、次週のゲームが春の締めくくりになります。ここまでの学生たちの頑張りを評価しつつ、気を引き締め直し、ここまで積み上げてきたものをしっかりと出しきって春を締めくくり、夏シーズンへと臨みたいと思います」

■キャプテン・森田佳寿(4年)
「この春シーズンをとおして取り組んでいるアタック力、得点力のアップというところにこだわりはありましたが、今日のゲームに関しては相手がトップリーグのチームということもあって、タックルとブレイクダウンで体を張り、引かずにチャレンジし続けることを意識して臨みました。
点差は開いてしまいましたが、先週までの試合に比べると、一人一人、自分が行くという気持ちが出たタックルがたくさんありましたし、リポジションに関してもしっかりできていたと思うので、そういう意味ではいい収穫だったと思います。次戦では春シーズンの集大成として自分たちのいい形を出せるゲーム、また夏、秋へとつながるような気持ちの入ったゲームをしたいです」

《PICK UP PLAYERS》

FL 藤田哲啓(3年)



FUJITA AKIHIRO
1990年7月31日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
青森北高校出身
身長175cm/体重93㎏/血液型B型

■今日はどんなテーマで臨んだのでしょうか。
「FWとしてはまだ去年のFWに追い付いていないので、自分が引っ張っていけたらということと、相手に突き刺さるようなタックルで流れを作っていけたらと思って臨みました」

■実際にやってみてどうでしたか。
「ディフェンスはみんな気合いが入っていて、ファーストタックル、セカンドタックルともによく行けていたので、その点はよかったと思います。最初の入りのところで、もっとFWが圧力をかけられていたらよかったのですが。あとはセットプレーをもう少し安定させてBKにいいボールを出せていれば、帝京のテンポでいいアタックができたと思います」

■サントリーの印象はどうでしたか。
「順目順目にしっかり走ってくるチームだったので、自分たちも負けないようにサントリーさんについていってディフェンスできたのはよかったと思います。ただ、走ることに関してはサントリーさんの方が優っていたと思うので、そこは課題だと思いました」

■今年のFWはまだまだ去年のFWに追い付いていないという話でしたが、特に第3列は去年のとても強力な3人に追い付かなければなりませんね。
「頑張らないといけないと思いますが、それでも追い付いていかないといけないですから。第3列は人数も多いので、個人個人が切磋琢磨して、去年の第3列を超えられるように頑張りたいと思っています」

■人数が多いということはポジション争いが激しいということになりますね。
「若手に元気なのがたくさんいますが、そこは上級生としての意地とプライドを持って頑張っていきたいです」

■自身の一番得意なプレーはどんなプレーですか。
「FLとしては、本当はファーストタックルと言いたいところなのですが、自分はセカンドプレー、相手のボールを奪うプレーが得意なので、そこをアピールしていきたいです」

■今後の抱負を聞かせてください。
「FWとしては敵陣の22m内に入ったらしっかりトライを取り切れるようにしたいです。個人としてはもっとFLらしいプレーをしていきたいです。ラインディフェンスでBKとしっかりコミュニケーションして、相手のアタックを許さないタックルをするとか、セカンドプレーのジャッカルでマイボールにするとか、ディフェンス面でテンポよくプレーして、去年の第3列に追い付ける仕事量をしていきたいです」
ポジション争いの熾烈な第3列。そこにまた新たな有力候補が登場した。今季初のAチーム、しかもトップリーグ相手ながら、積極的なディフェンスで体を張り続けた。ディフェンス力のみならず、攻撃での突破力もある。「仕事量」という言葉が出てくるあたり、FLとしての自覚も十分。今後の努力と経験次第で、レギュラー争いを混沌とさせうる存在だ。

《NEXT MATCH PREVIEW》

【6月26日(日)VS法政大学 百草グラウンド キックオフ時間は調整中】
春季オープン戦の締めくくりは、対法政大学戦。昨年度はリーグ戦7位と不本意な結果に終わった相手だが、大学選手権の常連校ゆえ、けっして侮れない。この春には好調を告げられる筑波大にも勝利している。帝京としてはここまで取り組んできたことのすべてをぶつけ、いい形で夏へのステップにつなげたい。

(文/木村俊太、写真/川本聖哉)

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