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関東大学対抗戦A 対早稲田大学戦

関東大学対抗戦A 対早稲田大学戦

2016/11/08

11月6日(日)・秩父宮ラグビー場

○帝京大学(5勝)75-3早稲田大学(4勝1敗)●

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《帝京大学》

[FW]

(1)西⇒平井(2)堀越(3)垣本⇒淺岡⇒竹井(4)飯野(5)姫野⇒金(嶺)(6)ロガヴァトゥ⇒今村(7)亀井(8)マクカラン⇒本郷

[BK]

(9)小畑(10)松田(11)竹山(12)金村(13)元田⇒重(14)吉田(15)尾崎



《早稲田大学》※先発のみ

[FW]

(1)鶴川(2)貝塚(3)千葉(4)山口(5)桑野(6)加藤(7)佐藤(8)宮里

[BK]

(9)齋藤(10)岸岡(11)桑山(12)中野(13)宇野(14)本田(15)梅津



【前半】【得点経過】

【1分】帝0-3早

PGを決められる。



【2分】帝7-3早

こぼれ球をPR西がセービングしてキープし、連続攻撃。ラックから、SH小畑-SO松田-LO飯野-FB尾崎と渡り、尾崎が抜け出し、走り切ってトライ。ゴール成功。



【6分】帝14-3早

キックカウンターから連続攻撃。ラックから、SH小畑-SO松田-LO姫野-CTB金村-No8マクカラン-WTB竹山と渡り、竹山が抜け出し、走り切ってトライ。ゴール成功。



【16分】帝21-3早

スクラムからNo8マクカランが持ち出し、そのまま前進してトライ。ゴール成功。



【19分】帝28-3早

ラックでHO堀越がうまく足にからめてターンオーバー。LO姫野-SO松田-CTB金村と渡り、金村が抜け出してトライ。ゴール成功。



【37分】帝35-3早

ラインアウトから連続攻撃。ラックから、SH小畑-SO松田-FB尾崎と渡り、尾崎が前進。タックルされるも、起き上がって、再度、走る。尾崎が走り切ってトライ。ゴール成功。





【後半】【得点経過】

【4分】帝42-3早

相手のこぼしたボールをNo8マクカランが拾って、大きく前進。WTB竹山にパスし、竹山がトライ。ゴール成功。



【10分】帝49-3早

スクラムから連続攻撃。ラックから、SH小畑-SO松田-FB尾崎-LO姫野と渡り、姫野が相手ディフェンスを弾き飛ばしながら前進し、トライ。ゴール成功。



【19分】帝56-3早

ペナルティでSO松田がクイック・リスタート。松田から、FB尾崎-CTB重-WTB竹山と渡り、竹山が走り切ってトライ。ゴール成功。



【31分】帝61-3早

ペナルティでのクリック・リスタートから連続攻撃。ラックから、LO飯野-CTB金村-CTB重-WTB竹山と渡り、竹山が抜け出し、トライ。



【35分】帝68-3早

HO堀越が大きく前進。ラックからSH末-SO松田-FB重-WTB竹山-CTB金村と渡り、金村が抜け出してトライ。ゴール成功。



【40分】帝75-3早

ペナルティでのクイック・リスタートから連続攻撃。ラックから、SH末-SO松田-FB重-FL亀井-CTB本郷と渡り、本郷が抜け出してトライ。ゴール成功。


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《BRIEF REVIEW》



対抗戦第5戦の相手は早稲田大学。開始早々、ペナルティゴールで先制点を許すが、これで帝京にスイッチが入る。キックオフからのボールがこぼれたと見るや、LO飯野がセービングで飛び込みキープ。一度、奪われるも、さらにこぼれたボールをPR西がセービングして獲得。これを起点に展開し、FB尾崎が抜け出して逆転トライ。6分にはキックカウンターからWTB竹山のトライで突き放した。その後、攻め込まれる時間帯もあるが、ゴール前のディフェンスでPR西、LO姫野らがボールに絡み、相手のノットリリースザボールを誘ってピンチを切り抜ける。16分にファーストスクラム。夏合宿での練習試合ではスクラムで押し込まれ、苦い思いを経験したが、このシーンではスクラムを起点にNo8マクカランが持ち出してそのままトライ。この日のスクラムは、毎回、ラグビー本来のボール争奪戦の様相を呈した。帝京は相手の押しにもしっかりと耐え、スタンドも大いに沸く、見応えのある攻防となった。前半終了間際にも守る時間帯があったが、しっかりと守り切り、35-3で前半を折り返した。後半は、4分にNo8マクカランがこぼれ球を拾って、大きく前進し、WTB竹山へとつないでトライを奪う。10分にはLO姫野が強さを活かしてトライ。その後、相手に疲れが見え始めると、ペナルティでのクイック・リスタートからの攻撃でトライを重ねる。攻め込まれるシーンもあるものの、チームディフェンスでしっかりと防ぐ。ロスタイムには、CTB本郷が対抗戦初トライを決め、75-3でノーサイド。帝京は対抗戦5連勝となった。

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《POST MATCH INTERVIEW》



■岩出雅之監督

「今日、早稲田大学さんは、夏合宿での練習試合や対抗戦での様子などから、しっかりとしたものを作り上げて臨んでくるだろうと思っていましたので、私たちも気合を入れて臨みました。前の試合でスクラムが少しよくなかったところがありましたし、早稲田大学さんもスクラムに力を入れておられるようでしたので、この2週間は今までになくスクラム練習に時間を使い、学生たちも意欲的に取り組んでくれました。まだまだ強くなってほしいと思っていますが、この試合についてはいい成果が出たのかなと思っています。細かなことを言えば、アタックではボールを動かしたところがいい形でつながりました。ディフェンス面でタックルがもう少し厳しく行ってくれればよかったかなと思っています。今日はよかった面が数多く出ましたが、さらにレベルアップを目指し厳しいところに向かって頑張ってくれるかを期待したいと思います。前回の慶應義塾大学さん、今日の早稲田大学さん、そして次の明治大学さんとの試合ですばらしいのは、お互いに本気になれるというところだと思います。精神的にも成長途上の学生たちが本気になれる機会というのは、そう多くはありません。このような、対戦相手から多くを学ばせていただけるゲームができることはとても大切な大学ラグビーの魅力の一つです。今日は本気でチームを変革しようとされている早稲田大学さんに対して、われわれもそれをリスペクトし、本気で挑んだつもりです。次戦も、スタンドのファンの方々に大学ラグビーの魅力を感じてもらえるような、そして自分たちのプライドを示せるようなゲームができるように、2週間、学生たちを見守っていきたいと思います。」

■キャプテン・FL亀井亮依(4年)

「夏合宿での早稲田大学さんとの練習試合ではスクラム、ブレイクダウンでプレッシャーをかけられましたので、今日はコンタクトプレーで厳しく前に出て、プレッシャーをかけていこうと言って、試合に臨みました。夏合宿では、ラグビーの芯の部分で自分たちが積み上げてきたものをすべて押し返された感じがして、とても苦い経験をさせていただきました。その悔しさがあったからこそ、今日は絶対にコンタクトプレーで厳しく行こうという気持ちが強く出せたと思います。ただ、ブレイクダウンではしっかり前に出られたと思いますが、自分のタックルミスでラインブレイクを許したシーンもあり、相手を勢いづかせてしまったので、もっとタックルをしっかり厳しくやっていけるように修正して、次の試合に臨みたいと思います。」
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■接点で圧力をかけ続けた・LO姫野和樹(4年)

「今日は今シーズンの対抗戦初先発だったので、少し緊張もありましたが、自分は何をすべきなのかを明確にして臨むことができたので、自分のやるべきことはできたかなと思っています。ですが、タックルで課題が出ましたので、そこはもう一度、見つめ直して、次の試合に向けていい準備をしたいです。トライシーンについては、ボールを持ったら走るというのが僕の強みなので、その強みを活かしてボールキャリーしようと思って、思い切って前に出ました。次戦も、自分のやるべきことをまず明確にして試合に臨みたいと思います。明治大学さんも激しく来ると思うので、その激しさに負けないための準備をしっかりやって臨みたいと思います。」
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■早い時間帯での逆転トライでチームに落ち着きを取り戻した・FB尾崎晟也(3年)

「今日のゲームはチームにとって、ラグビーの芯のプレー、タックル、ブレイクダウンの激しさにフォーカスを置いて臨みました。自分としてはケガからの復帰戦で、今シーズン初の対抗戦ということもあり、少し緊張感もありましたが、ファーストジャージを着て試合に出る責任など、独特の緊張感を久々に感じることができ、いい精神状態の中でゲームに臨めたと思います。ゲーム内容としては、その芯の部分をしっかりぶつけることができたのではないかと思っています。前半最初の逆転トライは、相手のディフェンスが少し寄っていたのが見えたので、思い切って行きました。チャンスがあれば常に狙っていこうと思ってプレーしていますが、逆転トライという最高の形につなげられてよかったです。次戦までの2週間、もう一度、これまでやってきたことを確認し、また、新しいことにも挑戦して、しっかりと積み上げ、スタンダードを高くしてやっていきたいと思います。
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《PICK UP PLAYERS》

FWもBKもできる超ユーティリティ・プレーヤーへと進化

WTB 吉田 杏(3年)

YOSHIDA KYO

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1995年6月30日生まれ

医療技術学部スポーツ医療学科

大阪桐蔭高校出身

身長187cm/体重107kg



■前の試合でも途中からWTBに入りましたが、今日はWTBで先発出場でした。

「前の試合ではメンバー構成上、やむを得ずWTBに入ったと思っていたのですが、今日は先発でした。」



■練習でもWTBをやっていたんですね。

「はい。もちろんやっていました。でも、いざというときの保険のようなものかと思っていたので、まさかの先発でした(笑)。」



■どんな気持ちで試合に臨みましたか。

「不安もありましたが、やることはFWとそれほど変わらないと思って、自分の強みであるランとボールキャリーをしっかりやり、ディフェンスも横とのコミュニケーションを取った上でタックルしていこうと思って試合に臨みました。」



■やってみての手応えはいかがですか。

「FWと違う部分もありましたが、CTB陣とコミュニケーションしてディフェンスできたので、そこはよかったです。



■あらためて、試合全体を総括していただけますか。

「個人的には、ボールタッチが少なかったと思いますが、BKとして新鮮な気持ちでプレーできました。難しかったキック処理やディフェンスでのコミュニケーションも、ゲームの中でできたのでよかったです。次はもっと多くボールタッチできるように、バックスリーでコミュニケーションを取っていきたいです。」



■WTBはもともとボールタッチがそれほど多くないポジションでもありますが。

「そうなのですが、もっと自分が積極的にもらいにいくようにしたいです。」



■後半途中からFWに戻りました。切り替えもたいへんだったのではないでしょうか。

「いえ、慣れたポジションに戻っただけなので、切り替えは大丈夫でした。FW第三列はWTBとのコミュニケーションを取る場面も多いのですが、逆の立場を経験できたことで、FWに戻ったときにWTBの気持ちがよくわかるようになりました。」



■次戦への意気込みをお願いします。

「FWでもBKでも、自分のやることは変わらないと思っています。アタックではコンタクトで激しく行くこと、ディフェンスではタックルを激しく行くこと。WTBとしては、相手がスピードランナーのときには少し不安もありますが、そこはラインでコミュニケーションを取って、チームディフェンスをしていけば抜かれることはないと思うので、BKとしてのディフェンスをしっかり練習していきたいと思います。」





もともとFW第三列だったが、前回の慶應義塾大学戦の途中からWTBの位置に入った。その試合では、BK展開から最後にパスを受け、トライも決めた。この日はWTBで先発。BKの仕事をそつなくこなした。岩出監督は記者会見でWTB吉田の意図を問われ「Make a difference」(「違いを生じさせる」、転じて「力を発揮する」の意味も)「慣れてきたら、もっとおもしろみが出てくるだろう」と答えている。チームとしての機能を考えての起用とのことだが、本人が「FWとしてWTBとディフェンスでのコミュニケーションを取るときに、WTBの気持ちがわかるようになりました」と述べているように、その成果はすでに出始めている。超ユーティリティ・プレーヤーとしての大いなる進化が始まろうとしている。

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《COLUMN》

――セービング――



この日のゲーム、開始早々にPGで先制点を取られましたが、その直後、こぼれ球に滑り込みながら体を預けてボールをキープする「セービング」を二度続けてボールを奪い、逆転トライにつなげたシーンがありました。失点後、すぐに逆転したことでチームは落ち着き、その後も優位に試合を続けることができました。



その意味では、この日は「セービング」が試合の流れを決めた、と言ってもいいかもしれません。



対戦相手の早稲田大学・山下大悟監督は記者会見で「こぼれ球を全部、帝京大学に拾われていた印象があります。局面局面での、帝京さんの執念を感じました」と述べています。帝京の、こぼれ球への体を張った働きかけは、敵将をもうならせるものだったようです。



実はこの「セービング」には、ちょっとした裏話があります。



夏合宿での早稲田大学との練習試合の直後、岩出監督はAチームのメンバーを集めて、檄を飛ばしました。その内容は、「得点差が小さかった(47-22)」ことでも「スクラムを押し込まれた」ことでも「タックルが甘かった」ことでもなく、「セービング」についてでした。



後半のロスタイム、相手はインゴールにキックを蹴り込みました。両チームの選手がインゴールのボール目がけて走ります。帝京の選手が先にボールに触れたかに見えましたが、グラウンディングが不十分とみなされ、後から追いついた相手のトライが認められました。グラウンディングが認められなかった選手は、不満げな表情を見せます。これについて、岩出監督は檄を飛ばしたのです。



「大学選手権の決勝、ロスタイム、トライを取られたら逆転負けを喫する場面でも、あのプレーをするのかい? そして、相手のトライが認められたことに対して、レフェリーに不満を示すのかい? そんなことには何の意味もない。何を言おうと、そのプレーで負けるんだ。でも、あのトライは、頭からセービングしていれば何の問題もなく防げた。それができなかったのは気持ちの問題ではないか?」



そして、「セービングは頭から行くんだ」と言って、岩出監督自らボールに飛び込み、セービングのお手本を見せたのです。



その後、岩出監督は「何十年か振りにセービングをしてしまった」と言って笑いましたが、自らの体を張って、何度もセービングのお手本を見せる岩出監督に、選手たちも強い思いを感じたに違いありません。



亀井キャプテンは記者会見で「夏合宿での悔しい経験が、確実に自分たちを強くしている」と語りました。多くの人は「悔しい経験」を「スクラムで押し込まれた経験」と読み替えたはずですが、実は選手たちはそれ以外にもいろいろな「悔しい経験」を糧にして成長しているのです。

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《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。



FB 伊藤匠(1年)

高岡第一高校出身

身長170cm/体重82kg



「自分の強みはランです。足はそれほど速くはないのですが、ギャップに走り込むプレー、開いているコースを見つけて、裏のスペースに出るプレーを得意としています。課題としてはキックとタックルと体力づくりに取り組んでいます。キックは高校時代も蹴っていましたが、レベルが全然違うので、先輩方に教えてもらいながら練習しています。帝京大学ラグビー部は先輩がとても優しいです。1年生にとっては慣れない環境ですが、先輩方がとても優しいので、ラグビーでも寮生活の面でもとてものびのびとやらせていただいています。早く上のチームに上がりたいと思っていますが、そのためにも一つ一つ課題を克服して、一歩一歩上がっていきたいと思います。」





SO・CTB 本郷泰司(1年)

京都成章高校出身

身長180cm/体重90kg

「自分の強みはディフェンス、タックルです。あとは、パス、ラン、キックといろいろできるところが強みだと考えています。タックルは得意なのですが、春、夏とずっとケガからのリハビリが続いたことでまだ以前のようなタックルに戻っていないので、早く戻して誰にも当たり負けしない強いタックルをしていけるように取り組んでいます。帝京大学ラグビー部は、練習に対して常に頭を使って考えてやっているところがすごいです。また、練習に対する一人一人の集中力、意識の高さを感じます。対抗戦、大学選手権、日本選手権で、チームに貢献できるように頑張っていきます。」



LO 本山尊(1年)

大分東明高校出身

身長192cm/体重100kg

「自分の強みは身長を活かしたラインアウトでのプレーやキックオフキャッチです。ただ、身長が高い分、低いタックルがまだうまくできないので、タックルの練習に力を入れて取り組んでいます。帝京大学ラグビー部は、掃除の取り組みなどについて、高校時代からテレビで見たりしていたのですが、時間を設けて寮の掃除をしたり、寮周辺の清掃活動をするといったところは、思っていた以上にしっかりとやっていてすごいと思いました。今後は、自分の課題であるタックルをもっと磨いて、『タックルがいい選手』と言われるようになって、どんどん上のチームで貢献できるようにしていきたいと思います。」

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《NEXT MATCH》

関東大学対抗戦A

対明治大学(http://www.meijirugby.jp/)

11月20日(日) 秩父宮ラグビー場

14時キックオフ



過去の対戦成績:関東大学対抗戦11勝27敗(大学選手権2勝0敗)

[明治大学の直近5戦]

9月11日 〇79-0日本体育大学(関東大学対抗戦A)

9月25日 ○60-5青山学院大学(関東大学対抗戦A)

10月16日 〇48-28筑波大学(関東大学対抗戦A)

10月23日 ○70-0成蹊大学(関東大学対抗戦A)

11月6日 ○31-29慶應義塾大学(関東大学対抗戦A)

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(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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