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関東大学対抗戦A 対筑波大学戦

関東大学対抗戦A 対筑波大学戦

2016/12/05

12月3日(土)・秩父宮ラグビー場

○帝京大学(7勝)29-24筑波大学(3勝4敗)●



《帝京大学》

[FW]

(1)西⇒岡本(2)堀越⇒呉(季)(3)垣本⇒平井(4)金(廉)⇒元田(5)金(嶺)⇒藤田(6)飯野(7)亀井(亮)(8)古田

[BK]

(9)小畑(10)松田(11)竹山(12)金村⇒今村(13)矢富(14)吉田(15)尾崎



《筑波大学》※先発のみ

[FW]

(1)河村(2)大西(3)崔(4)渡邉(5)永井(6)中村(7)占部(8)土谷

[BK]

(9)杉山(10)山田(11)高屋(12)野中(13)鈴木(14)亀山(15)忽那



【前半】【得点経過】

【28分】帝0-5筑

ラインアウトからモールを押し込まれ、トライを奪われる。



【34分】帝7-5筑

ラインアウトからFWで連続攻撃。ラックからSH小畑-SO松田と渡り、松田が逆サイドに大きくキック。WTB竹山が拾って前進。ラックになるも、SH小畑-CTB矢富と渡り、矢富が抜け出してトライ。ゴール成功。



【38分】帝7-12筑

ラインアウトから展開されて、抜け出され、トライを奪われる。



【42分】帝14-12筑

相手ボールのスクラムでターンオーバーして、連続攻撃。ラックからLO金(嶺)が持ち出し、押さえてトライ。ゴール成功。





【後半】【得点経過】

【4分】帝17-12筑

SO松田がPGを決める。



【7分】帝24-12筑

CTB矢富がフェアーキャッチからクイックリスタート。CTB矢富-SH小畑-SO松田と渡り、松田が前方へキック。WTB竹山が追い付き、拾って、そのまま走り切ってトライ。ゴール成功。



【11分】帝24-17筑

スクラムから展開され、トライを奪われる。



【23分】帝29-17筑

ラインアウトから連続攻撃。ラックからSH小畑-SO松田-WTB竹山と渡り、竹山がトライ。



【40分】帝29-24筑

ラインアウトからモールを押され、トライを奪われる。





《BRIEF REVIEW》



対抗戦最終戦の相手は、昨年敗れている筑波大学。帝京は対抗戦の1位、大学選手権のシードAでの出場を決めているが、昨年味わった苦杯を再度、喫するわけにはいかない。しかし、序盤から守る時間帯が長くなる。相手の激しい攻撃を全員で体を張って止め続けるが、なかなか攻撃へと転じられない。ようやく攻撃に転じるも、ここでも相手の激しいプレッシャーに遭い、ミスで自らチャンスの芽を摘んでしまう。28分には、ペナルティからのラインアウト・モールを押し込まれ、先制点を許してしまう。ここからはシーソーゲーム。34分、SO松田のキックをWTB竹山がうまく拾って前進し、最後はCTB矢富がトライ。38分に逆転を許すも、42分にはスクラムを押してのターンオーバーから、LO金(嶺)がトライして再逆転。前半を14-12で折り返した。後半も守る時間帯が長くなる。しかし、PGで加点後の7分には、CTB矢富がフェアーキャッチからクイックリスタートしてチャンスを作り、SO松田の前方へのキックをWTB竹山が追いかけ、そのままトライ。その後、双方加点し、29-24で後半ロスタイムに突入。44分、入れば8点差となるPGを得るが、ポストに当たって跳ね返り、相手ボールに。トライとゴールを決められたら逆転という状況で、一人一人が必死のディフェンスを見せる。最後はSO松田のタックルが相手のノックオンを誘い、ノーサイド。帝京は昨年の雪辱を果たし、対抗戦を7戦全勝で終えた。





《POST MATCH INTERVIEW》



■岩出雅之監督

「今日は、対抗戦最後のゲームでしたが、この後には大学選手権がありますので、まずは次につながる試合をやろうと言って、臨みました。結果的に、いい反省ができるという意味で、次につながる試合になったと思います。前節のゲームで対抗戦1位を決めていて、大学選手権もAシードに入ることが決まっている状況でしたので、学生たちにとっては厳しいところで体を張るという部分で、やや難しいところがあったのかなと思っています。彼らはうまくなりたいという気持ちは強く持っていますが、同時に無意識のうちに『ケガをしたくない』という思いが出るのも仕方がないことだろうと思っています。試合に臨む気合いも『入っている』というより『入れようとしている』という状態に見えました。この違いは大きかったと思います。次戦からは『負けたら次はない』という試合になります。しかしながら、今日のゲームは必ず次にいい形でつながります。」



■キャプテン・FL亀井亮依(4年)

「今日は対抗戦ラストゲームでしたが、対戦相手の筑波大学さんには昨年、敗戦を喫し、チームとして苦い経験をさせられました。その苦い経験を思い出して、今日は厳しいプレーをしていこうと言って、臨みました。しかし、自分たちの悪い部分もあり、筑波大学さんの芯のあるプレーに対して自分たちが受けてしまった部分もあり、クロスゲームとなりました。課題の出た試合だったと思います。クロスゲームではワンプレー、ワンプレーがとても大事になります。大学選手権に向けて、もう一度、ワンプレーの大切さを確認し、いい準備をして臨みたいと思います。」



■こぼれ球へのいい反応を見せた・LO金廉(3年)

「今日は久しぶりの対抗戦先発でしたが、自分のできること、やるべきこと、やらなければならないことをやり切るのを目標に、試合に臨みました。通用する面も多々あったと思いますが、タックルの甘さや運動量の部分でまだまだ及ばないところがありました。そこが明確になったので、これをいい経験にしていきたいです。接戦になってしまいましたが、接点での二人目の寄りが遅かったり、一人一人のタックルの精度、体を当てるところでの精度の甘さがあったように思います。そこで筑波大学さんに勢いを与えてしまったのかなと思います。大学選手権では一戦でも多く出場して、チームに貢献できるように、日々、努力をしていきたいと思います。」



■タックルミスを悔やむも、自身の成長を実感・PR平井将太郎(3年)

「今日はタイトなゲームの中、リザーブとして元気なプレーを出していこうとしたのですが、タックルミスが出てしまいました。個人的にはそこが最大の反省点です。僕のタックルミスがチームのピンチにつながってしまったのですが、タイトなゲームでは一つのミスが命取りにもなりかねないので、もっと責任を持ってプレーしていきたいと思います。前半、ベンチのリザーブメンバーとは、まずはシンプルなことから、FWで前に出ることやBKとしっかりとコミュニケーションを取ることなどを確認し合っていました。自分は去年、おととしと、公式戦は一試合も出ていなかったのですが、今年は対抗戦やジュニア戦のメンバーとして出場する機会をたくさんいただき、いい経験ができています。この秩父宮ラグビー場での緊張感のある試合を経験させていただいたことは、自分にとって大きな糧になっていますし、自分の成長も実感しています。まだまだ周りに引っ張ってもらうところもあるので、もっと自分からゲームを楽しめるようなメンタル作りを心掛けていきたいです。今日のような厳しいゲームが今後も続くと思いますが、そこでは一つのミスが大きな痛手につながりますので、一つ一つのプレーの精度をもっと上げていきたいです。自分としては、ハイパフォーマンスを出せるようなメンタル作りをしていって、チームとしても、この二週間、いい準備をしていきたいと思います。」






《PICK UP PLAYERS》

久しぶりの先発で80分間、体を張り続けた

CTB 矢富 洋則(3年)

TATOMI HIRONORI



1995年11月9日生まれ

医療技術学部スポーツ医療学科

仙台育英学園高校出身

身長181cm/体重90kg



■まずは今日の試合を振り返ってください。

「今日はクロスゲームになってしまいましたが、自分たちがファーストタックルのところで受けてしまっていたように思います。まずはタックルで厳しさを出していかないと、こういうクロスゲームになってしまうという、いい経験をさせていただきました。」



■久しぶりの対抗戦での先発だったと思いますが、その点はいかがでしたか。

「久々の復帰ということもあって、プレーががむしゃらすぎて、丁寧さに欠けたところがありました。丁寧さをもっと追求していきたいと思います。」



■ケガの具合はもう大丈夫そうですね。

「ケガは大丈夫です。練習再開が一週間ほど前からだったので、まったく不安がないと言えばうそになりますが、やるべきことはこの一週間でしっかり整えてきたつもりなので、大きな不安はありませんでした。」



■試合勘の方はいかがでしたか。

「試合勘はまだまだ戻っていないですね。以前はディフェンスの立ち位置ももっとよかったと思いますし、抜かれる場面も今日ほどはなかったと思うのですが、試合勘が戻っていない中でがむしゃらになり過ぎてしまったことで、大事なポジショニングが甘くなって、ゲインされてしまったところがありました。」



■WTB吉田選手との連携はよかったのではないでしょうか。

「(吉田)杏が一生懸命に声を出してくれて、自分がそれに応えることもできていたので、そこのコミュニケーションはよかったです。ただ、自分のディフェンスの立ち位置がよくなくて、内側を切られたりしたので、そこは個人の反省点が出たゲームでした。」



■今日の試合で、そうした経験ができたことは、いい意味で次につながるのではないでしょうか。

「反省点がたくさん出ましたが、これは次の大学選手権までに修正しなければいけません。しっかりとディフェンス力を高めて、最高の状態で大学選手権に臨めるようにしたいです。」



■では、改めて大学選手権に向けての意気込みをお願いします。

「対抗戦の最後でこうしたクロスゲームをやらせていただきましたが、大学選手権まで二週間ありますので、その時間で気持ちも技術もしっかりと高めていきたです。まずは自分から高めていって、そしてチームが完成に近づけるように努力したいです。大学選手権はいきなり準々決勝からということで、いい準備をして臨みたいと思います。」





足のケガからの復帰戦となったこの日の試合が、今シーズンの対抗戦初出場。前半34分には逆転につながるトライを奪い、復活をアピールした。後半には、フェアーキャッチ後、クイックリスタートで、トライにつながるチャンスを演出。自身は「ケガの状態は問題ないが、丁寧さと試合勘がまだまだ」と評するが、アタックでもディフェンスでも体を張るプレーは健在。丁寧さや試合勘は時間とともに戻ってくるはずだ。上級生としての自覚も備えている。大学選手権に向けて頼もしい選手が帰ってきた。





《COLUMN》

――「気合いが入る」と「気合いを入れる」――



「無意識」というのは本当に厄介なもののようです。



心理学で、「人間には『意識』の領域と『無意識』の領域がある」という説を唱える人は少なくありません。そして、「意識は氷山の一角。無意識は水面下に沈む氷山。つまり、ほとんどが無意識の領域」と言われています。一説には、意識:無意識=1:99、あるいはそれ以上などとも言われています。



そして、意識の領域は自分で意識している部分なのでコントロールできるが、無意識は意識していない部分なのでコントロールすることが難しいと言われます。



この日の帝京はアップからとても気合いが入っていたように見えました。しかし、岩出監督は「気合いが入っていたのではなく、入れようとしていた」と表現しました。この違いはとても大きかったようです。



「気合いが入った」は「無意識」の領域であり、「気合いを入れようとした」は「意識」の領域と言えるでしょう。1%の意識部分は気合いで満ちていたかもしれません。しかし、99%の無意識部分はどうだったでしょうか。



帝京はすでに対抗戦の1位を決め、この日の試合の結果にかかわらず、大学選手権のシードAでの出場を決めていました。「意識」の領域では「去年の雪辱を」と強く思っていたはずですが、同時に「無意識」が「対抗戦1位は決まっている」「仮に負けても大学選手権でのシード順は変わらない」と感じていたとしてもおかしくありません。



岩出監督が「無意識のうちに『ケガをしたくない』という思いが出るのも仕方がないこと」と表現したように、自分たちでも気づかぬ何かがあったのかもしれません。無意識にそうした思いがあると、痛いところ、厳しいところで生存本能(痛みや危険を本能的に避ける行動)が出てくることもあるでしょう。



さあ、次はいよいよ大学選手権です。今年度から方式が変更になり、一戦目から負けたら終わりのトーナメントです。99%の「無意識」の領域に、いかにそのことを理解させ、「気合いが入る」状態になるか。大学選手権での勝負のポイントは、そんなところにあるのかもしれません。





《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。



No8 文相太(1年)

東京朝鮮高級学校出身

身長182cm/95kg

「自分の強みはアタック、特にコンタクトプレーを中心としたアタックです。当たりの強さには自信を持っています。課題はディフェンスです。飛び込まないタックルとか、タックルの使い分け、それと80分間、走り切る体力がまだ足りないと思うので、もっとスタミナをつけることに取り組んでいます。帝京大学ラグビー部は、ラグビーだけではなく、社会に出てから活躍できる人になるために、私生活での人間としての成長を重視しているところがすごいと思います。今後の目標は早くAチームに上がって活躍することですが、まずは自分の課題を克服して、自分の強みであるコンタクトプレーを活かせるプレーヤーになって、チームに貢献したいと思います。」



HO 青柳翼(1年)

東京高校出身

身長172cm/93kg

「自分の強みは低いタックルです。ただ、肩のケガがあって、ウエイトトレーニングが十分にできず、体が小さいので、これからしっかり上半身のウエイトトレーニングをして体を大きくしたいと思っています。相手と当たるときには、やはり上半身の力が大事になるので、しっかり鍛えたいです。帝京大学ラグビー部は、先輩たちの、考える力や後輩たちへの接し方がすごいなと感じます。レベルが違うと感じますが、見習っていきたいです。今後の目標は、やはりAチームでレギュラーになって日本一に貢献することですが、大学生活の中でラグビーを通して、人間としての力、社会に出て生きていける力を身につけていきたいと思っています。」



分析 川畑一航(1年)

静岡聖光学園高校出身

身長160cm/75kg

「分析、アナリストをやっています。具体的には、練習の様子をビデオカメラに収めて、いろいろな方向から撮った動画を一つにまとめる編集をして見直したり、試合では、一つ一つのプレーを切り分けて分析したり、対戦相手のプレーの分析などをしています。分析という仕事にとても興味があったので、プレーヤーではなく分析がやりたいと思って入部しました。自分の仕事が、自分が卒業したあとでも役に立つような、強いチーム作りに貢献できるような仕事をしていきたいと思っています。4年間で、分析としてのレガシーを残せるような仕事をしていきたいです。帝京大学ラグビー部は、上級生が下級生をしっかりと引っ張り、僕たち下級生はまだまだ未熟ながら、しっかりとついていこうとする、そういうチームの一体感がすごいと思いました。大学選手権優勝、そして日本選手権優勝に貢献できるような分析ができるように、4年間、しっかりやっていきたいと思います。」



《NEXT MATCH》

第53回全国大学ラグビーフットボール選手権大会・準々決勝

対戦相手未定(大東文化大学対福岡工業大学の勝者)

12月17日(日) 秩父宮ラグビー場

14時20分キックオフ



(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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