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第54回日本ラグビーフットボール選手権大会 対サントリーサンゴリアス戦

第54回日本ラグビーフットボール選手権大会 対サントリーサンゴリアス戦

2017/01/23

1月21日(土)・東大阪市花園ラグビー場

●帝京大学29-54サントリーサンゴリアス○

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《帝京大学》

[FW]

(1)西⇒渋谷⇒岡本(2)堀越(3)垣本⇒呉(味)(4)金(嶺)(5)姫野⇒ロガヴァトゥ⇒今村(6)飯野(7)亀井(8)マクカラン

[BK]

(9)小畑⇒末(10)松田(11)竹山(12)金村⇒重(13)矢富⇒元田(14)吉田(15)尾崎



《サントリーサンゴリアス》※先発のみ

[FW]

(1)森川(2)中村(駿)(3)須藤(4)ウィーラー(5)真壁(6)ツイ(7)小澤(8)竹本

[BK]

(9)流(10)小野(11)江見(12)中村(亮)(13)アーウォン(14)中靏(15)松島



【前半】【得点経過】

【11分】帝0-7サ

ターンオーバーから攻められ、トライを奪われる。



【13分】帝7-7サ

相手のキックをSO松田がキャッチし、カウンターアタック。FB尾﨑にパスし、尾﨑が仕掛けて抜け出す。さらにWTB吉田にパスし、吉田が相手ディフェンスを弾き飛ばしてトライ。ゴール成功。



【18分】帝7-14サ

ラインアウトから攻められ、トライを奪われる。



【27分】帝7-21サ

スクラムから攻められ、トライを奪われる。



【36分】帝14-21サ

ラインアウトからモールを押し込む。ラックになるも、FWで連続攻撃。最後はPR堀越が押し込んでトライ。ゴール成功。



【39分】帝21-21サ

こぼれ球にHO渋谷が反応し、ターンオーバー。BKに展開し、FB尾﨑が抜け出す。最後はWTB竹山にパスし、竹山がトライ。ゴール成功。





【後半】【得点経過】

【1分】帝21-28サ

ラインアウトからモールを押し込まれ、トライを奪われる。



【5分】帝24-28

SO松田がPGを決める。



【11分】帝24-35サ

スクラムを押し込まれ、ペナルティトライを奪われる。



【14分】帝24-42サ

スクラムから攻められ、トライを奪われる。



【25分】帝24-49サ

スクラムから攻められ、トライを奪われる。



【27分】帝29-49

マイボールのキックオフをNo8マクカランがキャッチし、連続攻撃。ラックからSH末-SO松田-FB尾﨑-WTB吉田と渡り、吉田がトライ。



【41分】帝29-54サ

スクラムから攻められ、トライを奪われる。


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《BRIEF REVIEW》

日本選手権準決勝の相手は、トップリーグのチャンピオン、サントリーサンゴリアス。数日前、日本協会から正式に次年度以降(当面の間)の日本選手権での大学出場枠の撤廃が発表され、学生がトップリーグに挑戦できる、事実上のラストチャンスの大会となった。開始直後は帝京が攻め込む時間帯。相手ゴール前まで迫るも、小さなミスも見逃さない相手の防御で得点を取り切ることができない。11分、ターンオーバーから攻められ、先制点を許してしまう。しかし、帝京も負けてはいない。その2分後、キックカウンターからFB尾﨑が抜け出し、大きくゲイン。WTB吉田にパスが渡ると、吉田が日本代表経験豊富な相手ディフェンダーを弾き飛ばしてトライを奪い、同点に追いつく。しかし、このあと、ミスやペナルティから連続失点し、7-21と差を広げられてしまう。このまま、ずるずると行きかねない展開だったが、ここから帝京が意地を見せる。36分、ラインアウトからモールを押し込む。ラックになるも、さらにFWで連続攻撃を仕掛け、PR堀越がトライ。前半終了間際には、こぼれ球にHO渋谷がすばやく反応して奪うと、自陣から展開。FB尾﨑が抜け出し、大きく前進。俊足の相手ディフェンダーが迫るが、十分に引き付けてからWTB竹山へとパスを送り、竹山が中央にトライ。スタンドを大いに沸かした。ゴールも決まり、前半を21-21の同点で折り返した。だが、相手はやはりトップリーグチャンピオン。簡単に勝たせてくれるような相手ではなかった。後半開始早々、モールでトライを奪われると、11分にはスクラムでの犯則でペナルティトライ、その直後にもスクラムからトライを奪われてしまう。その後、PR呉(味)は兄・森川由起乙選手(サントリーサンゴリアス・帝京大学OB)とのマッチアップなどもあり奮闘。CTB重、PR岡本ら途中出場の選手たちも体を張り続ける。劣勢の中、27分にはこの日、何度もビッグゲインを見せたFB尾﨑がまたも抜け出し、WTB吉田のトライを演出するが、反撃もここまで。29-54で敗れ、今シーズンの戦いは終わった。抱き合う選手たちの目には涙が浮かぶ。4年生は新たな未来に向かって、そして3年生以下は新たなチームでの戦いに向かって歩み出す。

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《POST MATCH INTERVIEW》

■岩出雅之監督

「とても悔しいですね。学生たちはよく頑張りました。まだまだ未熟なところもありましたが、勝負は勝って終わりたいという気持ちを持っていたはずなので、彼らはとても悔しい思いをしていることと思います。学生たちは涙を流していましたが、これでこのチームが終わるという寂しさ以上に、敗れた悔しさにあったように思います。今日は、痛いこと、苦しことを乗り越えるのではなく、それらも含めて全て楽しもうと言って送り出しました。『楽しさ』を、周りから促されてやるのでなく、自ら進んで厳しいこと、苦しいことに挑み、取り組むことから感じようと。学生たちは随所でそうした姿勢を見せてくれたように思います。来年度のチームはさらに楽しみ方を高めて、苦もなく厳しいゲームに臨んでいくようになるだろうと感じています。勝負だけではない、スポーツの楽しみ方を学生たちから感じましたし、さらに成熟させていってくれるだろうと思っています。また、今日、最後まで厳しさを出してくださったサントリーサンゴリアスの選手、スタッフの皆様、運営に携わられた日本協会、並びに大会関係者の皆様にお礼申し上げます。そして、この一年、多くの方々からご支援、ご声援をいただきました。心から感謝申し上げます。ありがとうございました。次年度も学生たちは新たな目標に向かって邁進してまいりますので、どうか変わらぬご支援、ご声援を賜りたく、お願い申し上げます。そして最後にサントリーの選手として頑張っていたOB選手たちの頑張りに嬉しさを感じました。更なる飛躍を祈りエールを送りたいと思います。頑張ってください。ありがとう。」


■キャプテン・FL亀井亮依(4年)
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「悔しい気持ちでいっぱいです。ですが、この一年間、積み上げてきたもの、ここまでの集大成をぶつけようと言って臨んで、トップリーグのチャンピオンに対しても通じた部分がたくさんありました。4年生にとっては今日が帝京大学としての最後の試合になりましたが、未来に向けての自信につながりましたし、後輩たちにとっては来年度に向けての自信になったと思います。今日のゲームは敗戦という結果に終わりましたが、一人一人にとって、そして帝京大学ラグビー部というチームの未来にとっても、とてもいいゲームになったと思います。この一年、『挑戦』というテーマを掲げてここまでやってきました。日々の練習・トレーニングにおいて挑戦を続けてきた毎日があって今日があります。正直、自分に負けてしまう日もありました。でも、一人では乗り越えられないようなことも仲間と一緒に乗り越えることもできましたし、そうしたラグビーの結果だけではない、未来に向けてのいい時間を過ごせた一年間でした。また、この一年、たくさんの方々からの応援をいただきました。皆様の応援が力となり、今日もすばらしい試合をすることができました。今後とも帝京大学への応援のほど、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。」



■次年度へのスクラム強化を誓う・PR垣本竜哉(3年)
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「今日は、特に前半は、自分たちがやってきたことを出し切れば絶対に戦えると感じながらプレーしていました。個人としては試合を通じてスクラムを安定させることができなかったこと、そしてそれが試合にも大きく影響してしまったことが、ふがいないと言いますか、大きな反省点でした。来年度に向けては、今年度『弱み』と言われてしまったスクラムを強化し、必ず『強み』に変えて行けるようにしていきます。」



■さらに苦しさを楽しめるチームに・FB尾﨑晟也(3年)
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「今日は、一年間やってきたことを全部出し切って、ゲーム自体をしっかり楽しんでやろうと言って臨みました。スコア的には負けてしまった悔しさが大きいのですが、チームとして一年間やってきたことを出せたのはよかったと思います。来年度、日本選手権という形でのトップリーグへの挑戦はなくなってしまいますが、チームとしての挑戦はもっともっと進化していかなければならないと思っています。(堀越)康介キャプテンを核とした新4年生が中心となって、さらに強い帝京大学を目指して、一年間やってきたいと思います。まだ新チームについて細かい話はしていませんが、今日の試合のように苦しい場面も楽しめるようなチームをさらに進化させていけたらと思っています。」



■新4年生全員で目標に向かってやり切る・CTB元田翔太(3年)

「負けてしまって、悔しい気持ちでいっぱいです。日本選手権に学生がチャレンジできるラストチャンスだということをつい数日前に聞き、リザーブでしたが、出場したらすべてを出し切って、来年度につながるようなプレーをしようと思って臨みました。来年度は大学選手権9連覇が目標になると思いますが、学年としては、そこへ向かって最上級生として新4年生全員でやり切っていこうと言っています。この目標を達成できるように、日々、精進していきたいと思います。」



■サントリーサンゴリアス・中村亮土選手(帝京大学OB)

「帝京とは何回か練習試合をさせてもらっていましたが、今回戦って、年々レベルアップしていると感じましたし、とてもいいチームだなと感じました。前半苦戦したのは、僕たちが受けてしまったこともありますが、帝京のすばらしいアタックに惑わされてしまったところもありました。僕がいた頃よりもはるかにレベルが上がっていますし、相手にしたらとても嫌なチームでした。これからもさらに強いチームになっていってほしいと思っています。」



■サントリーサンゴリアス・流大選手(帝京大学OB)
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「今日、すばらしい試合ができたことに本当に感謝しています。今日は、帝京大学を大学のチームだとは思わず、日本選手権に出場する一チームとしてリスペクトして戦おうと言って臨んだのですが、特に前半、サントリーが上回らなければいけなかった部分を帝京大学に上回られてしまったように思います。今後、4年生はトップリーグに行く人、そうでない人いろいろいるかと思いますが、それぞれが今日得た経験を活かして、次のステージで頑張ってください。3年生以下のみんなは、今日、4年生たちが残してくれたものを新チームで活かして頑張ってほしいと思います。」


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《PICK UP PLAYERS》

4年生が見せてくれた本気を越えていきたい

HO・PR堀越 康介(3年)
HORIKOSHI KOSUKE

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1995年6月2日生まれ
教育学部教育文化学科
桐蔭学園高校出身
身長174cm/体重102kg


■まずは、今日のゲームを振り返ってください。

「試合前に全員で『何があっても楽しもう』と言って臨みました。結果は敗戦となりましたが、80分間、楽しむことができたと思います。」


■前半はスコアも内容も、とてもいい形で折り返すことができました。プレーをしていた感触としてはどうでしたか。

「前半は接点の部分で互角に戦えていたと思います。こちらが我慢強くキープし続けることで、開いたギャップにBKがいいアタックをして得点でき、帝京らしいいいラグビーができたと思います。」


■後半、点差がついてしまいましたが、どこに原因があったと分析していますか。

「やはりスクラムでやられてしまったところから、リズムが崩れてしまった部分がありました。後半のラスト20分あたりからは、接点のところで前に出られてしまいました。前半は止められていたところが止めきれず、我慢できなくなってしまったのが敗因だと思います。」


■来年度、キャプテンに就任することが発表されていますが、今の段階でこんなチームにしたいというイメージはありますか。

「細かい部分はこれからですが、個人的には……いや、みんなもそう思っていると思いますが、スクラムを強くすることはやはり大きな目標の一つになると思います。東海大学さん、明治大学さん、早稲田大学さんなど、スクラムに力を入れてくるだろう相手に対しても押し切れるような強さを身につけたいです。今年度、何度もスクラムトライを取られてしまった分、来年度は取り返せるようにしたいです。イメージはついています。」


■では、改めて、来年度へ向けての抱負をお願いします。

「大学選手権9連覇に向け、チームとしての積み重ねをして頑張っていきたいと思います。今年の4年生が見せてくれた本気というものは、後輩たちの目にも焼き付いています。しかし、それをさらに越えていかないと9連覇は成し遂げられないと思うので、妥協せず、強い帝京を作っていきたいと思います。応援、よろしくお願いします。」



次年度の体制として、堀越キャプテン、尾﨑バイスキャプテンとなることが発表された。2人はU20日本代表でも正副キャプテンを任されて世界と戦ったほどキャプテンシーにすぐれ、何より早いうちからリーダーとしての自覚を身につけている。具体的なチーム像はこれから作っていくと言うが、堀越新キャプテンが真っ先に掲げたのは「スクラムの強化」だ。現在のスタンダードを維持しつつ、スクラムの強化にも取り組むのは簡単ではないが、彼らを信じ、大いなる成長に期待しよう。

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《COLUMN》

――「楽しむ」ということ――

この日の試合前、岩出監督から選手たちに「痛いことや苦しいことを『乗り越える』のではなく、それも含めて試合を『楽しもう』」という話がありました。「楽しもう」というフレーズは、大学選手権のときにも出てきましたし、チームスローガン「Enjoy & Teamwork」の「Enjoy」を意味するキーワードでもあります。

「楽しむ」という言葉は意味が広い上に、ごく一般的に使われるものであるため、かなり誤解を生じやすい言葉かもしれません。「『楽しむ』なんて甘っちょろい考え方だからトップリーグに勝てなかったのだ」と主張する人も、もしかするといらっしゃるかもしれません。

しかし、「楽しむ」ということを「甘っちょろい」と捉えてしまうのは、この言葉のほんの一面しか見えていないために生じる誤解です。

昭和世代の人たちは、厳しいことに立ち向かうとき、いわゆる「根性」でグッと耐え、その耐える力をパワーに変えて厳しさを乗り越えようとしてきました。「楽しむ」ことを「甘っちょろい」と捉えてしまうのは、「根性」が足りずに「パワー不足」になってしまうと考えるからです。

本当は嫌だ、やりたくない。でも、そんな気持ちを「根性」ではね退けて、厳しさに立ち向かっていく。そんなイメージです。自分の意志に反したことでも「根性」でやり遂げるのが昭和世代でした。

ところが、平成世代の人たちは、環境の変化や文化の違いもあり、嫌なことに「根性」で立ち向かおうとするとかえって「パワー不足」になってしまいます。それに対して、自分がやりたいこと、納得して取り組むことに関しては、昭和世代が驚くほどの強力なパワーを発揮するのです。

もともと人間は、昭和世代であろうと平成世代であろうと、自分がやりたいこと、納得して取り組むことに対しては強いモチベーションが働き、「やろう」という気持ちが長く強く持続します。好きな趣味に時間を忘れて没頭するといった経験は、誰にでもあるでしょう。やりたいことに夢中になると、人は時間も忘れるほどやり続けてしまうのです。

痛いことも苦しいことも「楽しむ」とは、まさにこうした境地のことです。人間、楽しいことはやりたいですから、痛いことも苦しいことも楽しければやり続けてしまいます。「根性」で乗り越える必要などないのです。他人にやらされているといった感覚もありません。いや、あまりにも夢中になって他人が「そろそろやめた方がいいのでは」と言っても、やめたくありません。

この日の特に前半は、みな、こうした境地に至っていたようです。痛いことも、苦しいことも、楽しくてたまらない様子でしたし、ハーフタイムのロッカールームでも笑顔があふれていました。

痛いところ、苦しいところに喜んで飛び込んでいく。それは「甘っちょろい」などという表現とはまるっきり次元が違う世界です。

今シーズンのゲームはすべて終了しましたが、来シーズンは、この日の試合のような「楽しむ」ゲームが毎試合見られるかもしれません。期待しましょう。


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《NEXT MATCH》

今年度の試合はすべて終了しました。次年度につきましては、決まり次第、本ホームページでお知らせいたします。一年間、ありがとうございました。引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。

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(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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