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第54回全国大学ラグビーフットボール選手権大会・準々決勝 対流通経済大学戦

第54回全国大学ラグビーフットボール選手権大会・準々決勝 対流通経済大学戦

2017/12/23

12月23日(土・祝)・秩父宮ラグビー場

○帝京大学68-19流通経済大学●



《帝京大学》

[FW]

(1)西⇒岡本(2)堀越⇒呉(3)垣本⇒淺岡(4)今村(5)秋山(6)申⇒古田(7)マクカラン(ブ)⇒藤田(8)吉田

[BK]

(9)小畑⇒末(10)北村⇒奥村(11)竹山(12)本郷(13)岡田⇒マクカラン(二)(14)木村(15)尾﨑

 
《流通経済大学》※先発のみ

[FW]

(1)鹿子島(2)林(3)平良(4)大野(5)ナエアタ(6)鶴田(7)粥塚(8)大西

[BK]

(9)中嶋(10)中川(11)山上(12)岡田(13)ブランドン(14)伊藤(15)桑江



【前半】【得点経過】

【5分】帝7-0流

ラインアウトからモールを押し込む。ラックになるも、SH小畑-WTB竹山と渡り、竹山がトライ。ゴール成功。


【13分】帝14-0流

ペナルティでSH小畑がクイック・リスタート。小畑-SO北村-CTB岡田と渡り、岡田が前進。さらに岡田から、FB尾﨑-WTB竹山と渡り、竹山が走り切ってトライ。ゴール成功。 


【16分】帝14-7流

ミスから連続で攻められ、トライを奪われる。 


【24分】帝21-7流

ラインアウトからFWで連続攻撃。ラックからSH小畑-LO今村と渡り、今村がトライ。ゴール成功。 


【28分】帝21-14流

ラックでターンオーバーされ、攻められて、トライを奪われる。 


【32分】帝28-14

ラインアウトから連続攻撃。ラックからSH小畑-FL申-LO秋山-FLマクカラン-No8吉田-WTB竹山と渡り、竹山が走り切ってトライ。ゴール成功。


後半】【得点経過】

【1分】帝35-14流

カウンターアタックから連続攻撃。ラックからSH小畑-SO北村と渡り、北村が外へキックパス。WTB木村がキャッチし、CTB岡田へパス。岡田からFL申-CTB本郷と渡り、本郷が抜け出してトライ。ゴール成功。


【8分】帝40-14流

ラックでターンオーバーして、連続攻撃。SH小畑が大きく前進し、さらに連続攻撃。ラックから、SH小畑-FB尾﨑と渡り、尾﨑が前方へキック。WTB竹山がうまく拾ってトライ。 


【13分】帝47-14流

スクラムからFLマクカラン-SH小畑-CTB本郷-FB尾﨑-WTB木村と渡り、木村が前方へキック。自ら追いかけ、さらにキックし、インゴールで自ら押さえてトライ。ゴール成功。 


【22分】帝47-19流

パスをインターセプトされ、トライを奪われる。


【26分】帝54-19流

ドロップアウトをキャッチし、連続攻撃。WTB木村が前進。ラックからSH末-SO奥村-CTB本郷-WTB竹山-FB尾﨑-No8吉田と渡り、吉田が抜け出し、走り切ってトライ。ゴール成功。 


【28分】帝61-19流

ラインアウトから、LO秋山-HO呉-SH末-SO奥村-CTBマクカラン-FB尾﨑-WTB竹山と渡り、竹山が走り切ってトライ。ゴール成功。


【38分】帝68-19流

ラインアウトから連続攻撃。No8吉田が前進。ラックから、SH末-FB尾﨑と渡り、尾﨑が抜け出してトライ。ゴール成功。


《BRIEF REVIEW》

9連覇を目指す大学選手権が始まった。対抗戦1位の帝京は、この日の準々決勝からの出場。対戦相手はリーグ戦3位の流通経済大学だ。試合は開始早々から帝京のペースで進む。2分、SO北村のキックを追いかけたWTB竹山がインゴールで押さえたかにも見えたが、手だけで押さえに行ってしまい、判定はノックオン。それでも、FWが直後の相手ボールスクラムを押して、ターンオーバー。5分に竹山のトライで先制する。13分にはいいタイミングでSH小畑がクイック・リスタートし、またも竹山までつながり連続トライ。これで勢いに乗るかと思われたが、直後にミスからつながれてトライを奪われてしまう。その後もミスが出るなどして、点の取り合いになり、なかなか突き放すことができない。前半を28-14で折り返した。後半は開始1分で追加点を奪う。アドバンテージをもらっている中、SO北村が外側へ大きくキックパス。これをWTB木村がうまくキャッチして前進。パスをつないで最後はCTB本郷がトライ。その後も帝京の攻める時間帯が長くなる。相手の、前に出るディフェンスに対して、キックを効果的に使い、トライを重ねていく。相手の厳しい守りにも丁寧にダウンボールするなどして、ターンオーバーを許さない。途中出場組も躍動する。SH末、SO奥村のHB団が冷静にゲームコントロールすれば、HO呉、PR淺岡、FL藤田らFW陣も、大きな相手に対して体を張って前に出る。パスをインターセプトされて1トライ奪われるものの、後半はおおむね帝京がゲームを支配し、68-19でノーサイド。帝京は来年1月2日の準決勝に駒を進めた。





《POST MATCH INTERVIEW》

■岩出雅之監督

「約1ヵ月間があき、久々の試合でしたので、ゲーム勘、特にディフェンス面での感覚がどれだけ戻るかなと思っていました。前半は少し大味なところもありましたが、後半は一生懸命にプレーしていたと思います。いいところも悪いところもありましたが、学生たち自身がわかっていると思いますので、しっかりと気を引き締めて、次は今日のゲームの中身以上にいいものが出せたらというのが、今の一番の思いです。プレーの面で言えば、レフリーとのコミュニケーションなども含めて、自分たちのリズムを壊されかねない相手のプレーをどのように自分たちで制していくか、そういう部分が必要かなと思いました。学生たちはここから、より本気度が増していくだろうと思いますし、厳しいゲームをしっかりと作っていくために、次に期待ができるような反省をしてほしいと思います。最後になりましたが、80分間、厳しいプレーを続けられた流通経済大学の選手たちに敬意を表し、スタッフ、関係者の皆さまには感謝申し上げたいと思います。」


キャプテン・HO堀越康介(4年)

「今日の試合、『出場メンバーは選ばれなかった仲間のためにも痛いところに行こう』『しんどいときこそしっかり走ろう』と声をかけて挑みました。その中で、いいプレーもありましたが、まだまだ反省すべきところもたくさんありましたので、今日の試合を糧するためにポジティブに捉え、次の試合に向けていい準備をしていきたいです。次は、今日以上の厳しさをぶつけて、いい試合をしたいと思います。」


 

■さらなるリーダーシップを発揮したい・FLブロディ・マクカラン(3年)

「今日の試合、前半は流通経済大学さんの方がファイティングスピリットが高く、帝京はミスも多くて、トライを許してしまいました。後半は帝京がフィットネスで上回ることができ、それで勝てたのだと思います。僕も今日はミスが多かったのですが、コミュニケーションとゲームコントロールが僕の仕事だと思っているので、そこはまずまずできたと思います。次はもっとリーダーシップを発揮できるようにしたいです。次戦は、昨年の決勝で戦った東海大学さんとの試合。とても楽しみです。早く試合がしたいです。」
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■アタックに手応え・WTB木村朋也(1年)

「今日は初めての大学選手権ということで、自分のやれることを精いっぱいやろうと思って臨んだのですが、自分が思っていたことがあまりできず、反省する部分が多々見つかったと感じています。アタックに関しては、攻めたいように攻められた場面もあったのですが、ディフェンスやバックスリーのコミュニケーションといった、ボールを持っていないところでのプレーに反省すべき点がたくさんありました。次戦に関しては、今日は、大学選手権と対抗戦はまったく違うということがわかったので、今日以上に気を引き締めて戦わなければいけないと思っています。この10日間でいい準備をして臨みたいと思います。」




《PICK UP PLAYERS》

力強さが魅力の、前に出るSO

 SO 奥村 翔(1年)

OKUMURA KAKERU


 
医療技術学部スポーツ医療学科

伏見工業高校出身

身長179cm/体重80kg


今日の試合残り20分くらいのところでの出場でしたが、どんなことを考えて入ったのでしょうか。

「自分がいい方向に流れを変えられるようにと思って入ったのですが、ストラクチャーの部分やFWコントロールの部分ができていなかったと感じています。」

■同じポジションに同期の北村選手がいます。イヤーブックの取材で話を伺ったときも「北村選手は頭がいいので、教えてもらいながら」と言っていましたが、いいライバルとしてお互いに切磋琢磨できているように見えます。

「マサ(北村選手)は前をきちんと見られますし、FWコントロールもゲーム作りもうまくて尊敬しています。すごくいいプレーヤーだと思います。でも、自分にも彼とは違った特徴があって、例えばボールを持って走るランプレーが積極的にできる部分は自分の武器であり、魅力だと思っていますので、そこでは負けずに頑張っていこうと思っています。」

■力強さを前面に出したプレーを見せていきたいということですね。

「はい。ただ、今日はそういうプレーがなかったので、反省です。」
 
■今日は対抗戦から試合間隔がだいぶ開きましたが、試合勘はどうでしたか。

「そうですね。おそらく、みんな、試合勘を取り戻すのに少し時間がかかったように思います。」

■次戦は東海大学さんとのゲーム。春季大会での対戦のときにも出場していますが、どのような印象を持っていて、どんな試合をしたいですか。

「試合まで一週間ちょっとですが、まずは個人的にもディフェンスのさらなる強化に取り組んでいきたいと思います。」


1年生ながら力強さ、負けん気の強さが魅力のSO。同ポジションで同期の北村選手、龍野選手らと切磋琢磨しながら成長を続けている。この日は残り20分での出場となったが、しっかりと攻撃のテンポをつくり、勝利に貢献した。インタビューでの落ち着いた口調からも、春からの大きな成長ぶりがうかがえる。経験の積み重ねで自信を得て、気持ちにも余裕ができているのだろう。自身の強みと課題が明確にわかっているところも心強い。今後、どこまで伸びていくか、楽しみな1年生の一人だ。






《COLUMN》

―― 2つのマインドセット ―― 

先日、ふらりと立ち寄った書店で、タイトルにひかれて衝動買いしてしまった本があります。『マインドセット~「やればできる!」の研究』という本で、著者は、キャロル・S・ドゥエックさんという、アメリカ・スタンフォード大学の心理学の教授です。 

読んでみると、帝京大学ラグビー部が取り組んでいること、岩出監督が普段から指導されていることに通じるものがありました。ここではその一部をご紹介したいと思います。 

まず、この本では「マインドセットには2種類ある」と説いています。1つは「硬直マインドセット(fixed mindset)」、もう1つは「しなやかマインドセット(growth mindset)」です。人がこのどちらを強く信じているかで、人生に大きな違いが出ると言います。 

「自分の能力は石版に刻まれたように固定的(fixed)で変わらないと信じている」のが「硬直マインドセット」、「人間の基本的資質は努力次第で伸ばすこと(growth)ができるという信念」が「しなやかマインドセット」です。

 あえてやや乱暴に要約してしまうと、「努力は才能を超えられるか」という問題で、「努力しても才能には勝てない」と思うのが「硬直マインドセット」、「努力すれば才能ある人にも勝てる」と考えるのが「しなやかマインドセット」と言っていいと思います。

「硬直マインドセット」を信じている人にとって、努力することは自分の能力のなさを証明することになるので(才能のある人は努力しなくてもできてしまうと信じているから)、基本的には努力しないようになってしまうという特徴があるのだそうです。それに対して、「しなやかマインドセット」の持ち主は成長そのものに価値を置く上、うまくいかないことこそが成長のチャンスと知っているので、うまくいかないときほど粘り強い頑張りを見せると言います。

 このあたりの話、「うまくいかないことこそが成長のチャンス」というところなどは特に、岩出監督が普段から選手たちに伝えていることと言えるでしょう。選手たちのコメントからも、常にこうした姿勢を感じることができます。

 この2つのマインドセット、勉強などの場合は「しなやかマインドセット」を信じやすいのですが、芸術とか運動能力などの場合は「硬直マインドセット」を信じやすい傾向にあるそうです。たしかに、芸術的な才能とか身体的な能力は「遺伝する」と言われれば、「そうだろうな」と思いますし、実際、この著者でさえ、芸術や運動に関しては「硬直マインドセット」を信じる度合いが大きいと自覚しているそうです。

 でも、実際はそうではないと言います。

 遺伝はもちろんあるのですが、偉大な才能の持ち主であっても「硬直マインドセット」を強く信じている人は、「努力=自分の才能のなさの証明」となってしまうため、努力をしなくなってしまいます。対して「しなやかマインドセット」を強く信じている人は、自分に才能があろうとなかろうと、成長そのものに価値を置くため、努力して新たなことを学べたり、成長できたりすることがうれしくてたまらなくなります。時間とともに、成長曲線は近づき、やがて逆転してしまうわけです。

 例えば、野球のイチロー選手が才能に恵まれていることは誰しも認めると思いますが、彼はまた、大の努力家であることも知られています。彼の才能が花開いたのは、才能があったから以上に「しなやかマインドセット」の持ち主で、彼自身が成長そのものを楽しんでいたからに違いありません。

 身体が細く、小さかったイチロー選手は、野球での最大の魅力とも言うべきホームランというものを捨てて、自分自身にベクトルを向け、ヒットを打ち続けるという成長を楽しんだのだと思います。

 自分の成長そのものに価値を置く人は、他人と比較する必要が(他人と比較して、自分の価値を証明しようとする必要が)ありません。

 「そうはいっても、才能のある人には勝てないよ」と考えがちですが、これ自体が「硬直マインドセット」だということに気づくと、明日からの人生がちょっと変わるかもしれません。

 そして、このことは帝京大学ラグビー部のチーム指導に根付いており、選手たちもしっかりと理解しているようです。それがチーム、そして選手一人一人の成長につながっていると言えそうです。
 




THE NEW FACE

ニューフェースたちの声を紹介します。


HO 李 承爀(1年)

大阪朝鮮高級学校出身

身長178cm/体重103kg

「自分の強みはブレイクダウンとボールキャリーです。課題はセットプレーで、スクラム、そしてラインアウトのスローイングを強化すべく頑張っています。また、タックルをもっと強く入れるように強化しています。帝京大学ラグビー部は、思っていた以上に、先輩方が僕たち1年生を助けてくれると言いますか、いいサポートをしてくださいます。先輩と一緒の寮の部屋では緊張するだろうなと思っていたのですが、僕が過度に気を遣うということもなく、フレンドリーに楽しく接してくださいます。今後については、まずは自分の体づくりをしっかりやって、上のチームで試合に出られるプレーヤーになり、活躍してチームに貢献したいです。」 


WTB 藥師寺 晃(1年)

大分舞鶴高校出身

身長175cm/体重82kg

「自分の強みは、広いスペースでボールをもらったときの1対1での走りです。緩急をつけたランプレーが得意です。課題は状況判断です。一つ一つのプレーを、決めつけてやっていることが多いので、しっかりと前を見て、相手の状況を見て、頭を使ってプレーをするという部分に力を入れています。帝京大学ラグビー部は『脱体育会系』という考え方、先輩方の僕たちへのアプローチがすごく素晴らしいと感じます。僕たち1年生がラグビーに打ち込める、とてもやりやすい環境を作っていただいています。今後は、まずは公式戦に出場することを一つの目標として、それが実現したら、Aチームのレギュラーに定着して、安定したプレーができる選手になり、さらにその先の人生につなげられたらと思っています。」 
 

SH 山地 健太(1年)

國學院大學栃木高校出身

身長170cm/体重65kg

「自分の強みはパスとキックです。パスの正確さには、自分の中では自信があります。もちろん、先輩方に比べたらまだまだ甘いので、もっと正確に、またパスのスピードも上げていきたいです。課題は状況判断やディフェンスです。先輩方のプレーを見て学び、考えながらラグビーをするということを意識してやっていきたいです。帝京大学ラグビー部では、先輩方の力というものがとても大きいと感じています。1年生がわからないことをしっかりとサポートしてくださいますし、係の仕事を率先してやってくださることで、僕たちに余裕を与えてくれます。今後については、自分はいまケガをしているので、まずは早く復帰すること。復帰した上で、試合に出て活躍できるようになることが今の一番の目標です。」


耳寄り情報

今年も『箱根駅伝・ラグビー大学選手権応援サイト』が立ち上がりました!

いよいよ、箱根駅伝に臨む帝京大学駅伝競走部。史上初の9連覇をめざすラグビー大学選手権。
今年も『箱根駅伝・ラグビー大学選手権応援サイト』が立ち上がりました。

Teikyo Red Project2017~応援へ行こう!~
特設サイトは
http://www.teikyo-u.ac.jp/red_project2017
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NEXT MATCH

第54回全国大学ラグビーフットボール選手権大会・準決勝

対東海大学(http://seagales.com/

1月2日(火) 秩父宮ラグビー場

14時10分キックオフ


過去の対戦成績:大学選手権5勝0敗

[東海大学の直近5戦]
10月29日 ○57-0中央大学(関東大学リーグ戦1部)
11月18日 ●5-12大東文化大学(関東大学リーグ戦1部)
11月26日 ○31-5流通経済大学(関東大学リーグ戦1部)
12月16日 ○47-18早稲田大学(大学選手権3回戦)
12月23日 ○33-7天理大学(大学選手権準々決勝)


(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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