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関東大学対抗戦・第1戦 対日本体育大学

関東大学対抗戦・第1戦 対日本体育大学

2011/09/18

開幕戦に快勝! 
FW、BKの連携で進化した帝京ラグビーを披露


9月17日(土)・熊谷ラグビー場
○帝京大学 68-5 日本体育大学●



《帝京》
1吉田 2白 3前田(龍) 4小瀧 5ボンド 6小山田 7松永(浩) 8李 9滑川 10森田 11小野 12中村(亮) 13荒井 14伊藤(拓) 15竹田

《日体》※先発のみ
1城 2佐々木 3木浪 4青木 5阿藤 6大谷 7安達 8杉本 9佐分利 10渡邊 11藤原 12植松 13辰川 14塩原 15松本


いよいよ、今シーズンの関東大学対抗戦が開幕した。第一戦の相手は日本体育大学。帝京としては、ここまで積み上げてきたものをしっかりと出していきたい。特に、「接点の厳しさ」、人とボールを動かす「アタック力」、夏に大きく進化した「FW力」に注目したい。

また、日本一暑い熊谷での試合(この日の最高気温34度)、しかも風速7mという強風との戦いもある。選手たちがどういった戦い方をするのかにも注目だ。

【前半戦】
帝京は立ち上がりからエンジンのかかりも順調、良いスタート切る。開幕戦の緊張感も開始1、2分でどこかへ吹き飛ばしてしまう。まずは接点での厳しさを見せつけ、相手のペナルティを誘う。ラインアウトからモールで押し込み、崩されても、さらに縦に突破する。今シーズンのチーム初トライは、密集から抜け出したLOボンドが奪取。



その後も、帝京ラグビーの進化形をしっかりと披露。昨年、一昨年、いやそれ以前から積み上げてきた「人とボールを大きく動かすラグビー」への進化が花を咲かせ、実をつけ始めていることを証明する時間帯となった。

ここ最近、巷では「FWの帝京からBKの帝京へ」と変貌したかのように言われることがある。はたしてそうなのか。だが、選手そして岩出監督の意識は必ずしも、そうではないようだ。バランスを取るのか。大学選手権までの時間を逆算するのか。強みを重視するのか。答えは一朝一夕には導かれないが、この日体大戦だけでは出てこないものであるので、対抗戦7試合、そして選手権をとおして、そこは注目していきたい。

それよりも、今はまずは帝京の土台、FWの充実度を見ていきたいところ。BKの展開力も、チームのバランスも、まずはFWありきと思われるからだ。
昨年度の吉田光治郎キャプテン、ヘンドリック・ツイ、柴田一昂ら、一人で突破していける選手が数多く卒業した。このレベルの選手がラグビー界全体を見てもそうそういないことを考えれば、経験地という観点からいえばややダウンと言われるのも仕方のないところかもしれない。
しかし、今年のFWはまた別のスパイスを持っているようだ。強い帝京FWのプライドと誇りを、どのように味付けするかに日々取り組んできた。特に夏合宿におけるFW力の進化は、これから徐々にその新しい味と魅力を引き出していってくれるに違いない。

この日初めてNo8として出場し、スクラムから安定したボールを供給した李はこう語る。
「実際、去年の強力FWと比べられるプレッシャーもありました。僕自身、光治郎さんやヘンドリックさんのような突破力は正直今現在はないと思います。だったら、FW全体で、かたまりで突破しようと思います。みんなで団結して、運動量で勝負です」

また、SH滑川はこう語る。
「BKが強くなったとよく言われますが、FWが強くないとBKにボールは回らないんです。BKが強いと言えるのは、FWが強いから。お互いいい形で切磋琢磨できていると思います」

実際、BKの意識が高まっているのは間違いない。19分、公式戦初出場のCTB荒井が前に出てくる日体大ディフェンスをするりとかわし、そのままトライ。本職はSOの小野、中村(亮)はそれぞれWTB、CTBとして出場。しっかりとしたポジショニングと安定したパス回しで、安定したスタイルを表現した。
だが、彼らが縦横無尽に走り回れたのも、FWから安定したボールが出てくるからこそだ。

前半は、FW、BK一体となる帝京ラグビーを思う存分見せつけ、26-0で折り返した。

【後半戦】
前半は強風の中での風下ということもあり、無理をしない丁寧なラグビーをしながらも、進化の証をしっかりと見せた帝京フィフティーン。後半もいきなりBKが魅せてくれた。

2分、ラックからのボールをSH滑川-SO森田-CTB中村(亮)-CTB荒井-WTB伊藤(拓)としっかりつないでトライ。これぞ教科書どおりの展開ラグビーで加点した。



だが、反省も忘れていない。CTB荒井はこう語る。
「しっかりできた局面も多かったのですが、ボールをもらってから走り出すような場面もあったので、そこは反省です」
これはまだまだ伸びしろがあるということ。BKラインのコミュニケーションが増せば、結束力もさらに高まりそうだ。

SH滑川、SO森田のハーフ陣の選択も、前半は無理せずにボールをつないでいく戦い方が主だったが、後半に入ると風上からのキックを多く使ったり、さらには自らボールを持って抜け出すシーンも増える。

途中1トライを献上するも、FW、BK一体となった攻撃はその後も留まることを知らず、結局68-5で開幕戦を勝利した。

全体をとおしても、注目点として挙げた「接点の厳しさ」、「アタック力」、「FW力」ともにいい形で表現できていたのではないか。PR前田、LO小瀧、FL松永・小山田といったFWのニューフェースが経験を積めたのも大きい。また、暑さや風を考えれば、いいところを十分に発揮できたゲームだったと言えよう。
強風の中、難しい角度のコンバージョンキックをことごとく決めたSO森田のキック力も、今後、競った場面で大きな威力を発揮することだろう。また、今日は80分間、メンバー交代なしだった。春、夏と前後半でメンバーを大幅に入れ替える試合が続いた中、80分間戦う感覚を思い出すための戦略だった。暑い中、80分間プレーし続けた15人に敬意を表したい。



《試合後のインタビュー》

■岩出雅之監督
「今日は暑い中、多くの方が遠くまで足を運んで、応援してくださいました。ありがとうございます。いよいよ対抗戦が始まりました。シーズンの初戦ということで、学生たちもより気持ちを入れて試合に臨んだことと思います。試合前は、自分たちのためになる実りを持って帰れるようにチャレンジしよう、といって試合に臨みました。VTRを見直すなどで反省点も細かく出てくると思いますので、そこは次週からの練習に活かしていきたいと思っています。全体的にはもう少しガツガツいってもいい場面もあったかなとも思いますが、少し風が強かったこともあって、無難なゲームメイクをしながら進めていたのではないかと思います。

この対抗戦の7試合を通していい変貌を遂げられるように、また対抗戦の結果も含めて、大学選手権にしっかりとした形でつながっていくように、『昨年のチームに追い付け、追い越せ』という気持ちで成長していけるチームづくりをしていきたいと思っています。今後ともご支援、ご声援のほど、よろしくお願いいたします。」

■キャプテン・SO森田佳寿(4年)



「今日のシーズン初戦にあたっては、ブレイクダウン、タックルの激しさにこだわろうと言って試合に臨みました。そこでミスが出て失点してしまったことは反省しなければいけませんが、風の強い中でそれに応じたゲームメイクをして、FWでもBKでもしっかりトライを取れたということに関しては手応えを感じています。
ここからシーズンも始まりました。いつもいいますが、V3という大きな目標に対してはとにかく部員一丸となって、しんどい時も含めてそのプロセスを楽しんでチャレンジしていきたいと思います。今後とも応援の程、よろしくお願いいたします」

■対抗戦デビューを果たしたFL松永浩平(3年



「試合の入りは少し緊張もしましたが、試合が進むにつれ少しずつ普段どおりのプレーができたと思います。今日も意識したのは、自分の持ち味であるタックルです。岩出監督からも『タックルの回数と精度にはこだわってプレーしていこう』って言っていただいていますので、そこはこだわっていきました。まだまだの部分も多いのですが、良かった場面もいくつかあったと思います。去年のキャプテン、吉田光治郎さんの存在はとても大きいのですが、もっともっと自分をアピールして、その存在に追い付けるように頑張っていきたいです」

■初No8でも抜群の身体能力を披露・No8李聖彰(2年)



「No8では初めての公式戦で緊張する部分もあったのですが、頼もしい先輩方がいっぱいいるので、ミスを恐れずのびのびやろうと思って臨みました。特にポイントへの寄りなどは早くできたので今後もしっかり続けていきたいです」

■CTBという新しいポジションに挑戦中のCTB中村亮土(2年)



「今日はボールコントロール、体を張って前に出るプレー、周囲とのコミュニケーションを特に意識して臨みました。途中、DFでのミスなど反省点も出てしまったのですが、前向きに次戦以降もプレーしていければと思います。今はCTBという新しいポジションにチャレンジしていますが、自分にとってはプレーの幅を広げるいい機会だと思いますので、どんどん積極的にチャレンジしていきたいと思います」

■2年目で安定感も増したFB竹田宜純(2年)



「チーム全体としてまずまずのゲームができたと思いますが、少しミスが多かったかなとも思います。今シーズンは現在のところ、BKでもどんどん勝負していくラグビーを目指していますが、今日は風も強かったので、そこまでは展開しませんでした。個人的にはここまで去年よりも順調に来ていると思います。今はキックの精度とカウンターアタックで積極的に攻め上がることを意識しています」

《PICK UP PLAYERS》

CTB 荒井基植(3年)



ARAI MOTOKI
1991年1月1日生まれ
文学部教育学科
小倉高校出身
身長172cm/体重74㎏/血液型A型

■今日はどんな気持ちで臨んだのでしょうか。
「公式戦初出場で緊張しましたが、ミスを恐れず、自分のやるべきことをしっかりやろうという気持ちで臨みました」

■堂々とプレーしているように映りました。
「もう少し接点のところで激しく行けたかなという気持ちもあります」

■トライのシーンなど、うまく突破する場面がたくさんありました。
「ありがとうございます。ただ、ボールをもらってから動くような場面も多かったので、次からは自分でもしっかり動きながらもらえるようにしたいと思います」

■自分のプレーで一番見てほしいところはどんなところでしょうか。
「タックルです。センターのやるべき仕事の第一はタックルだと思っています。自分は体が小さいですが、大きい相手が来ても帝京の厳しいディフェンスを見せられるようにやっていきたいです。今日はあまりタックルする機会がなかったですが(笑)」

■今後、ここを伸ばしていきたいという部分はどんなところでしょうか。
「体が小さいので、さらに体づくりをしっかりやっていきたいです。ディフェンス・オフェンスすべての接点で、いまよりももっとしっかり圧力をかけられるようにしたいです」

■こういう選手になりたいという目標はありますか。
「自分には派手さはないので、しっかりチームの仕事をやり、自分に任された仕事をひとつひとつやっていける選手を目指しています。

■オフのときはどんなことをしてリフレッシュしているのでしょうか。
「うーん、オフにはあまり体を動かしたりしないですね。部屋で休んでたり。趣味も現在、模索中です(笑)」

■最後に帝京ファンの方々に一言。
「これからの対抗戦残り6試合、いい内容で勝利することを目指して練習しています。自分たちのやるべきことを明確にして、試合で出た課題点なども練習でしっかり修正していきたいと思いますので、引き続き応援よろしくお願いします!」

公式戦初出場とは思えないのびのびとした動きでトライを奪取。前に出てくるディフェンスをステップで巧みにかわして抜き去った。今日はほとんど機会がなく見られなかったが、タックルの激しさは秀逸。まさに仕事人といったイメージのCTBだ。本人は「派手さがない」と言うが、体づくりによってさらに大きくなれば突破力も増すはずだ。今日見せてくれたような機敏な動きと相まって、派手なラインブレイクを連発してくれる日もそう遠くはないのではないか。

《NEXT MATCH PREVIEW》

【10月2日(日)関東大学対抗戦 VS青山学院大学 帝京大百草グラウンド 14時キックオフ】
対抗戦第二戦の相手は青山学院大学。今季からAに復帰したチームとの対戦になるが初戦と同様、自分たちの目指すラグビーをしっかりとやり切って、成長の証を披露したい。
〔また当日は午前中、タグラグビー教室が実施される予定です。詳細は別途お知らせいたします〕。

(文/木村俊太、写真/川本聖哉)

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