SPECIAL

特集

トップ
   
特集
   
関東大学対抗戦・第3戦 対慶應義塾大学戦

関東大学対抗戦・第3戦 対慶應義塾大学戦

2011/10/17

次への成長につながる好ゲーム!
厳しいゲームも後半の修正力で強豪を撃破


10月16日(日)・秩父宮ラグビー場
○帝京大学 26-15 慶應義塾大学●



《帝京》
1吉田 2白 3前田(龍)⇒猿渡 4小瀧⇒マニング 5ボンド 6大和田 7松永 8李 9滑川 10森田 11池上⇒小野 12荒井⇒中村 13徳富⇒南橋 14南藤 15竹田

《慶應義塾》※先発のみ
1吉田 2高橋 3平野 4栗原 5熊倉 6明本 7三輪田 8鹿児島 9宮澤 10宮川 11服部 12仲宗根 13高田 14浦野 15新甫


対抗戦第三戦の相手は慶應義塾大学。春・夏と接戦を演じている伝統校だ。現時点での自分たちの力を知るには絶好の相手と言えよう。今季初めての本当の意味での厳しい戦いが予想されるが、帝京ラグビーをやり切り、成長できるゲームにしたい。

注目はFWの安定とBK陣。特にBKにはAチームでの公式戦の経験が浅いメンバーや、初出場のメンバーが何人も入った。厳しい相手に対してどこまでできるか、ミスやプレーの精度にかかわらず、すべての経験を前向きに捉えて、今後の成長の糧にできるかに注目したい。

またこの日、都心の最高気温は29℃。風もやや強めという天候。暑さと風も少なからずゲームに影響を及ぼしそうだ。

【前半戦】
開始直後は帝京の時間帯。入りのところからしっかり集中できている。SO森田の仕掛けでラインブレイク。相手ゴール前までボールを運ぶ。ラックからはこの前半の攻め方を宣言するかのように、FWにこだわって攻めていく。NO8李・FL松永を中心にサイドをえぐる展開が続く。

迎えた4分、相手ボールのラインアウトが乱れたと見るや、この日もボールへの嗅覚が抜群だった松永がスチール。そのまま、ゴール前まで持ち込み、ラックからLO小瀧に渡ると、しっかりと相手ディフェンスを引き付けてからFB竹田へとパス。そのままインゴールを陥れ、幸先よく先制トライを奪った(7-0)。

松永はこう語る。
「自分は不器用なのでとにかくタックルに行くことを考えてプレーしています。この場面ではタックル以外で貢献できてよかったです」



帝京の時間帯はまだまだ続く。FWはスクラム戦で圧倒。相手はスクラム・コラプシングの反則を繰り返す。ただ、ラインアウトはやや不安定。強風の影響で、後ろに合わせたボールは両チームともにノットストレートを取られてしまう。

だが帝京の圧力は相手の反則も誘発。11分には、相手のノットロールアウェイの反則でえたペナルティゴールを森田が冷静に決め、10-0とした。

このあとは一進一退の攻防が続く。だが、17分にはマイボールラインアウトが乱れると、そのまま展開されてトライを献上してしまう(10-7)。このあたりからやや受けに回る時間が訪れる。24分には、ディフェンスの隙を突かれて逆転を許してしまう。

前半は風下とあり、帝京の攻撃はまずはFW戦にこだわる。相手ゴール前ではモール、ラックを作って攻め続けるがインゴールまでは届かない。前半は10-15で折り返すこととなった。



【後半戦】
ハーフタイム。岩出監督からは「FW戦は攻撃オプションの一つ。こだわりすぎないで、バランスよく、そしてしっかりエリアマネジメントをしていこう」との指示が飛ぶ。

いよいよ勝負の後半戦。だが選手たちは冷静であった。
「前半、ハーフ団のマネジメントがよくなかったところがあったのは反省点ですが、後半は風上。まずは敵陣に入ることを最優先にしました」(SO森田)
「前半はFWにこだわりすぎたところが少しあったと思いますが、後半は落ち着いて修正できました」(No8李)

実際、後半はFW、BKをバランスよく使う戦い方になったようだ。また、経験豊富なCTB南橋、WTB小野らが入ったことで、ディフェンス、特に味方同士のコミュニケーションの部分がよくなり、慶應に攻め続けられる時間帯でもディフェンスが堅く、帝京ファンにとっては安心して見ていられたことだろう。
この日も南橋のディフェンスはすばらしい。タックル一発で相手ボールを奪う。

26分にはFWがモールを押し込み、その勢いのまま森田が突破し、逆転のトライ(18-15)。さらにモールからFW勝負で松永がダメ押しのトライ。攻められても鉄壁のディフェンスで守り切り、後半は相手に得点を許さず、26-15で帝京が勝利した。



FWは強敵相手にスクラム、ブレイクダウンではほぼ圧倒。ゴール前でもその力を発揮した。今季から出場のPR前田や新人小瀧も徐々に自信をつけているようで、この経験を経て、さらに成長していくことを予感させた。BK陣も、FB竹田の安定感に加え、経験の浅い選手を起用できたことで、今後の選手層といった観点からも意味あるゲームとなったに違いない。

また、この暑さにもかかわらず、最後まで足が止まらず、FW、BKともにしっかりとディフェンスできたのは大きい。強豪・慶應大相手に自分たちのラグビーで結果を出せたこと、後半にいくつもの修正ができたことは今後の自信につながっていくことだろう。

「課題も少し残りましたが、いずれにしても戦い方の幅は広がったので、今後は状況や相手によっていろいろな選択肢ができました」(SH滑川)
得点差以上の会心の勝利だったようだ。



《試合後のインタビュー》

■岩出雅之監督
「今日もたくさんの方にご観戦いただき、ありがとうございました。
今日はゲーム中、あるいはゲーム後にみんなが成長できるゲームにしようと言って送り出しました。デビュー戦の選手もいましたし、経験値の少ない若手も多かったので、おそらく噛み合わないところも出てくるのではないかと思っていましたが、失敗しても、伸び伸びプレーさせてあげたいと思っていましたので、ゲームプランも絞ってゲームを行いました。
秩父宮という舞台も含めて、今日が本当に厳しいゲームのスタートだと思っています。そういう厳しさの中で、選手たちが自分たちのやってきたことをどこまで出してくれるか、どんなゲームをしてくれるかどうかを楽しみにしてゲームに臨みました。緊張感の中でいい経験をしたと思うので、これを成長の糧とし、今後の努力に活かしてくれればと思っています。
前半は、ここ1、2週間に新しく取り入れた攻撃オプションにこだわりすぎていた部分もありましたが、後半には修正できました。ディフェンス面も横の選手とちょっと呼吸を合わせるだけでできることなので、修正していけると思っています。これから厳しい相手との対戦が続きますが、その中で少しずつ、我々の力が上がっていけるように頑張っていきたいと思っておりますので、これからも応援よろしくお願いいたします。最後になりましたが、慶應大学の皆様、本日はありがとうございました。」

■キャプテン・森田佳寿(4年)



「今日は、このゲームを通してさらに成長していこうと言って臨みました。慶應義塾大学さんの厳しい、激しいプレッシャーもありましたし、自分たちの中で少し空回りしているところもあって、前半はうまくいかないこともあったのですが、後半はエリアマネジメントもうまくできました。またディフェンスも修正できましたし、ゴール前でも取り切ることができました。今日の試合で出た課題をこの先、しっかりと修正していって、今後の対抗戦や大学選手権につなげていたいと思います。」

■ディフェンス・オフェンスとも活躍したFL松永浩平(3年生・ゲームMVP)
「慶應大学さんという厳しい相手に対して、いかに自分の力を出すかを考えたのですが、結局、相手がどこでも自分のやるべきことは変わらないと思って臨みました。特にディフェンスの部分で、自分のいいところが出せたかなと思っています。厳しい相手に対しても、自分のイメージしたプレーができたことはとても自信になりました。」

■FW戦で縦への突破を何度も見せたNo8李聖彰(2年生)



「前半の中盤あたりで、自分たちのミス、特にFWがペナルティを犯して点を取られてしまったので、そこは反省です。ただ、後半はペナルティも前半に比べて少なくできましたし、試合中にいろいろな修正ができたことはとてもよかったと思います。」

■ディフェンス面でも大きく貢献したSH滑川剛人(4年生)
「中盤は厳しい試合内容になりましたが、この厳しいゲームを乗り越えて成長できたと思うので、いい試合だったと思います。今日はスクラムでFW陣がしっかり前に出てくれたので、自分も出足よくディフェンスすることができました。FWのおかげです。」

■対抗戦初出場ながら伸び伸びプレーしたWTB池上貴章(4年生)
「今日は初めての試合でしたが、ミスを恐れず思い切ってやろうと思って臨みました。キックオフのボールをチェイスしてキャッチできたり、キャッチした相手にタックルできたところはよかったと思います。ただ、緊張してか、思い切りよく行きすぎてしまった場面がありました。ディフェンスで中に寄ってしまい、相手に外のスペースを与えてしまったのは反省です。攻撃でも、飛ばしパスで余った状態ができたのに、うまくキャッチできませんでした。キャッチできていれば自分の持ち味であるランでトライが取れたはずなので、とても悔しいです。」

■前に出るDFの威力を発揮したCTB荒井基植(3年生)
「いつもは南橋さんが入っている12番のポジションに入ったのですが、これまでいかに南橋さんに頼っていたかを実感しました。もっともっと自分がBKをリードしていかなければいけないと思いました。後半は、ボールをもってしっかりミスなく前に出られましたし、ディフェンスもコミュニケーションが取れたのはよかったと思います。これからも積極的に頑張っていきたいです」

■よく声を出し地道なプレーが光ったWTB南藤辰馬(3年生)



「初めての公式戦で秩父宮という大きな会場でできるとあって、とても楽しみにしていました。最初体当てるまでは少し緊張もあったのですが、まずまず楽しめました。監督からは『トライ取ることも大事だけど、タックルとかキックチェイスとか、地道に頑張ろう』ってアドバイスいただいて試合に入りました。自分としては、ラインの深さやタイミング、またタックルなど少し課題も残ったのですが、今日の経験はそれよりも自分の財産になったので、これからもステップアップして、どこのポジションでもいいのでAチームで出してもらえるよう、頑張っていきたいです」

■準備を怠らず後半のスクラムを支えたPR猿渡康雄(3年生)



「自分のやるべき仕事の第一はセットプレーの安定なので、セットプレーでしっかりと自分の持ち味を出して、相手を圧倒するという意識でゲームに臨みました。今日は1番(左プロップ)の控えのつもりでいたのですが、3番(右プロップ)に入ることになりました。それでも3番は得意なポジションですし、どちらでも行ける準備をしていたので、しっかりと自分の組み方で組むことができました。今後は1番、3番ともにしっかりと組めるようにもっと練習したいと思っています。」

《PICK UP PLAYERS》

突破力が魅力の強心臓
CTB 徳富大樹(3年生)




TOKUDOMI TAIKI
1990年11月6日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
佐賀工業高校出身
身長176cm/体重81kg/血液型A型

■今日は対抗戦初先発でしたが、いかがでしたか。
「それが……あまり緊張はしませんでした(笑)」

■試合前はどんなことを考えて臨んだのでしょうか。
「チームとしては、いつものようにまずは敵陣に入って、FWを前面に出し、FWに敵が寄ったところでBKに展開してトライを取るというイメージを意識して臨みました。自分としては、ボールを持ったら縦への突破でゲインラインを越えるというのが仕事だと思っていましたので、それだけを考えて試合に臨みました」

■ゲームを振り返って、イメージどおりできたでしょうか。
「出場は前半だけだったのですが、あまりBKにボールが来ませんでしたね(笑)。もっとコールしてBKにボールを回してもらうようにすればよかったです。縦に一本行けたシーンがあったのですが、そこで強さを見せ切れなかったのは少し悔しいです」

■自分のここを見てほしいというプレーはどんなプレーでしょうか。
「裏に出て1対1になったときの抜く力ですね。センターとして前に出ていくプレーを見てほしいです」

■ラグビーをやっていて一番楽しい、あるいはうれしい瞬間というのはどんなときでしょうか。
「一番といっても、アタック面とディフェンス面の両方がありますね。アタック面では、相手を吹っ飛ばして前に出られたときや、そこからトライを取れたときにはすごくうれしいです。ディフェンス面ではタックル。タックルが決まったときは、今まで練習してきたことが成果として出たと実感できてうれしいですね」

■チーム状態、チームの雰囲気はいかがですか。
「まだまだ成長段階だと思っています。雰囲気はとにかくいいですね(笑)。もっと成長して、もっといい状態になれると思っています」

■オフのときにはどんなことをしてリフレッシュしているのでしょうか。
「みんなと映画を見たり、カラオケをしたりすることでリフレッシュしています」

■最後にホームページの読者のみなさんに向けて、今後の抱負を聞かせてください。
「今日出た課題を次に活かせるように、日々の練習から努力をして、次にまた今日のように秩父宮で試合に出られたら、もっといいプレーをしたいと思っていますので、応援よろしくお願いします」

対抗戦初先発にもかかわらず「緊張はなかった」と言い切る強心臓の持ち主。人に強いアタックが魅力だ。経験値を考えればこれからまだまだ伸びる存在。Aチームでの経験を重ねることで、チームとしてのコミュニケーションによってディフェンス力も高まるはず。思い切ったプレーで自身の強みを出し切れば、今後もチームに大きな貢献をしてくれるに違いない。

《NEXT MATCH PREVIEW》

【10月23日(日)関東大学対抗戦 VS成蹊大学 秩父宮ラグビー場 12時キックオフ】

対抗戦第四戦は対成蹊大学戦。昨年度は入れ替え戦を免れるなど、着々と力をつけてきているチームだ。今シーズンは強豪相手に苦戦が続いている相手だが、帝京としてはけっして侮ることなく、自分たちのラグビーをしっかりとやり切りたい。

(文/木村俊太、写真/志賀由佳)

特集一覧