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関東大学春季大会Aグループ 大東文化大学戦

関東大学春季大会Aグループ 大東文化大学戦

2019/05/12

5月12日(日)・百草グラウンド
○帝京大学(勝点12)60-7大東文化大学(勝点2)●



《帝京大学》
[FW]
(1)近藤⇒長谷川(2)李(承爀)⇒上片(3)奥野⇒田中(4)久保(5)本山⇒水谷(6)安田⇒ツイナカウヴァドラ(7)山口(8)金(隆)
[BK]
(9)末⇒春野(10)北村⇒高本(11)李(承信)(12)岡村(13)尾﨑⇒小村(14)木村(15)奥村

《大東文化大学》※先発のみ
[FW]
(1)渋谷(2)小泉(3)藤井(4)呉山(5)タウモア(6)服部(7)篠原(8)佐々木
[BK]
(9)松田(10)青木(11)長谷川(12)星野(13)タヴォ(14)鎌田(15)鈴木

【前半】【得点経過】
【9分】帝7-0大
FB奥村の好タックルからターンオーバー。奥村がすぐに立ち上がってこぼれ球を拾い、大きく前進。WTB木村にパスし、木村がトライ。ゴール成功。

【16分】帝14-0大
ラインアウトから連続攻撃。ラックから、SH末-SO北村-WTB木村と渡り、木村が大きく前進。さらに、CTB岡村にパスし、岡村が抜け出してトライ。ゴール成功。

【24分】帝21-0大
スクラムから連続攻撃。ラックから、FL山口が持ち出し、そのまま走り切ってトライ。ゴール成功。

【26分】帝26-0大
ペナルティから、SH末がクイック・リスタートで前進。末から、WTB木村-CTB尾﨑-WTB李と渡り、李がトライ。

【30分】帝33-0大
相手ペナルティから、FB奥村がタップキック。奥村から、No8金-SO北村-CTB岡村と渡り、岡村が前進。さらに、CTB尾﨑-WTB木村と渡って、木村が抜け出してトライ。ゴール成功。


【後半】【得点経過】
【7分】帝33-7大
スクラムでのフリーキックから、クイックでつながれ、トライを奪われる。

【10分】帝38-7大
ラインアウトのクイック・スローインから連続攻撃。ラックから、SH末が持ち出し、トライ。

【12分】帝45-7大
SH末のキックをCTB尾﨑がナイスキャッチ。ラックから、HO李-SH末と渡り、末が抜け出す。FL山口にパスし、山口がトライ。ゴール成功。

【16分】帝50-7大
キックカウンターから連続攻撃。ラックから、SH末-CTB尾﨑-WTB李と渡り、李がトライ。

【32分】帝55-7大
ラインアウトからモールを形成。ラックになり、連続攻撃。ラックから、SH春野-CTB岡村と渡り、岡村が抜け出してトライ。

【36分】帝60-7大
相手がノックオンしたボールを拾ってつなぐ。CTB岡村が前進。WTB李にパスし、李が前方へキック。奪われかけるも、CTB岡村がうまく拾って、SH春野にパス。春野が飛び込んでトライ。


《BRIEF REVIEW》

春季大会第2戦の相手は大東文化大学。帝京は前半から得点を重ねていく。先制点は、FB奥村の好タックルから。倒した相手からボールを奪い、WTB木村につないでトライを奪う。その後もFW、BKともにいい動きを見せ、前半だけで5トライ。相手を無失点に抑え、33-0でハーフタイムを迎えた。後半は7分に、ゴール前でのスクラムで反則を取られ、クイックで持ち出されて失点するが、その後は落ち着きを取り戻す。攻め込まれる時間帯もあるが、組織的なディフェンスでしっかりと守る。攻めては後半も5トライを奪い、60-7でノーサイド。帝京は春季大会2連勝を飾った。




《POST MATCH INTERVIEW》

■岩出雅之監督
「今日のゲームは、二つの点を学生たちにアドバイスしました。
一つは「厳しさ」。やるべきことを丁寧に、そして、激しくやりきり、相手に厳しく立ち向かうこと。雑であったり、激しさがないとラグビーの芯の部分が成長しません。
もう一つは、『気づき』の部分。学生たちは、新しいクラブハウスなど、すばらしい環境でラグビーをしたり、トレーニングをしたり、日々のアスリート生活を送っていますが、それにふさわしい形で使っているかどうか。ゴミやホコリを放置したまま使ってはいないか。日頃より選手達は、しっかり丁寧に掃除をしていますが、もう少し気配りが必要と感じたからです。そうしたことに気づけるかどうかは、直接的にはラグビーの問題ではありません。しかし、気づく力はラグビーのプレーにも影響し、プレー事態も違ってきます。あまり気づくことのない点に目を配ることで、様々なことが見えてきます。少し面倒なことですが、ラグビーは、面倒なこと、痛いことの積み重ねです。常に意識して生活することで、様々なことに気づけるようになるはずです。今後は能動的な気づきを期待したいですね。
最後になりましたが、本日は、大東文化大学の皆様ありがとうございました。」



■ゲームキャプテン・SH末拓実(4年)
「やはり、今日もゲームの中でキャプテンとしての役割ができていないと感じました。周りを見て、自分がもっと厳しく声でリードしていかなければいけない場面も多々ありました。自分のプレー自体もマイナスなプレーが多く、反省点がたくさん見えました。いいプレーもなかったわけではないのですが、ベーシックの部分、例えばSHとしてのパスだったり、ディフェンスのコントロールだったり、コミュニケーションだったりといった芯の部分にまだまだ雑なところがありました。FWのコントロールに関しては、例えばもっとブレイクダウンに時間をかけられれば、ディフェンスが立てる時間も稼げたと思いますし、そうしたことも意識してやっていきたいです。チーム全体としては、個々のレベルが少しずつ上がってきていますし、今後も成長していくと思いますが、タックル、ブレイクダウンといった芯の部分での厳しさをもっともっと高めていきたいです。チームの雰囲気もまだまだ盛り上げていかなければと思っていますし、その役割が僕なんだということをもっと意識してやっていきたいです。次に向けては個々のプレーとつながり。それに加えて、厳しいプレーができるように、対抗戦のライバルでもある慶応大学さんにぶつかっていきたいと思います。」



■一喜一憂せず、さらなる成長を誓う・PR奥野翔太(2年)
「今日の試合はセットプレーをしっかりやっていこうと思って、スクラムにフォーカスして臨んだのですが、いいボールをBKに出すことができていなかったので、もっと強くなっていかないといけないと改めて感じました。いい姿勢を取ることがスクラムで一番大切なので、それを意識してやっていきたいです。一つ一つのプレーに一喜一憂せず、次のプレーに集中するという、前回出た反省点については、今日はできたと思っています。前の試合、今日の試合で得るものもありましたが、自分のやるべきことというのがまだまだできていない状態なので、どんな相手に対しても自分たちのやるべきことをやるのが大切だと感じています。また、フィールドプレーについてもまだまだなので、日頃の練習で強さをつけていきたいです。今後も一戦一戦、セットプレーでもフィールドプレーでも成長して、いいプレーができるように頑張ります。」



■得意のラインアウトでリーダーシップを発揮・LO水谷健人(4年)
「今日はAチームの試合としては初ということで緊張もありましたが、その緊張がいい刺激になって、いつもより引き締まった気持ちでプレーに臨み、ゲームに集中することができました。ただ、Aチームの試合は、今までとコンタクトのレベルが違いました。そこは課題として、僕自身、もっと強くなって、コンタクトでも通用する体にしていかないといけないと感じました。ラインアウトが僕の持ち味だと思っているのですが、今日はよくできたと感じています。今後もリーダーシップを取って、導いていけたらと思っています。自分はどちらかというと、声でみんなを引っ張るタイプではないのですが、4年生としての役割があるので、まずはプレーの面でみんなを鼓舞して、熱く引っ張っていけたらと思っています。ただ、リーダーがいないとチームはまとまらないので、特に自分の得意なラインアウトの部分などでは、みんなに声で指示を出すなど、リーダーシップを取っていこうと思っています。チャンスをいただいた今日の試合をきっかけに、今後も自分自身をどんどん成長させて、Aチームでプレーできるように、体も気持ちもプレーも鍛えていきたいと思います。」



■竹山晃暉(パナソニック ワイルドナイツ・帝京大学OB)
「OBになって初めて母校の試合を見させてもらいました。OBになって感じるのは、帝京大学ラグビー部には本当にすばらしい『環境』があったのだということです。ここで言う環境というのは、施設面はもちろん、スタッフの方々など人的環境、あるいは監督やコーチ陣の人を育てるための考え方などソフトの部分での環境も含まれます。学生の頃には気づかなかったのですが、こうした環境はけっして当たり前にあるものではありません。学生時代にこのことに気づけたら、僕自身、もっともっと成長できていただろうと感じます。後輩たちには、この当たり前ではない環境のありがたさに早く気づいて、感謝の気持ちを自身の成長につなげていってほしいと願っています。」


《PICK UP PLAYERS》

スピードを活かしてトライを量産

FL 山口莉輝(3年)
YAMAGUCHI RIKI



教育学部教育文化学科
長崎北陽台高校出身
身長180cm/体重97kg


■まずは、試合の感想からお願いします。
「今日は、自分自身、80分間、フルにプレーするのが初めてだったのですが、ディフェンスやタックル、走るところでまだまだ課題が残る試合になりました。」

■攻める方では2トライでした。
「それは、みんながつないでくれて、最後に僕がトライをしたというだけなので、チームで取ったトライだと思っています。」

■課題について、具体的にこうしていけばもっとよくなるというような展望はありますか。
「今日の試合では、タックルで胸から行ってしまうシーンが多くあったと岩出監督からご指摘をいただきました。肩でタックルに行って、相手にインパクトを与えられるようになれば、チームも盛り上がると思いますので、そこを意識してやっていきたいです。」

■80分間という話がありましたが、体力的にはどうでしたか。
「途中で歩いてしまった時間帯もあったので、もっと走れるようになれば、さらにいい動きができると思うので、鍛えていきたいと思います。」

■岩出監督からは『オフェンスはよかった』という言葉がありました。自身での評価はどうですか。
「ありがとうございます。でも、自分ではまだまだだと思っています。」

■スピードを活かした攻撃が随所に見られました。
「もともとBK(CTB、WTB)でしたので、そこは強みとして出していきたいです。」

■今後に向けての意気込みをお願いします。
「まずは、課題のタックルを修正すること。それによって、チームに勢いをつけられるようにしていきたいです。」


もともとはCTB、WTBだったが、FLにコンバート。この日は、元BKとしてのスピードを活かして2トライを奪った。岩出監督も、この日の攻撃面に関しては高く評価している。課題は、自身も言うようにタックル。胸で当たりがちなので、肩で当たるようにすればもっとよくなると、修正点は明確だ。80分という時間も体感し、今後のスタミナ向上にも取り組む意欲を見せている。ここからどこまで伸びてくれるか。成長が楽しみだ。



《COLUMN》

―― 意識して気づくこと ――

この試合のハーフタイム。岩出監督は、ゲーム中のコンタクトの厳しさとともに、新しい建物の設備に、ホコリや汚れがついていたことを指摘し、それに気づかないことへの注意を語りました。

試合中のハーフタイムに、一見するとラグビーとは関係のないように思える、設備の汚れという生活面の注意を与えたのです。それは、「意識して気づくこと」の大切さをすぐに伝えたかったことに加え、その「気づき」はラグビーをする上でもとても大事なことだったからに違いありません。

岩出監督は「ゴミやホコリは意識していないとたいてい気づきません。意識して、ゴミやホコリを探すようにして、やっと気づく。『意識して気づく』ことの大切さを知ってほしい」と言います。

なんとなくプレーしていては、大切なことも見逃しがちですが、「ここはきちんと意識しよう」と思ってプレーすれば、その部分に関して何かあったとき、必ず気づくはずです。気づきというのは、突然のひらめきのようにやってくるものではなく、常に意識する中から生まれるということです。

プレーでの気づきも、意識なくしては生まれません。つまり、事前の準備、そしてそれに対する意識を薄れさせないことが大事になってきます。

もちろん、新しい施設を大事に使うという、生活面での当たり前のことを、もう一度、しっかりと見つめ直してほしいということがありますが、それがひいてはラグビーのプレーにもつながっていくということを改めて理解してほしかったのです。

試合後、部員たちは、試合で使った用具などの片づけだけでなく、グラウンドや建物の掃除をみんなで熱心に行っていました。意識することによって、気づきが生まれました。今後は、これを継続していくことで、意識して気づくことが当たり前になっていくことでしょう。


《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。

PR 上路慶人(1年)
光泉高校出身
身長171cm/体重89kg

「自分は、元BKということもあり、ボールキャリーで相手をずらしてゲインするプレーが強みだと思っています。一方で課題はディフェンスです。タックルが甘いところがあるので、重いFW相手でも鋭いタックルができるように、磨いていきたいです。帝京大学ラグビー部は、先輩方がいろいろな仕事をしてくださるとは聞いていましたが、自分が考えていた以上で、みなさん、とてもいい先輩方ばかりです。自分も見習っていきたいです。自分はまだFWに転向したばかりで体重も軽く、スクラムのスキルなどもまだまだなので、そこを磨いて、試合で活躍できるPRになりたいと思います。」


FB・WTB 大籔洸太(1年)
中部大学春日丘高校出身
身長180cm/体重78kg

「自分は、相手ディフェンスの間をスピードで抜いていくランプレーを得意としています。課題は体づくりです。線が細く、コンタクトで力強いプレーがまだできないので、体を強くして、コンタクトで力強いプレーができるように鍛えていきたいです。帝京大学ラグビー部の練習の雰囲気については高校時代から聞いていましたし、一度、体験練習にも参加させていただいたので、ある程度はわかっていたつもりでしたが、実際に入ってみると、フィットネスやウエイトトレーニングなどのきつい練習でも、先輩たちが盛り上げてくださり、そこに付いていこうと思うような、いい雰囲気があってすごいと思いました。いまはケガでプレーができていないので、まずはケガをしっかり治して、早く試合に出たいです。」


CTB 松山千大(1年)
大阪桐蔭高校出身
身長172cm/体重85kg

「自分は身体を使ったコンタクトプレーに自信を持っています。ただ、その強みは通用する部分もありつつも、スキルの面やスピード面ではまだまだ及ばないところがあるので、これからもっともっと成長させていきたいと思っています。帝京大学ラグビー部の環境はとてもすばらしいと入学前から聞いていましたが、思っていた以上で、さらにスタッフの方々のサポートも手厚く、とてもありがたいと感じています。今はケガをしているのですが、一日でも早く治して、上のチームで活躍できるように頑張りたいと思います。」



左から上路慶人・大籔洸太・松山千大

《NEXT MATCH》
関東大学春季大会A
対慶應義塾大学(https://keiorugby.com/)
5月19日(日) 百草グラウンド
13時キックオフ

(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

 

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