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関東大学対抗戦A 筑波大学戦

関東大学対抗戦A 筑波大学戦

2019/11/04

11月4日(月・振休)・駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場
○帝京大学(4勝)24-22筑波大学(1勝3敗)●



《帝京大学》
[FW]
(1)北⇒泓(2)李(承爀)⇒小林(3)奥野⇒細木(4)マクロビー⇒水谷(5)久保(6)金(隆)(7)上山⇒トンガタマ(8)安田
[BK]
(9)土永⇒末(10)金(諒)⇒北村(11)尾﨑(12)新井⇒本郷(13)マクカラン(14)木村(15)奥村

《筑波大学》※先発のみ
[FW]
(1)木原(2)安里(3)鎌田(4)後藤(5)中原(6)中田(7)土谷(8)田上
[BK]
(9)杉山(10)山田(11)仁熊(12)野中(13)岡﨑(14)島田(15)松永

【前半】【得点経過】
【8分】帝5-0筑
相手キックをSO金(諒)が拾って前進。ラックから、SH土永-WTB尾﨑-土永-尾﨑とパスをつなぎ、尾﨑がトライ。

【14分】帝5-7筑
マイボールラインアウトを奪われ、つながれて、トライを奪われる。

【20分】帝5-12筑
スクラムからつながれ、トライを奪われる。

【35分】帝12-12筑
ラックでターンオーバーしてつなぐ。SH土永-SO金(諒)-WTB尾﨑とつないで、尾﨑がトライ。ゴール成功。


【後半】【得点経過】
【6分】帝12-15筑
PGを決められる。

【11分】帝12-22筑
スクラムからつながれ、トライを奪われる。

【25分】帝17-22筑
クイック・ラインアウトから連続攻撃。ラックから、SH土永-FL金(隆)と渡り、金がトライ。

【49分】帝24-22筑
スクラムから、つなぐ。No8安田-SH末-CTB本郷-SH末-WTB尾﨑-WTB木村と渡り、木村が抜け出してトライ。ゴール成功。


《BRIEF REVIEW》

およそ1ヵ月半のワールドカップ期間が終了し、対抗戦が再開。相手は筑波大学。先制したのは帝京。SH土永とこの日、初WTBの尾﨑がふたりでパスをつないでトライ。だが、その後は劣勢に立たされる。攻め込んでも、相手の固い守りに阻まれ、逆に一気に持っていかれてトライを奪われる展開が続く。しかし35分、ラックでのターンオーバーから、尾﨑が2本目のトライを奪い、同点で前半を折り返した。後半も相手の守りは固く、PGとトライを奪われ、10点のビハインドとなる。だが、後半の後半でようやく帝京の勢いが出る。25分にFL金(隆)のトライで5点差に迫る。ここから、帝京の連続攻撃が続くが、最後の最後まで相手の守りは固く、トライにまでは至らない。手に汗握るロスタイムが続いた49分、スクラムからつないで、WTB木村がトライ(同点)。難しい角度からのコンバージョンキックをSO北村が決めて、ノーサイド。帝京が24-22で辛くも勝利した。

 

《POST MATCH INTERVIEW》

■岩出雅之監督
「今日の試合は、勝って反省ができるという点だけが唯一よかったところかなと思います。気持ちの面なのか、技術的なことなのか、未完成の部分がたくさんあったと思いますが、学生たち自身がそれを感じて、11月の4連戦をしっかり成長しながら、乗り越えていってほしいと思います。その4連戦の最初から、こうした厳しいゲームを体験できたことは、とてもよかったと思います。試合内容に関しては、特に前半は、相手を見過ぎてしまっていました。チャンスはあったと思いますが、状況判断や自分たちのやるべきことができていなかったことで、チャンスを逸する場面も多かったように思います。今年は若いチームなので、もう少し経験を積みながら、成長していってくれればと思っています。結果的に勝利を得ることができたので、そこについては粘り強さを出してくれたのかなと思っています。次戦は、早稲田大学戦。早稲田さんは強いですし、調子もよさそうですが、我々もなんとか食らいついていきたいと思っています。今回のワールドカップがすばらしく、教え子もたくさん活躍してくれました。学生たちもいい刺激をもらえたのではないでしょうか。これからは、我々、大学ラグビーが切磋琢磨して、たくさんのファンの方々にいいゲームを見ていただけるようにしていかなければと思っています。最後になりましたが、筑波大学さんは本当にすばらしいファイティング・スピリットを発揮されました。我々は最後の最後にやっと勝ちを拾わせていただいたという試合でした。多くのことを学ばせていただいた筑波大学さんに敬意を表したいと存じます。」



■キャプテン・CTB本郷泰司(4年)
「今日の試合、前半は相手の攻撃に対して受けてしまったところがありました。筑波大学さんの勢いがあるBK攻撃に対して受けてしまったため、多くのチャンスを与えてしまいました。またラインアウトが安定しなかったことも、相手に勢いを与えてしまった要因だと思います。ただ、後半は劣勢の場面でもエネルギーを出せて、相手に向かっていくことができ、最後もそのエネルギーを全員で意思統一して出せたことで、トライにつながったと思っています。さらに、ブレイクダウンでしっかりファイトできたことも、いいテンポで攻めることができた要因の一つだと思います。なにより、接戦を勝ち切れたことが、僕たちの財産になりました。反省点がたくさん出た試合になりましたが、しっかり修正して、今後に向かっていきたいと思います。」



■初WTBで2トライを奪い、勝利を呼び込むラストパスを放つ・WTB尾﨑泰雅(3年)
「今日は厳しいゲームでしたが、スタンドで応援してくれていた仲間も含めて、全員で戦っているという意識があって、最後にトライを取り切れたのだと思っています。公式戦でWTBに入るのは、今日が初めて。2トライは、みんながつないでくれたおかげです。ワールドカップでは、日本代表らしい熱いタックルをたくさん見せていただいて、とてもいい刺激をもらえました。自分たちもああいったプレーをしたいと、改めて感じました。次は早稲田大学さんとの試合。夏に敗れていますし、早稲田さんは強いですが、自分たちのやるべきことをやって、前半から前に出るディフェンスで対抗していきたいです。」



■最後に逆転のコンバージョンゴールを決めた・SO北村将大(3年)
「最後のところは、FWがブレイクダウンで粘り強くつないでくれて、マイボール・スクラムにしてくれたので、そこからBKでトライを取り切れたのはよかったです。あとは、みんながつないでトライを取ってくれたあと、自分が自分の役割をやり切ったというか、決められてよかったです。その前に1つゴールをはずしていて、そのときは自分の間合いをはかれないまま蹴ってしまったので、そこを修正して、自分の間合いで蹴ることができました。とにかく集中して、ゴールが入るイメージを持って蹴ることができたのが、よかったと思います。ワールドカップ期間は、コンタクトを意識して、タックルでも、アタックでも、もっともっと前に出ることを意識して練習していました。今日の試合でそれを体現できればよかったのですが、受けているところがありました。次の早稲田大学さんとの試合では、前に出る意識を前半の最初から出していきたいと思います。」



《PICK UP PLAYERS》

対抗戦デビューながら、スクラムで大きく貢献

PR 泓城蓮(2年)
Joren Fuchi



教育学部教育文化学科
関商工高校出身
身長180cm/体重112kg


■試合を振り返って、感想をお願いします。
「自分がこだわってきたのはスクラムですが、今日はうまく組めたところと組めなかったところの両方がありました。自分としての基準があいまいだったので、もう一度、ルーティーンのところから見直していきたいです。また、フィールドプレーでは、入ってすぐに自分のミスでチームに迷惑をかけてしまいました。フィールドプレーの部分はもっとレベルアップさせていきたいです。」

■Aチームでの試合は久しぶりでしたが、どんな気持ちで臨んだのでしょうか。
「春季大会の早稲田大学戦以来ですね。この大きな舞台でメンバーに選んでいただけたことに感謝して、全力でやろうという気持ちでプレーしていました。」

■最後はしびれる展開になりました。
「リードされていて、攻めてもなかなか得点できないなど厳しい展開ではありましたが、(本郷)泰司さんが入ってきたときなど、チームの雰囲気がすごくよかったので、FWとしては最後のスクラムを押し勝つことがチームの勝利につながると確信して、最後はしっかりやり切るだけでした。」

■昨晩に雨が降って、スクラムへの影響は?
「自分の中では、滑るという感覚はなかったです。」

■次戦以降に向けて、意気込みをお願いします。
「まずは、今日出たフィールドプレーでの反省点をしっかり見つめ直して、改善して、フィールドプレーでチームに迷惑をかけないようにしたいです。また、スクラムではルーティーンを正しく行って、自分たちのスクラムが組めるようにしたいです。スクラムでチームに貢献できるように頑張ります。」


後半開始からの登場。Aチームは春季大会最終戦以来だが、終始、落ち着いたプレーを見せた。得意のスクラムで大きく貢献。安定感を発揮した。後半早々に、タックルをはずされて抜かれたシーンを反省するが、その後は身体を張り続けた。今後も、恵まれた体を活かす、ダイナミックなプレーに期待したい。


《COLUMN》

―― 「ラグビー・ロス」とは言わせない ――

ワールドカップ日本大会が終わりました。大会前は「日本でワールドカップをやっても盛り上がらないのではないか」などと心配されましたが、日本代表の快進撃もあり、ふたを開けてみれば、大会前がウソのような、とてつもない盛り上がりを見せてくれました。大会が終わり、ファンの間では心にぽっかり穴があいたような「ロス」現象が起こっている人も少なくないようです。

帝京からはOBが7人選ばれ、全員が試合に出場。日本の勝利に貢献してくれました。ネット上では「7人もの人材を輩出した岩出監督こそ、今大会の影の功労者ではないか」などという書き込みも見られましたが、そういう見方もあながち大袈裟とは言えないかもしれません。

今大会の盛り上がりは、ラグビー関係者の長年の苦労が実を結んだと言えますが、これが一過性のもので終わるのか、文化として根づいてくれるのかは、今後の取り組み次第と言えるでしょう。

現在、日本中の多くの人たちがラグビーの魅力に気付いてくれています。その魅力を、ぜひ多くの人に引き続き味わっていただくにはどうすればいいのでしょうか。すぐに思いつくもので言えば、魅力を知っている人たちが、いわゆる「にわかファン」の方をスタジアムに(あるいは、ご家庭のテレビの前に)誘って一緒に見るということもあるでしょう。いや、もしかすると、これが唯一の選択肢なのかもしれません。

岩出監督は記者会見で「私もワールドカップ・ロスです」と報道陣を笑わせたあと、こう語っています。

「トップリーグ開幕までの間、我々、大学ラグビーが切磋琢磨しながら、いい形でファン定着に貢献できたらと思います。」

「ワールドカップ・ロス」はあと4年は仕方ありませんが、「ラグビー・ロス」は回避可能です。ラグビーの魅力を、みんなでこれまで以上に発信していけたらいいですね。



《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。

CTB・WTB 李承信(1年)
大阪朝鮮高級学校出身
身長175cm/体重90kg

「自分のアピールポイントは、アタックでのハンドリングとオフロードのパスです。逆に強化していきたいのは、ディフェンス。タックルがしっかりできるようにしたいです。帝京大学ラグビー部については、兄(李承爀・3年)からもいろいろ聞いていましたが、施設・設備が充実しており、本当に恵まれた環境があると感じました。また、誰かにやらされるのではなく、選手自身で練習メニューやチームを作っていくという意識が高いです。まずは、次の試合に出場して、Aチームに定着できるようになって、大学選手権でもチームに貢献できるように頑張りたいです。」

SH 前田翔哉(1年)
常翔学園高校出身
身長163cm/体重60kg

「自分の強みはパスだけでなく、自分がボールを持って走れるところです。課題はゲームメイク。自分でボールを持って前に出るのも、しっかりゲームを理解した上でやらないと自分勝手なプレーになってしまうので、ゲームを理解して、自分が前に行くべきところ、そうでないところをきちんと判断できるようにしたいです。帝京大学ラグビー部は、スキルも意識もチーム全員のレベルが高いと感じます。今後は、早くAチームに上がって試合に出て、チームに貢献したいです。」

FL・WTB 當眞慶(1年)
流通経済大学付属柏高校出身
身長180cm/体重88kg

「自分の強みはアタックで前に出たときのパス。オフロードパスも強みです。課題はタックルです。もっとしっかりタックルできるようにしたいです。帝京大学ラグビー部は、食事・栄養の管理がとてもしっかりしていて、驚きました。また、ウエイトトレーニングの施設やグラウンドの設備などがとても充実していると感じています。兄(當眞琢・NECグリーンロケッツ所属・帝京大学OB)からは、懸垂が大変と聞いていましたが、実際、かなり厳しく、しっかり鍛えることができています。今後は一日でも早くゲームに出て、チームに貢献できるようにしたいです。」


左から李承信、前田翔哉、當眞慶

《NEXT MATCH》
関東大学対抗戦A
対早稲田大学(https://www.wasedarugby.com/
11月10日(日) 秩父宮ラグビー場
14時キックオフ

過去の対戦成績:関東大学対抗戦13勝27敗(大学選手権4勝2敗)
[早稲田大学の直近5戦]
8月15日 ○33-14天理大学(夏季練習試合)
8月21日 ○31-21帝京大学(夏季練習試合)
8月31日 ○68-10日本体育大学(関東大学対抗戦A)
9月8日 ○92-0青山学院大学(関東大学対抗戦A)
9月15日 ○52-8筑波大学(関東大学対抗戦A)

(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
 

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