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関東大学対抗戦A・第1戦 立教大学

関東大学対抗戦A・第1戦 立教大学

2012/09/10

『完封発進の開幕戦は上々のスタート』

9月9日(日)・秩父宮ラグビー場
○帝京大学(1勝0敗) 74-0 立教大学●(0勝1敗)




《帝京大学》
[FW]①森川⇒竹井 ②泉 ③出渕⇒深村 ④小瀧 ⑤マニング⇒今村 ⑥イラウア ⑦松永(浩) ⑧李⇒大和田
[BK]⑨天野⇒流 ⑩森谷⇒金田 ⑪磯田  ⑫荒井(基) ⑬前原⇒権 ⑭小野(寛) ⑮竹田


《立教大学》先発のみ
[FW]①宮本 ②斎藤 ③眞壁 ④高沢 ⑤山田 ⑥宇納 ⑦伊藤 ⑧迫田
[BK]⑨中村 ⑩木村 ⑪田中 ⑫梅 ⑬河野 ⑭対馬 ⑮大槻



   【前半】  
いよいよ対抗戦が開幕した。聖地・秩父宮ラグビー場の雰囲気も相まって、1、2年生や公式戦での経験の浅い選手たちにとっては、「緊張するな」というほうが難しいかもしれない。しかし、適度の緊張感はむしろ集中力を生む。どこまで集中して、普段の自分のプレーができるか。今日の相手は立教大学でもあり、自分自身でもある。

 前半はやはり全体的にプレーに硬さが見られる。だが、そんななかでもしっかりと得点を重ねていく帝京。ゲームプランが非常に徹底されている印象だ。特に自陣からのSO森谷のキックが有効に機能する。ハイパントしかり、深いタッチキックしかりだ。エリアマネジメントへの高い意識がうかがえる。

キャプテン泉も要所要所でしっかりチームを束ねている。試合後「ほとんど緊張なく、自然体で臨むことができました」と語っていたように、他の14人の良さを引き出している印象だ。副将のWTB小野、LOマニング、PR出渕らも、傍らで十分にリーダーシップを発揮する。

 得点を重ねるごとに硬さも取れたのか、動きもよくなっていく。FW、BK一体となった帝京らしい攻撃は、前半、FWで3トライ(うち1つはFLイラウアのライン参加によるトライ、2つはスクラムからのトライ)、BKで2トライという数字にも表れていた。



  【得点経過】  
【6分】 帝7-0立
自陣10mから立教ボールのラインアウトをターンオーバー。BKへと展開し、ラックからSO森谷-CTB荒井(基)-FLイラウアと渡り、そのまま走り切ってトライ。ゴール成功。

【12分】 帝14-0立
SH天野、SO森谷らHB団の仕掛けで前に出ると、ゴール前5m付近で立教がオフサイド。帝京はスクラムを選択し、押し込んで、No8李が押さえてトライ。ゴール成功。

【16分】 帝21-0立
立教のキックをFB竹田がカウンターアタック。WTB磯田にパスし、前に出る。つかまるが、No8李がフォロー。ラックになるも、SH流のすばやい球出しでSO森谷へ。前に仕掛けて走り切ってトライ。ゴール成功。

【26分】 帝28-0立
またもFB竹田のカウンターアタックからWTB磯田へのパス。つかまるも、しっかりつないでSH流からSO森谷へ。外へのパスが乱れるもWTB小野がうまく拾って、そのまま走り切ってトライ。ゴール成功。

【43分】 帝35-0立
敵陣ゴール前5mで、帝京ボールのスクラム。立教がコラプシングを犯し、帝京は再度スクラムを選択。押し込んでNo8李がトライ。ゴール成功。

 


   【後半】   
迎えた後半戦。帝京はさらにエンジンを加速し始める。スムーズな球出しから縦突破で相手ディフェンスをラック周辺に集めて、外へ展開するという、今年の帝京の得点力アップを象徴するシーンが随所に見られる。WTB磯田の5トライはまさにその現れだろう。磯田は一見チーム一の快足というその才能だけでプレーしているかのように見受けられるが、元々の線の細さをカバーしようと誰よりも積極的にウエイトトレーニングに励む姿がたびたび目撃されており、彼のような存在がさらにチーム力を高めるのだろう。

一方FWもスクラムを中心に常時優位に立ち、ターンオーバーを連発。FW陣の頑張りこそがBKがのびのびプレーできた最大の要因といえる。
 ディフェンスも安定。攻められるシーンもあったが、しっかりカバーに戻り無得点に抑える。

 終わってみれば12トライ74得点。スコアの上でも大勝し、内容としても帝京のいい形を出し続けることができた。細かく見ていくと、ややミスも散見されたが、開幕戦ということもあり、また9月という時期の暑さも考えれば十二分に及第点との印象を受けた。

 中でも、ひたすらフォローに奔走したPR森川、HO泉、FL松永らの献身的な働き、また目立たないながらもしっかり前に出たCTB荒井、FB竹田、さらには急遽途中出場となったSH流らの積極的なプレーは、今季も間違いなくチームに芯が通っている印象を受けた。

 個々でチームで、徐々にではあるが着実に経験値を積み上げていく『2012NEW-TEIKYO』が、この先どこまで進化するか楽しみだ。



  【得点経過】  
【41分】 帝42-0立
ハーフウェイからやや敵陣に入った位置で立教ボールのスクラムをターンオーバー。FLイラウアが前進し、WTB磯田へ。快足を飛ばして抜け出すと、最後は相手ディフェンスをかわしてトライ。ゴール成功。

【47分】 帝47-0立
立教のオフサイドで得たペナルティキック。SO森谷のナイス・タッチキックで敵陣5mへ。帝京はラインアウトからモールを作るが、アクシデンタル・オフサイドを取られる。立教ボールのスクラムとなるも、押し込んでターンオーバー。FLイラウアがインゴールに持ち込むが、グラウンディングできず。帝京ボールの5mスクラムで、ブラインドサイドに走り込んだWTB磯田へ、SH流からタイミングよくパスが出て、そのままトライ。

【50分】 帝52-0立
FW陣の縦攻撃でラックを連取し、SO森谷が仕掛けたラックから左へBK展開。CTB荒井(基)-WTB磯田と渡り、磯田がディフェンスをかわしてトライ。

【67分】 帝57-0立
敵陣ゴール前5mから帝京ボールのラインアウト。モールからラックになり、SH流-LO小瀧と渡り、そのままトライ。

【72分】 帝64-0立
帝京がラックを連取し前進。縦攻撃でラック周辺に相手ディフェンスが集まってきたところで、SO金田から大外のWTB磯田へ長いパスを送る。そのままトライ。ゴール成功。

【76分】 帝69-0立
ターンオーバーからきれいにBK展開してWTB磯田が抜け出すも、インゴールでグラウンディングできずキャリーバック。5mスクラムを押し込み、No8の位置に入っていたイラウアが持ち出してトライ。

【80分】 帝74-0立
敵陣22mラインやや手前で立教ボールのスクラムを押し込んでターンオーバー。SH流-SO金田-WTB磯田と渡って、そのままトライ。


 
 

《AFTER MATCH SAY》

■岩出雅之監督
「いよいよ対抗戦が始まりました。暑い中、多くの方々からご声援をいただき、グラウンドの学生たちも勇気と力強いパワーをもらえたことと思います。ありがとうございました。
今日は、スタートとしていいゲームをしようと気合いを入れて送り出したつもりです。この暑さの中、また開幕戦という雰囲気の中で、どこまで厳しいゲームができるかというところにフォーカスして臨みましたが、いいところもあり、また、修正すべき点もありました。9月のゲームということで、まだまだ成長途上ではありますが、学生たちはいいパフォーマンスができるようにしっかりと練習をして、少しでもいいプレーをお見せできるようにと日々、頑張っています。対抗戦、さらにはその先の大学選手権という長い期間を経て、彼らは大きく成長していくことと思います。皆様には、その成長の過程を長い目で見守っていただけたらと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。
 最後になりましたが、立教大学ラグビー部の皆様本日はありがとうございました。皆さんの最後まで途切れない果敢な闘志はとても素晴らしいものでした。対抗戦の中でより磨きをかけられ良い成果、良いシーズンになられることを祈っております。」


■キャプテン・HO泉敬(4年)
「今日のゲームは、相手がどこであれ、自分たちのラグビーをしっかりやろうというテーマで臨みました。前半は、自分たちの軽いプレーやミスが出て、やや自分たちを苦しめる展開になってしまいました。後半は修正できて、得点を重ねることができたのですが、これからのシーズンを通して、もう一度、自分たちのラグビーの厳しさ、激しさを発揮できるように成長していきたいと思っています。」

■フィールドプレーで活躍・PR森川由起乙(2年)
「今日は自分がいままでやってきたことを全力で出し切ろうというテーマで臨みました。中盤からはスクラムでしっかり押し切ることができ、思い切りのよさが出たのですが、本当はファーストスクラムからそれができなければいけなかったと思います。緊張したわけではないのですが、開幕戦という雰囲気の中でどこか空回りしてしまいました。自分らしいプレーをするために重要な課題がはっきり見えたゲームだったので、この反省を次に生かしていきたいです。また、もう一度、体を作り直して、グッドコンディションを保ち、グッドパフォーマンスを発揮できるようにしたいです。」


■ターンオーバーを連発・PR出渕賢史(4年・ゲームMVP)
「スクラムで相手にプレッシャーを与えることができましたし、また、取り切るべきところで取れたので、そこは自分にとってもチームにとっても、とてもよかったと思います。FWとしてしっかり相手にプレッシャーをかけて、少しでも周りを楽にしてあげられるようにと思ってプレーしました。ただ、反省点もありましたので、そこは今後の課題として、一つ一つ積み上げていって、いい形で成長につなげていきたいです。」


■激しさを前面に出した・LO小瀧尚弘(2年)
「今日は相手を打ち砕くほどの激しいプレーをしようという気持ちで臨みました。スクラムで何度もターンオーバーできましたし、取り切るところで取ることができたので、FWとしていい面が出せたと思います。ただ、ディフェンスの甘さやフィットネスの低さでまだまだなところがあったので、そこは試合を重ねながら、もっともっと激しさを出せるようにしていきたいです。」

■冷静にゲームをコントロール・SO森谷圭介(1年)
「対抗戦の開幕戦ということで、緊張するだろうというのはわかっていたのですが、その中でも自分らしいプレーを出せるようにと思って臨みました。今日は特にエリアマネジメントを意識しました。自分の中ではある程度、うまくいった部分があったのでよかったです。キックに関しては、いいキックも何本かありましたが、春から取り組んでいるキックの安定感という点ではもっと成長できると思うので、しっかり練習していきたいです。ハイパントも、相手に取られてもすぐにターンオーバーできるところに安定して蹴れるように練習していきます。」


■決定力を見せつけた・WTB磯田泰成(2年)
「対抗戦は初めての出場でしたが、練習でやってきたことを出し切ろうと思っていました。前半、少し硬くなってしまって、ミスが続いてしまったのですが、ハーフタイムに気持ちをしっかり入れ替えることができたので、後半は自分らしいプレーができたと思います。スピードだけではなく、狭いスペースで相手をかわしてトライを何度か取れたのですが、そこが自分の持ち味だと思っているので、次も硬くならずにもっと自分のよさを出していけたらと思っています。」


■センタークラッシュで体を張り続けた・CTB荒井基植(4年)
「自分たちの強みである『激しく、泥臭く、謙虚に』という部分をみんなで意識して、また、力強く前に出ることを意識してプレーしました。自分のところでポイントができる場面が多かったのですが、もっとチャンスを広げられるところもあったかなと反省しています。自分が行くところと周りを生かすところの状況判断を、もっとしっかりできたはずなので、次はその判断のところと、4年生として若いメンバーを引っ張っていくことを意識したいです。」


■圧倒するスクラムで貢献・PR深村亮太(1年)
「自分の強みであるスクラムでしっかりターンオーバーすることを目標にプレーしました。スクラムではしっかりと押すことができたので、よかったです。それまで出渕さんや森川さんがプレッシャーをかけ続けてくれていたので、自分も押せました。今日は10分ほどの出場でしたが、もっとチームに貢献できるように、頑張って練習したいと思います。」

■FW、BKをうまく生かした・SH流大(2年)
「(急遽、出場となったが)気持ちの面で、いつでも行くつもりで準備していたので、スムーズに試合に入ることができました。自分のテーマとして「ダイナミックなチャレンジ」「タックル」「ゲームコントロール」の3つを掲げて臨んだのですが、積極的にボールと人を動かすことにチャレンジできた点はよかったと思います。タックルは行くには行っていたのですが、もっと精度を上げられると思うので、満足はしていません。今週の練習をしっかりやって、次に出ることができたら、今日のようにしっかりチャレンジすること、今日出た反省点を細かいところまで修正して、レベルアップしたプレーをしたいです。」

 


《PICK UP PLAYERS!》

スピードと体を張る献身的なプレーが魅力
CTB 前原巧(2年生)
MAEHARA KO




1992年4月27日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
コザ高校出身
身長181㎝/体重76㎏


■今日はどんなテーマで試合に臨んだのでしょうか。
「個人的には、自分のできることを思い切りやり切ろうと思っていました。持ち味であるスピードをどうすれば生かせるかを考えて、周りとのコミュニケーションや立ち位置を工夫してプレーすることを意識しました。」

■対抗戦初出場でしたが、とても落ち着いているように見ました。
「やはり練習試合とは違って、いつも以上に緊張してしまいました。普段の練習から、この雰囲気を意識して、気持ちを入れてやらなければと思いました。大きな舞台でも自分のプレーがしっかりできるように練習したいです。」

■あらためて試合全体を振り返っての感想を聞かせてください。
「力強いプレーをしようと思って、セカンドプレーヤーとしての圧力も意識してやったのですが、もっと力強くなれるように練習していきたいです。」

■そのセカンドプレーヤーということでは、今日はCTB荒井(基)選手のところでポイントができる場面が多くありました。そこへの寄りも素早く行っていたように見えましたが、自身ではどうでしょうか。
「素早く入れたのはよかったのですが、もっと力強く入って、前へ前へ行くアタックを意識しているので、そこでの威力がまだまだ足りないと感じました。今後は、インパクトの部分をもっと意識していきたいです。」

■今後に向けての意気込みを聞かせてください。
「自分のよさであるスピードを生かしつつ、もっと力強さもつけていきたいと思っていますので、今後とも応援、よろしくお願いします。」

ピッチを離れると比較的物静かな沖縄健児だが、試合となると快足とそのスピードを存分に生かしたDFで前に出続ける前原。2年生ということもあり、体づくりという面ではこれからだが、まだまだパワーアップできる余地があるということでもある。本人も語るように今後、力強さが加わってくれば、帝京BKの大きな戦力となり得る存在だ。

 

《NEXT MATCH!》

関東大学対抗戦第2戦 対青山学院大学(http://www.aogaku-rugby.com/
9月16日(日) 秩父宮ラグビー場 13時キックオフ

過去の対戦成績:関東大学対抗戦30試合21勝8敗1分(全国大学選手権の対戦はなし)

[青山学院大学の直近5戦]
7月7日 ○40対29成蹊大●(春季練習試合)
8月12日 △12対12清水建設△(夏季練習試合)
8月17日 ●19対38関東学院大○(夏季練習試合)
8月19日 ●26対29専修大○(夏季練習試合)
8月21日 ●24対28法政大○(夏季練習試合)


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(文/木村俊太、写真/志賀由佳)

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