REPORT

レポート

トップ
   
レポート
   
関東大学対抗戦・第4戦

関東大学対抗戦・第4戦

2010/10/24

シーズン終盤に弾みつける会心の勝利

10月24日(日)・ケーズデンキスタジアム水戸
○帝京大学 86対7 成蹊大学●
〔通算成績4勝〕

《出場メンバー》
①吉田(康)⇒小幡②森(太)③坪井⇒出渕④菅原⇒李⑤ボンド⑥ツイ⇒木下⑦吉田(光)⑧柴田⑨滑川⇒山口⑩小野⑪富永⇒竹田(和)⑫南橋⑬森田⇒中村(亮)⑭伊藤(拓)⑮竹田(宜)

関東大学対抗戦第4戦は成蹊大学との一戦。岩出監督は試合前、「中途半端な気持ちが一番よくない。自分の目指すものに向かって、しっかりと気持ちを入れたラグビーをしよう!」とメンバーに檄を飛ばす。水戸に集まったファンに「これぞ帝京ラグビー!」という勇姿を披露し、この日の曇天を晴らすようなゲームを期待したいところだ。

【前半戦】
ケガでの長期休養から久しぶりに復帰したHO森(太)が先発。実力は太鼓判だが、長く実践から離れていたブランクを埋められるか。セットプレーのカギを握るバイスキャプテンに注目だ。

開始直後はキックの応酬。だが帝京は相手にエリアをとられ、自陣でのプレーが続いても、一戦ごとに成長を重ねるFB竹田(宜)の落ち着いたプレーもあり、ディフェンスが崩されることはなかった。

関東大学対抗戦・第4戦

逆に徐々にペースを取り戻すと、5分、ラインアウトからモールを押し込みSH滑川がハイパント。果敢にチェイスに走ったCTB南橋がルーズボールを拾って抜け出し、そのままトライ。CTB森田のゴールも決まってまずは7対0と先制。

その後も帝京ペースで試合が続く。18分、またもラインアウトからチャンスをつくり、最後は森田が抜け出してトライ。27分には、5mスクラムを押し込みこちらも一戦ごとに安定感を増すNO8柴田がトライ。
早くも試合の趨勢が決まった29分には、FLツイが縦に突破し、FL吉田(光)がつないでラック。このボールをコントロールタワー・滑川が絶妙のタイミングでパスアウト。WTB富永が抜け出し、トライ。結局前半は5つのトライを叩き出し、31対0で折り返すこととなった。

前の試合で課題の一つとして残ったセットプレーだったが、この試合はラインアウトも安定し、いよいよエンジン全開間近といったところか。また、バックス陣のハイパントへの果敢なチェイス、さらには滑川のトライに直結する好パスなどが光った前半戦だった。

【後半戦】
後半に入るとさらに帝京ペースが加速する。FW、BK一体となってつなぎ、前に出る。小さなミスでボールを奪われる場面もあったが、落ち着いてすぐに奪い返すなどミスを帳消しにするプレーで流れを相手に渡さない。

8分、連続攻撃のラックから出たボールを滑川が素早くさばき、走り込んだ柴田へパス。そのまま飛び込んで後半最初のトライを挙げると、その後もトライラッシュ。

その2分後には、展開するボールを回り込んでパスを受けた滑川が、11分には、途中出場でSOの位置に入ったルーキー中村(亮)が自ら仕掛け、相手ディフェンスラインをブレイク!最後は南橋がトライ。
13分にも、キックオフのボールを自陣からつなぎ、またも中村(亮)から南橋へのパスでと、立て続けに4連続トライを奪う(59対0)。

関東大学対抗戦・第4戦

なおも攻め続ける帝京。19分には、この日3度目、中村(亮)⇒南橋のパスでダメ押し。守っても前節でDFへの課題を口にしていたWTB伊藤(拓)やLO菅原らが献身的なDFを見せるなど隙は見られない。
そして最後を締めたのはこの男・森(太)。41分、相手ペナルティをクイックスタート、最後は豪快に飛び込ノーサイド(86対7)。

終始攻め続けた帝京は自分たちのラグビーで会心の勝利。また後半途中出場した各選手も輝きを見せたのは今後への朗報。特に途中出場のFW陣は先発組同様、セットプレーの安定に貢献し、またBK陣も得点に絡む決定力を見せ、ディフェンスでもタックル、キックチェイスなど最後まで気持ちを切らすことなく戦った。
なお、ゲームMVPには、中村(亮)、LO李1年生2人が選ばれた。

《試合後のコメント》
□岩出雅之監督

「今日は遠いところ多くの方にご観戦いただきありがとうございました。今日は、気持ちに隙を作らず、軽いプレーをせず、自分たちの目指しているラグビー、チーム、プレーヤーに向かって挑戦しようという意識で臨みました。
いいところもたくさん出ましたし、まだまだ甘さの残る部分もありました。その甘さの原因はどこにあるのかということを、もう一度みんなで共有して、しっかり確認・修正することで成長していけると思います。
また、今日は途中出場組が自分の役割をしっかりと果たしてくれました。チーム内での切磋琢磨も活発になり、選手たちはさらに成長してくれることでしょう。
次戦からは厳しい相手との戦いが続くことになりますが、ここでの結果は大きな目標でもあり、成長の過程でもあると考えています。厳しい相手との戦いの中で選手たちが得られるものも大きいはずです。できる限りのいい準備をし、積み上げたものを失敗を恐れず挑戦姿勢をしっかり持ってゲームでだしきりたいですね。そして、対抗戦の厳しいゲームだからこそ体験できるよい経験をしっかりチームのものに生かし、更にチームや選手の成長が伸びてくれることを期待しています。まずはベストゲームを目指します。多くの皆様の御声援をよろしくお願いします。
最後になりましたが、成蹊大学さんの今後のご健闘をお祈りいたします」

□キャプテン・FL 吉田光治郎(4年生)
関東大学対抗戦・第4戦
「キックオフ直後はキッキングゲームになってしまったり、自分たちの寄りが甘くてターンオーバーされたりと反省すべき点がありましたが、その後、すぐに修正できて、FW、BK一体となった帝京らしい攻撃ができたので、いいイメージで次へ進めると思います。次の早稲田戦はやはり負けたくない相手。夏に悔しい思いをしたので、自分たちの力を出し切ってきっちりリベンジしたいです」

□スクラムをうまくコントロール・No8 柴田一昂(4年生)
関東大学対抗戦・第4戦
「今日は自分たちのやろうとしていたことがやれた部分と、甘かった部分の両方が出ました。今後の試合ではちょっとしたミスとか、細かな精度の部分での甘さが失点につながるので、小さいことにも妥協せずやっていきたいです。これから強い相手との試合が続きますが、ミスをなくして、自分たちのラグビーをすれば絶対に勝てるので、日々の練習を厳しくやっていきたいです」

□好判断で幾度もトライを演出・SH 滑川剛人(3年生)
関東大学対抗戦・第4戦
「今日はFWがしっかり押し込んでくれたので、視野を広く取ることができました。トライにつながるパスが出せたのは、FWがいいボールを出してくれたからなのでFWに感謝したいです。次の早稲田戦はやはり一番勝ちたい相手ですが、次で終わりではないので、その次につながるゲームをしたいです。あまり過度に意識しないで、自分たちの力を早稲田にぶつけてみて、いろいろな挑戦をして、できたこと、できなかったことを見つめて、成長できる試合にしたいです」

□“大器”の片鱗を披露・LO 李聖彰(ゲームMVP・1年生)
関東大学対抗戦・第4戦
「今はとにかく試合に出していただいたら、自分のできるプレーを一生懸命することをイメージして取り組んでいます。まだまだ、ティム(ボンド)さんやツイさんといった先輩方たちには全然及びませんが、いいプレーをどんどん見習って、課題を克服して、成長していきたいと思います」

□FW第2列・3列すべてこなせるオールマイティ・No8 木下修一(2年生)
関東大学対抗戦・第4戦
「対抗戦で何試合か経験してきたので、だいぶ雰囲気にも慣れてきました。(スクラムサイドを抜け出し)トライの場面は、FWの前5人がしっかり前に出てくれたので、そのおかげで飛び込むことができました。次も出していただいたら、自分の課題でもあるDFで体を張ってタックルし続けたいです。AのFWはやはりすごい選手ばかりなのですが、自分ももっと力強さを出して上を目指していきます」

□いよいよ対抗戦デビューを果たした・SO 中村亮土(ゲームMVP・1年生)
関東大学対抗戦・第4戦
「初めての対抗戦でしたが、途中出場で点差も開いていたので思い切りプレーできました。自分の前が開いていたので、しっかり縦を突けたと思いますし、先輩方がすごく気を遣っていただいて自由にやらせてもらえたのが、良かったです。次も出してもらえたら、とにかく思い切ってプレーするだけです。自分から仕掛けること、あとはきっちりとパスで周囲を活かせるようなプレーができればと思います。今、体重も87kgと少し大きくなってきたのですが、もっともっと当たり負けないコンタクトを身に着けていきたいです」

□DFを切り裂いてトライを叩き出した・CTB 竹田和史(4年生)
関東大学対抗戦・第4戦
「今日はコンディションも良かったので、いい感じでプレーすることができました。チーム全体でもコンディションや雰囲気は上がってきているので、常に100%でみんなプレーできていると思います。
個人的にもラストシーズンですし、とにかくメンバー入りすることを目標に取り組んでいます。試合に出させてもらったら、いつも“今日が最後だ”と思って全力でプレーしています。中途半端なプレーだけは絶対にしないよう、これからも前向きにプレーして、少しでもチームに貢献するのが目標です」

《PICK UP PLAYERS》

帰ってきたバイスキャプテン
HO 森太志(4年)


関東大学対抗戦・第4戦
MORI HUTOSHI
1988年4月25日生まれ
経済学部経済学科
仙台育英学園高校出身
身長174cm/体重104kg/血液型O型
ニックネーム/フトシ、得意なプレー/コンタクト・スクラム、郷土自慢/ゴールデンウィーク中に暗闇祭やっています(東京都)

■久しぶりのAチームでの公式戦でしたが、手ごたえはどうでしたか。
「80分、しっかりやれたのでよかったと思います。ケガで出遅れてみんなに迷惑をかけてしまった分、これからもっともっといいプレーをしていきたいです」

■今日はどんなことを考えて試合に臨んだのでしょうか。
「筑波戦で崩れてしまっていたセットプレーを安定させること、しっかり走ることを課題に臨みました。復帰初戦からみんなに信頼してもらえるプレーをしようと心がけました」

■セットプレーも安定していましたし、攻守ともにいいプレーができたのではないですか。
「今日はおおむね、できていたと思います」

■ケガで出られなかった期間、どんな気持ちでチームを見ていたのでしょうか。
「試合に関しては、光治郎(キャプテン・吉田)をはじめ、みんな責任感もってやってくれていたので、仲間を信頼して見ていました。試合に出られなくても、バイスキャプテンとしてチームのためにできることをやっていこうと思っていました。ただ、やっぱり出られない悔しさ、もどかしさ、焦りもなかったわけではありません。でも、トレーナーの方々、治療をしてくれた方々のおかげで、こうしてグラウンドに戻ってくることができました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。これから試合でたくさんいいプレーをして、恩返ししていきたいです」

■4年生ですが、今後の進路は。
「はい。東芝に内定をいただいています。東芝でラグビーをするのが小さい頃からの憧れだったので、とてもうれしいです。父が東芝でラグビーをやっていて、子どもの頃に父のように東芝でラグビーをやりたいと思い、ラグビーを始めたんです。(スタンドを見まわしながら)あと、ここいいグラウンドですねえ。初めてきたんですが、すごくいいですね(笑)」

■オフのときはどんな過ごし方をしているのですか。
「今は体のケアが中心ですね。1、2年のときはよく遊びにも行きましたけど、今は体のケア。近くにいいお風呂屋さんがあるんですよ。仲間を誘ってよく行きます」

■趣味は?
「野球観戦が好きでよく見ます。バリバリの巨人ファンなんです。昨日、負けてしまって(前日、巨人はクライマックスシリーズ2ndステージで敗れ、シーズンが終了した)、悔しくて悔しくて……その悔しさも今日の試合にぶつけてしまいました(笑)」

■次戦は早稲田との一戦ですが。
「個人としては、自分のベストプレーを出すということだけを意識してやりたいです。チームとしては早稲田戦ということで、テンションが上がっていくと思いますが、あまり上がりすぎず、ひとりひとりが冷静に自分のプレーをしっかりできるようにしたいです」

■最後に自分のこのプレーを見てほしいという部分をアピールしてください。
「思いっきりタックルすることが自分の持ち味だと思っているので、ぜひ僕の激しいタックルを見てください。これからも応援よろしくお願いします」

待ちわびた頼れるバイスキャプテンがようやく帰ってきた。久々の復帰戦で80分間プレーし、試合後もなお終始笑顔で話してくれた森太志。激しいプレー、強いスクラム、安定感のあるラインアウト。試合後も『久々の試合でしたが、全然バテませんでした』と笑顔で話してくれたように、その驚異的なスタミナもチームにとって大きな武器となるはずだ。

《NEXT MATCH PREVIEW》

【11月3日(水・祝)関東大学対抗戦第5戦 VS早稲田大学 秩父宮ラグビー場12時キックオフ】
次戦は宿敵・早稲田大学との対戦。激しい戦いになること必至だが、しっかり準備して夏の菅平でのリベンジを果たしたい。結果もそうだが、それ以上に今後のさらなる成長につながる“気づき”の多い試合を期待したい。

《その他の試合結果》

関東大学ジュニア選手権カテゴリー1
10月23日(土・関東学院大釜利谷G)
○帝京大学Jr 57-5 関東学院大学Jr●
(ジュニア選手権通算成績 2勝1敗、現在合計勝ち点12点でカテゴリー1の2位。次戦は11月7日〔日〕早大上井草G 13時キックオフ予定)

(写真/志賀由佳)

特集一覧