REPORT

レポート

トップ
   
レポート
   
関東大学対抗戦・第2戦

関東大学対抗戦・第2戦

2010/10/02

修正力の高さを証明し対校戦連勝!

10月2日(土)・熊谷ラグビー場
○帝京大学 61対0 日本体育大学●
〔通算成績2勝〕

《出場メンバー》
① 吉田(康)②小幡③坪井④菅原⑤ボンド⇒木下⑥ツイ⑦吉田(光)⑧柴田⑨滑川⑩渡辺⑪富永⑫南橋⑬森田⑭伊藤(拓)⇒黒川⑮竹田(宜)⇒小野

関東大学対抗戦2戦目の相手は日本体育大学。帝京にとっては相手云々より開幕戦での経験を糧に、自分たちのラグビーがいかにできるかどうかが試される。いいイメージをもってしっかりと勝ち切りたいところだ。

【前半戦】
「この時期に経験を積ませておきたいのと、彼のボールキープ力・DF力に期待しています」。試合前、岩出監督が語ってくれたように、この日の注目はAチーム初出場のSO渡辺。SOにコンバートされたのも数週間前という司令塔が、チームにどんな新しい味を加えるか注目が集まった。

キックオフ直後から積極的に攻め込んでいく帝京。反則と小さなミスで得点機を逸する場面もあったが、9分に敵陣10m付近でフリーキックを得るとSH滑川がクイックスタート。渡辺が縦へと仕掛け、相手ディフェンスラインを切り裂くと、つかまりながらもこの日はCTBで再三のゲイン突破を見せた森田へとパス。その森田からボールを受けたWTB伊藤(拓)が中央に飛び込み、先制トライを奪う。

関東大学対抗戦・第2戦

その後も帝京はいいテンポで攻め込むものの、大事な場面で反則を取られるシーンが散見され、得点につながらない時間帯が続く。だがFLツイ、LOボンドがワークレートの高さを見せ付け、さらには吉田(康)、坪井の両PR、WTB富永らがキックチェイスに地道に汗を流すなど徐々にペースを握り始める。渡辺も落ち着いたプレーでチームを引き締める。停滞時間が続き嫌な流れになってもおかしくない状況だったが、各選手とも冷静にプレーを続け、見事な集中力と固いディフェンスで相手の攻撃をしっかりと防ぐ。
前半終了間際には、またもや富永のキックチェイスからHO小幡の縦への突破でチャンスをつくると、滑川⇒CTB南橋⇒森田とつないでトライ。ゴールも決まり、前半を14対0で折り返した。

前半は(レフェリングとの相性もあり)スコアこそ大きく刻むには至らなかったものの、前節よりFWはさらに力強さを見せ、またBKも森田を中心にルーキーFB竹田らも思い切ったプレーを見せるなど、後半に向け期待がさらに膨らむ40分であった。

【後半戦】
後半は「簡単な反則をなくす」という方針がチームで徹底されるや、帝京は次々と得点を重ねていく。
まず8分には、小幡の突進からバックスへ展開、富永がタックルを受けながらもしっかりと立ってつなぎ南橋へとパス。最後はこの試合オフェンス・ディフェンス両面で鋭い動きを見せた柴田が飛び込んでトライを奪う(21対0)。

ここからは怒涛のトライ・ラッシュ。18分にはハーフウエイ付近から、森田が一人で走り切ってトライ。23分にはツイからパスを受けたLO菅原が、28分にはラインアウトモールを押し切って、31分には、森田からの飛ばしパスを受けた富永が縦に攻め込み、最後はツイがトライ。

関東大学対抗戦・第2戦

ケガから夏合宿に復帰したキャプテンFL吉田(光)は、ジャッカル&サイドアタックとも徐々にその真価を発揮し始め、またFW全体としてもキックオフリターンや一枚岩のモールでしっかりとした結束を見せ始める。

そしてダメ押しは35分。渡辺からのロングパスを受けた富永がスコア。さらに42分には渡辺からのパスを受けた南橋が、それぞれトライを決めた。
また、厳しいディフェンスでも相手の攻撃を封じ、得点を許さず、61対0というスコアで開幕第2戦をものにした。

後半、何より光ったのはペナルティ・ゼロで終えたこと。チームとしての意識の高さ、さらには修正力、集中力を十分に発揮しての勝利であった。攻撃・防御ともにチームの持ち味を出せたことはもちろん、新戦力、新ポジションの選手による経験値の蓄積もでき、チームに新たな引き出しが増え今後につながる収穫の多い一戦となった。
なお、ゲームMVPにはコンバージョンゴールも8本中7本決めた森田が選ばれた。

《試合後のコメント》
□岩出雅之監督

「今日は、前半あまり得点が入らなかったことに関しては評価の分れるところかもしれませんが、私自身はけっして悪い流れではないと思って見ていました。点が取れない状況が続いても、選手たちが非常に落ち着いてプレーしているのがわかったからです。ですから、ハーフタイムに言ったのは『反則しないように修正しよう』ということだけでした。『こういううまくいかない時や厳しいゲームこそ成長のチャンスだから、落ち着いて成長の糧にしよう』と。選手たちがそれに応えてくれて、後半は反則ゼロで終えることができたことはとてもうれしく思います。
今日は新しいメンバーの経験値を高めながら、緊張感のあるゲームができ、さらにチームのつながりの良さが出せたと思っています。緊張感のあるゲームこそが選手を成長させてくれますが、そうしたゲームができたことは日体大のおかげと感謝しています。
次戦でも選手たちのさらなる成長ぶりをお見せできるよう練習に励んでまいりますので、今後とも応援の程宜しくお願いいたします。
最後になりましたが、日体大関係者の皆様、本日はありがとうございました。これからのご健闘をお祈りいたします」

□キャプテン・FL 吉田光治郎(4年生)
関東大学対抗戦・第2戦
「前半は自分たちのミスに加えて、日体大さんの鋭い出足でなかなかペースがつかめませんでしたが、後半はペナルティを減らそうという意識が統一できましたし、タックルも修正できて、ブレイクダウンも制圧できたので、全体としては悪くなかったと思います。
次戦は昨年敗れている筑波が相手です。タックルを自分たちから仕掛けていって、しっかりとした帝京ラグビーができるように頑張ります」

□FWの牽引者・PR 坪井秀龍(4年生)
関東大学対抗戦・第2戦
「今日はとにかくFWが固まって、強みであるスクラムでどんどんプレッシャーをかけていくことを考えて臨みました。まだまだ固まり切れていない部分もありましたが、全体的にまずまずだったと思います。
個人的には、昨シーズンは4年生にリードしてもらう部分が多かったので、今年は自分からリードして、チームとしても一戦ごとに成長していきたいと思います。次の筑波戦はそういう意味でも大切な試合ですし、小細工はせずスクラムで崩していくつもりで臨みます」

□豊富な運動量で好機を演出・NO8 柴田一昂(4年生)
関東大学対抗戦・第2戦
「前半、シンビンでみんなに迷惑をかけてしまって、申し訳ない気持ちでいっぱいです。グラウンドに戻ったら、とにかくがむしゃらにやってやろうと思って見ていました。休んだ分、他のみんなよりたくさん動くことで埋め合わせするしかないと思ってやりました。
次は昨年負けている相手。越えなければいけない壁だと思うので、しっかりと準備して、成長につながるようないいゲームをしたいです」

□FWを巧みにコントロール・SH 滑川剛人(3年生)
関東大学対抗戦・第2戦
「今日の試合を通して自分たちの強みや修正点も見えてきたので、結果も含めいい試合だったと思います。自分たちを高められる、成長につながるゲームでした。
今意識していることは、ウチのFWはどんどん激しく熱くプレーしてくれるので、それをうまく冷静にコントロールすることです。去年のチームと比べても、今のチームは15人全体で互いに生かし合えバランスも取れていますし、引き出しも多いので自分自身もプレーしていて楽しいです」

□BKの精神的支柱・CTB 南橋直哉(3年生)
関東大学対抗戦・第2戦
「今日は前半はややバタバタしてしまったのですが、後半は安定した戦いができました。相手云々よりも、自分たちが春から取り組んできたことをやり切ることに集中できたのが良かったと思います。
自分自身3年生になって、さらにBKをリードしていきたいと考えてプレーしています。攻守両面で引っ張っていきたいですね。特にDFはもっともっと行きたいので、次は頑張りたいです」

□頼れるバイスキャプテン・富永浩史(4年生)
関東大学対抗戦・第2戦
「前半はバックスとして、もっとエリアを取っていかなければいけなかったと反省していますが、後半は自分たちのプレーが思い切ってできたと思います。今日は、外にボールが回ってくる展開が多く、自分としてはとても楽しくプレーできたのですが、さらにWTBとしてもっとトライを取り切りたいです。今日のトライシーンは目の前に相手がいないという状況でしたから、今度は相手がいる場面でも力強く抜いていって、チームを勢いづけられるようなプレーがしたいです。次は去年悔しい思いをした、絶対に負けられない相手。部員140人の思いと先輩たちの誇りを胸にしっかり戦いたいです」

□開幕に続きスタメン・FB 竹田宜純(1年生)
関東大学対抗戦・第2戦
「相手とファーストコンタクトをしてからは、前回よりは緊張もなくプレーできたと思います。今は思い切ってプレーすることと、相手の動きやゲームの流れを読むことを意識しています。キックはまずまず良くなってきたのですが、精度を上げたいですね。
先輩のBKの方とはレベルも全然違うのですが、頼りになるというか練習からうまくコミュニケーションを取っていただいているので、自分もやりやすいです。次の筑波戦は、もし出させてもらったら、キックでチームに貢献するのと、相手より常に早く先手を取ってプレーしたいと思います」

《PICK UP PLAYERS》

初出場・初ポジションも落ち着いたプレーでチームをリード
SO 渡辺 郷(2年生)


関東大学対抗戦・第2戦

WATANABE GO
1989年5月5日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
熊本西高校出身
身長181cm/体重95kg/血液型B型
ニックネーム/ゴウ、得意なプレー/キック、試合前に聴く音楽/THE LIGHT、故郷自慢/馬刺しがうまい!(熊本県)

■今日はどんな気持ちで試合に臨んだのでしょうか。
「これまでの練習で積み重ねてきた自分たちのラグビーができるかどうか、チャレンジするという気持ちで臨みました」

■Aチーム公式戦初出場、しかもSOへコンバートして間もないのですが、試合を振り返ってどうでしたか。
「初めてのAチーム、しかも慣れないSOというポジションで最初はすごく緊張しましたが、周りのみんなのサポートのおかげで、思い切ってプレーすることができました」

■ボールを持ったら積極的に自ら仕掛けていくシーンが多かったようですが、意識して攻めていったのでしょうか。
「はい。自分の強みの一つがその仕掛けの部分だと思っているので、そこは思い切ってやろうと。周りのみんなも、思い切っていけと言ってくれましたので。ただ、それによってバックスラインが浅くなるなど、経験不足が出てしまった部分もあるので、今後は状況に応じて対応できるようにしたいです」

■SOというポジションはどうですか。
「まだ不慣れですが、とてもやりがいがあります」

■なぜコンバートされたのだと思いますか。
「チームとして幅が広がるということがあると思いますが、自分が抜擢されたのは、先ほどの仕掛けの部分、そしてキック、それとタックルされてもなかなか倒れない体の強さを認めてもらえたのだろうと思っています」

■今後もその持ち味である、攻めるSOのプレーをたくさん見せてもらえそうですね。
「状況に応じた判断をしていきますが、行ける場面では思い切って行きたいと思います」

■最後に今後に向けた意気込みを聞かせてください。
「今日は周りの先輩たちにサポートされて思いっきりプレーできましたが、今度は自分自身でゲームメイキングができるように頑張りたいと思います。自分の持ち味がチームに活かせるように成長していきたいと思いますので、今後とも応援よろしくお願いします」

公式戦初出場、しかも不慣れなポジションという二重のハンディを克服して余りある活躍をした渡辺郷。自ら仕掛ける攻撃力、飛距離の出るキックに加え、タックルされても簡単には倒れない体の強さを持っている。元々はCTB・FBだが、昨季のバイスキャプテンで高校の先輩でもある徳永選手(現リコー)にも負けない体の強さが売り。またピッチを離れるとどこか大人の雰囲気を感じさせる“落ち着いた風格”も彼の魅力の一つだ。昨年はケガに泣いたが、今後、SOとしての経験を積むことでチームに新たな武器が加わりそうだ。


《NEXT MATCH PREVIEW》

【10月17日(日)関東大学対抗戦第3戦 VS筑波大学 秩父宮ラグビー場 14時キックオフ】
次戦は昨年苦杯をなめさせられた筑波大学との一戦。今年も明治大学や早稲田大学といった強豪伝統校と接戦を演じており、当然ながら侮れない相手だ。ここ2戦とは違った緊張感の中での試合となることは必至。だが、相手に不足なし。しっかりとした準備をして、昨年のリベンジを果たしたい。

《その他の試合結果》
関東大学ジュニア選手権カテゴリー1
○帝京大学Jr 32-7 慶應義塾大学Jr●
(ジュニア選手権通算成績 1勝1敗、現在合計勝ち点7点)
●帝京大学C 17-24 慶應義塾大学C○
○帝京大学D 28-26 慶應義塾大学D●
(以上、10月3日・帝京大百草G)

(写真/志賀由佳)

特集一覧