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第24回佐賀招待ラグビー コカ・コーラウエスト レッドスパークス戦

第24回佐賀招待ラグビー コカ・コーラウエスト レッドスパークス戦

2013/05/20

「第24回佐賀招待ラグビー 対コカ・コーラウエスト レッドスパークス戦」
 
5月18日(土)・佐賀県総合運動公園陸上競技場
●帝京大学 14-61 コカ・コーラウエスト レッドスパークス〇

《帝京大学》
[FW]
①竹井⇒徳永 ②森川 ③古賀⇒東恩納⇒深村 ④今村⇒飯野 ⑤町野⇒筬島 ⑥イラウア⇒大和田 ⑦杉永 ⑧李
[BK]
⑨流⇒荒井 ⑩森谷 ⑪磯田 ⑫野田 ⑬権⇒山崎 ⑭別府⇒久田 ⑮木崎⇒前原
 
《コカ・コーラウエスト》※先発のみ
[FW]
①猿渡 ②五郎丸 ③平原 ④川下 ⑤三根 ⑥キング ⑦有田将 ⑧上本
[BK]
⑨香月 ⑩福田 ⑪小柳 ⑫サポル ⑬山田 ⑭築城昌 ⑮渡辺

【前半】【得点経過】
【4分】帝0-7コ
ゴール前ラックからLOに走られトライ。
 
【7分】帝0-14コ
ラックより展開されCTB⇒FLとつながれトライ。
 
【10分】帝0-21コ
スクラムから連続攻撃されウイングがトライ。
 
【29分】帝7-21コ
ラックから大きく展開し、WTB久田⇒SO森谷とつないでトライ。
 
【39分】帝7-28コ
ラックを起点につながれて、SOからWTBに渡りトライ。
 

 【後半】【得点経過】
【3分】帝7-33コ
ラックを制されFLからパスを受けたWTBが加点。
 
【11分】帝7-40コ
密集から素早くつながれFLがトライ。
 
【25分】帝7-47コ
ラックをを連取されFBがトライ。
 
【30分】帝14-47コ
相手ゴール前に攻め込み、FL大和田が突破しトライ!
 
【36分】帝14-54コ
ラインアウトを起点に展開され、LOが加点。
 
【39分】帝14-61コ
ラックから出たボールを蹴り込まれFLにトライを献上。
 

《  BRIEF REVIEW  》

「打倒トップリーグ」を今季の命題の一つに掲げるチームにとって、レッドスパークス戦は現時点での自分たちの立ち位置を確認する絶好の機会となった。序盤はNZ7人制代表のFLキングを中心にアグレッシブな戦いを繰り広げる相手に受けに回り、開始4分に密集を割られて先制トライされるなど、10分までに3連続トライを献上。 帝京は密集戦でのパワープレーや、8人全員で押し込むスクラムなどに劣勢に立たされながらも、前半29分にSO森谷、後半30分には途中出場のFL大和田がトライする意地も見せた。
 
《  AFTER MATCH SAY  》
 
■岩出雅之監
「この時期に社会人チームと試合ができることは、たいへん意義深いと考えています。まずは佐賀県、県教育委員会関係の皆様、そしてコカ・コーラウエストさんに厚く御礼申し上げます。 社会人のチームはうまさも厳しさも学生とはまったく違い、学生の余裕のなさや力不足が見えました。逆にいいところも見えましたが、現時点の力不足を感じとることができよい収穫となりました。 これは、相手のコカ・コーラさんが本気で戦ってくれたお陰です。このような経験は、日頃の練習で養うことが大切なのですが、それに気づくことができたゲームと思います。 これからの取り組みに生かしてくれる思いますが、こういう経験をもっと積み重ね、成功と失敗を繰り返しながら自分たちのラグビーに対する取り組みと精度を上げていくことで、社会人との力の差は確実に埋まっていくはずです。 この経験を忘れることなくしっかりこれからに生かします。今日はたくさんの卒業生が相手チームのメンバーに出場し後輩に対しても意地を見せて良いプレーしていました。その姿勢はきっと後輩に届いているはずです。今後の彼らの活躍と成長を期待し祈っています。 最後になりましたが多くの皆様に応援頂き、温かい声援を感じました。心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。」
 
■ゲームキャプテン・No8李聖彰(4年)
「今日の試合は学ぶことがとても多かった試合だと思います。特に大学生にはないプレッシャーに受け身になる場面が多かったです。 イージーミスやペナルティなど、自分たちの甘さが出た試合でしたが、それをマイナスと捉えるのではなく、今後の糧にしていきたいと思います。 試合前は、接点・ブレイクダウンでチャレンジし続けること、アタックでしっかり前に出ることをテーマとしていました。 うまくいかない場面もあったのですが、そこはパワーやスキルが足りなかったのか、気持ちの面が大きいのか、もう一度しっかりレビューして今後に生かしたいです。 貴重な機会をいただいたコーラさんは、最初からひたむきにエンジン全開でこられて、ゲームの入りの部分の大切さを改めて教えていただきました。 こういった機会をいただき感謝しつつ、今後に生かしていきたいと思います」。
 
《  COLUMN  》
 
―原点回帰―
 
佐賀招待ラグビーではトップリーグの底力を体感する絶好の機会となりましたが、もう一つ、メンバーたちは貴重な経験を得て帰京することとなりました。
試合翌日、地元のラガーマンと触れ合う『ラグビークリニック』のお手伝いをさせていただく機会に恵まれました。
佐賀工業高校や川副中学校等が参加した同クリニックでは、スキルやコミュニケーションのとり方などを教えながらも、 逆に中高生のひたむきな眼差しに、ラグビーの原点である熱い気持ちに触れる“原点回帰”のいい機会になったようです。

 
原点回帰といえば、先日、日本代表初キャップを獲得したキャプテン・中村亮土の入部当時について触れておきたいと思います。
中村が帝京ラグビー部の門を叩いたのは3年前。
彼は、高校時代からある程度名前の知られる存在でしたが、それでも入部したての頃は、まだまだ体も高校生のそれでした。
現在では日本代表選手に混じっても、まったく見劣りすることのない強靭な肉体を誇りますが、 1年時の写真を再確認してみると、特に上半身はいかにも発展途上といった感じでした。
 
バイスキャプテンとして中村を支える李聖彰はどうでしょう。
高校時代は主にナンバーエイトを務めてきた彼ですが、岩出監督はFWの基本プレーを身に着けさせるためにも、入学後はロックとして起用し続けました。
1年時はBチームのロックで起用され続け、その年の大学選手権ではリザーブ入りを果たしましたが、 現在の安定感あふれるプレーと比較すると、まだまだこちらも原石であったようです。
 
一方で、ルーキーイヤーより不動のフルバックとして活躍してきたのが竹田宜純。 彼は持ち前の度胸・勘所の良さと、どんな試合でも落ちることのないパフォーマンスで、国立競技場でも不敗神話を作ってきましたが、それでも「下級生の時は先行投資の意味も込め、時にはこちらが我慢しながらも、自由にプレーさせていました」と岩出監督が言われるように、決して入部時より、『突き抜けた存在』ではありませんでした。
 
先般、国民栄誉賞を受賞した松井秀喜選手ではありませんが、三者に共通するのは、“努力し続けられる才能”に恵まれている点です。
恵まれている、というのは少し語弊があるかもしれません。 「しんどい時も妥協せず、努力する意志・スイッチを切らさず頑張ってきた」、といった表現の方が正しいかもしれません。
そして何よりも、恵まれたという点でいうと、自らをより理解し根気強くその成長を手助けしてくれた、岩出監督という指導者に出会えたことでしょう。
昨年度まででいうと、FWの躍進を支えてきたFL松永や、BKの舵取り役・CTB荒井(ともに現中国電力)しかり。
今季のFW・BKの切り札的存在になってきたPR森川、WTB磯田しかり。
 
そして2013~2014シーズンも、その原石候補が少しずつ頭角を現し始めてきました。
コカ・コーラウエスト 戦ではLO町野、FL杉永、CTB野田などが、思い切りの良いプレーを見せてくれました。
19日に行われた栗田工業戦でも、トップイーストの強豪チームに対し、若いメンバーが中心の中、最後まで食らいつく好試合を展開しました。
 
岩出監督は言います。
「高校までの実績は関係ありません。それよりも、いかに本人が、継続して目標と夢に挑戦し続けられるかでしょう。あとはいかに根気強く、こちらがサポートしてあげられるかだと思います。」
 
自らの目標に向かい己をひたすら磨き続け、さらには、情熱あふれる指揮官に磨かれてきた者の表情は、クラブの外の人間から見ても、輝きを増しているように映ります。 春シーズン、チームの成長と共に、新たに名乗りを上げる精鋭の出現を楽しみにしたいと思います。
 

《  NEXT MATCH  》
 
第42回 京都ラグビー祭 対 同志社大(http://www.doshisha-rugby.com/)
5月26日(日)西京極総合運動公園陸上競技場
14時キックオフ

(文/TIR●L、写真/佐賀県ラグビー協会提供)

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