REPORT

レポート

トップ
   
レポート
   
2013関東大学対抗戦A・第3戦 日本体育大学戦

2013関東大学対抗戦A・第3戦 日本体育大学戦

2013/10/07

「2013関東大学対抗戦A・第3戦 対日本体育大学戦」
 
10月6日(日)・上柚木公園陸上競技場
○帝京大学(3勝0敗)147-0日本体育大学(0勝3敗)

《帝京大学》
[FW]
((1)竹井(勝)(2)森川(3)東恩納⇒深村(4)小瀧(5)町野(6)イラウア(7)杉永(8)李
[BK]
(9)流(10)中村(11)磯田(12)牧田(13)大橋⇒野田(14)松田(15)竹田
 
《日本体育大学》※先発のみ
[FW]
(1)橋本(2)畠山(3)高野(4)霜田(5)小野(6)加藤(7)森(大)(8)青木
[BK]
(9)高嶋(10)石澤(11)堀川(12)森(心)(13)菅原(14)鹿内(15)宮川

【前半】【得点経過】
【2分】帝7-0日
ラックから展開。SO中村-CTB牧田-WTB磯田と渡って、磯田がトライ。ゴール成功。
 
【5分】帝14-0日
FL杉永が前進してBKへつなぐ。CTB大橋が相手ディフェンスを十分に引きつけてからFB竹田へパス。竹田が抜け出し、トライ。ゴール成功。
 
【7分】帝19-0日
ラックからBKへ。SO中村からWTB磯田へパス。もう一度、内側の中村へパスを戻して、中村が抜け出してトライ。
 
【11分】帝26-0日
ターンオーバーから、パスを内外と細かくつなぎながら前進。CTB大橋がディフェンスを引きつけてWTB磯田へパス。磯田が走り切ってトライ。ゴール成功。
 
【16分】帝31-0日
ラインアウトからモールを形成。押し込んで、最後はFLイラウアがトライ。ゴール成功。
 
【23分】帝38-0日
ラックからのボールをBK展開。SO中村から大きく飛ばしてFB竹田へ。竹田が抜け出し、WTB磯田へパス。磯田がそのままトライ。ゴール成功。
 
【27分】帝45-0日
相手ボールスクラムを押してターンオーバー。FLイラウアが前進し、HO森川へとパス。森川がそのままトライ。ゴール成功。
 
【29分】帝52-0日
SO中村が仕掛けて前進。つかまってラックになるも、SH流-FLイラウア-LO小瀧と渡り、小瀧がトライ。ゴール成功。
 
【33分】帝59-0日
CTB牧田、WTB松田で前進。松田がつかまるも、SO中村から、しっかりラインに戻っていた牧田へパス。牧田が前進し、WTB磯田へパス。磯田が相手ディフェン スを2人かわしてトライ。ゴール成功。
 
【37分】帝66-0日
ラインアウトからモールを形成。押し込んで、FLイラウアがトライ。ゴール成功。
 

 【後半】【得点経過】
【1分】帝73-0日
SH流が前方へゴロキック。WTB磯田が追いかけて、拾い上げ、そのままトライ。ゴール成功。
 
【5分】帝80-0日
FW、BKでつなぎ、ラックからHO森川が抜け出し、走り切ってトライ。ゴール成功。
 
【7分】帝85-0日
ラックからSH流-SO中村-CTB牧田-WTB松田と渡り、松田がハンドオフで相手ディフェンスをかわし、走り切ってトライ。
 
【13分】帝92-0日
スクラムからBK、FWで前進。最後はFLイラウアが飛び込んでトライ。ゴール成功。
 
【14分】帝99-0日
キックオフのボールをキャッチしたFL杉永が前進。つかまるも、SH流が抜け出し、そのまま走り切ってトライ。ゴール成功。
 
【19分】帝106-0日
ラックからSH流が仕掛けて抜け出し、FLイラウアへパス。イラウアがそのままトライ。ゴール成功。
 
【21分】帝111-0日
HO森川が前進。つかまるも、SH流から、LO小瀧-WTB松田とつなぎ、松田がトライ。
 
【24分】帝116-0日
SH流が仕掛けて抜け出し、FB竹田-WTB磯田と渡り、磯田がそのままトライ。
 
【26分】帝123-0日
連続攻撃で前へ。ラックからSH流-HO森川-LO小瀧とBKのようなパスをつなぎ、小瀧が走り切ってトライ。ゴール成功。
 
【31分】帝130-0日
ラックからSH流-FLイラウアと渡る。イラウアからすぐにPR竹井へパス。竹井が抜け出し、ディフェンスを振り切り、走り切ってトライ。ゴール成功。
 
【34分】帝135-0日
ターンオーバーからラックに。SH流-FB竹田-WTB磯田と渡って、磯田がトライ。
 
【36分】帝140-0日
No8李が前進。FLイラウアへと渡り、イラウアが走り切ってトライ。
 
【40分】帝147-0日
HO森川が前進。さらにFW、BKで前に出る。FLイラウアが抜け出し、そのまま トライ。ゴール成功。
 

《  BRIEF REVIEW  》

対抗戦第3戦の相手は日本体育大学。前日の涼しさとは打って変わって、気温25度を超える夏日となるコンディション。そんな中、帝京は「厳しさ」をテーマに、いかに自分たちに厳しくなれるかに挑んだ。キックオフ直後から、その「厳しさ」を見せ続 ける帝京。PR竹井(勝)(ゲームMVP3人のうちの1人)、LO小瀧、FLイラウア、FL杉永らが躍動。さらには、4年生の両CTB牧田、大橋(いずれもゲームMVP)、両WTB磯田、松田らも活躍。全員ですべての局面で圧倒し続け、最後まで「厳しさ」を出し続けた。
前日のゲームでの疲労度やこの時期に80分間戦う経験をするメリットなどを考慮し、 メンバー入れ替えも2人だけ。暑い中、最後まで集中力を切らさず、帝京は147-0と いう記録的な得点で勝利を収めた。

      
《  AFTER MATCH SAY  》
 
■岩出雅之監督
「今日はいいプレーをしようという以上に、気の引き締まったプレーをしようということと、ラグビーができる喜びを大事にしよう、そしてラグビーができる中での代表者として、そのゲームを大事にしようと言って臨みました。また、そうした姿勢の中で出るミスは次につながりますし、次につなげるためにも今日を大事にしようという話をしました。気の引き締まった内容にしようと言って送り出しましたが、それが出ていたいいゲームだったと思います。
次戦も相手の厳しさを上回れるように、我々もここから大きく上昇していけるような厳しいゲームをすべく、しっかり準備をして臨みたいと思います。最後になりましたが応援頂いた皆様に感謝申上げますとともに日本体育大学のこれからのゲームでの活躍を期待し祈ります。」

 
■キャプテン・SO中村亮土(4年)
「最後まで集中を切らさず、自分たちのプレーができたのは大きな収穫だったと思います。ここまでの2試合ではミスが多かったので、今日はプレーの質にこだわろうということで、細かいところの集中力を大事にして、ミスをなくそうと言って臨みました。また、相手は関係なく、自分たちの厳しさを出そうと言っていました。おおむねよかったと思うのですが、これから対戦する相手の強いプレッシャーの中でも同じようにできるかがポイントになってくると思います。今日感じることができたいいイメージを生かして、次の試合につなげていけるかが大事です。次の相手はより厳しいプレッシャーがかかると思いますし、今シーズン初めての秩父宮ということで、環境による緊張感もあるとは思いますが、そんな中で自分たちがいかにレベルの高いラグビーができるか、自分たちのやってきたことが出せるか。やってきたことに間違いはないので、それをいかにグラウンドで表現できるかだと思います。今後も日頃から試合をイメージして、さらに上の段階に上がっていけるような、打倒トップリーグを目指せるような練習をしていきたいと思います。」
 
■力強さとすばやい反応で得点シーンを演出・FL杉永亮太(3年)
「テーマとしては『激しさ』『厳しさ』ということで臨んだのですが、最初から勢いに乗れて、ブレイクダウンもしっかり圧倒することができました。ただ、その中でももっと激しさを出して、さらにチーム全体を乗せていくようなプレーをできたらよかったと思っています。今日は個人的にはディフェンスにフォーカスしてプレーしようと思っていたのですが、ディフェンス機会が少なくて、アタックが多くなりました。そのアタックで、ボールを持って前に出ることもできましたし、思い切りよくできてよかったと思います。自分たちは前の2試合であまり乗り切れていなかったので、これからの練習をしっかりやって、自分もチームもいい状態で次の試合に臨める準備をしたいと思います。」
 
■自ら何度も仕掛け、相手ディフェンスを翻弄・SH流大(3年)
「今日は『厳しさ』というテーマで、相手がどこであろうと関係なく、自分たちがやるべきスタンダードを高くもって、最後まで厳しくやり切ろうと言って臨みました。また、グラウンドに出てラグビーができる喜びを感じながら、しっかり厳しくやるということを全員で頭に入れてプレーしました。前半にちょっと軽いプレーと自陣でのミスがあって、そこが修正点だと言っていたので、その意味では、後半はしっかり引き締めて、気を抜くことなく、最後までやれたというのはよかったと思います。自分が仕掛けて抜け出す場面を何度か作ることができましたが、これはFW、BK一人一人が前に出てくれたおかげです。前に出てくれた分、スペースがあいて、そこを自分が見て、行くだけでした。自分がよかったというよりも、みんなが作ってくれたスペースにただ走っただけだと思います。前を見ることは常に意識していますが、今日はみんながスペースをあけてくれました。ここまでは大差のゲームが続いていますが、次は昨年、対抗戦で敗れている相手ということもあり、ここから帝京の本当の厳しさを出していかなければなりません。いい準備をして、次の試合に臨みたいと思います。」
 
《  PICK UP PLAYERS  》
 
タックルされてもボールを生かせる体の強さを発揮
CTB 大橋晋(4年)
196.jpg >
Oohashi Shin
1991年11月7日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
身長171cm/体重83kg
常翔学園高校出身
 
■対抗戦初出場でしたが、どんな気持ちで試合に臨んだのでしょうか。
「初出場ということでうれしい気持ちと、ちょっと緊張もあったのですが、今まで やってきたことに自信をもって今日の試合に臨みました。」
 
■ゲームを振り返って感想を聞かせてください。
「自分の甘さ、細かいところでのプレーの精度の低さがミスとして出てしまったので、今日は自分としてはまだまだ納得していません。
 
■いいプレーもたくさんありました。
「BKとしてのオプションやブレイクダウンは練習でも高いレベルをイメージしてやっているので、今日はそこは出せたと思います。」
 
■相手ディフェンスを引きつけてからしっかりボールをつないで、決定的なシーンを作り出す場面がたくさんありました。
「外に磯田や竹田という信頼できるプレーヤーがいるので、自分がどう動き出して、相手ディフェンスを引きつけてボールを渡せるかということは常に考えています。今日は、それで外側のプレーヤーを生かすことができてよかったと思っています。」
 
■自分自身の一番いいところはどこでしょうか。
「コンタクトです。体づくりを一生懸命やってきたので、ディフェンスでもアタックでも、コンタクトでは他の人に負けたくないという気持ちでやっていますし、そこは自信をもっています。」
 
■普段から心掛けていることはありますか。
「自分には目立った才能はないと思っているので、すべての練習を全力でやり切ることを常に意識して心掛けています。」
 
■4年生としてのリーダーシップの部分ではどんなことを意識していますか。
「中村、李というリーダー陣がしっかりしていますが、自分たち4年生は彼らに任せてついていくのではなく、普段から自分が下級生たちの見本になれるのはどこかということを考えて、練習に取り組んでいます。」
 
■今後に向けての意気込みをお願いします。
「これからは相手もより厳しくなっていくので、自分個人としても頑張りますし、4年生としてもチームが一つになるためにはどうすればいいかを考えて、日々、取り組んで行きたいと思います。」
 
春季大会ではAチームでの出場経験があるが、対抗戦は初出場。体の強さが自慢のCTBで、タックルされても簡単には倒れず、しっかりとボールをつなぐことができる。こ れは体幹の強さに加えて、パス・スキルが高いことの証明でもある。この日も、次々と相手ディフェンスを吸い寄せ、タックルさせておいて、人数の余った外側のプレーヤーにつなぐというプレーを再三見せた。破壊的な突破力とは違った実力の持ち主だ。4年生としての自覚も十分。競争の激しいCTB陣のポジション争いに、また一人、魅力的な男が名乗りをあげた。

※その他のコメントは
https://www.facebook.com/rugby.teikyouniv
でも、ご確認ください。

《  COLUMN  》
 
――147点の本当の意味――
 
上柚木公園陸上競技場は、思っていた以上にコンパクトな競技場でした。12時から第一試合、中央大学対立正大学の試合が行われ、帝京対日本体育大学の試合は14時からの第二試合でした。
 
試合前のアップはどこでやるのだろうと思っていると、インゴールのすぐ横の陸上のトラックのあたりに、アップ用の目印が置かれていました。「まさか、あそこで?」と思うほど、インゴールの近くでした。
 
アップが始まる時間帯は、まだ第一試合の真っ最中です。しかも、ロースコアの緊迫した展開。気にするなという方が無茶で、スタンドから歓声が上がるたびについグラウンドの方に視線を向けたくなってしまうほどです。こんな環境で、選手たちは集中できるのだろうかと心配になりました。その心配が的中するかのように、ボール回しでは珍しくボールが地面にこぼれました。
 
暑さも気になりました。前日から朝にかけての涼しさはどこへやら、試合直前は黙っていても汗ばむ陽気になりました。この暑さは、集中力をじわじわと奪うはずです。
 
ところが、第一試合が終わり、アップに芝生が使えるようになると、急に雰囲気が一変します。タックルバッグに突き刺さる音が明らかに変わりました。タックルバッグを持つ選手が倒され、転がります。各自が自らの手で、試合に向けた集中力のスイッチを入れたようです。
 
帝京の選手たちは、そのままノーサイドまで集中力を切らさずに攻め続け、147-0という大差で勝利しました。
 
前2戦とは、選手たちの集中力が明らかに違っていました。集中力を奪う要因がいくつもあったにもかかわらずです。
 
何が変わったのだろうかと不思議に思い、試合後、選手たちに話を聞いてみると、各選手からこんな言葉が次々と出てきました。
 
「ラグビーができる喜びを大事にして」
「ラグビーができている者の代表として」
「グラウンドに立てる喜びを噛みしめて」
 
グラウンドに立てない仲間もいる。ラグビーができない仲間もいる。そんな中、自分は今、グラウンドに立って、ラグビーができている。なんと幸せなことか。
 
そんな思いが言葉になって出てきました。
 
ケガや病気で休んでいる仲間もいるでしょう。メンバー表に名前を連ねていながら、直前のケガで休まざるを得なかった仲間もいるでしょう。症状によっては、治療が長引く仲間もいるでしょう。そんな仲間は、4年間という限られた貴重な時間を、ラグビーではなく、治療に充てなければならないという焦りや不安を抱えて、日々を過ごしているに違いありません。
 
そんな仲間に思いを馳せ、そんな仲間のためにも、今、ラグビーができる自分は、自分のやるべきことに全力を出し切る。そんな気持ちが伝わってきました。
 
モチベーションというのは、自分のためにやるよりも、自分以外の大事な誰かのためにやるほうが高まるのだそうです。もちろん、強制的な滅私奉公ではなく、自発的なものでなければ高まらないので、正確には「自分のためであるのと同時に、それ以上に他人のためになっている」のが最もモチベーションが高まる状態です。
 
この試合、集中力を奪うさまざまな悪環境に加え、早々に大差がつくというゲーム展開までもがモチベーションを奪う要因となり得ました。ところが、帝京の選手たちは、最後の最後まで集中力を切らさず、モチベーションを高く保ち続けることができました。
 
「仲間のために」という言葉は、ラグビーではよく使われます。よく使われるがために、ともすると言葉だけが上滑りし、中身の伴わないものになりがちです。しかし、今日の帝京の選手たちは、言葉そのものに囚われるのではなく、その中身、本当の意味にしっかりとフォーカスしてプレーしていました。
 
147点という点数だけを見ると「大味な試合だったのではないか」と思う人もいるかもしれません。しかし、そうではありませんでした。
 
この日の147点という得点には、その1点1点に、選手一人一人の「仲間のために」という思いが込められていました。記録的な大量得点は、その中身まで充実したものだったのです。
 
   
《  NEXT MATCH  》
 
関東大学対抗戦A・第4戦
10月20日(日) 秩父宮ラグビー場
14時キックオフ
過去の対戦成績:関東大学対抗戦19勝13敗(大学選手権3勝0敗)
[筑波大学の直近5戦]
8月24日 ●27-35 三菱重工相模原ダイナボアーズ(練習試合)
8月27日 ○71-7 関西学院大学(練習試合)
9月15日 ●12-20 慶應義塾大学(関東大学対抗戦)
9月29日 ●17-20 早稲田大学(関東大学対抗戦)
10月6日 ○50-10 明治大学(関東大学対抗戦)

(文/木村俊太、写真/川本聖哉)

特集一覧