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2013関東大学対抗戦A・第5戦 早稲田大学戦

2013関東大学対抗戦A・第5戦 早稲田大学戦

2013/11/06

「2013関東大学対抗戦A・第5戦 対早稲田大学戦」
 
11月3日(日)・秩父宮ラグビー場
○帝京大学(5勝0敗)40-31早稲田大学●(4勝1敗)

《帝京大学》
[FW]
(1)森川⇒竹井(勇)(2)坂手(3)東恩納⇒深村(4)小瀧(5)町野⇒竹井(勝)(6)イラウア⇒大和田(7)杉永⇒飯野(8)李
[BK]
(9)流⇒荒井(10)中村(11)磯田(12)野田⇒前原(13)森谷(14)松田(15)竹田⇒牧田
 
《早稲田大学》※先発のみ
[FW]
(1)大瀧(2)須藤(3)垣永(4)黒木(5)芦谷(6)金(7)布巻(8)佐藤
[BK]
(9)岡田(10)小倉(11)深津(12)坪郷(13)飯野(14)荻野(15)滝沢

【前半】【得点経過】
【11分】帝0-3早
帝京のノットロールアウェイの反則からPGを決められる。
 
【13分】帝0-8早
攻め込まれ、BKに展開されてトライを奪われる。
 
【17分】帝0-11早
帝京のオフサイドの反則からPGを決められる。
 
【28分】帝5-11早
帝京がBKで縦攻撃。SO中村、WTB松田が前進。ラックからSH流がWTB磯田へと長いパスを送る。磯田がタックルを受けながらも持ち込んでトライ。
 
【36分】帝12-11早
WTB松田、FLイラウアらが前進。FWで縦を突き、最後はHO坂手が持ち込んでトライ。ゴール成功。
 
【40分】帝19-11早
BK展開で前進。ゴール前でつかまるも、今度はFWで攻撃。PR森川、PR東恩納が前進。最後はFL杉永が持ち込んでトライ。ゴール成功。
 

 【後半】【得点経過】
【3分】帝19-14早
相手SOにDGを決められる。
 
【8分】帝26-14早
攻め込んだラックから、SH流-WTB松田-SO中村-WTB磯田とつないで、磯田がトライ。ゴール成功。
 
【14分】帝26-19早
攻め込まれ、BK展開されてトライを奪われる。
 
【30分】帝26-26早
相手ボール・スクラムから攻め込まれ、トライを奪われる。
 
【33分】帝33-26早
WTB磯田が前進してゴール前へ。ここからFWの連続攻撃。最後はLO町野がトライ。 ゴール成功。
 
【37分】帝40-26早
相手ボール・ラインアウトからモールを作られるが、モールが回ったのを見逃さず、PR森川がボールキャリアに強烈なプレッシャーをかけ、ボールがこぼれる。こぼれ球 を拾ったSH流からFL大和田へとパス。大和田が持ち込んでトライ。ゴール成功。
 
【42分】帝40-31早
帝京のペナルティからクイック・リスタートで攻め込まれ、トライを奪われる。
 

《  BRIEF REVIEW  》

対抗戦第5戦は、春、夏の練習試合で好ゲームを演じた好敵手・早稲田大学との対戦。帝京のアップは、第一試合の歓声をもかき消すほど大きな声が出ていたが、岩出監督は試合後、「気合いは入っていたが、少し重かった」と語った。その重さからか、前半17分までに0-11とリードを許す展開となる。しかし、帝京はここから目覚め、怒涛の攻撃を開始。BKの動きにもFWの力強さにも帝京らしさが戻る。たくましさを増したWTB磯田がタックルを受けながらもトライを決めて、反撃ののろしを上げると、HO坂手のトライで逆転。坂手の後ろからLO小瀧がしっかりとサポートして押し込むという、組織で取ったトライだった。一時は12点差まで広げるが、ミスやペナルティも重なり、後半30分に同点に追いつかれる。だが、ここから、再度、帝京の攻めが冴える。BKのダイナミックな展開で大きく前進し、つかまってもFWが力勝負。10分で2トライをあげ、試合を決めた。力と力が真正面からぶつかり合った好ゲームは、帝京が40-31で勝利した。
      
《  AFTER MATCH SAY  》
 
■岩出雅之監督
「今日のゲームは全般的に好ゲームだったのではないでしょうか。それはわれわれが勝利したからということではなく、対抗戦の5試合目でこういった厳しいゲームができたという意味でお互いにとっていいゲームでしたし、観戦されたみなさまにとっても手に汗握る好ゲームだったのではないかと思います。両チームが最後の最後までしのぎを削った、気持ちの入ったゲームができました。練習ではなかなか味わえないレベルの境地、厳しさの中から生まれるものを両チームともに得られたのではないかと思っています。ただ、細かいところを言えば、ワンプレーワンプレーの甘さが出た部分もありました。そういった甘さが試合の流れを変えることにもつながりかねませんので、次に対戦するときは、厳しさがもっともっとぶつかり合うようなゲームができるように、学生たちにはこれからまた努力を積み重ねていってほしいと思っています。」
 
■キャプテン・SO中村亮土(4年)
「今日は両チームとも引き締まったゲームができたのではないかと思います。試合内容に関しては、ゴール前、FWでトライを取り切れましたし、BKでもボールを動かしながらトライを取れましたし、さらにBK展開からFWがしっかり寄ってきてトライにつながったシーンもありました。そこはレベルアップできているところだと思います。ただ、ディフェンスの部分で30点以上取られてしまいましたので、そこは今後の課題として細かいところまで修正していきたいです。今日は、収穫もあり、反省点もありでしたが、早稲田大学さんとまた大学選手権で対戦するときには、お互い、さらにレベルアップした試合ができるのではないかと思っています。」
 
■後半、同点の場面で貴重な勝ち越しトライを奪った・LO町野泰司(3年)
「出場する23人がチームの代表として、出られない仲間のためにも体を張っていこうということと、これまで積み上げてきたことを出そう、そしてゲームそのものを楽しもうといって臨みました。また、相手が早稲田大学さんということで、自分もみんなもこれまで以上に気合いを入れて試合に臨みました。前半、先制されて苦しいゲームでしたが、そんなゲームでも最後まで楽しむことができました。攻め込まれてもしっかりディフェンスできて、切り返すこともできましたし、自分としてはゲームがとても楽しく感じられました。トライシーンは、あそこはFWで行こうということだったので、思い切って行きました。スクラムに関しては、反省点が見えたので、これからしっかり修正していきたいです。今後も各試合で反省点、修正点が出てくると思いますが、それを一つ一つ修正することによって一歩一歩成長していって、最後にその成長できた部分を出し切ることができるように努力していきたいです。」
 
■軽快な動きにパワーを加え、「Good TACKLE賞」を受賞した・CTB森谷圭介(2年)
「去年の早稲田大学戦ではSOで出場したのですが、プレッシャーをかけられ、思ったようなプレーができず、くやしい気持ちばかりが残りました。なので、今日は自分の中では特に気持ちの入る試合でした。ひたむきさ、誠実さをテーマに臨んだのですが、タックルやキックチェース、すばやい戻りといったところを特に意識して、そういったプレーができたのはよかったと思います。また、今日は協会から『Good TACKLE賞』をいただきました。去年は体も小さくて、タックルは課題だったのですが、今年は一対一の体を当てていく部分を評価していただき、こういった賞をいただけたのはとてもうれしいです。ただ、まだ状況判断やゲームの流れをきちんと考えてプレーするといったところで課題が見えたので、そこは反省して、もっと成長していきたいです。ランに関しては、去年はSOからの動きでしたが、今年は少し後ろで、相手と間合いがあるところからの動き出しもできるようになり、そこは自分の成長したところでもあるかなと思っています。今日は、もっと成長できる部分がたくさんあると感じられた試合だったので、次に向けてしっかり練習して、チームに貢献できるように一日一日を大切にやっていきたいと思います。」
 
《  PICK UP PLAYERS  》
 
苦しい場面も「ENJOY」できる力を身につけた
PR 東恩納寛太(3年)
312.jpg
Higashionna Kanta
1992年11月26日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
身長179cm/体重108kg
 
■今日のゲームを振り返って感想を聞かせてください。
「今日は出られなかった人たちのためにも、出ている23人が頑張るということと、楽しんでやろうということをテーマにして試合に臨みました。自分としては、スクラムで苦戦してしまいましたし、早稲田大学さんの速い二人目の寄りに対して遅れてしまったり、走る面でも反省点が出てしまいました。ここはしっかり反省して、次の試合に生かしたいと思います。」
 
■スクラムで苦戦した原因は分析するとどのあたりにあるのでしょうか。
「早稲田大学さんの変わった組み方に対して、今回は自分がうまく対応できなかったことが原因です。真っ直ぐ組んでこない相手に対して、どう組めば自分たちのスクラムを組めるのかということを意識して、練習に取り組んでいきたいです。」
 
■この時期にそうした経験ができたことは、むしろ財産と捉えることができそうですね。
「そうですね。対抗戦5戦目でこうした早稲田大学さんのスクラムを体で体感できたことは、次につながると思います。次に対戦するときは、帝京の力強いスクラムを見せられるように頑張ります。自分の持ち味であるスクラム、ブレイクダウンでの攻防の部分で、帝京FWの力強さに貢献していきたいです。」
 
■自身の成長を感じる部分はどんなところでしょうか。
「夏合宿の早稲田大学戦では、緊張もあって、思い切ったプレーができなかったり、気持ちの部分で弱気になっていたところがありました。でも、今日は最初から『楽しむ』という気持ちでプレーできました。強気に、楽しみながらプレーできたので、そういった精神的な部分で成長できているのかなと思っています」。
 
■スクラムで劣勢を感じながらも、むしろその経験を楽しめる精神的な余裕があったということですね。
「はい。そういった精神的な成長を自分でも感じることができました。対抗戦はまだ2試合ありますが、その2試合でもゲームを楽しむこと、持ち味を出していくことを意識してやっていきたいと思います。」
 
■自分自身のプレーで自信があるのはやはりスクラムですか。
「はい。ただ、これからはスクラムだけでなく、フィールドプレー、特にタックルだったり、サポートだったりという部分をもっと磨いていきたいと思っています。FWもしっかり走ってプレーすることを意識してやっていきます。」
 
■今後に向けて意気込みをお願いします。
「今回出た反省であるスクラムをもっと磨いて、さらにフィールドプレー、サポート、タックルを磨いていって、チームの核となるような、頼りになる存在になれるように頑張ります。」
 
この日は、相手の変則的に組んでくるスクラムにやや苦戦したが、それでもそんな状況を「いい経験」として楽しむ余裕があった。自身も、その精神的な余裕の部分に少しずつ成長を感じているという。「チームの核として頼りになる存在になりたい」という言葉には、ファーストジャージを着て試合に出る者としての自覚と誇りを感じさせてくれる。この日のスクラムでの経験が生かされたとき、本当の意味での「チームの核」となっていることだろう。

 
 
 
《  NEXT MATCH  》
 
関東大学対抗戦A・第6戦
対明治大学戦(http://www.meijirugby.jp/
11月17日(日)秩父宮ラグビー場
14時キックオフ
過去の対戦成績:関東大学対抗戦8勝27敗(大学選手権2勝0敗)
[明治大学の直近5戦]
9月15日 ○45-0 青山学院大学(関東大学対抗戦)
9月22日 ○90-0 成蹊大学(関東大学対抗戦)
10月 6日 ●10-50 筑波大学(関東大学対抗戦)
10月20日 ○41-0 日本体育大学(関東大学対抗戦)
11月 3日 ●18-24 慶應義塾大学(関東大学対抗戦)

(文/木村俊太、写真/志賀由佳)

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