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2014関東大学春季大会 第5戦・早稲田大学戦

2014関東大学春季大会 第5戦・早稲田大学戦

2014/06/23

「2014関東大学春季大会 第5戦・対早稲田大学戦」
 
6月22日(日)・ニッパツ三ツ沢球技場
○帝京大学28-10早稲田大学●

《帝京大学》
[FW]
(1)森川⇒徳永(2)坂手⇒小川(3)深村⇒東恩納(4)金(5)小瀧⇒飯野(6)イラウア(7)杉永(8)吉田⇒亀井
[BK]
(9)流⇒荒井(10)松田(11)磯田(12)森谷(13)濱野⇒永野(14)尾崎(15)重⇒金田
 
《早稲田大学》※先発のみ
[FW]
(1)千葉(2)清水(3)佐藤(勇)(4)大峯(5)桑野(6)吉田(7)布巻(8)佐藤(穣)
[BK]
(9)杉本(10)小倉(11)深津(12)飯野(13)勝浦(14)荻野(15)黒木

【前半】【得点経過】
【7分】帝7-0早
ラインアウトからモールを形成し、押し込んでからBKへ展開。SH流-FB重-WTB磯田と渡って、磯田がトライ。ゴール成功。
 
【10分】帝7-7早
スクラムから相手BKに個人技で走られ、トライを奪われる。
 
【17分】帝7-10早
PGを決められる。
 
【28分】帝14-10早
ラインアウトからFWで連続攻撃。最後はFLイラウアが飛び込んでトライ。ゴール成功。
 
 

 【後半】【得点経過】
【24分】帝21-10早
スクラムからNo8の位置に入った杉永が持ち出して前進。ラックになるも、SH流-SO松田-CTB森谷と渡り、森谷が抜け出してトライ。ゴール成功。
 
【29分】帝28-10早
CTB永野が前進。ラックからSH流-WTB尾崎と渡り、尾崎が抜け出してトライ。ゴール成功。
 
 

《  BRIEF REVIEW  》

春シーズンの最終戦の相手は、昨年度の大学選手権決勝の相手でもある早稲田大学。前半7分、いい形で先制するが、直後にスクラムから相手BKの個人技で抜かれて同点に追いつかれる。17分には逆転を許すが、帝京は全員で前に出る自分たちのプレーを続ける。相手の攻撃にも、CTB濱野、WTB尾崎らの好タックルで防ぐ。FW陣も、この日のMVP、FL杉永らを筆頭にまさに全員が体を張ったタックルを続け、14-10で前半を折り返した。ハーフタイムに岩出監督から「イライラしながらプレーをしないこと。ミスを恐れず、自分たちがレベルアップできるプレーをすること。気合いとリラックスのバランスに気を付けて、各自で調節すること」といったアドバイスがあった。後半、相手の粘りに対して、組織力と激しさで対抗する。攻め込まれる場面もあるが、全員で激しく体を張って守る。後半は最後までしっかりと守りきり、相手に得点を与えず、28-10で勝利した。これにより、帝京は3年連続で春季大会優勝を決めた。
      
《  AFTER MATCH SAY  》
 
■岩出 雅之監督
「春シーズン、これまで一つ一つ積み上げてき学生一人一人の思いがそれぞれにあると思いますので、それが春のまとめの試合に少しでも出ればと思って送り出しました。この時期ですから、いいものが出ても、悪いものが出ても、課題を次に持ち越すことができます。その課題をどうとらえて、どう今後努力していくかが重要なのですが、そうした課題を抽出するには、やはり本気で向かってきてくれる相手と戦うのが一番です。そういう意味でも、「今年の早稲田も」例年同様気合が素晴らしく、とてもファイトあるプレーでぶつかってきてくれましたので、たいへん良い試合だったと思います。ハーフタイムで欲張らずに『まずはあと一歩でいいから、頑張ろう』と伝えました。その一歩の積み重ねが成長につながります。心と体と技術が一体となって一歩一歩登っていく、伸ばしていくということが大切ですが、春のゲームの意義というのはまさにそこにあるのだろうと思っています。今後もさらなる成長のための積み上げを続けていってほしいと思います」。
 
■キャプテン・SH 流 大(4年)
「今日はうまくいかない場面を多く経験できた点がよかったと思います。いいディフェンス、激しいディフェンスをこの春に経験できたことで、チームはさらに成長できると思います。今日の試合、早稲田大学さんは気迫を出して来られました。前半は、自分たちの気持ちの部分がそこを上回れなかったのかもしれません。いい集中をしていた選手もいましたが、余裕が裏目に出ていた選手もいて、ばらつきのあるゲームになってしまいました。後半は、前半に比べたら、よく集中できていたと思います。Aチームは春シーズンを全勝で終えることができましたが、目標は打倒トップリーグです。まだまだ目標に向かって積み上げている段階なので、慢心することなく、油断なく、まずは夏をしっかり乗り越えて、秋、冬と一歩ずつ成長していきます。」
 
■落ち着きと激しさのバランスをプレーに生かした・HO 坂手 淳史(3年)
「前半は自分たちのミスでやりたいことができませんでした。でも、そこで自分たちも崩れず、ハーフタイムでメンタル面、プレー面の両方をしっかりと修正できたので、後半、ああいったスコアになったと思います。ただ、ここがゴールではありません。目標は打倒トップリーグですし、自分たちがここから伸びていける要素もたくさん見つかったと思います。自分としては前半、余裕をもってプレーしようと心掛けたのですが、そのために熱さとか激しさが出ていないと思い、後半はもっと危機感を持って、激しさでチームをまとめていけるようなプレーを心掛けました。今後はプレー面でも、生活面でも、チームをまとめていけるような存在になっていきたいと思います。」
 
■久々の先発で、再三激しいプレーを見せた・LO 小瀧 尚弘(4年)
「今日は久しぶりの先発で、チームの最上級生として、リーダーシップの部分を一番に念頭に置いて戦いました。結果としては、体力の面で、本当は最上級生としてもっと余裕がなければいけなかったのですが、自分のことで精いっぱいになってしまい、チームに迷惑を掛けてしまったところがありました。コンタクトの部分はしっかりドミネートできていて、トライにつながったプレーもあったので、FWの強さはしっかり出せたと思います。個人としてはラインアウトのサイン選択がよくなくて、相手に取られてしまった場面があったので、そこは勉強と練習で改善していきたいです。本当に厳しい試合になっていくのはこれからだと思いますが、その厳しさの中で、自分がリーダーシップを取って、プレーでも引っ張っていけるように、まずは現状の課題を改善して、チームの中心的存在になれるように練習していきたいと思います。」
 
■ディフェンス、アタックともに落ち着いてプレーした・WTB 磯田 泰成(4年)
「春シーズン最後の試合ということで、チームでやってきたことをすべて出し切ろうという話をして臨みました。早稲田大学さんの気持ちの乗ったプレー、リスペクトすべきプレーがありましたが、全体を通して、帝京としてもそれを受けずに、しっかり前に出る自分たちのラグビーができたのではないかと思います。春シーズンを通して、BKのコミュニケーションの部分はブラッシュアップできていると思っていますが、まだまだレベルアップできると思います。これから、夏、秋を通して、トップリーグを倒すべく一歩ずつ成長していきたいと思います。」
 
■リーダーシップでBKを牽引・森谷 圭介(3年)
「今日は先週と同様、ゲームコントロールの部分を一番意識して取り組みました。エリアの部分では、敵陣にいる時間が長く、前半からいいエリアマネジメントができたと思います。ただ、ボールをキャリーするときのボールグリップや、ハンドリングのベーシックなスキルがうまくいかず、得点につながらなかったところがありました。後半は、難しいことは考えず、やるべきことに集中して、基本に立ち戻ってやれたので、いい結果につながったのだと思います。春シーズンにやってきたことが出た部分、できなかった部分の両方がありましたが、それらが明確になってきたと思います。その課題をしっかり修正して、もっともっといいチームにしていきたいです。個人的には、もっとリーダーシップを発揮して、BKを引っ張っていけるプレーヤーになりたいと思っています。」
 
《  PICK UP PLAYERS  》
 
痛い仕事も厭わずピンチを救うハードタックラー
CTB 濱野 大輔(3年)
HAMANO DAISUKE
1993年6月25日生まれ
教育学部教育文化学科
身長172cm/83kg
桐蔭学園高校出身
 
■今日の試合にはどんなことを考えて臨んだのでしょうか。
「春シーズンの最後の試合だったので、最初から帝京のラグビーを出せるようにと思って臨みました。自分の持ち味であるタックルを前面に出していこうと思っていました。」
 
■実際にその部分は出せたのでしょうか。
「何度かラインブレイクされるシーンがありましたが、そこをしっかりカバーできたところはよかったと思います。」
 
■いいタックルがたくさんありました。
「ありがとうございます。ただ、タックルしたあとのリアクションが遅かった点は反省です。」
 
■アタックでも抜け出してチャンスを作る場面が何度かありました。
「いい場面もありましたが、突くべきスペースを突けていないところもありました。突けば抜けられるところもあったと思うのですが、まだまだ森谷に任せきりになってしまったところもありましたし、ハンドリングやパスのスキルももっと磨かなければいけないと思っています。夏、秋に向けて、しっかり練習していきます。」
 
■この春はAチームでの出場が続いていますが、自身ではどんなところを期待されていると評価していますか。
「やはりディフェンスだと思います。ディフェンスをしっかりやることでチームの信頼が得られると思っていますし、僕の強みでもあるので、どの試合でも信頼されるディフェンスをするように心掛けています。」
 
■信頼とともに、自分自身、手応えを感じられる春シーズンになったのではないでしょうか。
「これほどAチームで試合に出続けることはこれまでなかったので、自信になりました。課題も多く出ましたが、うまくいったところは自信にし、うまくいかなかったところはしっかり克服していきたいと思います。」
 
■では、今後、夏、秋に向けて意気込みをお願いします。
「春シーズン、アタックでも、ディフェンスでも課題が多く出たので、夏合宿に向けて、その課題を克服できるように、一日一日を大切にしていきたいです。対抗戦でもAチームに定着できるように努力していきたいと思います。」
 
 
この春シーズン、AチームのCTBに定着する成長ぶりを見せた。本人は「ディフェンスで信頼してもらえるようになった」と語るが、この日もまさにピンチを救うタックルを何度も見せてくれた。アタックは「森谷に任せきりになった」と反省するが、抜け出してチャンスを作る場面もあり、あとは自信と経験で変わっていくことだろう。派手さはないが、いわゆる岩出監督好みの“穴の少ない計算できる”ミッドフィルダーではないだろうか。伸びしろもまだまだある。この夏でどこまで成長してくれるか、期待しよう。


《  COLUMN  》
 
――センター、バックスリーの取り組み――
 
ご存知の通り、CTB、WTBの4人はTB(スリークオーターバックス)と呼ばれます。アタックでも、ディフェンスでも、BKの実働部隊として戦います。通常は後ろに下がっているFBも、状況に応じてそこに参戦し、有利な局面を作ります。
 
ここで大切になるのが、お互いのコミュニケーションです。特にディフェンスは、一瞬の判断の遅れが致命傷にもなりかねません。TB、FBの5人は常にコミュニケーションを取って、守備に隙ができないように連携しながら動きます。
 
CTB濱野はこう語ります。
 
「今日のように外に展開してくるチームと対戦する場合は特にですが、WTB、CTBでコミュニケーションを取ってディフェンスすることを常に意識して練習しています。今日は、(ディフェンスラインで)抜かれるシーンもありましたが、そこをしっかりカバーできました。」
 
CTB森谷はこう言います。
 
「相手の1トライは完全に自分のミスでした。ただ、その後は『チームでディフェンスしていこう』と言って、しっかりコミュニケーションできたのでよかったです。」
 
きちんとポジショニングして穴を作らないことと、一人一人が相手をしっかり止めることが基本ですが、そこで抜かれたら一気に守備が崩壊するというのでは勝てません。いうまでもなく、仮に抜かれたとしても、誰かがフォローに回って止める。それがチームでディフェンスするということです。
 
ディフェンスでは通常、FBが最後の砦として残っていますが、そうした局面になる前に、CTB、WTBがフォローすることで傷口を大きくする前に処置することができます。
 
もちろん、TB、FBのコミュニケーションは攻撃面でも大きな役割を果たします。
 
では、攻撃面では具体的にどのようなコミュニケーションを取るのでしょうか。WTB磯田が教えてくれました。
 
「僕たち一番外側にいるプレーヤーが、フィールドを最も見通しやすいので、外からしっかりどのスペースを攻めていくのか、内側のプレーヤーにコミュニケーションを取って、ボールを持っていないときにもプレーに参加することを意識して取り組んでいます。今日はできたところと、できなかったところがありましたが、春シーズンを通して、この部分はブラッシュアップできていると思っています。」
 
力強い言葉に、大きな自信とさらなる成長への期待を感じさせてくれました。
 
成長著しいCTB永野やSOとともにCTBとしても活躍する金田らも、チームにいい刺激をもたらしています。FBでは重が真価を発揮し始め、また春はケガの治療に回った権裕人も夏合宿に戻ってくることが予想されます。さらには、三ツ沢の前日に行われたBチーム戦では、前原、石垣の両CTBに、飯山、別所、宮崎のバックスリーも魂あふれるプレーを見せてくれました(対早稲田戦はABCDE戦全勝でした)。
 
打倒トップリーグに向けて、帝京BK陣の進化は進みます。
 
 
 
 
《  THE NEW FACE 》
 
ニューフェースたちの声を紹介します。
 
No8 吉田 杏(1年)
大阪桐蔭高校出身
身長188cm/体重104㎏
「先輩方に比べたらまだまだですが、自分の強みは突破力だと思います。今は縦への突破力を生かしつつ、ディフェンスも強化しています。高校時代、花園で負けてとても悔しい思いをしましたので、一番強いチームに入りたくて、また自分もトッププレーヤーになりたくて、帝京大学ラグビー部に入りたいと考えるようになりました。これから先輩方を目標に、対抗戦も一年生からAチームで活躍できるように、しっかり練習していきます。」
 
《  NEXT MATCH  》
 
春シーズンのA戦は終了しました。
今後はhttp://rugby.teikyouniv.jp/game/page/id=369と合わせ、7月26・27日(土日)に帝京大学百草Gで東海大と練習試合を実施予定です(時間未定)。
また夏の菅平合宿は8月10日(日)から実施、16日(土)に明治大、20日(水)に慶應義塾大、24日(日)に早稲田大と練習試合を実施予定です(場所・時間未定)。

詳細につきましては、決まり次第、当ホームページでお知らせします。
 

(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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