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練習試合 明治大学戦

練習試合 明治大学戦

2014/08/18

「練習試合 対明治大学戦」
8月16日(土)・サニアパーク・メイン(菅平)
○帝京大学 28-12 明治大学●



《帝京大学》
[FW]
(1)森川⇒徳永(2)坂手⇒小川(一)(3)深村⇒東恩納(4)金(嶺)⇒飯野
(5)小瀧⇒町野(6)イラウア⇒服部(7)杉永⇒亀井(8)吉田⇒河口
[BK]
(9)流⇒荒井(10)金田⇒黒木(11)磯田⇒飯山(12)金村⇒永野(13)石垣⇒前
原(14)尾崎⇒津岡(15)重⇒宮崎

《明治大学》※先発のみ
[FW]
(1)勝木(2)中村(3)塚原(4)東(5)寺田(6)上田(7)平井(8)桶

[BK]
(9)加納(10)田村(11)齊藤(12)水野(13)尾又(14)成田(15)松浦


【前半】【得点経過】
【27分】帝0-7明
FKから展開され、トライを奪われる。

【31分】帝7-7明
ラインアウトからモールを押し込む。モールからPR深村が持ち出し、抜け出してト
ライ。ゴール成功。

【37分】帝7-12明
マイボール・ラインアウトを奪われ、展開されて、トライを奪われる。



 【後半】【得点経過】
【6分】帝14-12明
ラインアウトからモールを形成。押し切って、HO小川(一)がトライ。ゴール成
功。

【16分】帝21-12明
ラインアウトからFWで連続攻撃。最後はNo8河口がトライ。ゴール成功。

【40分】帝28-12明
SH荒井が相手のパスをインターセプト。そのまま、走り切ってトライ。ゴール成
功。



《  BRIEF REVIEW  》
合宿中の菅平での練習試合第一戦は、明治大学との戦い。しかし、コンディションは
最悪。試合前から大雨が降り続き、グラウンド全体が水たまりの状態。試合中も、時
折激しく降る雨に、あちこちで足を取られるシーンが続出する。このコンディション
は相手も同じだが、特に前半はどうしても雨とグラウンド・コンディションに集中力
が削がれがちになる。ペナルティから自陣に釘づけにされる時間帯が続くと、27分、
フリーキックからつながれた攻撃を止め切れずに、先制点を許してしまう。31分には
ラインアウトからモールを押し切って追い付くが、37分に再度トライを許し、前半を
7-12で折り返す。後半はメンバーをそっくり入れ替えて臨む。後半のメンバーたち
は、気合いとともに、戦い方を冷静に分析。ボールを丁寧につなぐ基本プレーを繰り
返し、チャンスを伺う。6分にはラインアウトからモールで、16分には再度ラインア
ウトから、今度はFWの連続攻撃で加点する。守っても、LO飯野、LO町野、FL
亀井、FL服部らが水の浮くグラウンドでも懸命のタックル。BK陣も奮闘。終了間
際にはSH荒井が相手のパスをインターセプトして、ダメ押しのトライを決め、28-
12で菅平での練習試合第一戦をものにした。


 
《  AFTER MATCH SAY  》
■岩出 雅之監督
「こうした水たまりの中でやっているようなコンディションですと、普段のプレーは
なかなか出にくくなりますし、必然的にロースコアになってしまうのですが、悪コン
ディションを経験できたという点はプラスになると考えています。今日は、前半と後
半とでメンバーを完全に入れ替えて臨みましたが、後半のメンバーたちは非常にモチ
ベーション高くゲームに臨んで、結果も出せましたので、彼らにとってはいい自信に
なったのではないでしょうか。モチベーションというのは、最終的には本人一人一人
の問題なのですが、今日の後半は、多くの選手たちにとって、いい刺激になっただろ
うと思います。
前半は、きちっとしたプレーができていなかった選手もいましたが、今日は私が喝を
入れなくても、各人が自分自身でわかっていて、納得できなかったり、悔しい思いを
感じたりしているはずなので、特に心配はしていません。
合宿では、この期間中に何かを完成させようという取り組みはしていません。合宿中
に得たものを9月以降につなげて、さらに成長できるようにするための取り組みをし
ているつもりです。一時的な突貫工事ではなく、しっかりとした基礎、土台を作っ
て、これからその上にさらに積み上げていけるような取り組みを、このあとも続けて
いきたいと思っています。」

■キャプテン・SH 流 大(4年)
「今日は、春から夏にかけてやってきたことをしっかり出すことをテーマにして臨ん
だのですが、前半のメンバーに関しては、油断しているつもりはなかったのですが、
どこかでそうした気持ちが出てしまったのかもしれません。こうしたコンディション
でボールもグラウンドもすべりましたが、タックルはしっかり行かないといけないの
に、相手に少し食い込まれてしまったところがありました。そこはもっと闘争心をむ
き出しにしてやらなければいけなかったと思っています。戦術面でも、もっと反省し
なければいけないところが出ました。でも、ネガティブには捉えずに、夏合宿の最初
のゲームでこうした経験ができたことをよかったと思いたいです。後半に出たメン
バーは、とても気持ちの入ったいいプレーをしてくれました。僕たち前半のメンバー
が忘れていたものを思い出させてくれるような、いいゲームだったと思います。ここ
までの合宿については、やっていることへの手応えは感じているのですが、今日の試
合では出せていなかったので、次の慶應大戦に向けて、もう一度、しっかり練習して
いきたいと思います。」

■ゲームコントロール力を高めたいと誓った・SO金田瑛司(3年)
「今日はゲームコントロールの部分で、しっかり敵陣に入っていくことができなかっ
たところが最大の反省点です。もっとキックをうまく使って、FWを前に出して、戦
うエリアを敵陣にできていたら、前半のような結果にはなっていなかったと思いま
す。グラウンド・コンディションに関しては、相手と同じイコール・コンディション
ですし、相手はキックをうまく使ってきて、このやりにくいコンディションの中でベ
ストの選択をしていました。逆に僕はしっかりゲームコントロールできなかったの
で、そこは反省です。ここまでの合宿を通しては、いい積み上げができていて、チー
ムとしてもレベルアップできていると思います。みんな、戦術への理解も深まってき
ていますし、そういう意味でも、チームはレベルアップできていると思います。今日
は個人的な反省点が多く出たゲームだったので、悔しい気持ちはありますが、合宿
中、まだまだ試合があるので、そこへ向けて、今日の反省を生かして、いい成果を出
したいと思います。」

■悪コンディションの中、いいアタックを見せた・CTB石垣航平(3年)
「今日は、アタックに関しては自分の強みを少しは出せたと思うのですが、テーマの
一つとして臨んだディフェンスのコミュニケーションの部分や、一対一のタックルの
部分で課題が残りました。合宿全般としては、アタック、ディフェンスともにいろい
ろなポイントを押さえながら取り組んでいるのですが、今日の試合ではやってきたこ
とをあまり出せませんでした。また、次のゲームに向けて、確認と反省をしながら、
練習していきます。」

卒業生二名が菅平に激励慰問に訪れ、現役への激励メッセージをいただきました。
■トヨタ自動車ヴェルブリッツ・滑川剛人(帝京大学OB)
「帝京のすごさを今日の試合だけでも感じさせられました。全員の意思統一だった
り、全力でプレーしているところなど、自分も学ぶところが多かったです。また、一
人一人個性があって、その個性を岩出監督が全部知っていて、これからどこまで伸び
ていくんだろうと楽しみになるチームです。まずは、自分たちが日本選手権の舞台に
上がらないことには話にならないのですが、去年のように今年もまた戦う機会があれ
ば、やはり自分たちは負けられないですし、そういう思いでお互い切磋琢磨するよう
な交流ができたらと思っています。」

■トヨタ自動車ヴェルブリッツ・竹田宜純(帝京大学OB)
「自分が社会人になって忘れかけていた、学生ならではのアグレッシブさを思い出さ
せてくれたゲームでした。気持ちの部分で見倣うところがたくさんありました。今、
社会人でやっていますが、帝京での4年間で学んだことが非常に生きていると思って
います。私生活も含めて、帝京で当たり前にやっていたことをやるだけで、『そんな
ことまでできるのか』と思ってもらえることがたくさんありました。自分もしっかり
努力して、日本選手権で対戦できたらうれしいです。」



《  PICK UP PLAYERS  》

合宿では自分の役割、戦術の理解が進んだ
LO 小瀧尚弘(4年)

KOTAKI NAOHIRO
1992年6月13日生まれ
経済学部経済学科
鹿児島実業高校出身
身長194cm/体重110kg

■今日のゲームについて、感想を聞かせてください。
「今日は、自分たちのペナルティから得点されてしまったシーンがあったので、そこ
は課題として、また次へつなげていきたいと思います。」

■コンディションのよくない中ではありましたが、セットプレーについてはどう感じ
ていますか。

「ミスもけっこうありましたが、修正していけると思うので、今日の課題をもとにま
たいろいろ工夫していきたいです。」

■協会のホームページなどでは、ジャパンの合宿での練習風景の写真がアップされて
いましたが、ジャパンでの練習の成果は出ているでしょうか。

「ラインアウトの練習風景の写真ですね(笑)。今日はラインアウトで、自分がジャ
ンプする場面はなかったのですが、もちろん自分が飛んだら必ずしっかり取るという
気持ちでやっていますし、チームとしてコンディションを言い訳にせず、改善点を改
善していきたいです。」

■ここまでの合宿を通じての手応えはいかがですか。
「練習はもちろんしっかりできていますが、自分はまず、自分のやるべきことを明確
にして、頭を働かせて、自分の役割をはっきりさせることに取り組んでいます。その
点では、すごくいい合宿になっていると思います。」

■まだ、合宿は続きますが、今後への意気込みをお願いします。
「このあとも自分のやるべきことを明確にして、しっかりやっていきます。」


日本代表の合宿にも参加し、一段とたくましくなった。この合宿では、フィジカルや
スキルだけでなく、自身の役割、戦術理解といった部分にも力を入れているという。
大きな体、激しさを前面に出す気持ち、細かなスキル、FW離れした走力、リーダー
シップ……これらに加えて、その明晰な頭脳も開花をし始めた。どこまで伸びるの
か、とても楽しみだ。
 


《  COLUMN  》

――モチベーションを意識することでプレーが変わる――

菅平での練習試合第一戦は、大雨が降り続き、グラウンドには水が浮く、最悪のコン
ディションの中で行われました。ボールを持っていない選手まで、あちこちで転んで
いるという、選手たちにはかわいそうな状況でした。

帝京は前半と後半とでメンバーをそっくり入れ替えて臨みました。前半はリードされ
て折り返し、後半の15人が逆転して勝利を収めました。

岩出監督は試合後、「後半に出た選手たちは、『やってやろう』と、モチベーション
高く挑めたのでしょう」と評価しています。言い換えると、前半に出た選手たちの中
に、ややモチベーションが下がっていたメンバーがいたということでしょう。

流キャプテンはこう述べています。

「油断しているつもりではなかったのですが、どこかにそういう気持ちが出てしまっ
たのかもしれません。」

おそらく、敵に対して油断したということではないのでしょう。言ってみれば「天候
にモチベーションを奪われた」のだと思います。

もちろん、相手も同じ状況である以上、そんな言い訳は通用しないのですが、頭では
わかっていても、無意識のうちに「また滑って転ぶのではないか」「滑って、いつも
のプレーができないのではないか」などと思って、いつもならできるプレーに一瞬の
躊躇が起こってしまうのも無理からぬ、それほどひどい天候、グラウンド状態だった
のです。

「無意識」というのはなかなか厄介なもので、頭ではわかっていても、「無意識」自
体をコントロールするのは至難の業です。では、対処のしようがないのかと言えば、
そういうわけもありません。「無意識」を「意識」の領域に持っていけば、コント
ロールできます。

つまり、「こういう悪天候でのゲームでは、無意識のうちにモチベーションが下がっ
てしまうことがある。だから、いつも以上に気持ちを高めてプレーしよう」というよ
うに、無意識に起こってしまいがちなことを、あらかじめ意識してしまうのです。

意識してしまえばこっちのものです。自覚できる部分ですから、頭と心(同じかもし
れませんが)でコントロールすればいいのです。

後半の選手たちのモチベーションが高かったのは、もちろんリードされている局面
だったこともありますし、Aチームに残るためにも精いっぱいのプレーを見せたいと
いったこともあったでしょう。

ただ、それに加えて、前半の選手たちのプレーを見て、「この悪天候では、気持ちを
しっかり作って臨まないと、相手の強いモチベーションを上回ることはできない」と
感じたはずです。後半、いいプレーがたくさん出たのは、これが大きかったのだと思
います。

選手たちはこの試合で「悪天候のときにはモチベーションが下がりやすい」ことを
「意識」できました。もう次からは、大雨のときのモチベーションも自分たちでしっ
かりコントロールできることでしょう。



《  NEXT MATCH  》

練習試合 対慶應義塾大学戦
8月20日(水) サニアパーク(菅平)
13時キックオフ


(文/木村俊太、写真/志賀由佳)

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