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関東大学ジュニア選手権・カテゴリー1決勝・明治大学戦

関東大学ジュニア選手権・カテゴリー1決勝・明治大学戦

2014/12/08

12月6日(土)・秩父宮ラグビー場 
○帝京大学73-14明治大学● 


《帝京大学》 
[FW] 
(1)徳永⇒呉(2)前田⇒小川(3)深村⇒浅堀(4)町野⇒服部(5)姫野(6)飯野 
(7)亀井⇒島瀬(8)小野 
[BK] 
(9)荒井⇒村瀬(10)朴(11)飯山⇒大塚(12)金田(13)濱野(14)津岡⇒永野 
(15)宮崎 

《明治大学》※先発のみ 
[FW] 
(1)植木(2)佐藤(3)矢野(4)尾上(5)古川(6)近藤(7)平井(8)山下 
[BK] 
(9)兵頭(10)鶴田(11)紀伊(12)川田(13)森田(14)林(15)松浦 

【前半】【得点経過】
【10分】帝7-0明 
マイボール・スクラムを押し込む。FL飯野が持ち出し、ラックになるも、さらにLO姫 
野が持ち出し、飛び込んでトライ。ゴール成功。 

【18分】帝12-0明 
ラインアウトから連続攻撃。SO朴、CTB金田、FL亀井らが前進。ラックからSH荒井- 
WTB飯山と渡り、飯山がトライ。 

【22分】帝17-0明 
ペナルティから、SH荒井がクイック・リスタート。CTB金田へパスし、金田がそのま 
ま飛び込んでトライ。 

【26分】帝17-7明 
連続攻撃で前に出られ、トライを奪われる。 

【28分】帝24-7明 
SO朴が前方へゴロキック。快足を飛ばし、WTB飯山がインゴールで押さえてトライ。 
ゴール成功。 

【31分】帝31-7明 
ラインアウトからモールで前進。ラックになり、さらにFWで前進。ラックからNo8小 
野が持ち出し、飛び込んでトライ。ゴール成功。 

【40分】帝38-7明 
相手ペナルティからクイック・リスタートで攻める。FW、BKで前進し、ラックからSH 
荒井-FL飯野-LO町野-WTB飯山と渡り、飯山がトライ。ゴール成功。 


【後半】【得点経過】 
【10分】帝45-7明 
連続攻撃で前進。ラックからSH荒井-FB宮崎へと渡る。宮崎からのパスが相手の手に 
当たり、ボールがこぼれるも、WTB飯山がうまく拾って前進。そのまま走り切ってト 
ライ。ゴール成功。 

【14分】帝52-7明 
相手ボールスクラムをターンオーバー。SH荒井-SO朴-CTB金田と渡り、金田が前 
進。さらに、CTB濱野へとパスが渡り、濱野が走り切ってトライ。ゴール成功。 

【18分】帝52-14明 
連続攻撃からトライを奪われる。 

【26分】帝59-14明 
ラインアウトからモールを形成し、押し込む。HO小川が持ち出して前進。FWでさらに 
前進し、ラックからSH荒井が仕掛けて抜け出してトライ。ゴール成功。 

【34分】帝66-14明 
連続攻撃からLO服部が前進。ラックからNo8小野が持ち出し、飛び込んでトライ。 
ゴール成功。 

【38分】帝73-14明 
相手のハイ・タックルにより、ペナルティ・トライ。ゴール成功。 


《BRIEF REVIEW》 
Aチーム予備軍で争われるジュニア選手権。 
今年も関東の各大学が鎬を削ったが、その最高カテゴリーの決勝の相手は明治大学。 
立ち上がりは、明治大学の気迫、さらには秩 
父宮ラグビー場独特の雰囲気による緊張もあってか、やや動きが硬くなる。攻め込ん 
ではボールに絡まれ、ノットリリースザボールで押し戻される展開が続く。それで 
も、WTB津岡、SO朴、PR徳永らのナイスタックルでしっかりと守る。10分にスクラム 
を押し込んでトライを奪うと、緊張も解け、動きもよくなっていく。 
CTB金田のビッグゲインなどもあり、徐々にペースをつかみ、前半は38-7で折り返した。 

後半も帝京が主導権を握り、BKでのトライで得点を重ねていく。WTB飯山は、いい動きでこの 
日、4トライ。途中出場組も活躍。CTB永野がビッグゲインを見せると、WTB大塚は渾 
身のタックルで相手の突進を止める。FW陣も奮闘。スクラムでのターンオーバーあ 
り、ラックでのターンオーバーあり、モールを押し込んでチャンスを広げるシーンあ 
りと、力強さと豊富な運動量を見せる。最後は73-14でノーサイド。帝京がジュニア 
選手権3連覇を果たした。 


《AFTER MATCH SAY》 

■岩出雅之監督 
「ジュニア選手権の決勝を久しぶりに秩父宮でできるということで、選手たちも気合 
いを入れて臨んだと思います。立ち上がりは少し甘い部分もありましたが、全体的に 
はしっかりしたプレーができたのではないかと思います。ただ、学生には試合前、そ 
してハーフタイムにも話をしたのですが、今日の試合をジュニア選手権の最後の試合 
ということではなく、これから始まる大学選手権へ向けて、今日のメンバーがレギュ 
ラーに絡んでいけるように、そういった目標をしっかりと持った中で、全国大会への 
スタートゲームにしようと言って送り出しました。そういう意味では、もう少し課題 
もありますが、対抗戦、ジュニア選手権と並行して9月からここまで積み上げてき 
て、成長を感じられたところも多くありました。今日のメンバーが大学選手権のメン 
バーに絡んで、チームの底上げに、そして勝利につなげるいい戦力となることを期待 
して、今日の結果に満足せず、これからも奮起して頑張ってもらいたいと思っていま 
す。最後になりましたが、今日の明治大学さんの気迫のプレーに敬意を表したいと思 
います。大学選手権でも戦うことになるのではと思っておりますが、その気迫に負け 
ない厳しさを出せるように、さらに精進したいと思っています。」 

■ゲームキャプテン・HO前田篤志(4年・ゲームMVP) 
「優勝できてとてもうれしいです。今日はジュニア選手権の決勝でしたが、この赤の 
ファーストジャージを着てグラウンドに立つ以上、チームの代表としての自覚と責任 
を持って、全力でプレーしようということをチームに話しました。また、大学選手権 
へのスタートとして、やってきたことをしっかり出し切ろうと言って試合に臨みまし 
た。前後半の立ち上がりのところでは、受けに回るところがありましたが、全体を通 
して集中力を保ってプレーできたことは、とてもよかったと思います。これから大学 
選手権に向けて、今日のメンバーが一人でも多くAチームに絡んで活躍できるよう 
に、私自身もそこへ向かって努力していきたいと思います。」 


■激しく前に出て、2トライを奪取・No8小野貴久(3年) 
「今日は全体としてはいいゲームになりましたが、入りの部分で甘さが出てしまい、 
反則をしてしまったり、ミスが起きたりしてしまいました。そこは、Aチームに上が 
るためには修正していかなければならないところだと思います。個人的には80分間、 
集中力を切らさずにプレーできたと思っていますが、ミスがあったり、足が止まって 
しまったところもあったので、もっとプレーのクオリティを上げて、Aチームに絡め 
るようになりたいと思っています。このジュニア選手権の優勝に満足することなく、 
Aチームに絡むために日々の努力を積み重ねていきたいです。一日一日を大切にし 
て、妥協することなく、満足することなく、練習に励みたいと思います。」
 

■短時間ながら、存在感を発揮・FL島瀬拓也(3年) 
「自分は下のチームからジュニアチームにまで上がってきたので、試合に出ることが 
できたら、下のチームのメンバーの分まで、そして試合に出られない上級生の分まで 
頑張ろうと思っていました。出場時間が短かったこともあり、プレーの機会は多くな 
かったのですが、気持ちの部分でみんなの代表としてプレーしました。自分の課題で 
あるFLとしての動きを普段の練習でもっと磨いていって、ジュニアでの優勝に満足せ 
ず、Aチームでプレーできるように努力していきます。」 


■スタンドを沸かすビッグゲインを見せた・WTB永野光也(4年) 
「試合に出るまでは少し緊張もありましたが、応援の声やチームメイトの声で、すぐ 
に緊張が解けました。いい抜け出しができた場面ですが、あそこは外で大塚が待って 
いたので、パスできればよかったのに、自分で欲張りすぎてしまいました。チームと 
しては、明治大学さんがすごい気迫で来ていたのに対して、こちらの入りが少しぬる 
い部分があったと思うので、前半の入りのところから帝京の強さを出せるように改善 
していかなければと思いました。こうしてジュニアの決勝戦に出させていただけたの 
で、大学選手権に向けて、4年生としてチームにいい貢献ができるように、そしてメ 
ンバーに選ばれるように頑張っていきたいと思います。」 


■チームキャプテン・流大(4年) 
「今日は、明治大学さんもすごい気迫で挑んでこられましたが、帝京がチームとして 
積み上げてきたものを出し切ったことで、結果としてスコアで上回ることができ、よ 
かったと思います。また、大塚や永野ら4年生が活躍したことは、同じ4年生としてう 
れしく思います。このジュニアチームが、これで満足することなく、さらに一緒に大 
学選手権を戦っていけるように、またこのジュニアの優勝をこれから始まる大学選手 
権への勢いに変えられるように、チームとしても頑張っていきたいと思います。」 



《PICK UP PLAYERS》 

聴覚のハンディキャップを感じさせない渾身のタックルでピンチを救う 
WTB 大塚貴之(4年)・ゲームMVP 
OTSUKA TAKAYUKI 


1992年5月30日生まれ 
医療技術学部スポーツ医療学科 
大分雄城台高校出身 
身長167cm/体重74kg 

■今日のゲームの感想から教えてください。 
「今日は初めての公式戦ということで、少し緊張してしまいましたが、公式戦のグラ 
ウンドに立てる喜びを噛みしめながらプレーしました。」 

■その緊張は秩父宮ラグビー場という独特の環境もあったかもしれませんね。 
「そうですね。緊張もあって、一つ目のタックルを外してしまいました。改めて気持 
ちを引き締め、責任と役割を意識して、次は必ず止めてやろうと思いました。」 

■そのとおりのナイスタックルがありました。 
「ありがとうございます。1対1になったので、絶対に止めなければと思いました。」 

■アタックでも、抜け出した味方をしっかりサポートする走りを見せました。 
「あそこはしっかりパスをもらいに行っていれば、トライを取れたかもしれません 
ね。パス、ほしかったですね(笑)。」 

■大学選手権へ向けて、抱負をお願いします。 
「今日の試合では、大学選手権へ向けてアピールできるようなプレーを心掛けまし 
た。これからの練習でも、もっともっとアピールして、大学選手権のメンバーを目指 
したいと思います。」 

大塚は聴覚にハンディキャップを持つ。だが、この試合ではそんなことはまったく感 
じさせない、いいプレーを再三、見せてくれた。インタビューでも、こちらの口の動 
きを読み取って質問をきちんと理解し、自分の言葉で的確に答えてくれた。岩出監督 
はこう語る。「彼はハンディキャップを乗り越えるさまざまな努力をし、ラグビーの 
実力を身に付け、そして周りからの信頼を得ました。出場するからには、他の選手と 
同じように期待し、ケガなく、いいプレーをしてほしいと思って送り出しました」。 
終了間際、ピンチを救う強烈なタックルで、その努力と実力、信頼の片鱗を見せた。 
大学選手権に向けても、さらなる成長を見せてくれるに違いない。 


《COLUMN》 

――ジュニア選手権優勝がもたらす本当の効果とは―― 

帝京はこの日、ジュニア選手権3連覇を果たしました。大学選手権6連覇を狙う帝京で 
すが、ジュニア選手権3連覇ということは、優勝したのはつい2年ほど前ということに 
なります。しかも、このときが初優勝でした。いかに難しい大会であるかを物語ると 
思います。大きな価値のある優勝なのです。 

ジュニアチーム(Bチーム)が強いということは、もちろんAチームにとっても大きな 
意味があります。 

試合前、流キャプテンはこんな話をしてくれました。 

「Bチームは、Aチームの試合前になると、分析した対戦相手の動きをシミュレーショ 
ンして、Aチームの練習相手になってくれます。ここまで対抗戦で勝ち続けて来られ 
たのも、彼らのおかげなんです。」 

また、「練習相手になってくれるBチームが本当に強いから、彼らとやった練習が自 
信になり、試合でも相手に対して臆することなく戦えます。」とも話してくれまし 
た。 

たとえて言うと、一つの相撲部屋に横綱(Aチーム)と大関(Bチーム)がいて、常に 
お互いを相手にして稽古を積んでいるようなイメージでしょうか。横綱からすれば、 
稽古相手が大関ですから、常にレベルの高い稽古を積むことができますし、大関から 
見ても、強い横綱と毎日のように稽古ができるわけですから、当然、自身も強くなり 
ます。もちろん、それを見ている他の力士(C、D、Eチーム)たちにも、いい影響が 
及ぶことになります。 

また、彼らは練習外ではよきチームメイトとして一緒にチームを運営していますし、 
さらには寮で一緒に暮らす仲間たちでもあります。 

しかし、大関とて、いつまでも大関の位置に満足しているわけではありません。いつ 
でも横綱に取って代わろうと、日々、研鑽を重ねています。そこは厳しい世界。みん 
なが横綱になるというわけにはいきません。 

BチームはAチームにとって、よき仲間であり、よき練習相手であり、さらにはよきラ 
イバルでもあるのです。 

Aチームのメンバーたちは、強いBチームに取って代わられないように、さらなる努力 
をしていくことでしょう。そうした相乗効果によってお互いが強くなることで、帝京 
というチーム全体がさらに大きく成長していくことになるのです。 

Aチームにとってこの日の優勝は、大学選手権に向けて勢いがついたというだけでは 
なく、自分たちに取って代わろうと、ひたひたと迫ってくるライバルたちに負けない 
努力をして、成長していかなければと改めて思わされるものとなったに違いありませ 
ん。 

さあ、大学選手権が始まります。そして部内の切磋琢磨によって、チームはさらに成 
長していきます。 


《THE NEW FACE》 

ニューフェースたちの声を紹介します。 

CTB本多光(1年) 
新潟工業高校出身 
身長174cm/体重95kg 
「自分の強みは力強いランです。相手を弾き飛ばせるようなプレーをしたいと思って 
います。逆にディフェンスは課題だと思っていて、下に入るタックルをするように常 
に意識しています。今はケガがあって、アジリティなどでしっかりと体力をつけて、 
ケガが治って試合に出たときすぐに80分間プレーできる体力をつけ、バテない体を作 
りたいと思っています。帝京大学ラグビー部は全員がしっかりとルールを守って動い 
ているところと、4年生が掃除などをやられていて、それを見て下級生が引き継いで 
いくという文化がすばらしいと思っています。まずはしっかりケガを治して、試合に 
出て、上のチームに絡んでいきたいです。」 
LO・FL久保佑太(1年) 
日本大学高校出身 
身長183cm/体重83kg 
「自分のアピールポイントは、足が速いところです。スピードのあるプレーを強みと 
しています。まだまだ体重が軽いので、体重を重くしたいと思い、食事面、ウエイト 
トレーニングに力を入れています。部に入る前は、こんなに強いチームで自分がやっ 
ていけるのか、不安もありましたが、上級生のみなさんがまず率先してお手本を見せ 
てくださるので、とてもありがたいです。上級生がいろいろなことを率先してやって 
いくという文化を、自分たちが上級生になったときにもしっかり引き継いでいきたい 
と思っています。今後に向けては、まずFWとして体重を増やしていくこと、そして上 
級生のいいプレーを手本にして、自分が上級生になったときにしっかりAチームに絡 
んでいきたいと思います。」 

FL長船馨雅(1年) 
福岡工業大学附属城東高校出身 
身長177cm/体重80kg 
「FWの中では走れる方だと思っているので、しっかりと80分間、泥臭く走り切るとい 
うところが、自分の持ち味です。ただ、まだまだFWとして体重が足りないので、体重 
の増加と筋力の強化に取り組んでいます。部に入るときは、大学選手権5連覇してい 
るチームということもあり、自分がついていけるかどうか不安だったのですが、入っ 
てみると、しっかり基本の部分から練習できています。また、上級生がいろいろな仕 
事をするのを見て、下級生が仕事を覚えていくといういい文化があるので、練習に集 
中することができています。まずは体作りとして、少しでも上のチームに絡んでいけ 
るようなプレーヤーになりたいです。」 


《NEXT MATCH》 
第51回全国大学ラグビー選手権大会・セカンドステージ第1戦 
対天理大学戦(http://www.tu-rugby.com/) 
12月14日(日) レベルファイブスタジアム 
14時キックオフ 

大学選手権詳細はhttp://www.rugby-japan.jp/national/college/2014/id29281.html 

過去の対戦成績:大学選手権1勝0敗 
[天理大学の直近5戦] 
10月26日 ●20-21関西学院大学(関西大学Aリーグ) 
11月1日 ●14-29京都産業大学(関西大学Aリーグ) 
11月8日 ○52-17摂南大学(関西大学Aリーグ) 
11月22日 ○35-28近畿大学(関西大学Aリーグ) 
11月30日 ○59-7大阪体育大学(関西大学Aリーグ) 

(文/木村俊太・写真/志賀由佳) 

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