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第51回全国大学ラグビー選手権大会・ファイナルステージ決勝 筑波大学戦

第51回全国大学ラグビー選手権大会・ファイナルステージ決勝 筑波大学戦

2015/01/13

第51回全国大学ラグビー選手権大会・ファイナルステージ決勝 対筑波大学戦

1月10日(土)・味の素スタジアム
○帝京大学50-7筑波大学●


《帝京大学》
[FW]
(1)森川⇒徳永(2)坂手⇒姫野(3)東恩納⇒深村(4)金(嶺)⇒町野(5)小瀧
⇒飯野(6)イラウア(7)杉永(8)河口
[BK]
(9)流(10)松田(11)磯田(12)金田⇒濱野(13)権⇒前原(14)尾崎(15)森
谷⇒重

《筑波大学》※先発のみ
[FW]
(1)橋本(2)村川(3)崔(4)藤井(5)中村(6)水上(7)占部(8)山本
[BK]
(9)吉沢(10)亀山(11)福岡(12)松下(13)鈴木(14)山内(15)山下

【前半】【得点経過】
【7分】帝7-0筑
相手ボールのスクラムを押し、こぼれ球をSH流が素早く拾って前進し、そのままトラ
イ。ゴール成功。

【21分】帝14-0筑
ペナルティからFW、BKで連続攻撃。ラックからLO金-SH流-CTB金田-FB森谷とパス
が渡り、森谷がトライ。ゴール成功。

【25分】帝21-0筑
こぼれ球にLO小瀧が反応してセービング。SH流が拾って前方へキック。そのボールを
ラックにして奪う。SH流-CTB権-No8河口-CTB金田-No8河口-HO坂手-WTB磯田と
パスが渡り、磯田が走り切ってトライ。ゴール成功。


【後半】【得点経過】
【7分】帝21-7筑
こぼれ球を拾われ、展開されて、トライを奪われる。

【12分】帝24-7筑
SO松田がPGを決める。

【14分】帝31-7筑
ペナルティからSH流がクイック・リスタート。流からSO松田-WTB尾崎と渡り、尾崎
がディフェンスを何人もかわしてトライ。ゴール成功。

【27分】帝38-7筑
スクラムからNo8河口-SH流-SO松田-WTB磯田と渡り、磯田がディフェンスを振り切
り、走り切ってトライ。ゴール成功。

【35分】帝43-7筑
ペナルティからSH流がクイック・リスタート。HO町野、PR森川が前進。ラックからSH
流-SO松田と渡り、松田が前進。さらにWTB尾崎-FB重とパスが渡り、重がトライ。

【39分】帝50-7筑
FW、BKで連続攻撃。LO飯野、LO姫野が前進。ボールがこぼれるも、SH流-CTB濱野-
SO松田-WTB磯田と渡って、磯田がトライ。ゴール成功。


《BRIEF REVIEW》
いよいよ、大会6連覇がかかる大学選手権決勝。相手は2年前の決勝戦の相手で、対抗
戦のライバルでもある筑波大学。勢いに乗る相手だが、帝京は接点での真っ向勝負を
挑んでいきたい。前半、攻められる時間が続いても、CTB権らの強烈なタックルで防
ぐ。7分、スクラムを押し込んでこぼれたボールに、SH流が素早く反応し、拾い上げ
てトライし、先制する。その後も相手ボールの時間があるものの、LO金、WTB尾崎、
FB森谷らのナイスタックルと、ここぞというときのラックでのターンオーバーで、ま
さに攻撃の起点としての防御を展開し、ピンチをチャンスに換えていく。前半は3ト
ライ3ゴールをあげ、21-0で折り返した。後半、相手の勢いもよくなり、ミスからト
ライを許すものの、その後は終始、帝京ペース。守りに回っても、厳しいタックルで
我慢を続け、攻撃へと切り替わるチャンスを伺う。チャンスと見れば、人数を割いて
ラックでボールを乗り越え、ターンオーバーして、攻撃を開始する。HO坂手、SH流、
LO飯野、CTB前原らの好タックルが相手の攻撃の芽を摘み、50-7で勝利。大学選手権
6連覇を成し遂げた。なお、50得点、43得点差ともに、大学選手権決勝としては史上
最多を更新した。帝京は2月8日の日本選手権(対戦相手未定)へと進み、もう一つの
目標である「打倒トップリーグ」にチャレンジする。


《AFTER MATCH SAY》

■岩出雅之監督
「まずは、最後まで厳しいプレーを続けられた筑波大学さんに敬意を表したいと思い
ます。また、大会運営に携わられた協会の方々、応援してくださったファンの皆様に
感謝を申し上げたいと思います。今の感想としては、ホッとしているという一言で
す。チーム状態もよくなっていましたので、試合の中身についてはいろいろな成果が
出たと思いますが、監督としては勝利できたことにホッとしております。今日はこの
1年間やってきたこと、我々の強み、そして選手たちの努力、気持ち、さらには仲間
たちの思いといったものをエネルギーに換えて、すべての時間を挑戦的に、積極的
に、攻撃的に戦おう、そして、自分のためにも仲間のためにもしっかりと1年間の集
大成を出し切ろうと言って臨みました。ゲーム自体は、もう少し休まず攻めてもいい
かなと思うところもありましたが、そこは筑波大学さんの堅いディフェンスもありま
したし、きちっとしたゲーム展開を描きながらプレーをしてくれたと思っています。
今日は大学選手権の優勝を喜びたいという気持ちなので、日本選手権に向けてはまだ
マインドがセットされていない状態ではありますが、そうは言っても、この1年間を
かけて取り組んできた目標ですので、明日からはしっかりと切り替えて、いい準備を
していきたいと思います。」

■出られない仲間たちがくれたエネルギーを糧に戦った・PR森川由起乙(4年)
「今まで積み重ねてきたことがすべて出せて、とてもうれしい気持ちです。プレーに
ついては、特に今週、筑波大学さんの激しいブレイクダウンを想定して練習を重ねて
きた中で、FWが我慢強くプレッシャーをかけ続けて、いいボールをBKに出すことがで
きました。それによって、今日のようなスコアにもつながり、ゲーム運びとしては今
シーズン一番いいゲームができたと思います。この1年、全員で苦しんで、もがいて
やってきましたが、そのもがきがあったからこそ今日の結果が生まれたと思います
し、出られない仲間のことを考えて、80分間、集中してやり続けることができたと思
います。出られない仲間たちがくれたエネルギーのおかげで、23人の出場メンバーは
いいプレーをし続けることができました。大学選手権優勝を一つの目標としてやって
きましたが、今シーズンは昨年、トヨタ自動車さんに負けたところから始まっている
と思うので、そこに対して全員が本気で取り組んできたことを、もう一度、コンディ
ションを整えて、学生チャンピオンとしての誇りを持って、トップリーグにチャレン
ジしたいと思います。」


■うれしいのは全員の笑顔が見られたこと・PR東恩納寛太(4年)
「試合に出たメンバーも出られなかったメンバーも、全員の笑顔が見られたことがう
れしいと実感しています。試合に関しては、最初スクラムで戸惑ったところもあった
のですが、そのあとスクラムで押すことができ、トライにつながり、よかったです。
この1年、4年生としては未熟なところもありましたが、ここまで全員でやってこられ
て、4年生一人一人が成長できた1年だったと思います。今日の優勝を、『打倒トップ
リーグ』という次の目標に向けて活かしていけるように、今日の内容を反省し、また
いいところを伸ばしていけるように頑張りたいと思います。」


■仲間と一緒に新たな歴史を作りたい・LO小瀧尚弘(4年)
「今の気持ちは素直に『うれしい』です。先輩たちが作り上げてきた連覇記録を、自
分たちが6連覇という形で伸ばすことができ、とてもうれしいです。プレーについて
は、前半、自分としてはどんどん体を当てていくことができ、自分の仕事であるセッ
トプレーも安定させることができたと思っています。この1年、苦しいこともありま
したが、こうして結果を出せたので、充実感とうれしさを感じています。打倒トップ
リーグは、帝京大学としてはこれまでまだ成し遂げていないことなので、自分たちの
代でぜひ達成して、帝京大学の新しい歴史を仲間と作っていけたらと思っていま
す。」


■4年生として仲間の笑顔が見られたことが最高にうれしい・FL杉永亮太(4年)
「最高にうれしいです。メンバー外の仲間の笑顔を見られたことが、本当にうれしい
です。これまで頑張ってきてよかったと思います。今日は、筑波大学さんが強みであ
るブレイクダウンで勝負してくるだろうと思っていたので、自分たちはそれ以上にブ
レイクダウンで勝負し、立ち向かおうと思って戦いました。個人としては、ボールに
絡んでターンオーバーできたり、スコアにつながるいいプレーもできたと思います。
去年も優勝メンバーとして出場できたのですが、今年は4年生としてまた特別な思い
があります。今日は思い切りよろこんで、明日からは日本選手権に向けて頑張ってい
きますが、勝利のためにはファンの皆様の応援も大きな力になります。皆様を魅了で
きるようなプレーを体を張って見せていきたいと思っていますので、どうかより一層
の応援をお願いします。」


■4年生としての自覚を持って次の目標へとチャレンジ・No8河口駿(4年)
「今はただただ『うれしい』です。この1年、対抗戦前まではまだまだチームに貢献
できていないところがあったのですが、対抗戦に入ってからは4年生としての自覚を
持って、リーダーシップの部分でもチームに貢献していかなければいけないと思い、
頑張りました。プレーの面では、FW第三列として、ボールへの反応は誰にも負けない
ようにと思ってプレーしていました。日本選手権にはまずはチャレンジャーという気
持ちで臨み、そして今までの4年間の努力をすべて出し切りたいと思います。ファン
の皆様のためにも、体を張ってプレーしたいと思います。」


■仲間の思いを背負い3トライの活躍・WTB磯田泰成(4年)
「この1年間、この日をターゲットにして、きついことも苦しいことも乗り越えてき
たので、仲間とともにこの瞬間を味わえて、今は最高の気分です。今日はアタックは
思い切って、ディフェンスは仲間の思いを背負ってプレーしようと思っていました。
どちらも自分らしいプレーができてよかったです。日本選手権へ向けては、自分は去
年敗れたメンバーの一員でしたし、あの悔しさから1年間積み上げをしてきたので、
残り1ヵ月、ここからさらに1ランクも2ランクもレベルアップして、トップリーグに
挑戦したいと思います。」


■「終わりよければすべてよし」、ファンの応援にも感謝・CTB権裕人(4年)
「優勝できたこと、6連覇できたことを素直にうれしく思います。今日のプレーのパ
フォーマンスについては、まだまだまったく満足はできていないのですが、先週より
はいいプレーができたかなと思っています。この1年、自分自身はケガとの戦いでし
たが、このケガがなかったら、おそらくここまで成長できていなかったと思います
し、『終わりよければすべてよし』という言葉があるように、今はうれしい気持ちで
いっぱいです。自分がここまで頑張れたのは、ファンの方々の『裕人くん、待ってる
から』という応援のおかげです。そうした応援をいただけたことで、諦めずにやれた
と思います。感謝の気持ちとともに、もっと多くの方々に帝京のラグビーを知ってい
ただいて、来年以降ももっともっとスタンドを赤く染めてほしいと思っています。今
日はまず、よろこびを噛みしめて、オフ明けには『打倒トップリーグ』に向けて気持
ちを切り替えて、また一から頑張っていきたいと思います。」


■しんどいことも仲間のおかげで乗り越えられた・LO・HO町野泰司(4年)
「今は素直に『うれしい』です。この1年、正直、しんどいこともありましたが、自
分だけでなくみんなのおかげで乗り越えられて、今日があると思っています。ゲーム
に関しては、自分のやるべきことがポイントを押さえてできたかなと思います。た
だ、今日の試合でもミスもありましたし、トップリーグはとても強い相手ですから、
短い期間ですが日本選手権に向けて足りないところを補い、修正して、思い切ってプ
レーできるように準備したいと思います。」


■グラウンドに立てたことへの感謝と責任をプレーで発揮・CTB前原巧(4年)
「まずこの6連覇したというゲームでグラウンドに立てたよろこびと、今まで支えて
くださったファンの方々や大学関係者の方々、監督、スタッフ、そして仲間たちに感
謝したいという気持ちでいっぱいです。今日は仲間のために、支えてくださった方々
のために、タックル、ブレイクダウンで体を張り続けよう、そして自分の役割をしっ
かりと全うしようと意識して臨みました。後半、入ったときには、グラウンドに立て
るよろこびと責任を感じて戦いました。日本選手権では、去年先輩たちがなしえな
かったことを自分たちがやり遂げられるように頑張りたいと思います。」


《PICK UP PLAYERS》

支えてくれた4年生、ついてきてくれた下級生に感謝
SH 流大(4年・キャプテン・ゲームMVP)
NAGARE YUTAKA


1992年9月4日生まれ
文学部教育学科
荒尾高校出身
身長166cm/体重73kg

■優勝おめでとうございます。まずは今の気持ちから聞かせてください。
「この1年間やってきたことを今日の試合で出せたのは、ここまで支えてくださった
方々のおかげなので、心から感謝したいと思います。また、メンバー外のみんなを笑
顔にできたこと、背番号のない優勝Tシャツを一緒に着られたことを本当にうれしく
思います。」

■今日の試合での自身のプレー、チーム全体のプレーぶりについてはどう評価してい
ますか。

「試合の最初からみんな激しくファイトして、80分間、やってきたことを出せたと思
います。ただ、すべての時間でできたわけではなく、甘いプレーもありましたし、気
が抜けた場面もあったので、そこは修正かなと思います。それでもここまでスコアが
開いたのは、我慢強いディフェンスができたからだと思うので、やってきたことは出
せたと思っています。」

■最初のトライは反応が早く、すばらしいトライでした。

「スクラム時、FWの顔を見たら押してくれそうな自信をみなぎらせていたので、絶対
に押し込んでくれるだろうと思って準備していました。僕はたまたま拾って、押さえ
ただけで、あれはFWのトライです。」

■この1年を振り返って、今、どんな思いでしょうか。
「キャプテンとして、1年間、チームに携わらせていただきましたが、4年生には支え
てもらったので、感謝の思いでいっぱいです。また、後輩たちもしっかりついてきて
くれて、一緒になって頑張ってくれたので、みんなに感謝したいです。」

■外からは順風満帆に来たように見えるようですが、苦労した時期もあったと聞いて
います。

「そうですね。夏合宿の早稲田大学戦の前、チームに慢心と言いますか、隙があった
のかなと思います。それで空気もぬるくなってしまい、そのことを僕がキャプテンと
して気付くことができず、監督に指摘され、自分の未熟さ、チームの幼さを思い知ら
されたということがありました。そこからみんなで話し合って、チームがまとまって
いったように思います。」

■今シーズン、ここまで全勝で来ています。この結果についてはどう評価しています
か。

「積み上げてきたものが結果として現れたということに関しては、達成感を感じま
す。また、一緒にいろいろなことを乗り越えてきた仲間を誇りに思います。」

■スタンドを赤く染める面積が年々広くなっていると感じますが、ファンの皆さんに
対する思いを教えてください。

「毎年毎年、赤い服を着て応援してくださるファンの方が増えていることは僕らも感
じていますし、本当にエネルギーをいただいています。学内で『ラグビーを見に行こ
う』という活動を広めてくれる学生のみんなも多くいて、そういう人たちの陰での支
えとかサポートが僕たちのエネルギーになって今日の勝利につながったので、とても
感謝しています。」

■次なる目標である日本選手権に向けての、今の気持ちを教えてください。
「個人的にはトップリーグと2回対戦して、2回とも敗れ、本当に悔しい思いをしてい
るので、今日はみんな喜びを分かち合いたいと思いますが、明日からは本気で『トッ
プリーグを倒す』という思いを持って、1ヵ月間、準備をして、実現させたいと思っ
ています。」


1年間、キャプテンとしてチームをまとめ、6連覇という偉業へと導いた。「自分たち
の代は幼くて、監督からも『このままではこの代からはキャプテンは出せない』と言
われていた」と語るが、学年ミーティングを重ねながら、「自分が引っ張っていこ
う」という決意とリーダーシップが育っていったという。学年全体も成長していき、
チームの意識も高まっていった。夏合宿ではぬるくなった空気感を岩出監督から指摘
され、それに気付けなかった自分を責めた。それでも、そこからチームは上昇軌道を
描き続けて、今日に至っている。第一の目標をクリアした今、さらなる成長を遂げ
て、チームは第二の目標へと向かう。


《COLUMN》

――6連覇の喜びと重圧――

ついに前人未到の6連覇を達成しました。昨年度から学生相手では一度も負けていな
いこともあり、外から結果だけを見る限り、順風満帆、余裕を持っての堂々の勝利の
ように見えるかもしれません。

しかし、現実は必ずしもそうではありません。

「PICK UP PLAYERS」のところでも書いたように、今年の4年生は、今でこそ頼もしい
選手たちばかりですが、下級生の頃は岩出監督から「このままでは幼すぎてキャプテ
ンを出せない」とまで言われた学年でした。

昨季の終わりごろもなかなかキャプテンが決まらず、学年での話し合いが繰り返され
たと言います。その中で徐々に各人の意識も高まり、また流キャプテンの覚悟も決
まっていったそうです。

シーズン中も順風満帆なことばかりではありませんでした。これも「PICK UP
PLAYERS」で流本人が語るように、夏合宿中にチームがぬるい空気に包まれていたこ
とに誰も気付かず、岩出監督から指摘を受け、悔し涙を流すほどだった言います。

ケガなどのアクシデントもありました。準決勝で復帰した権はそれまでほぼ1年間、
治療とリハビリに励みましたし、坂手、森谷も決勝戦にようやく間に合ったという状
況でした。シーズン中のケガ人もけっして少なくはありませんでした(ただし、これ
は逆に、チャンスをもらえた選手が増え、チームの底上げにつながったとも言えま
す)。

さらに試合の前夜、小瀧は緊張と興奮のあまり、一睡もできなかったそうです。大舞
台での経験も豊富なはずの小瀧でさえ、その重圧から眠れないほどの緊張と興奮をも
たらす。それが、6連覇がかかる大学選手権決勝だったのです。

また、当然のことながら、選手一人一人にとっては毎日がチャレンジの連続でした。
競争の激しい部内ですから、上のチームにいても甘さを見せてしまえば仲間にあっと
いう間に抜かれ、下のチームにいてもしっかり頑張って努力を続ければ、やがてチャ
ンスが訪れます。

さらには、ラグビーで、楽に勝てる試合などありません。タックルし、タックルされ
れば痛みは必ずありますし、全力でタックルしてくる相手に対して気を抜けば思わぬ
ケガにもつながりかねません。

この日の決勝戦を観戦した多くの人たちが「帝京が無敵の強さを見せつけた」と感じ
たことでしょうし、多くのマスコミも「帝京圧勝」「大学相手に敵なし」と書きまし
た。

結果を見れば確かに「圧勝」と言えるのでしょうし、「強い」ことも間違いないで
しょう。実際、大学生相手には無敗でシーズンを終えたので、「大学相手に敵なし」
も(結果としては)間違いではありません。

しかし、それを「簡単になしえたこと」と思うのは間違いです。

そこには日々、選手たちによる自身の成長、チームの進化のための努力の積み上げ、
積み重ねがありました。けっして、エスカレーターのように自然に上に上がっていっ
たわけではなく、各人が一歩ずつ、着実に階段を上っていった結果なのです。

学生相手に全勝し、何の挫折も、壁もなかったようにすら見えた昨季、当時の中村亮
土キャプテン(現・サントリー)は、5連覇を成し遂げた夜、チームの祝勝会のあ
と、4年生だけの祝勝会の席で大粒の涙を流したそうです。想像を絶するほどの重圧
に耐えながら、さまざまな思いを抱えて戦い、勝利したあとも気丈に振る舞いました
が、気の置けない仲間だけの集まりでようやく緊張が解け、それまで堰き止めていた
感情が一気に噴き出したのでしょう。

流キャプテンはじめ、今季のメンバーたちがどれほどの重圧を感じ、どのような思い
を抱えてプレーしていたのかは、想像するしかありません。

しかし、一つだけ確実に言えることは、この日の勝利は当たり前のように手に入った
わけではなく、果敢にチャレンジして勝ち取ったものだということです。

さあ、そして喜びもつかの間、次なる戦いに向けたチャレンジが始まります。次は本
当の意味でのチャレンジャーですから、重圧や緊張感も戦うエネルギーに変換して、
さらなる大きな目標に挑んでほしいと思います。


《NEXT MATCH》
第52回日本ラグビーフットボール選手権大会・1回戦
2月8日(日)
場所・時間・対戦相手未定

(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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