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関東大学春季大会Aグループ・第3戦 東海大学戦

関東大学春季大会Aグループ・第3戦 東海大学戦

2015/05/26

5月24日(日)・百草グラウンド
○帝京大学(3勝0敗)59-19東海大学(1勝1敗)●


《帝京大学》
[FW]
(1)徳永⇒浅堀(2)小川(一)⇒中村(駿)(3)深村⇒呉(味)(4)金(廉)⇒
山口(5)飯野(6)イラウア(7)上原⇒亀井(8)吉田
[BK]
(9)荒井⇒吉川(10)松田(11)竹山(12)園木(13)濱野⇒松下(14)津岡⇒鎌
田(15)宮崎

《東海大学》※先発のみ
[FW]
(1)五十嵐(2)日高(3)平野(4)橋本(5)ロバーツ(6)磯辺(7)藤田(8)景

[BK]
(9)湯本(10)野口(11)石井(12)ロイド(13)池田(14)豊島(15)近藤

【前半】【得点経過】
【5分】帝7-0東
ラインアウトからモールを押し込み、PR徳永が押さえてトライ。ゴール成功。

【18分】帝7-7東
ターンオーバーからつながれ、走られてトライを奪われる。

【27分】帝14-7東
相手のペナルティでスクラムを選択。スクラムを押し切って、No8吉田がトライ。
ゴール成功。

【30分】帝21-7東
ターンオーバーからつなぐ。ゴロキックをFW、BKで追いかけ、つないで、最後はSH荒
井がトライ。ゴール成功。

【33分】帝26-7東
ターンオーバーからBKへ展開。WTB竹山が抜け出し、走り切ってトライ。

【38分】帝33-7東
スクラムからNo8吉田が前進。つかまるも、ラックからSH荒井-SO松田-WTB竹山と渡
り、竹山が抜け出してトライ。ゴール成功。


【後半】【得点経過】
【7分】帝40-7東
相手のノックオンしたボールをSH荒井が拾って前進。WTB竹山につなぎ、竹山が前
進。CTB園木にパスし、園木がつかまるも、再度竹山が抜け出し、トライ。ゴール成
功。

【11分】帝47-7東
ラックからSH荒井-SO松田-FB宮崎-WTB竹山と渡り、竹山が抜け出してトライ。
ゴール成功。

【26分】帝47-12東
スクラムからつながれ、そのまま走られ、トライを奪われる。

【30分】帝52-12東
ラインアウトからモールを押し切って、HO中村がトライ。

【34分】帝52-19東
スクラムからつながれ、トライを奪われる。

【40分】帝59-19東
ペナルティからNo8吉田がクイックリスタート。つかまってラックになるも、PR浅堀
が持ち出してそのままトライ。ゴール成功。


《BRIEF REVIEW》
関東春季大会第3戦は、今季好調を噂される東海大学との一戦。
開始5分に帝京がモールを押し切り先制するが、18分に同点とされる。
やや重い展開ながら、帝京は接点でしっかりと体を当て
続ける。それがボディブローのように効いたか、27分にスクラムトライを奪うと、そ
こからはほぼ試合を支配する。FW、BKともに動きがよくなるが、この日は特にLO飯
野、FLイラウア、FL上原らが激しさを前面に出していく。BKでは、WTB竹山が切れの
ある動きを見せる。前半は33-7で折り返した。ハーフタイムに岩出監督から、
「もっとアップテンポしていこう。自分の気持ちに火をつけて、集中しよう」と声が
かかる。後半はWTB竹山が連続トライを決め、前半から数えると4連続トライをあげ
て、ゲームを決めた。リザーブの選手が一気に入った時間帯で、コミュニケーション
ミスから失点する場面はあったものの、帝京の体を当てていく激しさは変わらない。
結局59-19で春季大会3連勝を飾った。


《AFTER MATCH SAY》
■岩出雅之監督
「今日は昨年度あまり出ていなかった選手もたくさん出ている中、一人一人がチャンスを活かし、いい成長材料にしてほしいと思って送り出しました。いいところもありましたし、ややリーダーシップに欠けるような甘い部分もあったかと思います。流れの中でなんとなく試合をするのではなく、テンポを変えたり、激しさを出したりといった
さまざまなことがある中で、まずは第一歩として自分自身の気持ちが前向きになるこ
と、受け身にならないことが大事になります。誰かが作ってくれたものに乗っかっていくのではなく自分自ら積極的にできているか、それとも誰かの力に頼っているか、気付いてほしいですね。人を導くリーダーシップも大切ですが、まず自分を導くリーダーシップをつけないといけません。リーダーとしての判断、発言、行動ができるかできないかはほんの数秒『待つ』か『待たない』かの差かもしれませんが、そこには大きな違いがあります。今日はまだまだ『待っている』部分があったかと思います。そこはまだ成長の余地があるでしょう。相手によって気持ちやプレーがコントロールされるのではなく、どんな相手でも常に自分たちの目指す基準でコントロールしていってほしいと思います。」


■ゲームキャプテン・HO小川一真(4年)
「試合前は、相手も強みとしているであろうスクラム、ラインアウトで圧倒してゲー
ムを支配するために、セットプレーを重視しようと言って臨みました。セットプレー
で圧倒はできなかったのですが、特に前半、ブレイクダウンで厳しさ、激しさを見せ
ることができたことで、ゲーム全体をコントロールできたのだろうと思います。リー
ダーシップという点では、まだまだ未熟なところも多く出ましたので、きちんと分析
して、リーダーとして成長できるように、ここから改善していきたいです。自分自
身、リーダーシップの面に限らず、常に成長できるように、またチームとしても自分
たちのプレーをチェックしながら成長していきたいと思っています。」


■積極的なライン参加でトライを演出・FB宮崎詠基(4年)
「前半の最初は我慢の時間帯が続きましたが、20分過ぎたあたりからは帝京らしいア
タックができ、自分たちのペースで試合をすることができました。後半、敵陣に行っ
た時間帯で得点できていれば、もっと楽なゲーム展開になったと思うので、そこは反
省点です。試合前、自分はボールを持ったら少しでもゲインして、FWを楽にしたいと
思っていました。今日は試合中、みんなとコミュニケーションを取って、声を出して
いたつもりですが、もっと激しくプレーする姿を示せればよかったです。次に出場で
きる機会をいただけたら、今日の反省をしっかりと活かして、もっと自分らしいプ
レーができるよう頑張りたいと思います。」


■短時間ながら、激しさを存分に発揮した・LO山口健太(3年)
「今日は短い時間の出場でしたが、その短い時間でできることをやろうと思って試合
に臨みました。自分の持ち味であるタックルの部分では、その持ち味が要所要所で出
せたのではないかと思っています。ケガをしていて、今日が復帰戦だったこともあ
り、気合いはかなり入っていたのですが、自分は言葉でみんなを引っ張るというよ
り、プレーで示すタイプだと思っているので、とにかくタックルで体を張って、チー
ムを鼓舞しようとプレーしました。次は、タックルという自分の持ち味を消すことな
く、それに加えて、アタック時の判断や声を出すといった自分に必要な部分をもっと
出せるように、そしてタックルにはもっと磨きをかけて、チームに勢いをつけられる
プレーをしていきたいと思います。」


■Aチーム初出場とは思えぬ落ち着いたプレーを見せた・CTB松下修士(4年)
「今日はチームとしては、いろいろなことに理由を持って、何がどうしてよくなかっ
たのかを理解して、試合の中で修正し、成長していこうと言って臨んだゲームでし
た。後半の途中からの出場でしたが、まだまだ力足らずなところがあり、それを周り
ともコミュニケーションを取りながら試合中にどこまで修正できるか、また4年生と
してチームをまとめられるような存在になっていけるようにというところが、今後へ
の反省材料として見えたと思います。自分は学生コーチとして、みんなをまとめてい
く役割を負っていると思って日頃から取り組んでいますが、もっとチームのことを自
分から考えて、目標へとみんなを導いていけるように、自覚と責任を持って日々努力
していきたいです。」



《PICK UP PLAYERS》
リハビリ中も下半身強化でパワーアップ
No8 吉田杏(2年)
YOSHIDA KYO



1995年6月30日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
大阪桐蔭高校出身
身長187cm/体重107kg


■今日はどんなことを考えて臨んだのでしょうか。
「久しぶりのAチームでしたが、自分の課題であるディフェンスのコミュニケーショ
ンや、ビッグタックルを狙うことを意識して試合に臨みました。」

■実際にプレーしてみて、いかがでしたか。
「セカンドのタックルはしっかり行けたと思いますが、ファーストタックラーとして
の精度があまりよくなかったので、そこは次週の試合に向けて、この一週間、努力し
たいです。ドミネートできなかったので、しっかり前に倒してターンオーバーできる
ようなタックルができるように練習していきたいです。」

■アタックではかなり前に出るプレーがありました。
「ありがとうございます。アタックで前に出るところは、自分らしさを出せた部分も
あったかなと思いますが、自分だけじゃなくて、周りを活かしてゲインすることを
もっと意識してやっていきたいです。」

■ケガでしばらくリハビリが続きましたが、その間、どんなことをしてきたのでしょうか。
「肩のケガだったので、ずっと下半身の強化しかできませんでしたが、その下半身を
鍛えたことですぐには倒れないで、ドライブできるような強化ができたと思います。
アタック、ディフェンス両方に活かせる強化をしてきました。」

■今日の試合、その下半身強化の手応えは得られたでしょうか。
「タックルされても一発で倒されることがなかったので、その点はケガも自分自身に
とってプラスになったと思っています。」

■今後、上半身も伴ってきそうですね。
「上半身は半年ぐらい何もやっていなかったので、そこはこれから鍛えていきます。」

■次への意気込みをお願いします。
「相手はどこであっても、自分の持ち味である強いアタックを出したいです。そして
課題であるディフェンスも、しっかり自分の持ち味にしていきたいと思うので、ディ
フェンスから波に乗れるように、意識して、気持ちを入れてタックルしたいと思います。」


昨年度は、活躍・成長を期待されながら、肩のケガで治療に専念せざるをえなかっ
た。肩を動かさないように腕を吊っているので、練習どころか、普段の生活にも不自
由したはずだ。「それでも下半身強化はできる」と気持ちを切り替え、トレーニング
に励んだ。その結果、タックルされても一発では倒れない強靭な下半身を手に入れ、
本人も語るように「ケガも自分自身にとってプラスになった」と感じられるまでに成
長した。もちろん、この一言だけでは割り切れない、本人にしかわからない思いがあ
るに違いないが、ケガをポジティブに捉えることができているのは間違いない。この
考え方があれば、今後、上半身の強化につれて、さらなる活躍・成長を遂げてくるに
違いない。


《COLUMN》

――リーダー不在のリーダーシップ――

ここ2試合、キャプテンの坂手が不在のゲームが続いています。バイスキャプテン金
田もケガで戦列を離れています。この日のスターティングメンバーに4年生は7人いま
すが、岩出監督のコメントにもあるように「昨年度あまり出ていなかった選手」も多
く、あるいはもともと寡黙で、他人を言葉でぐいぐい引っ張るよりもプレーする姿で
チームを鼓舞するタイプの選手も少なくありません。

そんな中、ひときわ大きな声でチームを引っ張る選手もいます。特にLO飯野、FLイラ
ウアあたりからは、常に大きな声が飛んでいました。

イラウアはメンバーに細かく指示を出し、さらにプレーでは何度もラックからの
ファースト・コンタクターとして体を当てて前進、守っては強烈なタックルを浴び
せ、ハイパントが上がれば猛然とキックチェイスに走ります。声と姿の両方でチーム
を引っ張っていました。

さらに3年生ながら、イラウア同様、声と姿の両方で引っ張る飯野のリーダーシップ
は圧巻です。ハーフタイムでベンチに座るや、開口一番、前半終了間際にノックオン
をしてしまった選手に声を掛けます。

「○○(ノックオンをしてしまった選手の名前)、ポジティブ!」

ノックオンを引きずる必要はない、ポジティブに捉えて、後半に集中しようというこ
とでしょう。簡単なように思うかもしれませんが、チーム全体に意識を配っていない
と、なかなか出てくる言葉ではありません。

岩出監督もイラウア、飯野の成長ぶりを高く評価しているようです。

「ジーン(イラウア)はとても成長しました。大人になりましたね。プレーでの仕事
量もとても多くなりました。もともといいものを持っていましたが、何より楽をしよ
うとしなくなりました。飯野は1年生の頃からとてもよく声を出す選手でした。た
だ、当時はまだ経験値が浅く、話す内容がそれほど深いものではありませんでした。
もちろん、声を出すということだけでもすばらしいのですが、高学年になって経験値
が高まってきたことで、話す内容にも深みが出てきました。」

この日、観戦に訪れた流大前キャプテン(現・サントリー)はこう語ってくれまし
た。

「今日の試合、キャプテン、バイスキャプテンといったリーダー陣が不在でしたが、
上級生たちにとって、この状況は、自分がリーダーとして成長できるいいチャンスだ
と思います。」

思えば、昨年度の春シーズン、流キャプテンが日本代表に招集されるなど、リーダー
不在の時期がありました。一昨年度も中村亮土キャプテンが同様に日本代表に招集さ
れ、リーダー不在の時期がありました。

その時期、残された選手たち一人一人がリーダーの役割を担い、チームを牽引してき
ました。そんなチームを見てきた後輩たち(現チームの選手たち)にとっては、学年
など関係なく、とにかくできる誰かがリーダーシップを発揮してやっていかなければ
ならないという意識が染みついているのかもしれません。

もちろん、まだまだ全員ができているわけではないでしょう。しかし、だからこそ
「リーダーとして成長できるいいチャンス」なのです。

出場している選手一人一人が学年関係なく、リーダーとしての自覚を持ってプレーし
たとき、帝京は間違いなく今以上の強さを発揮することでしょう。それだけではな
く、将来、社会人として世の中に出たとき、自身が身に付けたリーダーシップが社会
でいかに強い武器となるかを思い知ることになるでしょう。


《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。

SO・CTB 矢澤蒼(1年)
御所実業高校出身
身長192cm/体重102kg

「CTBとしての体の強さ、そしてパス、キックの判断の部分をアピールしたい
と思ってプレーしています。ただ、大学生レベルとしてはもっともっと体の強さを磨
きたいので、体作りにはしっかり取り組んでいます。加えて、パスなどフィールドで
必要なスキルを向上させようと思っています。帝京大学ラグビー部はすべての基準が
高いチームです。先輩方はとても優しいですが、その中に痛みから逃げないなど、厳
しさから逃げない強さを感じます。目標をもって取り組んでいる姿勢もすばらしいで
す。1年生ですが、そうした先輩方の後ろ姿を見て、先輩方のようなプレーができる
ように頑張りたいです。まずはしっかり体を作って、スキルアップを積み重ね、秋、
冬にはチームの戦力になれるように頑張ります。」

LO 岡本慎太郎(1年)
京都成章高校出身
身長183cm/体重105kg

「接点でのプレーを得意としています。ボールを持っての強さでもタックルで
も、接点での仕事をアピールしたいです。対して、ラインアウト、スクラム、キック
オフのセットプレーがまだまだで、そこを大切にしようと意識してやっています。自
分が入部前に持っていた体育会のイメージは、すべてのことを1年生がやらなければ
ならないとか、上下関係が厳しいというものでしたが、帝京大学ラグビー部は上級生
の方々が、右も左もわからない1年生にいろいろな指導、サポートをしてくださいま
す。また、練習が厳しいだろうとか、寮生活もしたことがなかったので大変だろうな
どと不安もあったのですが、入ってみると、規律の正しい、そして笑顔の多い部だと
思いました。今後の目標としては、同期に高校日本代表だった人もいるのですが、彼
らに負けないように、そして、さらには先輩たちにも負けないように、自分の得意の
接点の部分を伸ばし、苦手なセットプレーを克服して、彼ら以上のプレーヤーになり
たいと思っています。」


《NEXT MATCH》
名古屋市ラグビー祭
対豊田自動織機シャトルズ戦(http://www.toyota-shokki.co.jp/sports/rugby/)
5月31日(日) 名古屋市瑞穂公園ラグビー場
14時キックオフ


(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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