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関東大学対抗戦A 筑波大学戦

関東大学対抗戦A 筑波大学戦

2015/11/29

11月29日(日)・上柚木公園陸上競技場
●帝京大学(6勝1敗)17-20筑波大学(5勝2敗)○

《帝京大学》
[FW]
(1)徳永⇒堀越(2)坂手(3)深村⇒浅堀(4)飯野(5)金(嶺)(6)イラウア
(7)亀井⇒姫野(8)マクカラン
[BK]
(9)荒井(10)松田(11)竹山(12)矢富⇒金田(13)重⇒濱野(14)尾崎(15)
森谷

《筑波大学》※先発のみ
[FW]
(1)橋本(2)稗田(3)崔(4)中村(5)渡邉(6)瀬尾(7)占部(8)横山
[BK]
(9)木村(10)亀山(宏)(11)福岡(12)亀山(雄)(13)鈴木(14)本村
(15)河野

【前半】【得点経過】
【5分】帝5-0筑
相手ボールのスクラムをターンオーバー。FWで攻め込み、ラックからSH荒井-SO松田
-FB森谷-WTB竹山と渡り、竹山がトライ。

【14分】帝12-0筑
ラインアウトからFWで連続攻撃。ラックからSH荒井-SO松田-FB森谷-WTB竹山と渡
り、竹山がトライ。ゴール成功。

【19分】帝17-0筑
CTB重が好タックルで自ら相手ボールを奪う。FW、BKで連続攻撃。ラックからSH荒井
-FLイラウア-CTB矢富と渡る。矢富が抜け出し、ディフェンスを引き付けて、WTB尾
崎へパス。尾崎が抜け出してトライ。


【後半】【得点経過】
【4分】帝17-3筑
PGを決められる。

【12分】帝17-8筑
スクラムから展開され、トライを奪われる。

【30分】帝17-13筑
連続攻撃からトライを奪われる。

【35分】帝17-20筑
ラインアウトから抜け出され、トライを奪われる。


《BRIEF REVIEW》
対抗戦第7戦は、昨年度大学選手権決勝の相手、筑波大学。立ち上がりは帝京ペー
ス。キックやFLイラウアの前進、さらには対抗戦初先発のCTB矢富の前進などで相手
ゴール前へ。5分には相手ボールのスクラムを押し込み、ターンオーバー。そこから
攻め続けて、WTB竹山が先制トライ。14分にも竹山が2つ目のトライをあげ、19分には
WTB尾崎がトライ。だが、このあたりから停滞する時間が長くなる。攻めても、もう
一歩が及ばない。前半は17-0で折り返した。後半はミスが重なり、自陣での守りの
時間帯が続く。攻めても、相手の厳しい守りに、なかなか前進できない。少しずつ失
点を重ね、ついには35分に逆転を許し、そのままノーサイド。対抗戦では3年ぶりの
敗戦となった。



《AFTER MATCH SAY》

■岩出雅之監督
「今日は、筑波大学さんが非常によかったのに対して、我々が反省すべきところが
多かったゲームだったと思います。筑波大学さんの奮闘に敬意を表し、また感謝したいと思います。
その感謝の意味は、我々の薄れていた厳しさの必要性、帝京らしさの原点を出場メンバーだけでなく、
チーム全体が思い出す良い機会と苦い経験を体験できたことです。
この経験を今後に活かしていくために、どこまでハングリーになれるか。
それに尽きると思います。
敗戦を機しましたが、私の選手達への自信と信頼は変わっていません。
その自信の裏付けとなる厳しさと、それを実行していくための謙虚さを持ち、私たち指導者も含め、
大学選手権に向けて、もう一度、気を引き締めて、チーム一丸となって努力していきます。」


■キャプテン・HO坂手淳史(4年)
「ゲームのスタートのところはとてもうまくいっていたのですが、その後、ディフェ
ンス面で多くミスが出てしまいました。ですが、一番大きなところは気持ちだったと
思います。一人一人の小さな隙が、チームとしては敗戦をもたらすような大きな隙に
なってしまいました。一つ一つのプレーが噛み合わなかったですし、ディフェンスに
関しては一つ一つのタックルが高かったです。もっと気持ちのところから上げていか
なければいけなかったのに、いつもどおりにやってしまったように思います。チーム
として、フォーカスするところが少し違うところがありました。一人一人はブレイク
ダウンでいいファイトをしていましたが、相手のアタックのブレイクダウンのファイ
トもすごくよかったですし、そのあたりの噛み合わせがよくありませんでした。今ま
でずっと勝ち続けてきたことで、チームの中に『平和ボケ』があったように思います
が、ここから本物のチームとはどういうものかを一人一人が考えていくことになりま
す。そのとき、4年生の力が大きな役割を果たすと思うので、全員が同じ方向を向い
て、チームが成長していけるように、みんながいい方向に進んでいけるように頑張り
ます。」


■ミスを反省し、次に活かすことを誓う・FB森谷圭介(4年)
「今日は個人としてもチームとしても、ミスが多い試合になってしまいました。まず
はミスを減らすことが課題になると思います。全員が同じ方向を向いていない状態で
アタックしたり、ディフェンスしたりしていたと感じたので、チーム全員が共通理解
を持てるように、チームが一つになって大学選手権を迎えられるようにしていきたい
です。チームの状態としては、よくない意味でいつもと変わらない感じでした。もっ
ともっと上げていかなければいけなかったと思います。これまでの歴代の4年生の
方々が上げてくださっていた雰囲気、精度といったものを僕たちが上げ切れなかった
ですし、今日の試合では個人的にミスが多く出てしまい、それがチームに伝染してし
まったように思います。本来、こういった形で気を引き締め直すという状況は望んで
いなかったのですが、終わってしまったことを悔いるのではなく、『この試合があっ
たからこそ今がある』と言えるように、リーダー陣、4年生、そして全員でまとまっ
て努力していきたいと思います。」


■本当の厳しさを伝える決意を語る・CTB金田瑛司(4年)
「振り返ってみると、どこかに心の隙があって、筑波大学さんの方が厳しさがありま
したし、粘り強さもありましたし、僕らが強みとしていたはずの部分で相手の方が上
回っていたということだと思います。厳しさに対する心の隙、そして細かい部分にま
で気持ちが行っていないという緻密さに対する隙があったように思います。試合に臨
む気持ちとしても、みんな本気でやっていたし、声も出ていたのですが、いつもどお
りの一試合と言いますか、しっかり気合いが入り切った状態ではなかったように思い
ます。筑波大学さんがこの一戦に懸けてきた強い思いを上回れなかったことが、この
結果につながったのだと思います。今日の試合を今後『この試合から変われてよかっ
たな』と言えるものにしていくために努力して、厳しさをしっかり積み重ねて、もう
一度、帝京の本当の強さを作り直していくことが必要だと思います。今の下級生たち
は帝京での『負け』を知りません。僕たちは1年生のときに、今日と同じように対抗
戦の最終戦で『負け』を知ったチームを見ているので、そのときのチームが本当の意
味で積み重ねた厳しさを、僕たち4年生が体現して、チームに伝えていきたいと思い
ます。」



《PICK UP PLAYERS》
スクラムのキーマンからリーダーシップのキーマンへ
PR 深村 亮太(4年)
FUKAMURA RYOTA


1993年7月23日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
佐賀工業高校出身
身長186cm/体重122kg


■まずは今日のゲームを振り返っていただけますか。
「アタック面ではサポートが遅くて、ペナルティを犯したり、相手にボールを取られ
てしまうという流れになってしまいました。そこはサポートの選手がはやく寄ること
だったり、ボールキャリアが強く相手に当たることが大切だと思います。ディフェン
スに関しても、相手のアタックが順目に来ていたのに順目に走るのが遅くなり、そこ
でゲインされたり、ラックサイドにディフェンスがいなくなってしまったところをゲ
インされたりしたので、そのあたりを修正して大学選手権に臨みたいと思います。」

■前の試合ではゲームMVPでした。やはりスクラムを評価されたと思いますが、今日
はスクラムはどう評価していますか。
「前半はしっかりプレッシャーをかけられたと思うのですが、後半、ロックとのコネ
クションや自身のボディシェイプが崩れたところがあって、前半のような押しが出せ
ませんでした。そういうことがないように修正していきたいです。」

■下がかなりぬかるんでいたように見えましたが、そこは影響したのでしょうか。
「ちょっと足場は悪かったですが、それでも自分のやるべきことをやれば押せること
はわかっているので、自分のやるべきことをやり切れなかった結果だと思います。」

■4年生としてチームを引っ張る役割も重要になってくると思いますが、その部分で
はどんな意識でやっていきますか。
「言葉の部分で引っ張っていくこと、そして自分の得意なところ、スクラム、セット
プレーでチームを引っ張っていきたいです。」

■大学選手権に向けての意気込みをお願いします。
「大学選手権では今日のような試合ではなく、自分たちのやるべきことをしっかり
やっていきます。自分としては、スクラム、セットプレーをしっかりやって、それを
積み重ねていきたいです。」


前半最初のスクラムでは、相手ボールをターンオーバー。そこからトライへとつな
がった。しかし、その後はプレシャーをかけるシーンはあるものの、圧倒するところ
まではいかなかった。深村自身もそこを反省点として挙げている。帝京のスクラムの
キーマンと言える存在として、また経験豊富な4年生として、今日の敗戦をどう今後
に活かすか。ここからはリーダーシップのキーマンとしての役割も重要になってきそ
うだ。



《COLUMN》

――「あの試合があったからこそ今がある」と言うために――

対抗戦では3年ぶりの敗戦となりました。前の敗戦は、2012年12月1日、やはり同じ筑
波大学との試合。10-24というスコアでした。

今回の試合の出場メンバーの中に、この3年前の試合も経験している選手がいます。
HO坂手(当時はFL)、FLイラウア、FB森谷(当時はSO)、PR深村(リザーブでベンチ
入りしていたが出場はせず)の4人、当時は1年生でした。

3年前のチームはそこからしっかりと修正して、大学選手権決勝では同じ筑波大学に
圧勝し、V4を達成しました。以前、当時の泉敬キャプテン(現・NTTドコモ)にこの
ときのことを聞いたことがあります。

「岩出監督は記者会見などで『決勝は早稲田大学さんとやりたかった』とおっしゃっ
ていましたが(この年、準決勝の組み合わせは抽選で、帝京は準決勝で早稲田大学を
破り、決勝へと進んだ)、僕は決勝戦という舞台で筑波大学さんにリベンジできると
思い、非常に燃えました。」

つまり、対抗戦での敗戦が、大学選手権決勝では「燃える」ための起爆剤になってく
れたわけです。

森谷も金田も「『この試合があったからこそ今がある』と言えるように、ここからま
た努力したい」と口を揃えます。

過去の評価(例えば、この試合の敗戦の意義)は、常に現在や未来から見た評価で
す。現在や未来がすばらしければ、そのときはつらかった過去の経験も「あの経験の
おかげですばらしい今がある」と思えるようになります。

当時の悔しさを共有した選手たち、そしてそこからどうやってチーム状態を上げて
いったのかを知っている4年生たちの役割は、ここから今まで以上に大きくなってい
きそうです。



《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。

FL/No8 ブロディ・マクカラン(1年)
ハミルトンボーイズ高校出身
身長191cm/体重97kg

「自分の強みはボールスキルとゲーム理解度です。ただ、体が細いので、ウエイトト
レーニングをして、食事をたくさん食べて、もっと体を大きくしたいです。帝京大学
ラグビー部は、お互いをリスペクトし合っているところ、規律ある生活をしていると
ころ、みんなが助け合うところ、そしてみんないつもハードワークしているところ、
何事に対しても一生懸命なところがすばらしいと思います。まずは体を大きくして、
ベストなFL、No8になって、Aチームのメンバーとして出続けたいです。また、将来は
2019年のワールドカップで日本代表としてプレーすることが目標なので、そこへ向け
て努力したいと思います。」


PR大久保幸弘(1年)
三好高校出身
身長176cm/体重106kg

「スクラムの姿勢、セットプレーの安定を強みとしています。PRとしては体が大きい
方ではないので、今はウエイトトレーニングで筋力、体幹を鍛えることに力を入れて
います。帝京大学ラグビー部に入ってみて、上級生の方々の行動のはやさ、さらにそ
の前の段階としての気付きのはやさがすごいと感じています。高校時代は、いろいろ
な仕事は1年生がやるのが当たり前だったのですが、ここではそうではなく、上級生
がまず自分で気付いて行動して、後輩たちに見せてくれます。後輩たちは、それを見
て学ぶことが多いです。上級生はすごいといつも感じます。自分の目標は、まずは人
として尊敬される人物になること、プレーの面ではPRとしてスクラムで誰にも負けな
い強さを身に付けて戦えるようになりたいです。」


No8菅原貴人(1年)
御所実業高校出身
身長185cm/体重98kg

「ボールキャリアとしての縦への走りが自分の強みです。縦への突破力を見てほしい
と思っています。課題としては体作りとディフェンスに取り組んでいます。相手を一
発で倒せる一対一の強さを身に付けたいと思っています。帝京大学ラグビー部は1年
生から4年生までみんな仲がよく、まとまりのあるチームです。もっと上下関係が厳
しいのかと思っていたのですが、そんなことはなく、先輩方はみな優しくしてくださ
います。ファーストジャージを着て試合に出ることが目標ですが、それまではチーム
のために役に立つ行動、姿を見せていきたいと思っています。」



《NEXT MATCH》
第52回全国大学ラグビー選手権大会・セカンドステージ第1戦
対戦相手未定
12月13日(日) ケーズデンキスタジアム水戸
14時キックオフ

第37回関東大学ジュニア選手権・決勝
対明治大学戦
12月5日(土) 秩父宮ラグビー場
11時40分キックオフ


(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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