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第52回全国大学ラグビー選手権大会・セカンドステージ第1戦 法政大学戦

第52回全国大学ラグビー選手権大会・セカンドステージ第1戦 法政大学戦

2015/12/13

12月13日(日)・ケーズデンキスタジアム水戸
○帝京大学(勝点9)66-7法政大学(勝点0)●

《帝京大学》
[FW]
(1)徳永⇒堀越(2)坂手⇒大木(3)深村⇒垣本(4)飯野(5)金(嶺)⇒姫野
(6)イラウア⇒小野(7)亀井(8)マクカラン
[BK]
(9)荒井⇒小畑(10)松田⇒濱野(11)竹山(12)石垣(13)宮崎(14)尾崎⇒金
田(15)森谷

《法政大学》※先発のみ
[FW]
(1)前島(2)川地(3)越田(4)牧野内(5)吉村(6)斉田(7)堺(8)増田
[BK]
(9)金子(10)林(11)桶谷(12)金井(13)萩原(14)中井(15)尾崎

【前半】【得点経過】
【3分】帝7-0法
ラインアウトからモールを形成。押し込んでHO坂手が押さえてトライ。ゴール成功。

【6分】帝14-0法
LO飯野がハイパントをキャッチ。ラックからSH荒井-FB森谷-SO松田-CTB宮崎-WTB
竹山-SH荒井と渡り、荒井がトライ。ゴール成功。

【12分】帝21-0法
自陣ゴール前5mで相手ボールのラインアウトをターンオーバー。PR深村がうまく
キャッチし、ラックに。ラックからSH荒井-SO松田と渡り、松田が仕掛けて大きく前
進。再度ラックになり、SH荒井-SO森谷-FLイラウア-WTB尾崎-FLイラウア-FL亀
井と渡り、亀井がトライ。ゴール成功。

【22分】帝28-0法
ラインアウトからモールを押し込み、HO坂手がトライ。ゴール成功。

【26分】帝28-7法
展開され、前に出られてトライを奪われる。

【32分】帝35-7法
ラインアウトからモールで前進。ラックになるも、さらに連続攻撃。ラックから、SH
荒井-FB森谷-LO飯野-CTB石垣と渡り、石垣がトライ。ゴール成功。

【39分】帝42-7法
ラインアウトからモールを形成。HO坂手が持ち出し、前進。ラックからSH荒井-SO松
田-FB森谷と渡り、森谷が抜け出してトライ。ゴール成功。


【後半】【得点経過】
【5分】帝47-7法
スクラムから連続攻撃。ラックからSH荒井-SO松田-CTB石垣と渡り、石垣が抜け出
してトライ。

【11分】帝52-7法
ラインアウトから連続攻撃。ラックからSH荒井-HO坂手-SO金田-WTB竹山と渡り、
竹山が抜け出してトライ。

【23分】帝59-7法
ラインアウトがやや乱れるもFL小野がうまく拾ってCTB石垣へとパス。石垣が前進。
ラックからHO坂手が拾ってPR堀越へとパスし、堀越が抜け出してトライ。ゴール成
功。

【33分】帝66-7法
スクラムから連続攻撃。ラックからSH小畑-CTB石垣と渡り、石垣が前進。ラックか
らLO飯野が持ち出し前進。さらにラックになり、PR垣本が持ち出し、潜り込んでトラ
イ。ゴール成功。



《BRIEF REVIEW》
大学選手権が始まった。第1戦の相手はファーストステージから勝ち上がってきた法
政大学。立ち上がりの帝京は滑るボールにミスも出るが、LO飯野らのすばやい反応や
FB森谷の好タッチキックなどで前進していく。相手ボールのラインアウトを奪い、
CTB宮崎の前進などから連続攻撃を仕掛ける。3分にはモールで先制トライを奪うと、
6分にはBK陣がつないで追加点を奪う。終始、帝京ペースで進み、前半を42-7で折り
返した。後半も帝京が攻める。5分にはスクラムからの攻撃でトライを奪い、11分に
はFW、BK一体となった攻撃で追加点。この日、フル出場のCTB石垣が80分間にわたっ
て力強いアタックを見せるなど、体を張ったプレーを披露し続ける。FW陣も体を張っ
たプレーを見せ、後半は失点を許さず、66-7でノーサイド。帝京が大学選手権セカ
ンドステージ第1戦に勝利し、4トライ以上あげたボーナスポイントを加え、勝点6を
獲得。対抗戦1位扱いのアドバンテージポイント3と合わせ、総勝点を9とした。



《AFTER MATCH SAY》
■岩出雅之監督
「いよいよ大学選手権に入りました。試合で出た課題を次戦までに修正することはも
ちろん大切なことなのですが、大学選手権に入ったここからは、できることをしっか
りやること、そして勢いで相手を制圧していけるようにしていくことが重要になると
考えています。対抗戦の中、敗戦や敗戦後も含めて、いい経験をたくさんしてきまし
たので、学生たちはそれを反省して、活かそうと頑張っています。ただ、それによっ
てかえってプレーがこじんまりしたものになってはいけないので、ここからはガツガ
ツやってもらいたいと思っています。今日の試合も、出た課題は修正しますが、過度
に気にせず、前に進んでいきます。今日はブレイクダウンで厳しいプレーをすること
を期待して臨みましたが、これはボールを自分たちにとってのいいテンポで活かし続
けるために必要なことです。相手にブレイクダウンでの仕事をさせないくらいの厳し
いプレーを、次の関西大学さんとの試合では期待したいと思います。」

■キャプテン・HO坂手淳史(4年)
「今日のゲームは厳しさを出して、タックル、ブレイクダウンで圧倒していこうと
言って臨みました。前半、いい流れでゲームに入ることができたのですが、
まだまた満足のいくブレイクダウンではないので、そこは修正
して、次の関西大学戦に向かって行きたいと思います。」


■すべてのスクラムでプレッシャーをかけたい・PR徳永一斗(4年)
「自分自身、そしてチームの目標でもある『厳しさ』を出していこうと思って臨んだ
のですが、まだ甘いところが出てしまったように思います。ブレイクダウンでのサ
ポートが遅れてしまい、相手にペナルティを与えてしまったり、ボールを奪われてし
まうといった甘さが出てしまいました。スクラムに関してはプレッシャーをかけるこ
とはできていたと思うのですが、相手のはやいフッキングに対応しきれず、いいボー
ルを出させてしまったので、もっと自分たちからスクラムをコントロールできるよう
にしていきたいです。次戦以降もスクラムでプレッシャーをかけるべき場面がたくさ
んあると思うので、毎回のスクラムで常にプレッシャーをかけられるようにしたいで
す。4年生としてチームを引っ張る立場になって初めて、これまでいかに自分がみん
なに引っ張ってもらっていたかがわかりました。まだまだ引っ張る力は強くないかも
しれませんが、残り少ない期間、少しでも4年生としての仕事をしていきたいと思い
ます。」


■4年生として姿で見せていく・CTB宮崎詠基(4年)
「対抗戦での敗戦は Aチームだけでなく、チーム全体の意識が変わったと思います。
一人一人が自身の行動、甘さ、そして自分の足元を見つめ直して、何事にも本気で取
り組むことと毎日ベストを尽くすことを心掛けるようになりました。敗戦後、4年生
で集まって、『4年生が率先して姿で見せていこう』という話をしました。なので、
今日はまず自分たちが姿で見せていくことを意識してプレーしました。次の関西大学
戦でもそういう姿を見せて、チームに勢いのつく試合にしたいです。」


■厳しさを出せたがもっと伸びていける・WTB尾崎晟也(2年)
「前回の筑波大学戦の敗戦から、自分たちの足りないものを本気で見つめ直してきた
ので、今日は厳しさをもってゲームに臨もうと思いました。厳しさを出せたところも
あり、そこはよかったのですが、100%出せたかと言えば、出し切れていなかったと
ころもあったと思うので、そこはもっと伸びていけるところだと思います。敗戦後、
4年生の方々が中心になってチームを引っ張ってくださっているのですが、自分たち
の学年(2年生)ももう一度本気で取り組んでいこうということを全員で再認識し合
いました。他の学年も同様だと思うので、そこはチームがいい雰囲気になることにつ
ながっていると思います。自分自身としても、敗戦の悔しさをエネルギーに換えると
いう部分、悔しさを自分の中でどう使っていくかを学べたところは自身の成長にもつ
ながったと思います。シーズンが深まっていく中で、少しでもチームに貢献できるよ
うに、もっと自分を磨いていきたいと思います。」


■4年生、学生コーチとしてチームを鼓舞していきたい・PR大木寿之(4年)
「大学選手権のメンバーに選んでいただいたので、まずは選ばれたものとしての責任
を果たそうと思って臨んだのと、『厳しさ』をテーマにマインドセットして臨みまし
た。試合の出場時間は短かったのですが、自分の役割であるスクラムでターンオー
バーできたので、よかったと思います。ミスはありましたが、タックル、ブレイクダ
ウンの精度を上げて、今後もメンバーに選ばれるように努力したいと思います。4年
生として、また学生コーチとしては、試合に出る出ないにかかわらず、チームを鼓舞
できるように頑張っています。その結果が自分自身の成長にもつながっているという
実感があります。次戦以降、個人としてはメンバーに入れるように努力していきます
が、試合に出る出ないにかかわらず、チームを引っ張っていけるように、チームが一
つにまとまるように頑張っていきたいと思っています。」



《PICK UP PLAYERS》

すごい先輩たちを基準にしつつ、自分らしさを出していきたい

FL 亀井亮依(3年)
KAMEI RYOI


1994年10月8日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
常翔啓光学園高校出身
身長178cm/体重97kg


■大学選手権が始まりました。この試合、どんなことを考えて臨んだのでしょうか。
「前回(対抗戦の筑波大学戦)の反省で、FLとして厳しいプレー、痛いところへ行く
プレーが欠けていたことが敗因につながったと思ったので、今日はスタートから厳し
いところへ自分から行こうと思って試合に臨みました。」

■実際に戦ってみて、どうだったでしょうか。
「今週一週間は、練習から厳しいプレー、痛いプレーを意識してやったのですが、手
応えとしてはまだまだで、特に前半は甘いプレーが出てしまったと思います。後半、
とにかくダイナミックに行こうと思って、少しだけですが、いい感触でできたところ
がありました。でも、まだまだ課題も多く出た試合になりました。」

■プレーの面で普段から意識していることはどんなことでしょうか。
「チームとしての取り組みはいろいろありますが、自分のやるべきことは変わらない
と思っているので、FLとしてもっと走って、やるべきことをやるだけだと思っていま
す。トライを取るWTBの竹山や尾崎と違って、自分はトライをさせないのが役割だと
思っているので、もっともっと激しくやっていきたいです。さらに、激しさにプラス
して、相手が嫌がることをやり、嫌がるところに走るようにしたいと思っていま
す。」

■「FLとして」という話が出ましたが、歴代の帝京のFLにはすごいプレーヤーがたく
さんいます。先輩たちへの意識のようなものはありますか。
「正直、ありますね。杉永亮太さん(現・キヤノンイーグルス)、松永浩平さん
(現・中国電力)、吉田光治郎さん(現・トヨタ自動車ヴェルブリッツ)……すごい
人がたくさんいます。やはり、こうしたすごいFLの先輩方を一つの基準にしたいとい
う気持ちはあります。ただ、みなさん一人一人特徴が違いますし、逆に自分はどこを
伸ばしていけばいいのかを考え、まずは自分の強みを前面に出して、それから改善す
べきところを改善していければと思っています。僕自身はあまり器用な方ではないの
で、きついときにしっかり走って、痛いところに体をぶつけていくというところで自
分らしさを出していければと思っています。」

■では、次戦以降へ向けての意気込みをお願いします。
「ここからも一試合ごとに課題も出てくると思うのですが。自分の色である『体を張
る』というところは絶対に欠かさないように、7番を背負って試合に出られるよう
に、日々の練習から頑張っていきたいと思います。」


「FLとして」という言葉が随所に出てくるように、常に体を張ることを考えてプレー
している。ミスがあっても、その多くは積極的に激しく行った結果であり、さらに激
しさでミスを挽回しようという意識も高い。帝京の歴代FL陣への意識について聞いて
みると、学年のかなり離れた吉田光治郎選手(トヨタ自動車ヴェルブリッツ主将)の
名前が出てきた。高い目標設定は大きな成長を促してくれるはずだ。



《COLUMN》

――今年も必要とされる「4年力」――

この時期になると、毎年のように「4年力」という言葉が出てきます。言葉の意味は
「4年生の力」ということですが、具体的にどのような力なのかはその代によって若
干違ってきます。

それでも共通しているのは、「4年生が自分たちのできること、やるべきことをや
り、言葉や姿で示すことによってチームを一つにまとめていく」というところです。

「言葉」の部分は性格的に得意の人とそうでない人がいますが、「姿で見せる」部分
は誰でもできるものです。実際、この日の試合でも厳しいプレーを姿で見せる4年生
たちがいました。

ゲームMVPを獲得したCTB石垣は、80分間、相手ディフェンスの中に飛び込んでいく縦
へのアタックを見せ続けました。普段はこの役割を担うケースも多いCTB濱野は、こ
の日はタックルで見せ続けました。PR徳永はスクラムで、PR深村はラインアウトで、
FLイラウアは強い走りで、SH荒井はフォローする走りで、CTB宮崎は縦への抜け出し
で、FB森谷はキックとランで、PR大木はスクラムとディフェンスで、FL小野はボール
への鋭い反応と縦への意識で、SO金田はゲームコントロールとキックで……この日の
4年生はみな、それぞれ自身の特長を活かしたプレーを存分に見せてくれました。

しかし、「4年力」とはゲームに出ているAチームの力だけではありません。むしろ、
試合に出ていない4年生こそが、その力の大部分を担っていると言ってもいいほどで
す。

Aチームの練習相手としても、また、普段の生活面の部分でも、メンバー外の4年生の
力がチームにとって大きなエネルギーとなり、また進むべき方向性を示す舵となりま
す。

さらに、不思議なことに、それまであまり試合に出ていなかった4年生の中から、こ
の時期に突然、伸びてきて、メンバーから外せなくなるという選手が、毎年のように
必ず現れます。

PR大木はこんな話をしてくれました。

「4年生として、また学生コーチとしてチームを鼓舞していますが、その結果が自分
自身の成長にもつながっているという実感があります。」

さあ、「4年力」が本当に必要になってくるのはここからです。今年の4年生たちはど
んな「4年力」を見せてくれるでしょうか。そして、下級生たちはその力をどこまで
自分たちのエネルギーにしていけるでしょうか。

注目して、見ていきたいと思います。



《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。

SH 小畑健太郎(1年)
伏見工業高校出身
身長170cm/体重70kg

「自分の強みはテンポだと思っています。テンポよくボールを動かしていくところを
見ていただきたいです。課題としてはミスが多いので、ミスをなくしたいと思ってい
ます。また、タックルで体を張る仕事をもっともっとできるようにと意識していま
す。帝京大学ラグビー部に入る前は、上下関係がすごく厳しいだろうと思っていたの
ですが、先輩方はみなフレンドリーですし、掃除などの仕事を上級生から進んでやら
れるので、その姿はいつもすごいと思っています。大学選手権、そしてその先の日本
選手権でも、チームに貢献できるように、体もスキルももっとレベルアップしていき
たいと思っています。」



《NEXT MATCH》
全国大学ラグビー選手権大会・セカンドステージ第2戦
対関西大学戦(http://kandairugby.com/
12月20日(日) 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場
14時キックオフ

過去の対戦成績:初対戦
[関西大学の直近5戦]
10月18日 ●24-34京都産業大学(関西大学Aリーグ)
10月31日 ○41-19関西学院大学(関西大学Aリーグ)
11月14日 ○32-19摂南大学(関西大学Aリーグ)
11月29日 ○36-28近畿大学(関西大学Aリーグ)
12月13日 ●12-24中央大学(大学選手権セカンドステージ)

(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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