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関東大学春季大会Aグループ(さがラグビーフェスティバル2016) 東海大学戦

関東大学春季大会Aグループ(さがラグビーフェスティバル2016) 東海大学戦

2016/06/11

6月11日(土)・佐賀県総合運動場陸上競技場
○帝京大学(勝ち点30)35-34東海大学(勝ち点14)●


《帝京大学》
[FW]
(1)西⇒李(城)(2)大西⇒渋谷(3)呉(味)⇒垣本(4)飯野(5)金(廉)⇒古田⇒栗丸(6)マクカラン(7)亀井(8)吉田
[BK]
(9)田上⇒金村(10)小畑(11)竹山(12)岡田(13)鎌田⇒末(14)津岡⇒宮上(15)尾崎

《東海大学》※先発のみ
[FW]
(1)三浦(2)王野(3)渡邊(4)川瀬(5)麻生(6)磯辺(7)西川(8)筒井
[BK]
(9)湯本(10)伊藤(11)藤崎(12)鹿尾(13)土屋(14)リード(15)清水


【前半】【得点経過】
【2分】帝0-5東
ラインアウトからモールで押され、FWで攻められ、トライを奪われる。

【14分】帝7-5東
ラインアウトからモールを押し込み、HO大西がトライ。ゴール成功。

【18分】帝14-5東
相手がノックオンしたボールを拾って展開。SH田上が仕掛けて抜け出し、走り切ってトライ。ゴール成功。

【32分】帝21-5東
キックカウンターからFLマクカランが抜け出し、大きく前進。つかまるも、WTB竹山へパス。パスがやや乱れるが、竹山がうまく足でキックし、自らインゴールで押さえてトライ。ゴール成功。

【36分】帝21-10東
ラインアウトからモールを押し込まれ、トライを奪われる。


【後半】【得点経過】
【3分】帝21-15東
ラインアウトからFWで攻められ、トライを奪われる。

【9分】帝21-20東
FWで攻められたのち、BKに展開され、抜け出されて、トライを奪われる。

【14分】帝21-27東
ラインアウトからモールを押され、展開されて、トライを奪われる。

【22分】帝28-27東
ラインアウトからモールを押し込み、HO大西がトライ。ゴール成功。

【29分】帝28-34東
ターンオーバーから展開され、抜け出されてトライを奪われる。

【36分】帝35-34東
ターンオーバーからBK展開。WTB宮上が大きく前進。さらにFLマクカランにつなぎ、マクカランが抜け出してトライ。ゴール成功。



《BRIEF REVIEW》
佐賀県総合運動場陸上競技場で行われた春季大会最終戦の相手は、昨シーズンの大学選手権決勝を戦った東海大学。試合開始直後から、大きな体どうしのぶつかり合いになる。帝京はペナルティからピンチを作り、2分に先制点を奪われてしまう。その後も、ラックでターンオーバーされるなど、やや帝京らしからぬミスから相手の攻撃を受ける。それでも我慢強く耐え、得点は許さない。逆にチャンスは逃さず、得点を重ねていく。14分にラインアウトからのモールで逆転すると、18分にはSH田上がうまく抜け出して追加点。32分にはFLマクカランの抜け出しをしっかりフォローしていたWTB竹山が、乱れたボールをとっさの判断で巧みに足で処理し、自ら抑えてトライ。1トライ返されるも、21-10で前半を折り返した。
だが、後半もミスで攻め込まれる展開が増える。ペナルティからゴール前まで運ばれ、また相手の個人技などで3連続トライを献上し、逆転を許してしまう。ここからはまさにシーソーゲーム。帝京が押し込んで再逆転するも、相手もターンオーバーから攻め込む。6点リードされ、残り時間が少なくなるが、帝京はようやく一人一人の動きがよくなってくる。ラックにすばやく集まり、相手を押し返す。36分、相手のミスを見逃さず、地元・佐賀工業出身のWTB宮上の前進などでチャンスを作り、FLマクカランが抜け出して逆転トライ。そのまま逃げ切り、帝京が35-34の1点差で勝利した。なおこの試合、キッカーを務めたWTB竹山は、5本のゴールキックをすべて決めた。この結果、帝京は関東大学春季大会Aを5戦全勝で勝ち点30とし、次週の他校の試合結果を待たずして、大会1位を決めた。



《POST MATCH INTERVIEW》

■岩出雅之監督
「今日は二つの厳しさを体験できたという意味ではいいゲームだったと思います。一つは、得点差という厳しさを体験できたこと。内容が厳しかったかどうかはこれから精査していきますが、1点差のゲームを勝ち切ることができたことは貴重な経験になったことと思います。もう一つは、ワンプレーワンプレーを丁寧にやり切ることの大切さを改めて感じさせてもらったという点です。丁寧さがおろそかになったところから相手にスコアされていますので、そこをおろそかにすると厳しいゲームになるという体験をさせてもらえたことは、もう一度、ベーシックなプレー、丁寧なプレーの大切さを認識するためのいい経験をさせていただいたと思います。今日のような経験を、今後の練習、試合に活かしてもらえればと思っています。東海大学さんとは、お互いにさらに成長した状態で、冬の大学選手権で再戦できることを楽しみにしております。最後になりましたが、ご招待いただいた佐賀県ラグビーフットボール協会、ならびに大会関係者の皆様、またさまざまなお手伝いをいただきました佐賀工業高校ラグビー部、先生、保護者の皆様、キッズエスコートに参加されたラグビースクールのお子さんたちならびに保護者の皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました。」


■キャプテン・FL亀井亮依(4年)
「この時期にこうしたクロスゲームを経験できたことは、チームにとっていい経験になったと思います。クロスゲームになった原因は、チームとしても個人としてもいろいろあったと思うので、ビデオを見直して、しっかり反省したいと思います。一つ一つのプレーに対しての価値観だったり、こだわりといったことがまだまだ低いことは、みんなよくわかったと思うので、しっかり修正したいです。春シーズンは来週一試合を残すだけになりましたが、社会人に対して、今日出た課題をどれだけ修正して挑めるかを意識して、この一週間を過ごしたいと思います。自分たちは『社会人を倒しての日本一』を目標の一つに掲げていますが、来週はその社会人と試合ができる数少ない機会です。豊田自動織機さんに対して、最高の準備をして挑みたいと思います。」



■前半、すばやい動きでトライを奪った・SH田上稔(2年)
「今日はいい面もあったのですが、反省の多いゲームになりました。しっかり振り返って、スキル不足だった部分を修正するためにも、なりたい自分というものをイメージして、それに向かって努力を積み重ねていきたいと思います。スキルの部分は練習することによってうまくなっていくので、あきらめずに小さいことから積み重ねて、必ず花が咲くように努力していきたいです。前半のトライは、先輩方がつないでくれた部分が大きかったのですが、トライを取り切れたことは自分の中で自信になりました。佐賀でのゲームということで、お世話になった方々がたくさん来られていて、いつもよりも気合いは入っていました。それがプレーでのいい表現につながればよかったのですが、焦りにつながったところもあったので、もう一度、自分を信じて、一からやり直したいです。チームにはいいライバルがたくさんいるので、その中で自分がどうやってうまくなっていくかを考えながら、小さなことから積み重ねて、試合に出られるように、そして優勝に貢献できるように頑張ります。」



■たかぶる気持ちを抑え、いいマインドでプレーできた・CTB鎌田健太郎(4年)
「今日は母校のある佐賀での試合ということで、テンションが上がってしまうところもあったのですが、それを抑えつつ、いいマインドで試合ができたので、よかったと思います。佐賀での試合で、お世話になった方々の前でいいプレーを見せたいという気持ちも強かったのですが、そこで気持ちがたかぶりすぎてしまうと全力が出し切れないので、そこはしっかり自分を落ち着かせて、普段どおりの自分のプレーを見てもらおうと思ってプレーしました。昨シーズンまではFBが中心でしたが、今シーズンはCTBをずっとやっています。まだ慣れない部分もありますが、楽しんでやれていますし、今回もいい経験になりました。Aチームで出させてもらえるチャンスをいただいたので、大学選手権8連覇、そして日本一を目指して、さらに日々努力していきたいと思います。また、4年生として、いろいろなことをきちんと考えながら、下級生たちをサポートしていって、試合中でも下級生が困っていたらプレーで見せたり、声をかけたりして、下級生たちが余裕をもってプレーできるような、いいアプローチをしていきたいと思います。」



■落ち着いたプレーを見せるも、さらなる成長を誓う・WTB津岡翔太郎(3年)
「今日は反省の多い試合になりました。その中で、個人的にもチームとしても、自分たちがもっと成長できる試合になったと思います。佐賀での試合は、もちろん母校のある土地ということで、少しは意識しましたが、自分としてはそれほど普段と変わらない気持ちで臨めました。今日のようなタイトな試合で、自分がもっとボールをもらってチャンスメイクしたり、取り切ったりしなければいけないのに、それができなかったところや、自分のタックルミスでチームに迷惑をかけてしまったところもあったので、もっと成長してチームに貢献できるようになっていきたいです。成長できる課題が見つかったことはよかった点なので、今日出た反省を活かして、今日のようなミスがないように、そして自分でチャンスを見つけて、自ら取り切れるプレーができるようにしたいです。」



■Aチームのレベルを体感し、それを超えたい気持ちが芽生えた・LO栗丸大輝(1年)
「今日は最後の10分ぐらいの出場でしたが、Aチームのレベルの高さを感じました。自分はまだまだ努力しなければいけないと思いました。出ている先輩たちはとても尊敬でき、そして自分はさらにそこを超えていきたいと思いました。佐賀での試合で、母校の佐賀工業の人たちもたくさん来ていて、正直、緊張しました。今日は佐賀招待ということで出させていただきましたが、他の試合でもAチームで出られるように、そして少しでもチームに貢献できるように頑張りたいと思います。」





《PICK UP PLAYERS》
得意のランプレーでチームの勝利に貢献
WTB 宮上廉(1年・ゲームMVP)
MIYAGAMI REN

佐賀工業高校出身
身長180cm/体重84kg

■まずは今日の試合の感想からお願いします。
「点差が詰まった大事な場面で出られたこと自体、自分にとって収穫になりました。これからもチームになじめるように、しっかりコミュニケーションを取っていきたいです。」

■逆転トライにつながる、いいプレーもありました。
「今日の試合前は、試合に出たときにどういうプレーをしようかということをイメージして挑みました。あのプレーはイメージどおりでした。イメージを現実にできたので、よかったと思います。」

■具体的にはどんなイメージをしていたのでしょうか。
「自分の持ち味であるランプレーをしっかり出せるように、ボールを持ったときにどういうプレーをするかをイメージしました。」

■そのイメージをする際に、何か意識したことはありますか。
「東海大学さんはコンタクトがとても強いので、それに負けないように、相手が強いからといって自分のプレーが小さくならないように、自分のプレーをイメージして挑みました。」

■母校のある佐賀での試合でしたが、その意識はプレーに影響しましたか。
「試合が拮抗した場面でしたし、相手も強い東海大学さんでしたので、舞い上がらず、いつもどおりのプレーをやろうと思って入りました。なので、佐賀での試合ということについては、あまり気にすることはなかったです。」

■この春シーズン、Aチームの試合に何度も出場していますが、試合に当たって、何か心掛けていることなどはありますか。
「とにかく自分のプレーをすることが大事で、Aチームに限らず、常に自分のプレーをすることを心掛けてやっています。Aチームで試合に出ていることは経験になっていますが、毎日、挑み続けることが大事だと思うので、常に自分のいつもどおりのプレーをしようと思っています。」

■今後への意気込みをお願いします。
「持ち味であるランプレーを活かせるように、先輩方としっかりコミュニケーションを取って、上のチームで活躍できるようにこれからも精進していきたいと思います。」

1年生ながら、今シーズンの春季大会5試合中4試合に出場。チーム内での存在感も大きくなってきている。魅力は何といっても、ボールを持っての「ランプレー」。シーズン当初は自らのセンスで縦横無尽に走り回ったが、岩出監督から「その動きはサポートプレーヤーが付いて行きづらいかもしれないよ」と指摘されると柔軟に修正。チームとして機能するプレーを意識するようになった。この日も一人で持っていくのではなく、サポートを意識したプレーでトライを演出した。さらにディフェンス面での成長が見られれば、チームにとって大きな戦力となるだろう。



《COLUMN》

――基本への意識――


春季大会最終戦は1点差の大接戦となりました。相手は昨年度の大学選手権決勝を戦った東海大学ですから、その強さについては全員が理解していたと思いますが、岩出監督は「相手がどうこうというよりも、自分たちの基本スキルの問題」と分析しています。

特に、ボールキャリアがタックルされたあと、きちんとボールを置くこと。そして、そこにしっかり走って相手を押し返すこと。体の大きな相手、接点の激しさを特徴とする相手になればなるほど、こうした基本プレーをきちんと丁寧にやることが大切になってきます。

もちろん、相手もそれをさせまいとして激しく来るわけですが、そこで激しさにばかり注意が行ってしまい、基本プレーへの意識が希薄になってしまうと、ますます相手のペースにはまり込んでしまいます。

亀井キャプテンはこう述べました。

「相手云々よりも、一つ一つのプレーに対しての価値観だったり、こだわりといったことがまだまだ低い。」

つまり、スキルの問題であるのと同時に、「意識=気持ち」の問題でもあるということでしょう。

この日の試合は、「基本」に対する意識を変えてくれる、大きな試合になったことでしょう。もしかすると、シーズン後に「あの試合が一つのターニングポイントだった」と振り返る試合になるかもしれません。



《NEXT MATCH》
招待試合
対豊田自動織機シャトルズ戦(https://sports.toyota-shokki.co.jp/rugby/
6月19日(日) パロマ瑞穂ラグビー場
14時キックオフ



(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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