REPORT

レポート

トップ
   
レポート
   
関東大学対抗戦A 青山学院大学戦

関東大学対抗戦A 青山学院大学戦

2016/10/11

10月9日(日)・百草グラウンド

○帝京大学(3勝)111-0青山学院大学(3敗)●


《帝京大学》

[FW]

(1)岡本⇒西(2)堀越⇒竹井(3)呉(味)⇒浅見(4)飯野⇒金(廉)(5)金(嶺)⇒今村(6)ロガヴァトゥ(7)亀井(8)マクカラン

[BK]

(9)末⇒小畑(10)松田⇒矢澤(11)竹山(12)金村⇒重(13)矢富(14)子安(15)鬼木



《青山学院大学》※先発のみ

[FW]

(1)鈴木(2)永井(3)小原(4)濱田(5)川上(6)梶(7)森(8)藤森

[BK]

(9)古賀(10)岩満(11)向井(12)澤田(13)永岡(14)越智(15)佐藤



【前半】【得点経過】

【7分】帝7-0青

スクラムからNo8マクカランが持ち出す。CTB矢富-LO飯野と渡り、飯野が抜け出してトライ。ゴール成功。



【10分】帝14-0青

相手ボールのラインアウトをLO飯野が奪って、展開。ラックからSH末-SO松田-CTB金村と渡る。金村がタックルを受け、パスがやや乱れるも、CTB矢富がうまく拾って、抜け出す。そのまま走り切ってトライ。ゴール成功。



【14分】帝21-0青

ラインアウトからモールを押し切って、HO堀越がトライ。ゴール成功。



【17分】帝28-0青

ラインアウトからモールを押し込む。SH末が持ち出し、抜け出してトライ。ゴール成功。



【21分】帝35-0青

キックオフから連続攻撃。ラックからSH末-CTB金村と渡り、金村が抜け出し、走り切ってトライ。ゴール成功。



【33分】帝40-0青

ラインアウトからモールを押し込む。ラックになるも、さらに連続攻撃。ラックからSH末-WTB竹山と渡り、竹山がトライ。



【36分】帝47-0青

ラインアウトからモールを押し込む。ラックになるも、FLロガヴァトゥが持ち出してトライ。ゴール成功。



【40分】帝54-0青

ペナルティからSH末がクリックリスタート。末からLO金(嶺)-SO松田-LO飯野-FB鬼木と渡り、鬼木がトライ。ゴール成功。





【後半】【得点経過】

【0分】帝61-0青

キックオフのボールをLO金(嶺)がうまくタップして獲得し、連続攻撃。SO松田が前進。ラックからSH末-HO堀越と渡り、堀越が抜け出してトライ。ゴール成功。



【2分】帝66-0青

キックオフから連続攻撃。PR岡本が大きく前進。ラックからSH末-LO飯野-WTB竹山-No8マクカランと渡り、マクカランがトライ。



【4分】帝73-0青

キックオフから連続攻撃。パスが乱れるも、CTB矢富がうまく拾って抜け出す。矢富がそのまま走り切ってトライ。ゴール成功。



【10分】帝78-0青

ラックでターンオーバー。SH末-WTB竹山と渡り、竹山が抜け出す。ゴール前でつかまりかけるも、うまくWTB子安にパスし、子安がトライ。



【14分】帝83-0青

FW、BKで連続攻撃。ラックからSH末-SO矢澤-FB鬼木と渡り、鬼木が抜け出す。ゴール前でつかまりかけるが、相手ディフェンスをふりほどいてトライ。



【19分】帝90-0青

ラインアウトからモールを押し込む。押し切って、HO竹井がトライゴール成功。



【28分】帝97-0青

ラインアウトからモールを押し込む。HO竹井が持ち出してトライ。ゴール成功。



【30分】帝104-0青

スクラムからNo8マクカラン-SH小畑と渡り、小畑が抜け出す。さらにWTB子安へパスが渡り、子安が押さえてトライ。ゴール成功。



【35分】帝111-0青

ラインアウトからモールを押し込む。ラックになり、HO竹井、LO金(廉)が前進。さらにラックから、FLロガヴァトゥが持ち出してトライ。ゴール成功。





《BRIEF REVIEW》

対抗戦第3戦の相手は青山学院大学。序盤から体を当て合う激しい展開となる。スコアが動いたのは7分。帝京ボールのスクラムからの攻撃でLO飯野が抜け出して先制トライを奪う。ラインアウトでも飯野が魅せる。相手ボールをうまく奪って、BK展開し、トライにつなげた。守る時間帯もあるが、FB鬼木らの好タックルで止め、前進を許さない。攻めては、敵陣ゴール前でのラインアウトからモールを作ってトライにつなげるシーンが前半だけで4つ。54-0で前半を折り返した。後半は開始早々からエンジン全開。飯野がキックオフのボールをうまくタップしてマイボールにすると、SO松田の前進からHO堀越が抜け出し、後半開始33秒でトライを奪うと、その直後のキックオフからもPR岡本、LO飯野、WTB竹山の走りで前進。最後はNo8マクカランに渡ってトライ。さらにCTB矢富の走りでトライを奪うなど、後半開始4分で3トライの猛攻を見せた。ペナルティから攻め込まれる場面はあるものの、全員でしっかり守り、得点は許さない。111-0でノーサイド。帝京が対抗戦3連勝を飾った。





《POST MATCH INTERVIEW》



■岩出雅之監督

「今日のゲームもこれまでどおり、ラグビーの芯の部分にこだわったプレーを期待して送り出しました。丁寧さに欠けた細かなミスがありましたし、技術的にももっと伸ばしていかなければならないところもありましたが、メンタルの部分も含め、この時期としては総じていい形を出せていたように思います。10月に入り、チームとしてもここからよりいっそう上げていきたいという引き締まった気持ちを学生たちが感じ取って、さらにいい積み上げをしていくためのきっかけにしてくれたらと思っています。次から秩父宮ラグビー場での試合が続きますが、悪天候の影響もあり、グラウンド・コンディションがあまりよくないと聞いております。ケガのないように、丁寧なプレーを慎重にやってほしいと思っています。最後になりましたが、青山学院大学ラグビー部の選手、スタッフ、関係者の皆様に感謝申し上げますとともに、今後のご健闘をお祈りいたします。」



■キャプテン・FL亀井亮依(4年)

「試合前、丁寧なプレーをしよう、そして芯のプレーを激しく、徹底してやろうと言って臨みました。しかし、小手先のプレーをしてしまったことによる細かなミスが出てしまいましたので、そこは修正点です。プレッシャーのかかる前の状況判断をもっと練習から磨いていかないといけないと思いました。ディフェンスは練習から厳しくやってきて、スコアもゼロで抑えられたのでよかったのですが、ペナルティやタックルミスが目立ったように感じたので、そこをもっと徹底して修正していきたいです。特にメンバーチェンジ直後の連携のところがよくなかったので、誰が出てもいいコミュニケーションをして、連携が取れるようにしていきたいです。今後はこれまで以上にプレッシャーが厳しい試合になってくると思いますが、やることは同じ。自分たちの強みを前半の最初から出していって、痛いところで体を張るプレーをしていきたいと思います。」



■セットプレーを安定させ、好タックルも連発・HO堀越康介(3年・ゲームMVP)

「今日はチームとしては、ラグビーの芯の部分をいかに正確に激しくできるかということ、FWとしてはセットプレー、特にスクラムでどこまで正確に、そして激しくできるかを意識してやりました。かなりできていたと思うのですが、パスミスやダウンボールでのミスが多く出てしまいました。そこは今後戦う中では流れを悪くしてしまうプレーになってくるので、集中してプレーしていきたいです。個人的には、今後、スクラムがキーになってくると思っているので、しっかりスクラムを押すことにこだわってプレーしていきたいです。来週、強いサントリーさんと練習試合ができるので、まずそこに向けてしっかり練習して、次の対抗戦以降でもいいスクラムが組めるようにしていきたいと思います。」



■復帰戦は1トライも、つなぐプレーで存在感を見せる・WTB竹山晃暉(2年)

「今日は一言で言い表すと『楽しかった』です。久しぶりのゲームになりましたが、やはりラグビーをしているのが一番好きなので、自分自身の中ですごく楽しみにしていた試合でした。今後は、この楽しみ方を変えながら、シーズンを送っていけたらと思っています。プレー面では、WTBとして走り切ってトライすることができませんでした。その分、アシストできたとは思うのですが、厳しい場面でトライを取り切らないといけないので、そこが課題として出ました。もっとスプリントのスピードを上げて、ボールを持ったらトライを取り切るように、僕がボールを持ったらサポートの仕事はないというくらいになれるようにしたいです。プレーを丁寧にやることが今の目標なので、一つ一つのプレーを正確にやっていくことで自分が強くなっていけると思っています。丁寧さこそが今後への課題です。パワーの部分もまだまだなので、ウエイトトレーニングも継続して頑張っていきたいと思っています。」





《PICK UP PLAYERS》

セットプレーも安定、途中出場で2トライを奪取

HO 竹井 勇二(4年)

TAKEI YUJI



医療技術学部スポーツ医療学科

御所実業高校出身

身長183cm/体重105kg



■今日の試合はどのような気持ちで臨んだのでしょうか?

「今日は後半から出るメンバーとして、出たときにゲームを力強いものにし、チームを元気づけるプレーをしようと思って臨みました。」



■実際にプレーをした手応えはどうでしたか?

「ボールキャリーの場面では何度かいいゲインができたのでよかったと思いますが、ディフェンス面、特にタックルスキルの部分でチームを勢いづけることができませんでした。」



■ラインアウトは安定していたように見えました。

「Aチームはみんながいろいろなところを見てリードしてくれるので、そこに僕がしっかり投げることを意識してやるだけでした。とてもやりやすかったです。」



■モールでトライを2つ奪いました。

「そこは僕の役割なので、しっかり取り切る丁寧さを意識してプレーしました。」



■自信も付いてきたように見えます。

「モールでのトライも、FWの強みでもある『Go Forward』することも、少しずつですが、自信が付いているように思います。」



■自身の成長に手応えを感じているのではないですか?

「自分に対する信頼感を裏切らないような、丁寧なプレー、力強いプレーを徹底して、4年生として責任あるプレーを常に心掛けています。」



■今、「4年生として」という言葉がありましたが、帝京大学ラグビー部は4年生の役割がとても重要ですね。

「ジュニア(Bチームでの公式戦)ではキャプテンをさせていただくことが多いのですが、そこでも言葉だけではいけない難しさがありますので、自分のプレーをしっかりやることを第一に考え、まずはプレーで引っ張っていけたらと思っています。」



■4年生はプレー以外でも求められるものがたくさんありますね。

「はい、後輩たちのお手本をなるような行動をしていきたいと思っています。」



■今後への意気込みをお願いします。

「姿で見せるという部分は少しずつながら成長できていると思いますが、まだまだ足りないので、もっと力強い、責任あるプレーをして、チームが勢いづくプレーをしていきたいと思います。」





後半途中からの出場。スクラム、ラインアウトともに安定させ、ラインアウト・モールから2トライを奪う。フィールドプレーでもいい動きを見せた。本人は「タックルミスがあった」と反省するが、自覚できている部分は伸びしろだとも言える。ジュニア選手権ではキャプテンを経験するなど、4年生としてのリーダーシップも身につけている。岩出監督も「競争の激しいポジションだが、かなりの成長が見られるのでメンバー入りできている」と評価する。帝京では毎年、シーズン中に、周囲が驚くほどの成長を見せる4年生が必ず登場するが、その一人になるための条件は十分に兼ね備えているようだ。





《COLUMN》

――上級生になるということ――



この日の午前中、百草グラウンドで予定されていたタグラグビー教室が雨のため中止になってしまいました。10時前後を中心に、午前中は激しい雨が降りました。



対抗戦のキックオフは14時。幸い、12時前には雨は上がりましたが、グラウンドには水が浮き、お客さんが座るための椅子も水浸しでした。激しい雨だったため、テントなどもまだ張られていません。学生たちは急いで準備に取り掛かりました。



準備の中心メンバーはもちろん4年生。まずはベンチを立てて、水を流し、紙や布で残った水を拭き取っていきます。屋根付きのベンチも、激しい雨が吹き込んでびしょびしょですので、同じように拭き取っていきます。



次に椅子をよけて、コンクリートの部分の掃き掃除です。人工芝から出る細かく黒い粒が、水に流されて散らばっています。これらがあっという間に、掃き集められていきました。



そして、グラウンドの中のゴミ拾い。十数人が横一列になって、前かがみになりながら、端から順にグラウンド上に落ちているゴミなどを拾います。雨で金属片などが流れてくると、小さなものでもとても危険です。念入りに、グラウンド上を調べていきます。



これらは下級生がやってもいい仕事なのかもしれませんが、やはり上級生だから気づくこと、上級生だからできることの方がたくさんあるのは間違いありません。特に「危険」につながることは、上級生でないと気づかないことも多いでしょう。



「危険に気づく」といえば、この日、タッチライン際で試合の戦況をうかがっていた主務の岡崎が、試合中にもかかわらず、突然、「〇〇(チームメイトの名前)、ちょっと『おもり』を持ってきて」と叫びました。このとき、急に風が強くなってきていました。岡崎は、「強風でテントが飛ばされたらたいへんだ」と気づき、テントの足を「おもり」で固定して、強風でも吹き飛ばされないようにしようとしたのです。



普段なら、自分でやったと思いますが、試合中、主務はレフェリーへの選手交代の連絡などの重要な仕事があるため、仲間に頼んだのでしょう。もし岡崎が「強風でテントが飛ばされるかもしれない」と気づかず、おもりで固定するという行動をしなかったら、本当にテントが強風で飛び、ケガをする人が出ていたかもしれません。



もちろん、その前に別の誰かが気づいて行動したかもしれませんが、試合中の自分の役割を全うしつつ、別のことにも気を配ることができるのは「さすが、4年生」と思わせるものがありました。



「上級生になる」というのは、もしかすると「気づきの量が増える」ことなのかもしれません。





《THE NEW FACE》


ニューフェースたちの声を紹介します。



WTB・FB 石田龍之介(1年)

京都成章高校出身

身長168cm/体重68kg

「自分の強みはランプレーでのステップワークです。体が小さいので食事をしっかりとることとウエイトトレーニングを頑張っています。帝京大学ラグビー部は、先輩方の行動や発言が、ラグビー以外の私生活の部分でも勉強になることばかりで、すごいと感じています。雑務仕事や掃除なども、何も言わずに、先輩方から率先してやる姿を見せてくださるので、自分たちも見習っていきたいです。今はケガをしているのですが、少しでも早く治して復帰して、帝京大学ラグビー部のプレーヤーとしてチームに貢献したいですし、人間としてももっと成長していきたいです。」



HO・FL 藤丸翔太(1年)

ロトルアボーイズハイスクール出身

身長172cm/体重86kg

「僕の強みは、痛いところで体を張れるところです。当たりには自信があります。課題としては、ラグビーの理解度がまだまだなので、もっと勉強して、成長していきたいと思っています。僕は海外の高校にいたので、知り合いが誰もいない状態で入ったのですが、寮生活もとても充実していますし、友達も増えてとても楽しいです。高校生は、同じ学校の人がいないと不安に思うかもしれませんが、先輩方もみんなやさしく、支えてくださるので大丈夫です。この4年間で、ラグビー面だけでなく、ラグビーを通して人生についてもよく考えて、幸せな人生を送れるように頑張りたいと思っています。」



HO 長谷川耀(1年)

佐世保工業高校出身

身長175cm/体重94kg

「自分の強みは力強いランと、ブレイクダウンでの働きです。今、練習ではタックルに重きを置いてやっています。Aチームの選手のように激しいタックルができるようになりたいと思って、練習に励んでいます。帝京大学ラグビー部は、ラグビーだけではなく、人間的な成長にも力を入れていて、ラグビーでの成長プラス人間的な成長ができるクラブだなと、入ってみて改めて感じています。BKからFWに転向したこともあって、まだ体が小さいので、まずは体づくりをしっかりやって、早く上のチームに上がって活躍したいです。」




《NEXT MATCH》

関東大学対抗戦A

対慶応義塾大学(https://www.kurfc.com/)

10月23日(日) 秩父宮ラグビー場

14時キックオフ



過去の対戦成績:関東大学対抗戦9勝8敗1分(大学選手権5勝0敗)

[慶應義塾大学の直近5戦]

8月17日 ●7-54帝京大学(夏期練習試合)

9月4日 ○31-21立教大学(定期戦)

9月18日 〇28-20筑波大学(関東大学対抗戦A)

10月2日 ○85-7成蹊大学(関東大学対抗戦A)

10月9日 ○55-0日本体育大学(関東大学対抗戦A)



(文/木村俊太・写真/川本聖哉)
 

特集一覧