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関東大学対抗戦A 慶應義塾大学戦

関東大学対抗戦A 慶應義塾大学戦

2016/10/25

10月23日(日)・秩父宮ラグビー場

○帝京大学(4勝)42-31慶應義塾大学(3勝1敗)●



《帝京大学》

[FW]

(1)西⇒淺岡(2)堀越⇒竹井(3)呉(味)⇒平井(4)飯野(5)金(嶺)⇒姫野(6)古田(7)亀井(8)マクカラン

[BK]

(9)小畑⇒末(10)松田(11)竹山⇒吉田(12)金村(13)本郷⇒中村(14)子安(15)宮上⇒重



《慶應義塾大学》※先発のみ

[FW]

(1)細田(2)松岡(3)角田(4)豊田(5)佐藤(6)廣川(7)松村(8)鈴木

[BK]

(9)中鉢(10)古田(11)清水(12)堀越(13)木口(14)高野(15)楠本



【前半】【得点経過】

【15分】帝0-7慶

スクラムから連続で攻められ、トライを奪われる。



【20分】帝7-7慶

ラインアウトからモールを押し込み、HO堀越がトライ。ゴール成功。



【28分】帝14-7慶

FW、BKで連続攻撃。ラックからSH小畑-LO飯野と渡り、飯野が抜け出してトライ。ゴール成功。



【39分】帝21-7慶

ラインアウトからモールを押し込む。ラックになるも、さらに連続攻撃。ラックからHO堀越が持ち出してトライ。ゴール成功。



【43分】帝21-10慶

PGを決められる。



【後半】【得点経過】

【2分】帝28-10慶

ラインアウトからモールを押し込み、HO堀越がトライ。ゴール成功。



【15分】帝28-17慶

スクラムから連続で攻められ、トライを奪われる。



【18分】帝35-17慶

キックオフから連続攻撃。ターンオーバーされるも、FL古田がすぐに奪い返し、LO飯野に渡す。飯野からNo8マクカラン-FB重-CTB金村-WTB吉田と渡り、吉田が抜け出してトライ。ゴール成功。



【24分】帝42-17慶

ラインアウトから連続攻撃。LO姫野、WTB子安、CTB本郷、HO堀越らが前進。堀越がタックルを受けながらLO飯野に渡し、飯野がトライ。ゴール成功。



【32分】帝42-24慶

スクラムでインターセプトされ、持ち出されて、トライを奪われる。



【37分】帝42-31慶

ラインアウトからモールを押し込まれ、トライを奪われる。





《BRIEF REVIEW》

対抗戦第4戦の相手は慶應義塾大学。試合開始からしばらくは、攻守が目まぐるしく入れ替わる展開。帝京はWTB竹山らの前進でチャンスを作るも、得点にまでは至らない。スクラムでやや安定感を欠くと、その後は自陣ゴール前で耐える時間帯が続く。15分には、スクラムから展開され、先制点を許してしまった。しかし、ここからすぐに立て直す帝京。20分にラインアウト・モールからHO堀越のトライで追いつくと、28分には連続攻撃からLO飯野が抜け出し、BKのような走りでトライを奪い、逆転。39分にも堀越のトライで加点し、21-10で前半を折り返した。後半は開始早々にモールから、堀越がこの日、自身3つ目のトライを奪って突き放す。18分にはFL古田のターンオーバーから展開し、WTBの位置に入った吉田がトライ。24分にはHO堀越の突破からLO飯野がトライを奪い、大きく突き放した。その後、点差は縮められたものの、42-31でノーサイド。帝京が対抗戦4連勝を飾った。





《POST MATCH INTERVIEW》

■岩出雅之監督

「今日は慶應大学さんのいいところが出た試合だったと思います。自分たちがやれることがあまりできず、それによって相手を勢いづけてしまったところがありました。試合の内容については、『あまりネガティブに捉えることなく、しかし、出た課題はいい薬としていこう』と、学生たちには話しました。また、ハーフタイムには、『一生懸命プレーする慶應大学さんの姿勢に対してリスペクトして頑張ろう』という話をしました。今日の試合の反省を学生たち自身がどういう形で見せてくれるかに期待したいと思います。最後になりましたが、いつも常に全力プレーで戦ってくださる慶應大学の選手のみなさん、そしてスタッフ、関係者の方々に感謝申し上げます。」


■キャプテン・FL亀井亮依(4年)

「今日は、前半のスタートからクロスゲームを予測していました。そうしたタイトな、厳しい状況の中で、どれだけ挑戦していけるか、厳しいプレーができるかをテーマに、試合に臨みました。局面によっては、自分たちのミスやタックルの甘さなどで相手にチャンスを与えてしまったところも見られたので、課題も出た試合になりました。厳しい状況の中での基本プレーの大切さを痛感させられたので、どんな状況でも基本プレーをしっかりとできるように練習していきたいと思います。今日のゲームをもう一度しっかり見つめ直して、自分たちの原点であるディフェンスを修正して、次戦に臨みたいと思います。」



■FWとBKの間でチームをしっかり動かしていきたい・SH小畑健太郎(2年)

「今日はブレイクダウンで相手に食い込まれたところがありました。もっとFWを早く呼んでいれば、いいプレーができたと思います。ディフェンス面では、FWとBKの連携がややよくなかったので、そこは自分がしっかり動かしていきたいです。自分のプレーとしては、タックルで体を張れていないところがあったので、ラグビーの芯の部分であるタックルをもっと頑張りたいです。次戦では自分のやるべきことを考えて、FWをしっかり動かしたり、BKに指示を出したり、FW、BKの間チームをどのように動かしていけるかをもっと考えてプレーし、そして自分はもっともっとタックルに行きたいと思います。」



■全員が同じイメージを持ってプレーしたい・SO松田力也(4年)

「今日は先に点を取られて、相手のペースになってしまう時間帯もありましたが、敵陣でプレーすればFWがしっかり点を取ってくれたので、エリアマネジメントの部分では手応えはありました。ただ、ずっとゲームを支配できていたわけではなかったので、そこは反省して、次の試合に活かしたいと思います。特に立ち上がりはミスで相手に流れを渡してしまったところがありました。常に敵陣でプレーすることを意識していましたが、その中で細かいミスが出てしまい、流れを悪くしてしまいました。アタックではもっとスペースを見てアタックしていかないといけませんし、全員でしっかりコミュニケーションして、同じイメージを持ってプレーできたらもっと試合運びも楽になったのではないかと思います。次戦はよりしっかりといい準備をして臨みたいと思います。」



■タックルでチームを鼓舞できる選手になりたい・CTB本郷泰司(1年)

「今日は対抗戦初出場でしたが、少し課題が残る試合になりました。自分のディフェンスがあまりできませんでした。秩父宮ラグビー場でのプレーも初めてで、正直、もっと緊張するかと思っていたのですが、グラウンドに立ったら意外と大丈夫で、気持ちの面では余裕を持ってできたかなと思っています。自分の課題であるタックルを磨いて、相手を圧倒するようなタックルをして、自分のタックルでチームを盛り上げていけるような、チームを鼓舞できるような選手になっていきたいと思います。」








《PICK UP PLAYERS》

ターンオーバーでピンチを救い、トライを演出



FL 古田 凌(3年)

HURUTA RYO



医療技術学部スポーツ医療学科

京都成章高校出身

身長183cm/体重100kg





■まずは今日のゲームを振り返ってください。

「今日は満足のいくプレーがあまり出せませんでした。秩父宮ラグビー場でのプレーも初めてでしたが、この経験をしっかり次につなげていきたいと思います。」



■初めての秩父宮はやはり緊張しましたか。

「いや、緊張はむしろ、ほどよい緊張感、いい緊張感で、集中してプレーはできていたと思います。」



■ここまでAチームで出場する機会も増えていますが、自身の手応えはいかがですか。

「この夏あたりから、徐々に自分のプレーというものがしっかり出せるようになっていると思うので、そこはもっともっと伸ばしていきたいと思っています。今日に関しては満足できていないのですが、いい経験をさせていただいたと思うので、ポジティブに考えて、次につなげていきたいと思います。」



■自身の成長の手応えとして、一番感じるのはどのようなところでしょうか。

「ブレイクダウンやタックルで肩を当てることができるようになってきたことかなと思います。まだまだ足りないと思いますが、以前よりはよくなっていると感じます。」



■今日の試合の話に戻りますが、スクラムとブレイクダウンの部分はどう分析してしますか。

「スクラムは、最初は押されたシーンもありましたが、その後は試合中に、ある程度は修正できていたと思います。ブレイクダウンは、前に出る意識は僕たちにもあったのですが、越えていくところでミスがあったのかなと思います。」



■では、今後への意気込みをお願いします。

「もっともっとレベルアップして、Aチームに定着できるように頑張っていきたいと思います。」



タックル、ブレイクダウンでの働きの部分で、本人もかなりの手応えを感じている。華やかにボールキャリーするシーンはそれほど多くないが、痛いところで体を張り続けることができている。この試合、仲間がチャンスでターンオーバーされたシーンがあったが、そこへ駆け寄り、体を張って瞬時にボールを取り返し、事なきを得ただけでなく、トライを奪う起点となった。ボールへの嗅覚の鋭さを物語るシーンだ。痛いところで体を張り続ける仕事人が、大きな成長を見せ始めた。





《COLUMN》


――いい緊張感とよくない緊張感――

この日は、今シーズン初めて、秩父宮ラグビー場でのゲームとなりました。それまでの3試合は百草グラウンドでのゲーム。いわば「ホームゲーム」であり、普段の練習環境と同じ感覚で試合に臨むことができました。

しかし、秩父宮ではそうした環境とはまったく異なります。移動があり、警備員さんが入場制限するロッカールームがあり、スタンドがあり、大勢のお客さんがおり、校歌斉唱があり……。これまでとは違う手順で試合に向かうことになります。

こうした手順に慣れている選手にとっては何でもないことかもしれません。しかし、初めて経験する選手たちにとっては、秩父宮という舞台を意識するだけで大きな緊張感に包まれるに違いありません。

そんな状態でグラウンドに立ち、普段通りのプレーができるかどうか。二週間前の試合のとき、亀井キャプテンもその点に懸念を示し、「初めて秩父宮でプレーする選手たちをどうやってリラックスさせるかを考える」と話してくれました。

ところが、です。

この日、初めて秩父宮でプレーしたFL古田、CTB本郷(本郷は対抗戦初出場)に話を聞いてみると、両名ともに「思ったほど緊張はせず、余裕を持ってプレーできた」「むしろ、いい緊張感で集中できた」と語ってくれました。


「物おじしない今どきの学生」と評してしまえばそれまでですが、その裏には「緊張も、ほどよいものなら、かえって味方にできる」と知っていたことが大きいと言えます。


岩出監督は普段から「リラックスしすぎも、緊張しすぎもよくない。しかし、ほどよい緊張感は集中力を高めてくれる。だから、ほどよい緊張感になるように自身のメンタルをコントロールできるようにしよう」と指導しています。「緊張しすぎている」と思ったらリラックスするように、「リラックスしすぎている」と思ったらもっと緊張感を高めるように意識をしてほしいということです。


前出の二人は、緊張感を「程よい状態」に保ち、集中力に変えることができていたようです。


この日はまた、亀井キャプテンにとっても初めて経験することがありました。試合後の共同記者会見です。これも二週間前に聞いたときには「めちゃくちゃ緊張します」と話してくれました。


しかし、会見後、ある記者さんと亀井について話したところ、「え? 亀井君、記者会見初めてだったの? 全然わからなかった。きちんと堂々と話していたから」との答えが返ってきました。


亀井キャプテンも、「程よい緊張感」で共同記者会見に臨めていたようです。

そして、チームもこの日の経験を経て、さらなる成長が促されました。





《THE NEW FACE》



ニューフェースたちの声を紹介します。



WTB 金子新(1年)

成蹊高校出身

身長178cm/85kg



「自分の強みはアタックでのランプレーです。接点での強さ、ボールをキープするプレー、タッチライン際でタックルされても、外に出ずに粘るところなどには自信を持っています。課題はいろいろと見つかっているのですが、先輩方からはコミュニケーションの大切さをアドバイスされています。また、ハイボールのキャッチングなど基礎的なスキルの向上に取り組んでいます。帝京大学ラグビー部は、すべてに対するスピードの速さがすごいです。練習の切り替えの速さ、リアクションの速さ、移動の速さ、片付けの速さなどなど、すべての行動が素早いです。今後は一試合でも多く、上のチームで活躍できるように、自分の課題を一つ一つ克服していきたいです。」





FB・SO 井上亮(1年)

高鍋高校出身

身長175cm/体重83kg



「キックキャッチからのカウンターアタックを自分の中では強みとしています。ボールキャリーの部分を試合の中で前面に出していきたいと思っています。FBもSOも高校時代にはやったことがないポジションで(高校時代はCTB)慣れない部分はありますが、いろいろなポジションができる柔軟性を自分の持ち味としたいと思っています。フィットネスも大事なので、もっとコンタクト力を上げていきたいです。また、キックもうまく使えるように練習しています。帝京大学ラグビー部はのびのびとしているイメージがあったのですが、入ってみると、のびのびやっている中でもみんながしっかりと考えて行動していると感じました。ラグビーがうまいだけじゃなく、考えてプレーし、私生活でもよく考えて行動するので、そういう部分を学ばせていただいています。まずは、一つでも上のチームに上がって、貢献していきたいですが、自分の課題を明確にして一つずつレベルアップしていきたいと思います。」





SH 諌山光(1年)

大分雄城台高校出身

身長161cm/体重66kg



「自分の強みはタックルです。ただ、大学に入って、技術や体格の部分で劣っていることがよくわかり、自分の強みがまだまだ通用しないことがわかったので、もっとタックルを強化してアピールしていきたいと思っています。遠い位置からではなく、相手の懐に入るタックルをしていきたいです。高校時代はSOで大学からSHに変わったのですが、ハンドリングやパスのスキル、状況判断がまだまだなので、しっかりとできるようにしたいと思っています。帝京大学ラグビー部は、もともとラグビーの強さと人間性を高められるクラブだとはわかっていましたが、自分の想像をはるかに上回っていました。一人一人がラグビーについて本当に真剣に考えていますし、上級生が支えてくださる中で僕たちはのびのびと考えることができる環境がありました。まずはSHとしてしっかりとしたパスを届けられるように、その中で状況判断を磨いていって、上のチームで活躍できるようになりたいと思います。」





《NEXT MATCH》

関東大学対抗戦A

対早稲田大学(http://www.wasedarugby.com/

11月6日(日) 秩父宮ラグビー場

14時キックオフ



過去の対戦成績:関東大学対抗戦10勝27敗(大学選手権4勝2敗)

[早稲田大学の直近5戦]

8月24日 ●19-52東海大学(夏期練習試合)

9月17日 ○71-0成蹊大学(関東大学対抗戦A)

10月2日 〇46-12筑波大学(関東大学対抗戦A)

10月16日 ○45-40日本体育大学(関東大学対抗戦A)

10月23日 ○48-19青山学院大学(関東大学対抗戦A)



(文/木村俊太)

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