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第38回ジュニア選手権・決勝トーナメント決勝 東海大学戦

第38回ジュニア選手権・決勝トーナメント決勝 東海大学戦

2016/11/28

11月26日(土)・秩父宮ラグビー場

○帝京大学35-7東海大学●



《帝京大学》

[FW]

(1)淺岡⇒當眞(2)竹井⇒大西(3)平井⇒岡本(4)金(廉)⇒今村(5)金(嶺)(6)古田(7)申(8)吉田

[BK]

(9)末(10)矢澤⇒中村(11)子安(12)本郷⇒鬼木(13)重(14)亀井(康)⇒藤田(15)元田



《東海大学》※先発のみ

[FW]

(1)津志田(2)大塚(3)春名(4)ロバーツ(5)中島(6)田澤(7)丸本(8)村松

[BK]

(9)小柳(10)眞野(11)加藤(12)山菅(13)小野木(14)リード(15)青木



【前半】【得点経過】

【17分】帝7-0東

ラックでターンオーバーして連続攻撃。BKに展開して、FB元田が抜け出し、走り切ってトライ。ゴール成功。


【34分】帝14-0東

ラインアウトからFWで連続攻撃。ラックからLO金(嶺)が持ち出してトライ。ゴール成功。



【後半】【得点経過】

【11分】帝14-7東

ラインアウトから連続で攻められ、モール組まれてトライを奪われる。


【25分】帝21-7東

スクラムから連続攻撃。ラックからLO今村に渡り、今村が抜け出してトライ。ゴール成功。


【39分】帝28-7東

ラインアウトからモールを押し込み、HO大西がトライ。ゴール成功。


【42分】帝35-7東

スクラムから、SH末-WTB吉田と渡り、吉田が抜け出し、走り切ってトライ。ゴール成功。





《BRIEF REVIEW》

ジュニア選手権決勝の対戦相手は東海大学。前半、秩父宮ラグビー場が初めてというメンバーもいる中、緊張からか、帝京はミスが散見し、波に乗り切れない。それでも、FW、BKともにしっかりと体を当て続け、前に出る。17分、ターンオーバーからの連続攻撃で、最後はFB元田が相手ディフェンスを振り切って先制トライを奪う。34分にはFWで連続攻撃。ラックからLO金(嶺)がディフェンスの下に潜り込むようにしてグラウンディングし、トライ。攻められるシーンもあるが、しっかりと守り、14-0で前半を折り返した。後半は、セットプレーの安定もあり、ゲーム自体も落ち着きを見せる。しかし、11分にモールでトライを奪われ、7点差とされる。接戦の中、お互い激しく体をぶつけ合う。25分にはFW戦から、LO今村がトライで突き放すと、終了間際にも2トライを奪い、35-7で勝利。帝京がジュニア選手権5連覇を飾った。





《POST MATCH INTERVIEW》

■岩出雅之監督

「まずは、ジュニア選手権で5連覇できたことをうれしく思います。ジュニア選手権カテゴリー1のリーグでの戦いの中で、前半戦は3試合69点ずつ取って、失点も少なく抑えていたのですが、10月末の試合、そして準決勝と、やや甘さの出た試合が続いていました。そんな中、ジュニアのメンバーたちが今後の大学選手権に向けてメンバーに絡んでくるようにレベルアップしてほしいと思って、送り出しました。長い時間、クロスゲームが続きましたが、一つ一つのプレーの大切さを選手一人一人が感じ取ってくれたと思いますし、スキル不足、選択ミスについて各自が問題を認識して、今後に活かしてくれればと思っています。優勝はとてもうれしいのですが、『レベルはもうちょっと上がってこないといけない』と選手たちには言いました。今日のメンバーたちの、対抗戦残り1戦、そして大学選手権に向けての努力を期待したいと思います。」


■ゲームキャプテン・HO竹井勇二(4年)

「今日は、前半から自分たちのミスが続き、入りの部分でいつものテンポでプレーすることができませんでした。秩父宮ラグビー場は初めてというメンバーも少なくない中、緊張もあったと思いますが、一人一人のマインドの作り方に問題がなかったか、そこを検証することが重要だと思います。試合前、普段はあまり声を出さないような選手がしっかりと声を出すなど、いいウォームアップができていたので、それを試合で表現しようと言っていたのですが、甘さとミスが出たためにクロスゲームになってしまったと思っています。ジュニア選手権は優勝できましたが、全員、あくまでもAチームを目指して練習していますので、もっとレベルアップして、Aチームの勝利に貢献できるようにしたいです。」



■緊張の中、そつなくプレーするも、さらなる飛躍を誓う・WTB亀井康平(1年)

「自分の持ち味はディフェンスなので、しっかりと内側とコミュニケーションしてディフェンスしていこうと思って試合に臨みました。ですが、緊張もあって、そのディフェンスであまりいいプレーができませんでした。また、アタックではボールタッチが少なかったので、もっと自分からボールを要求できればよかったです。自分のタックルでチームを盛り上げることができるように、Aチームでも通用するタックルができるように、もっともっと練習していきたいと思います。」


■後半途中からの出場で、ゲームを安定させた・SO中村良真(4年)

「クロスゲームを勝ち切って優勝できたことは、大きな自信になりました。ただ、立ち上がりの組み立ての部分など、自分たちのミスでうまくいかなかったところもあったので、対抗戦、大学選手権を目指すジュニアのメンバーとしては、しっかりと修正していかなければいけないと思いました。自分も含めて今日のメンバーが、今日出た修正点を改善して、対抗戦、大学選手権でも戦えるようにしなければと思っています。後半、自分が入ったときには、スコアも競っていましたので、キックを有効に使って、できる限り敵陣で戦うことで相手にプレッシャーをかけたいという意識はありました。そこはある程度、できたかなと思っています。自分は4年生というラストイヤーですので、常にAチームのメンバーに入りたいという思いを強くもって練習してきました。もっと努力してメンバーに選ばれたら、4年生としてチームをまとめ、SOとしてゲームを組み立てられる存在になりたいと思います。」








《PICK UP PLAYERS》

U20日本代表でつかんだ自信でラインアウトを支配

LO 藤田 達成(2年)

FUJITA TATSUNARI



1996年12月2日生まれ

医療技術学部スポーツ医療学科

東福岡高校出身

192cm100Kg





■ジュニア選手権優勝、おめでとうございます。まずは、試合を振り返ってください。

「ありがとうございます。優勝はとてもうれしいです。今日は、ラインアウトの安定とタックル、ブレイクダウンの痛いところで体を張ることを自分の目標として臨みました。後半からの出場でしたが、後半の最初の時間帯はその目標としていたことができていたと思います。ただ、後半の後半、体もしんどくなる時間帯に、タックルが甘くなったり、ブレイクダウンのところで走り切れていなかったり、連係ミスが出たりしたので、そこは課題として修正したいです。よかったところはよかったと評価して、よくなかったところは修正して、次に活かしていきたいです。」



■いいセービングもありました。

「ありがとうございます。あのセービングはボールの確保まではよかったのですが、セービングしたあと、寝たままになってしまったのはよくなかったです。味方が来てくれたので事なきを得ましたが、味方が来なかったらピンチになっていたところでした。次はすぐに起き上がって、次のプレーができるように、ハードワークできるようにしたいです。」



■体が大きくなったように見えます。

「高校時代から比べると10kg以上、15kg近くは増えています。筋力も増えていると思います。大学に入って、体以上に変わったのは運動量ですね。練習で走る量も高校時代とは全然違いますし、走るラグビーは自分にも合っていると思います。」



■体を張る泥臭いプレーもとても目立っています。

「高校時代の監督さんからも、泥臭いプレーを評価していただいていましたし、そこは帝京でも評価されるプレーなので、自分の強みの一つとしてしっかりやっていきたいです。」



■春はU20日本代表として世界と戦いました。その経験はどのように活きていますか。

「U20での経験はとてもプラスになりました。特にラインアウトでいろいろ細かいところまで教えていただき、ジャンプの精度やボールを取ってから相手プレーヤーの絡みをどう凌ぐかなど、とても役立っています。身につけた技術が外国人相手に通用したことも、ラインアウトでは負けないという大きな自信になっています。」



■では、今後に向けての意気込みをお願いします。

「もっと自分のプレーを磨いて、Aチームで貢献できるように頑張りたいと思います。」





この日は後半開始から登場。ラインアウトを安定させただけでなく、激しいプレー、そしてこぼれ球を追いかけてセービングしてボールを確保するなど、随所でいいプレーを見せた。春にはU20日本代表に選ばれ、世界を相手にたたかったが、そこで得たラインアウトへの自信は、現在では「誰にも負けない」と語れるほど強いものになっている。インタビューも、以前と比べ、言葉数が格段に増え、内容や論旨もとても明瞭になっている。プレーに対する自信が言葉に表れているようだ。今後、成長も大いに期待できそうだ。





《COLUMN》



――ジュニアの「挑戦」は続く――





帝京がジュニア選手権5連覇(5年連続5回目)を飾りました。



Aチームが大学選手権8連覇を目指している中での5連覇ですから、Aチームが大学選手権で連覇を始めた頃には、ジュニア選手権では勝てていなかったことがわかります。



厚い壁に何度も何度も跳ね返され、悲願の初優勝を飾ったのが2012年の第34回大会。当時を紐解いてみると、後に日本代表にも選ばれる東恩納寛太(現・キヤノンイーグルス)、小瀧尚弘(現・東芝ブレイブルーパス)、坂手淳史(現・パナソニックワイルドナイツ)らの名前も見えます。



このときは選手もスタッフも初優勝に喜びを爆発させましたが、同時に「ここで終わりではなく、次へのスタート」と位置付ける姿勢も強く感じられました。岩出監督も試合後のコメントで「今日一日は皆で心から喜んで、そして明日からは皆でさらなる目標に向かって進んでいきたいと思います。」と述べています。



また、当時のゲームキャプテン南藤辰馬(現・近鉄ライナーズ)は「ジュニアの優勝は皆にとって一つの目標でしたが、ゴールではないので、次のフィールドに一人でも多く立てるように、これからも切磋琢磨して皆で出し切りたいです。」と述べています。



こうした姿勢は今年のメンバーも、もちろん強く持っています。優勝したうれしさ、喜びは全員が感じているはずですが、満足している人は誰もいないはずです。



竹井ゲームキャプテンは記者会見で「ジュニア選手権は優勝できましたが、全員、あくまでもAチームを目指して練習していますので、もっとレベルアップして、Aチームの勝利に貢献できるようにしたいです。」と述べました。



喜びもつかの間、選手たちは新たな「挑戦」への努力を続けていきます。





《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。

SO・CTB 金基英(1年)

東京朝鮮高級学校出身

身長177cm/体重82kg

「自分の強みはタックルとキックです。ケガがあって5月から10月ぐらいまでラグビーができなくて、最近ようやく復帰できたのですが、まだ自分の思うようなプレーができず、少し空回りしている状態です。これからもっと頑張って、自分らしいプレーを取り戻していきたいです。帝京大学ラグビー部には先輩方が何事においても率先して、姿で僕たちに見せてくれて、僕たちはそれを見て学ぶことができるという、とてもいい文化があると思います。また、チームがみんな仲良くて、すごくいい仲間に恵まれていると感じています。今まで今シーズンのような長期のケガをしたことがなかったのですが、まずは初心に戻って、自分のプレーを取り戻し、さらにしっかりレベルアップしていきたいです。目標としては、上のチームでいいプレーをして、ファーストジャージを着て活躍したいです。」



FB・WTB 権泰鍚(1年)

東京朝鮮高級学校出身

身長177cm/80kg

「自分の強みはランプレーです。ボールを持ったときのスピードとランニングスキルに自信を持っています。課題としては、まずはケガをしないための体作りとランニングスキル以外の部分、例えばキックやハンドリングスキルなどをもっと向上したいと思って、取り組んでいます。帝京大学ラグビー部は、すべてのことに真剣に取り組む先輩方の姿勢が想像以上でした。ケガがあって、今はまだ自分の納得できるプレーができていないのですが、まずはしっかり体作りから始めて、早く上のチームで活躍できるプレーヤーになりたいと思います。」



FL ジョセファ・ロガヴァトゥ(1年)

ハミルトンボーイズハイスクール出身

身長194cm/体重105kg)

「僕の強みはいいディフェンスができるところです。また、アタックでは、オフロードのスキルやスペースを見つけて前に出るといった部分に自信を持っています。課題は、時々、正確さに欠けてしまうところです。アタックでも、タックルでももっと正確にやりたいです。帝京大学ラグビー部は、みんながとてもやさしくて、誰に対してもウエルカムに歓迎してくれるカルチャーがあると思います。家から遠く離れて暮らしているのに、まるで家にいるかのように過ごすことができています。今後もAチームの先発メンバーとして出続けたいですし、そして優勝に貢献したいです。将来はトップリーグで活躍するのが目標です。」





《NEXT MATCH》

関東大学対抗戦A

対筑波大学(http://club.taiiku.tsukuba.ac.jp/rugby/

12月3日(土) 秩父宮ラグビー場

14時キックオフ



過去の対戦成績:関東大学対抗戦21勝14敗(大学選手権4勝0敗)

[筑波大学の直近5戦]

9月18日 ●20-28慶應義塾大学(関東大学対抗戦A)

10月2日 ●12-46早稲田大学(関東大学対抗戦A)

10月16日 ●28-48明治大学(関東大学対抗戦A)

11月6日 ○46-14日本体育大学(関東大学対抗戦A)

11月19日 ○82-14成蹊大学(関東大学対抗戦A)



(文/木村俊太)

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