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第52回IBC杯ラグビー招待試合 釜石シーウェイブス

第52回IBC杯ラグビー招待試合 釜石シーウェイブス

2017/05/15

5月14日(日)・いわぎんスタジアム

○帝京大学52-0釜石シーウェイブス●


《帝京大学》

[FW]

(1)西⇒岡本(2)金(廉)(3)平井⇒當眞(4)久保(5)秋山(6)今村⇒呉⇒安田(7)申⇒宮上(8)マクカラン(ブ)⇒菅原

[BK]

(9)小畑⇒吉川(10)北村⇒奥村(11)竹山(12)マクカラン(ニ)⇒千葉(13)矢富⇒本郷(14)木村(15)宮上⇒亀井

 

《釜石シーウェイブス》※先発のみ

[FW]

(1)高橋(2)吉田(3)水本(4)畠山(5)佐々木(陽)(6)佐々木(拓)(7)木村(8)伊藤(剛)

[BK]

(9)南(10)中村(11)菅原(12)森山(13)村田(14)関東(15)村井



 

【前半】【得点経過】
 

【38分】帝7-0釜

ラインアウトからFWで前進。HO呉が相手ディフェンスをはじきながら大きく前進し、WTB竹山へパス。竹山が抜け出してトライ。ゴール成功。


 

【後半】【得点経過】
 

【3分】帝14-0釜

ペナルティからWTB竹山がクイック・リスタート。そのまま走り切ってトライ。ゴール成功。

 

【8分】帝19-0釜

ハイパントをキャッチし、カウンターアタック。LO秋山が前進。パスを受けたWTB竹山がさらに前進し、No8安田にパス。安田が抜け出してトライ。

 

【22分】帝26-0釜

ハイパントをキャッチし、カウンターアタック。FB亀井が抜け出し、走り切ってトライ。ゴール成功。

 

【25分】帝33-0釜

ペナルティからクイック・リスタート。FWで前進。ラックからSH吉川-SO奥村-CTBマクカラン(ニ)とつなぎ、マクカランがトライ。ゴール成功。

 

【31分】帝40-0釜

CTBマクカラン(ニ)が大きく前進。ラックからSO吉川-PR岡本と渡り、岡本が抜け出してトライ。ゴール成功。

 

【35分】帝47-0釜

ターンオーバーから連続攻撃。CTB本郷が抜け出してトライ。ゴール成功。

 

【41分】帝52-0釜

ターンオーバーから連続攻撃。CTB本郷が抜け出してトライ。



《BRIEF REVIEW》


IBC杯ラグビー招待試合として、盛岡での釜石シーウェイブスとの対戦。前日には「岩手県ラグビーフットボール90周年記念式典」が行われるなど、試合前から大きな盛り上がりを見せた。この日は日本代表に選ばれているキャプテン堀越、副キャプテン尾崎を欠くメンバー構成。だが、誰が出ても遜色のない力を出すことを大切にしている帝京にとって、経験の浅いメンバーが成長できる絶好の機会でもあった。前半開始直後は帝京ペース。いい形で攻撃を続け、敵陣でのプレーが続く。しかし、経験の浅さが出たか、ミスやペナルティでインゴールにまでは届かない。逆にペナルティから攻め込まれると、自陣ゴール前での守りの時間帯となる。なんとかしのぎ、その後も一進一退の攻防が続く。お互いスコアレスの緊迫した雰囲気を破ったのは38分の帝京。HO呉が縦に突破し、チャンスを作ると、WTB竹山に素早いパス。竹山が抜け出してトライを奪い、均衡を破った。前半はこの1トライだけでハーフタイム。7-0で折り返した。後半は終始、帝京のペースで進む。3分にペナルティから速攻を仕掛けたWTB竹山がそのまま走り切ってトライを奪うと、その後も次々とトライを重ねていく。40-0と点差が開いた後半30分には、地元岩手の黒沢尻北高校出身、WTB千葉が出場すると、会場は割れんばかりの拍手が起こった。このあともBKで2トライを奪った帝京が52-0で勝利した。なお、千葉と同じく黒沢尻北高校出身の大澤も、この日はチームスタッフとして多くの仕事を担当し、円滑な大会運営に貢献した。







《POST MATCH INTERVIEW》


■岩出雅之監督


「今日は経験の浅い選手が多く出場しましたが、意図的に選んだ部分と練習等でいい結果を出したことで選ばれた部分の両方がありました。特に1年生に関しては、今日は皆、総じていいプレーをしてくれたのではないでしょうか。チームは一気に進化していくわけではなく、経験を積み重ねることによって成長していきますので、その点ではいい経験をさせていただいたと思います。ただ、もっと厳しさを出していけたはずの部分も多々ありました。取り組み姿勢から、もっと厳しくやっていかなければいけないと感じています。誰しも急にはうまくはなりませんので、少しずつ、経験を通して、成功して、失敗もして学んでいってほしいです。成功して自信をつけ、失敗して謙虚になっていく。この繰り返しだと思います。まだまだ幼さの残る選手もいますので、こうした学びがより大事になってくると思います。根気よく、コツコツと経験値を高めていってほしいと思います。最後になりましたが、釜石シーウェイブスRFCの皆様、IBC岩手放送の皆様、岩手県ラグビーフットボール協会の皆様、エスコートキッズをしてくれたラグビースクールのお子さんたち、ならびに保護者の皆様、スクール関係者の皆様、大会運営に携わられた関係者の皆様に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。



ゲームキャプテン・HO金廉(4年)


「今日はキャプテン、副キャプテンがいない中でしたが、どうやって自分たちがやってきたこと出せるかをテーマに臨みました。準備はしていたのですが、前半、受け身に回ってしまったところがあり、自分たちのやりたいことができなかった部分がありました。後半になって、戦い方をシンプルにしたところ、風上ということもあり、自分たちのペースにしていくことができたのはよかったと思います。ゲームキャプテンとして、あるいはキャプテン不在のチームを普段から引っ張っていくという経験をさせていただき、考え方や一つ一つの発言、自分がどのように行動していくかという姿の部分で、もう一度、自分自身を見つめ直すことができていると思います。堀越、尾﨑が帰ってきても、彼らにばかり頼るのではなく、自分たちがやってきたことを彼らと共有しながら、いいチームを作っていきたいと思います。今日は、自分にとしてもたくさんの反省点が出ましたし、チームとしても改善点が出ましたので、その反省を活かしていきたいです。次の東海大学さんとの試合まで少し間があくのでしっかり準備して、そして勝ちたいと思います。」


■身長を活かしたラインアウトキャッチに手応え・LO久保克斗(1年・ゲームMVP)




「今日は大学に入って初めての試合だったのですが、ラインアウトなど自分が通用する面もあって、そこがわかってよかったです。ただ、まだ先輩たちに言われて行動している部分があるので、そういったところを少しでもなくしていきたいと思います。この試合で出た反省点をしっかり修正して、次の試合に臨みたいと思います。」


■社会人相手にもタックルに自信・WTB木村朋也(1年)
 



「今日はまず自分ができることを精いっぱいやろうと思って、試合に臨みました。その結果、タックルなど体を張るプレーは自分の中ではできたかなと思うのですが、WTBの仕事であるトライを取ることができなかったので、そこは次への課題だと思いました。試合前はすごく緊張していたのですが、先輩方が『自分のできることをやればいいよ』と言ってくださったので、試合開始の時点では、気持ちの上でもいい準備ができていたと思います。今後は自分のできることを増やしていって、チームに貢献できるプレーヤーになりたいと思います。」


■周囲の声掛けで緊張をパワーに変えた・No8安田司(1年)
 



「試合前は不安や緊張など、いろいろな気持ちがあったのですが、岩出監督やコーチ、先輩方に『思い切ってやればいい』『おまえの強みを出せばいい』と声を掛けていただき、自分自身、思い切ってプレーしようという気持ちで試合に臨むことができました。通用する部分も足りない部分もよくわかりましたので、また明日から頑張って練習していきたいと思います。」


■強気にギャップへ走り込む突破力が武器に・SO奥村翔(1年)




「今日は後半から入りましたが、SOとして状況判断の部分をテーマとしてやろうと思って臨みました。しかし、社会人相手に体の面で通用しなかったところがあり、状況判断もうまくできませんでした。ただ、自分は間を見つけてランで突破するのが得意なのですが、そこは出せたかなと思います。これからもさらにタイトな試合が続いていくと思うので、そこでいい経験をして、成長していきたいと思います。」
 

■釜石シーウェイブス・中村良真選手(帝京大学OB)




「今日は帝京相手だと意識せず、シーウェイブスの一員としてしっかり戦おうと思って臨んだのですが、相手がよく知っている後輩たちばかりだったので、やはり試合が始まるといろいろな思いで気持ちがたかぶってしまいました。また、わざわざこの岩手の地に足を運んでいただいたので、自分がいいプレー、体を張ったプレーをして、岩出監督やチーム関係者の方々に恩返しができたらという思いで戦いました。帝京はやっぱり強いですね。後半にテンポが上がってくるというのは、他のどのチームにもない特徴だと思います。9連覇を目指して頑張ってください。シーウェイブスもトップリーグ昇格を目指して頑張っていますので、お互いにいい刺激を与え合いながら、目標に向かって頑張っていきましょう。」

 


《PICK UP PLAYERS》


地元岩手で成長ぶりを披露

WTB 千葉啓寛(4年)

CHIBA HIRONORI

 

1995年7月26日生まれ

教育学部教育文化学科

黒沢尻北高校出身

身長168cm/体重72kg



■地元岩手でのゲームでしたが、いまの気持ちを聞かせてください。


「地元の方々にたくさん応援していただいて、本当に力になりました。改めて、これからもチームに貢献して、挑戦していきたいと思いました。」

 

■メンバー入りはいつ知らされたのでしょうか。
 

「昨日です。言われたときは、緊張で『明日はどうしたらいいだろう』『何をしようか』とずっと考えていましたね。」

 

■試合にはどんな気持ちで臨んだのでしょうか。


「昨日、とても緊張した分、今日はむしろ冷静になれて、アップのときにはすごく落ち着いていて、自分が準備したことをしっかりやって、勝利に貢献しようと思って臨みました。」

 

■出場時、出身高校までアナウンスされて、大きな拍手が沸き起こりました。アナウンスや声援は聞こえていましたか。


「はい、もちろん聞こえました。とてもうれしかったです。昨日の『岩手県ラグビーフットボール90周年記念式典』に出席させていただいたときにも、地元の方々からたくさんの応援の声をいただきましたし、これからもしっかり努力していかなければという気持ちになりました。」

 

■試合は、残り10分からという短い時間でしたが、チャンスでうまくフォローに走り、パスをもらえばトライという場面も2回ぐらいありましたよね。


「どちらもCTBの本郷がそのままトライしました(笑)。でも、トライはチームで取るものですので、よかったと思います。」

 

■チームでは4年生としてのリーダーシップも要求される立場だと思いますが、そこへの意識はいかがですか。


「自分は学生コーチもやっているので、チームのリーダーとして、さらにチームが進化していけるように、去年の文化を継承して、追いつき、追い越せるように頑張っていきたいと思っています。もちろん、Aチームとして試合に出て活躍できるように、自身のプレーも成長させていきたいです。」

 

■改めて、今後への意気込みをお願いします。


「まずは学生コーチとしてチームにしっかり貢献して、いちプレーヤーとしてもAチームに挑戦していきたいと思います。」

 

 

後半30分からの出場。出身高校と名前がコールされると、スタジアムはこの日一番の盛り上がりを見せた。プレーの面でも、チャンスでフォローに走り、ボールをもらえればトライという局面を何度も作り出した。結果的に、自身のトライはなかったが、常に次の場面を想定してしっかりと走っていた。普段は、4年生として、そして学生コーチとしてチームを引っ張る役割を担う。これまでAチームでの経験は少ないが、この日のゲームは大きな刺激になったはずだ。「もちろん、Aチームとして試合に出て、活躍したいです」とさわやかな笑顔で語る目の奥には、その穏やかな表情とは違う、強い決意が現れていた。







《COLUMN》


――笑顔でいいプレーを生み出す――

  

この日は、盛岡市のいわぎんスタジアム(盛岡南公園球技場)で釜石シーウェイブスとの試合でした。

帝京はキャプテン、副キャプテンが日本代表戦への参加で不在。1年生、2年生ら経験値の浅いメンバーも多くいる中での、社会人との対戦となりました。

前半は押し気味で進めながらも、攻めきれずに、ミスやペナルティが重なる展開。チャンスが一転してピンチとなり、懸命に守るという流れが続きました。思うような形になかなかなれず、ストレスの溜まる展開で、得点も1トライ1ゴールのみ。ハーフタイムに戻ってきた選手たちは、ベンチで厳しい表情をしているのではないかと思われました。

ところが実際は違いました。いくつかの具体的な修正点を確認する際には、真剣な表情でしたが、その後はリラックスした表情に変わり、後半開始直前には岩出監督の働きかけもあり、笑顔、いや笑い声まで出ていたのです。

経験の浅い下級生たちは、硬い雰囲気の中ではかえって緊張し、萎縮してしまいます。逆にリラックスした状態では、のびのびと自分の得意のプレーを発揮することができます。結果論かもしれませんが、後半奪った7つのトライのうち5つを、1、2年生が決めています。トライに限らず、前半は硬さからかミスも目立っていたのに対して、後半は1、2年生が前に出るシーンが多く見られました。

過度の緊張には笑いを、気持ちの緩みには気合いを。そんな気持ちのさじ加減が、今回は岩出監督の働きかけでできたわけですが、これを自分たちでできるようになったとき、チームはさらに一段、いや数段大きな成長を遂げることになるでしょう。






《THE NEW FACE》


ニューフェースたちの声を紹介します。
 



SO・CTB 北村将大(1年)

御所実業高校出身

身長171cm/体重78kg

自分はゲームマネジメント、状況判断の部分を強みとして、そこで勝負したいという気持ちがあります。ただ、チーム戦術の理解がまだまだなので、そこはもっと勉強していかなければと思っています。また、キックのスキルをもっと上げていきたいです。帝京大学ラグビー部は、先輩方がすごくやさしくて、頼りになる人ばかりです。自分も将来、そういう先輩になれるように、先輩方をしっかりと見て、学んで、自分のものにできるように心掛けています。チームを引っ張っていける存在になるというのが、この4年間を通じての自分の目標なので、人間性を磨いて、みんなに信頼される人になりたいと思っています。


 

《NEXT MATCH》


関東大学春季大会A

対東海大学(http://seagales.com/

5月28日(日) 山梨中銀スタジアム

13時キックオフ

(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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