REPORT

レポート

トップ
   
レポート
   
練習試合 早稲田大学戦

練習試合 早稲田大学戦

2017/08/22

8月20日(日)・サニアパーク菅平(メイン)

○帝京大学82-0早稲田大学●



《帝京大学》

[FW]

(1)岡本⇒李(城)(2)堀越⇒金(廉)(3)淺岡⇒垣本(4)今村⇒藤田(5)菅原⇒久保(克)(6)古田⇒岩永(7)申(賢)⇒安田(8)マクカラン(ブ)⇒吉田

[BK]

(9)小畑⇒田上(10)北村⇒奥村(11)竹山⇒新井(12)マクカラン(ニ)⇒鬼木(13)矢富⇒津岡(14)吉田⇒元田(15)尾﨑⇒亀井
 

《早稲田大学》※先発のみ

[FW]

(1)鶴川(2)鷲野(3)柴田(4)三浦(5)加藤(6)丸尾(7)幸重(8)下川


[BK]

(9)吉岡(10)高橋(11)佐々木(12)野口(13)黒木(14)中野(15)梅津


【前半】【得点経過】

【7分】帝7-0早

ラインアウトからモールを形成。ラックになるも、再度モールを作り直し、押し込んで、No8マクカラン(ブ)がトライ。ゴール成功。


【15分】帝14-0早

ラインアウトからモールを押し込み、HO堀越がトライ。ゴール成功。


【20分】帝21-0早

自陣ゴール前でターンオーバーして連続攻撃。ラックからSH小畑-SO北村と渡り、北村が抜け出してトライ。ゴール成功。


【23分】帝28-0早

キックオフから連続攻撃。LO菅原が前進して、さらに連続攻撃。WTB竹山まで渡り、竹山が走り切ってトライ。ゴール成功。


【36分】帝33-0早

ラインアウトから連続攻撃。WTB吉田が前進。BK、FWで広く展開し、WTB竹山が抜け出してトライ。


【42分】帝40-0早

自陣ゴール前でターンオーバーし、連続攻撃。WTB竹山が抜け出し、自陣から走り切ってトライ。ゴール成功。

 
 
【後半】【得点経過】

【2分】帝47-0早

ラインアウトからモールを押し込む。HO堀越が持ち出してトライ。ゴール成功。


【11分】帝54-0早

相手のキックをチャージ。No8マクカラン(ブ)がインゴールで押さえてトライ。ゴール成功。


【14分】帝61-0早

HO堀越が相手ボールをターンオーバーし、前進。ラックからSH小畑-SO北村-FB尾﨑と渡り、尾﨑が抜け出す。SO北村にパスを戻し、北村がトライ。ゴール成功。


【19分】帝68-0早

ラインアウトのクイックスローインから連続攻撃。BK展開からFB尾﨑が抜け出し、トライ。ゴール成功。


【28分】帝75-0早

ラインアウトから連続攻撃。ラックからSH田上-FB鬼木と渡り、鬼木が抜け出してトライ。ゴール成功。


【42分】帝82-0早

スクラムから連続攻撃。ラックからLO藤田が持ち出してトライ。ゴール成功。

  

《BRIEF REVIEW》

夏合宿での練習試合第2戦は早稲田大学との試合。昨年の夏、スコアでは上回ったものの、スクラムを押し込まれたり、ノーサイド直前のプレーでトライを許すなど、いくつかの部分でターニングポイントとなった相手だ。しかし、そうした背景も含め、今年は「すべてを楽しむ」ことがテーマ。冷静に、意図したプレーに集中したい。試合開始早々は、守る時間が多くなる。それでも、全員がしっかりとタックルし、2人目のサポートも速い。相手の前進を許さず、反撃の機会を狙う。7分に均衡が破れる。ゴール前まで攻め込んでのラインアウトでモールを形成。一度崩れるも、再度、モールを作り直すことに成功。押し込んでから、No8マクカランが持ち出してトライを奪う。ここからは、帝京ペースで進む。相手の動きをよく見て、FW、BKともに縦への突進、横への展開をしっかりと使い分けながら進んで行く。細かなミスはあるものの、すぐにリカバーして、大きな傷には至らせない。攻め込まれる場面でも、落ち着いてディフェンスし、押し返す。HO堀越、LO菅原、LO今村、FL申、FL古田、CTB矢富らが好タックル。PR陣も奮闘し、前半を40-0で折り返した。後半も、帝京がゲームを支配していく。開始早々、HO堀越がモールからトライを奪うと、その後も加点を続ける。20分過ぎからメンバーを大幅に入れ替えたが、彼らも負けじと躍動する。SH田上、SO奥村、FB鬼木、LO藤田らがいい動きを見せ、得点を演出。セットプレーもおおむね安定。82-0で帝京が勝利した。





 

《POST MATCH INTERVIEW》

 

■岩出雅之監督

「今日は全体的にバランスよく攻撃ができました。ブレイクダウンで、もう少しコンタクトのレベルを高めていけば、さらに安定してくると思います。しっかりと前を見てプレーできるようになってきたので、攻めるべきところがチームとしてわかるようになってきているようです。マインドセットの部分でも、多くの選手が試合を楽しむマインドになっていたので、その点も非常によかったと思います。しっかりと意図をもってプレーしているところも現段階ではいいことなのですが、もう一歩進んで、意図せずとも体が自然と動いてくれるレベル、夢中になって没頭してできるレベルにまで行ってくれれば、プレーがさらに楽しくなると思います。楽しさの深さを追求してしくためにも、もっともっと精度を高めていってほしいと思っています。最後になりましたが、早稲田大学の選手、スタッフ、関係者の皆様、ありがとうございました。対抗戦では早稲田大学さんのメンバーも、若干、変わってくると思いますので、我々も今日の得点差に油断することなく、努力を積み重ねていきます。対抗戦での再戦を楽しみにしております。」

 

■キャプテン・HO堀越康介(4年)



「昨日、CDチームがとてもいいゲームをしてくれて、全員がそこからエネルギーをもらって、今日の試合に挑むことができ、そして80分間、全力で本気のゲームができたことはとてもよかったと思います。ここ数日は、前の試合で出た課題に取り組んできましたが、今日はそれが成果として出せたので、よかったです。ただ、早稲田大学さんのブレイクダウンに対して、受け身になってしまいました。そこをしっかりと制圧できていれば、いいテンポでラグビーができたと思うので、修正していきたいです。早稲田大学さんとは秋にまた再戦がありますが、メンバーも若干、変わってくるでしょうし、油断せず、毎日の積み重ねを続けていきたいです。東京での練習は毎日、ベーシックな練習を続けていますが、実際には成長しているとしても、一日一日の単位で感じられる成長はそれほど大きくはありません。でも、この夏合宿では一日一日、いや各セッションごとに確実に成長しているという手応えを感じることができています。これをいい自信にして、さらに成長していきたいと思います。次戦は天理大学ですが、去年の大学選手権で戦った経験からは、スクラムやモールなどFW戦に力を入れてくるチームという印象があります。去年はFW戦でやられたというイメージが強いので、今回はしっかりと準備をして試合に挑みたいと思います。」

 

■コミュニケーションとポジショニングを磨きたい・SO北村将大(1年)



「今日は夏合宿の2試合目ということで、まずはここまでやってきたことをしっかり出すということと、自身の前の試合の反省として『状況判断をしっかりやってプレーしよう』と意識してゲームに臨みました。できたところもありましたが、まだまだなところも多々あったので、この合宿でもっともっとイメージを深くして、秋のシーズンへのいい準備をしていきたいと思います。自分はだいぶ経験を積まさせていただき、チーム内でのコミュニケーションはだいぶよくなりましたが、さらに密なコミュニケーションの部分、自分のポジショニングの遅さでチームに迷惑をかけている部分があるので、まずは自分の頭で理解して、行動できるようにしていきたいと思います。」

 

■アタックにも積極的になれた・WTB新井翼(2年)



「初めてのAチームでの試合ということで、かなり緊張した状態で入ったのですが、先輩方のリードもあって『自分のやるべきことをやるだけだ』と思えるようになり、すごくやりやすかったです。自分が入ったのは相手も疲れていた時間帯だったとは思いますが、いいタックルも何本か出せたと思います。自分の強みであるタックルにうまく入れたのはよかったです。タックルに入ってからの、ブレイクダウンでのファイトをいつも心掛けているのですが、そこは今後、さらにしっかりとやっていきたいです。もともとはCTBでしたが、前の試合からWTBもやるようになりました。WTBはCTBよりもスペースが見やすいので、ボールを要求できる場面も増えました。これまではディフェンスが得意な分、アタックにはあまり積極的になれなかったところがあったのですが、WTBをやることによってアタックにも前向きになれました。次の試合、CTBで出てもWTBで出ても、まずは自分の持ち味であるディフェンスをしっかりやって、それに加えてそのポジションの役割を果たせるようにしていきたいと思います。」



《PICK UP PLAYERS》

ボールを取り返す仕事にもっと磨きをかけていく

FL 申 賢志(3年)

Shin Hyon Ji


 
1996年8月17日生まれ

医療技術学部スポーツ医療学科

大阪朝鮮高級学校出身

身長176㎝/体重97㎏



まずは今日の試合を振り返って感想をお願いします。

「春シーズンは最初の2試合出ただけでケガをしてしまったのですが、この夏合宿の前の試合で復帰できました。今日が復帰2戦目でまだ調子を上げていく途上ですが、相手が早稲田大学さんということで、しっかり気持ちを入れて試合に臨みました。」


いいタックルが何本もあったように見えましたが、プレーの手応えはいかがでしたか。

「ありがとうございます。いいタックルも何本かはあったと思いますが、まだまだ足りないです。自分のタックルでボールを取り返すシーンがなかったので、ボールを取り返せるタックルやボールを取り返すための仕事をしていきたいです。ボールを取り返す、サポートするといった仕事をもっと強く、正確にやっていきたいですね。去年の亀井(亮依)さん(現NECグリーンロケッツ)を思い出すと、まだまだ足りないです。」


やはり、同じポジションだった亀井・前キャプテンの役割を担うという意識を持っているのですね。

「はい。すばらしいモデル、プレーでも、人間的にもいいモデルになる先輩がいたので。特にプレー面では、亀井さんに走り負けないように、タックルとプレイクダウンでも亀井さんのような仕事ができるようにと常に意識しています。」


ケガの具合は。

「もう大丈夫です。ここから調子を上げていきたいです。やはり、ブランクがあったので、慣れていないところもありましたが、ここからもっともっと上げていきたいですね。」


やはり、強みのタックルの部分は特に意識している?

「もちろんすべてのことをしっかりとやっていきますが、やはり自分はボールを取り返すことが仕事だと思っているので、そこは生命線だと考えてやっています。」


今年、FWが積極的に取り組んでいるスクラム。第三列も大きな役割を担っていると思いますが、スクラムについてはいかがでしょうか。

「今年は、後ろの5人がもっとしっかりと押すという意識をもってスクラムに取り組んでいます。特に後ろの3人は押す意識を高めていると思います。8人がひとかたまりになることを意識しています。」


■現段階でのスクラムへの手応えは?

「とても安定していると思います。あとは、もっともっと強いスクラムにして、FWみんなで武器にできるように、8人で組むことを意識してやっていきたいです。」

 
■次戦へ向けての意気込みをお願いします。

「次の天理大学さんとのゲームが夏合宿最後の試合になりますが、いままでやってきたことはもちろん、自分の100%以上を出せるようにしっかり準備をして、自分の持ち味である仕事をこの2戦以上に発揮できるように頑張ります。」
 


「ボールを取り返す仕事が自身の生命線」と言い切る。いいタックルがいくつもあったが、「ボールを取り返せなかった」という部分では「まだまだ」と高い基準を常に意識している。亀井亮依・前キャプテンをいいモデルとして、「追いつけ、追い越せ」と日々、取り組んでいる。具体的な目標があることは、成長への近道にもなろう。春シーズンはケガで休んだが、ここからその成長ぶりを見せてくれることだろう。頼もしい仕事人が帰ってきた。







 

《COLUMN》

 
――labor、work、play――


夏合宿第2戦は、82-0というスコアになりました。このスコアだけを見ますと「大味な試合だったのかな」と思う方もいるかもしれませんが、実際は得点差をあまり感じさせないゲームだったと思います。細かいところはともかく、意図したプレー、意図した戦い、意図した楽しみ方ができていたからかと思います。


もちろん、相手が最後までしっかりと挑んできたこともあったでしょう。


それに対しても、過度に緊張したり、逆に気持ちを緩めたりすることもなく、意図したことを遂行できていた(繰り返しますが、細かいところはともかく)ように見えました。


岩出監督も「意図したことができたのはよかった。次のステップは、無我夢中の状態でもそれができるようになること」とコメントしています。以前、「分かる」と「解かる」の違いという話を書きましたが(例えば「表面的に意味が分かる」ことと「深いところまで腑に落ちる」こととは違う、「頭で分かる」ことと「体に染みついている」こととは違う)、今はまだ「頭で分かっている」という段階なのでしょう。


さて、話は変わりますが、この日、岩出監督は「モチベーション」について、学生たちにこんな話をしました。


「黙々と働いている3人の人がいた。3人はまったく同じ作業をしていた。その3人にある人が『何をしているんですか?』と尋ねた。1人目のAさんは『レンガを積んでいるんだ』と答えた。2人目のBさんは『教会を作っているんだ』と答えた。3人目のCさんは『歴史に残る大聖堂を作ってるんだ』と答えた。Aさんがやっているのは『labor』つまり『労働』、Bさんがやっているのは『work』つまり『仕事』、Cさんがやっているのは『play』つまり『楽しんでやる仕事』だということです。」


当然のことながら、Aさんのモチベーションが一番低く、Bさん、Cさんの順にモチベーションが高くなっていきます。


レンガ積みもラグビーの練習も同じで、『labor』としてやっているとモチベーションが低いので、やり抜く力も弱くなります。多くの人は『work』までは行けますが、さらに『play』つまり『楽しんでやる』ところまで行けると、モチベーションは大いに高まります。岩出監督は「みんなはラグビーに対して、この3人の誰のように取り組んでいるか?」という質問を投げかけたわけです。


歴史に残るようなすばらしい大聖堂をイメージして、「今、自分はそんな大聖堂を作っているんだ」と思いながら黙々とレンガを積んでいるCさんは、一見、単純な作業に見えるレンガ積みもワクワクしながらやっていたに違いありません。


同じことをやっているにもかかわらず、Aさんは、毎日続く単純作業に苦痛を伴いながら、レンガを積んでいたことでしょう。


同じ練習をするにしても、自分がそれに取り組む気持ち次第でモチベーションは大いに変わってくる。「すべてを楽しむ」ためのヒントが、またひとつ、学生たちに与えられたようです。







 
《NEXT MATCH》

練習試合

対天理大学(http://www.tu-rugby.com/

8月24日(木) サニアパーク菅平

13時キックオフ


(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

特集一覧