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関東大学対抗戦A 早稲田大学戦

関東大学対抗戦A 早稲田大学戦

2017/10/28

10月28日(土)・秩父宮ラグビー場

○帝京大学(4勝)40-21早稲田大学(3勝1敗)●



《帝京大学》

[FW]

(1)西⇒岡本(2)堀越⇒金(廉)(3)垣本⇒淺岡(4)今村(5)秋山⇒菅原(6)ロガヴァトゥ⇒マクカラン(二)(7)マクカラン(ブ)(8)吉田

[BK]

(9)小畑⇒末(10)北村⇒矢澤(11)竹山(12)矢富(13)岡田(14)元田⇒安田(15)尾﨑

 
《早稲田大学》※先発のみ

[FW]

(1)鶴川(2)宮里(3)久保(4)加藤(5)三浦(6)佐藤(7)幸重(8)下川

[BK]

(9)齋藤(10)岸岡(11)佐々木(12)中野(13)黒木(14)野口(15)古賀



【前半】【得点経過】

【4分】帝7-0早

相手ボールのラインアウトのこぼれ球をHO堀越が拾って、連続攻撃。ラックからSH小畑が持ち出してトライ。ゴール成功。


【15分】帝7-7早

ラインアウトからつながれ、トライを奪われる。


【20分】帝7-14早

ラインアウトからモールを押し込まれ、トライを奪われる。


【35分】帝14-14早

スクラムから連続攻撃。ラックからNo8吉田が持ち出してトライ。ゴール成功。


【45分】帝21-14早

スクラムからNo8マクカランが持ち出してラックに。ラックからHO堀越が持ち出してトライ。ゴール成功。
  
 
【後半】【得点経過】

【0分】帝26-14早

こぼれ球をFLマクカランが拾って、SO北村にパス。ラックからSH小畑が前方へキック。走り込んだFB尾﨑が押さえてトライ。


【14分】帝33-14早

ターンオーバーから連続攻撃。ボールがこぼれるも、SH小畑が拾って、さらに連続攻撃。SH小畑-SH北村と渡り、北村がキックパス。WTB元田がキャッチし、前進。CTB岡田にパスし、ラックになるも、WTB元田が持ち出し、そのまま走り切ってトライ。ゴール成功。


【20分】帝33-21早

相手ボールを押し込み、ボールがこぼれるも、うまく拾われ、走られてトライを奪われる。


【40分】帝40-21早
ラックでFL安田がターンオーバー。SH末-WTB竹山-FLマクカラン(ブ)―WTB竹山と渡り、竹山が抜け出してトライ。ゴール成功。



《BRIEF REVIEW》

対抗戦第4戦は早稲田大学との試合。雨脚自体はそれほど強くはないものの、午前中から断続的に降り続く雨で、ボールもグラウンドもかなり滑りやすい状態でのキックオフとなった。先制したのは帝京。4分にラックからSH小畑が自ら持ち出してトライを奪う。勢いに乗るかと思われたが、相手のディフェンスも激しく、またスリッピーなボールとグラウンドでボールが手につかないプレーが増える。15分には相手の攻撃を受け、同点に追いつかれると、20分にはラインアウトからモールを押し込まれて逆転を許してしまう。その後も、攻めながらも取り切れない場面があるなど、我慢の時間帯が続く。それでも、35分、ゴール前のスクラムからの攻撃でNo8吉田がトライを奪って、再度、同点とすると、ロスタイムにもスクラムからHO堀越がトライを奪い逆転。21-14で前半を折り返した。ハーフタイムに岩出監督から「このクロスゲームを楽しもう」とのアドバイスを受けた後半は、開始早々にチャンスが巡ってくる。FLマクカラン(ブ)がこぼれ球に反応してボールを奪うと、SH小畑が前方へキック。FB尾﨑が追い付いて26-14とする。14分にはキックパスをうまくキャッチしたWTB元田が、ラックから再度ボールを拾って前進。相手ディフェンスを何人も振り切ってトライを奪う。その後、一進一退の時間帯もあるが、40分、FL安田がいい反応でターンオーバーすると、パスがWTB竹山に渡り、竹山が走り切ってトライを奪い、40-21でノーサイド。帝京は対抗戦4連勝を飾った。






《POST MATCH INTERVIEW》

■岩出雅之監督

「今日は、我々のいいところと早稲田大学さんのいいところが両方出たゲームだったのではないでしょうか。両チームの選手とも最後まで頑張って、タフなプレーをしていたのではないかと思います。雨の影響もあり、両チームともなかなかクリーンなボールの動き、動かし方ができなかったところがあり、アタック面では少し物足りないものを感じましたが、ディフェンスはどちらもよく、いいクロスゲームだったと思います。我々としては、要所要所で取り切れたところを取り切っていればもう少し離れたスコアになったのかもしれませんが、逆に早稲田大学さんにすっと持っていかれた場面もありましたので、それがスキル不足から来ているのか、一瞬の判断ミス、集中力の欠如から来ているのかを、もう一度、見直したいと思います。今後も厳しいゲームが続きますが、その厳しいゲーム体験を積み重ねていくなかで、本物になっていってほしいと思っています。」

■キャプテン・HO堀越康介(4年・ゲームMVP)

「今日の試合は、いまできること、これまでやってきたことを徹底して出し切ることを意識して臨みました。我慢の時間帯にミスやベーシックのところでの軽いプレーが出てしまい、精度の部分での反省が見つかりました。そこをきちんと修正していくことが成長につながっていくポイントとなるので、今日の反省点をレビューして、次のゲームに向けて頑張っていきたいと思います。また、今日はスクラムを押すことができましたが、まだまだようやく芽が出てきたという段階ですので、これからも油断せずに、一日一日の積み重ねを大事にし、さらに強いスクラムを組めるように努力していきたいと思います。」


 

■強みの部分をもっと向上させていきたい・LO今村陽良(3年)

「今日の試合は、個人的にはすごく悔しい試合になりました。自分の強みはコンタクトだと思っていて、ボールを持ったら前に出る、ディフェンスでは相手をしっかり止めることが自分の仕事だと思ってやってきたのに、今日はボールを持っても前に出られず、ディフェンスでも抜かれる場面がありました。自分の強みだと思っていた部分で甘さを再認識させられ、すごく悔しい思いでいっぱいです。自分のスキル不足、体力不足、練習不足を思い知らされました。あえて、今日の試合でよかったところを挙げれば、抜かれた場面以外では、ディフェンスでしっかりと体を当てられたので、そこでは強みを出せたとは思います。試合に関しては、今日は、早稲田大学さんの方が自分たちよりもプレッシャーも強く、ボールが出た瞬間に積極的に前に出てきましたし、低いディフェンスをしていました。今日は雨でしたが、振り返ると普段の練習でも雨の日には、自分がミスをしてしまうことが多く、それが試合でも出てしまったように思います。今後は、雨の日の練習でこそ気持ちを引き締め、積極的に取り組んでいけるようになると思います。今日出た課題をしっかり分析して、次もメンバーに選ばれるように努力して、選ばれたら、100%の力を試合で発揮したいと思います。」


 

■厳しいプレーをもっと繰り返し出していきたい・LO秋山大地(3年)

「今日はセットプレーの安定、キックオフボールやラインアウトをしっかり取ることを目標にして臨みましたが、ミスが出てしまいました。キックオフは、チームが得点したあとのリスタートですので、しっかりマイボールにして、いい流れをつかんでいかなければいけなかったのに、つかみ切れませんでした。また、一つ一つのタックルでの激しさは出せたところもありましたが、それを何度も厳しく繰り返すという部分では、物足りなかったと反省しています。秩父宮は久しぶりで、最初は緊張もあったのですが、だんだん夢中になってきて、その意味では試合を楽しむことはできたと思います。ただ、課題は多く出たので、特にキックオフとラインアウトはLOとして責任を担うところなので、自覚をもって練習に取り組んでいきたいです。また、フィールドプレーの厳しさを何度も繰り返して、ハードワークできるように、厳しいマインドを持って、次戦以降に向けて取り組みたいと思います。」





《PICK UP PLAYERS》

世界と戦った経験を活かし、強気な姿勢で試合に臨む

SH 末 拓実(2年)

Sue Takumi


 
1998年3月8日生まれ

教育学部教育文化学科

長崎北陽台高校出身

身長164cm/体重70kg


久しぶりのAチームでの試合でした。

「成蹊大学戦以来ですね。青山学院大学戦はリザーブに入っていましたが、出場はありませんでしたので。特に緊張とかはなかったです。」

■まずは、試合の感想からお願いします。

「リザーブとして、試合に出たらもっとFWをコントロールしようということをテーマとしていました。結果的には残り5分(ロスタイム等を含め、実際のプレー時間は9分弱)というところからでしたが、FWのコントロールがあまりできなかったので、もっと状況を見てプレーできればよかったです。」

■U20日本代表に選ばれ、7月、8月、9月と、合宿や海外での試合など、貴重な経験を積めたようですね。

「はい。試合でもスタートから出場させていただく機会が多く、ゲームコントロールや状況判断の部分では成長できたのかなと思っています。」
 
■逆に、長い間、チームを離れたことでのデメリットもあったのでしょうか。

「そうですね。帝京には帝京の戦い方がありますので、そこにフィットできるかが、U20日本代表から帰ってきてからの課題になりました。」

■現在はもうフィットできているということですね。

「もう帰ってきて1カ月半ぐらい経っていますので、チームの方針も理解しているつもりです。コミュニケーションのところも戻ってきていると思いますが、自分自身の状況判断がまだまだ未熟なので、そこはもっと細かく目標をもってやっていきたいです。」
 
■では、次戦以降への意気込みをお願いします。

「今日はリザーブメンバーとして試合に出させていただきましたが、けっしてリザーブで試合に出ることで満足しているわけではないので、先発メンバーに近づけるように努力していきたいです。リザーブで出場するときでも、たとえ短い時間であっても、チームのために何ができるかを考え、一試合一試合、出た試合でそれを実行できるかが課題であり、目標だと思っています。」

  
久し振りのAチームでの出場は約9分間だったが、リザーブのSHとしてテンポを変える役割を果たした。試合後、岩出監督からFWの動かし方についてのアドバイスがあったというが、すでに自分の中できちんと消化できているようだ。U20日本代表では決勝戦でも先発メンバーとして出場し、日本の「チャンピオンシップ(最上位カテゴリー)」昇格に貢献した。「リザーブ出場で満足しているわけではない」と語る強気の姿勢も大きな武器。1年時はコメントにもネガティブな要素が多く並んだが、2年生になり、また世界と戦った経験によって自信がついたようで、従来、備わっている強気がコメントにも現れてきた。これからが楽しみだ。








《COLUMN》

――日本版NCAA―― 
 
帝京大学ラグビー部のイヤーブック(2017年度版)で、岩出監督は「常に大学スポーツの意義を問うていかなければいけないと考えます」と述べています。これは、政府が2018年度中に設立するという「日本版NCAA」を意識したものだそうです(ちなみに、岩出監督は、今年の4月に「大学スポーツ(日本版NCAA)シンポジウム」で基調講演を行っています)。
 
「NCAA」とは、「National Collegiate Athletic Association(全米大学スポーツ協会)」の略で、アメリカの大学スポーツを統括している団体です。
 
アメリカの大学スポーツの興行収入は年間約1000億円だそうです。NCAAはこうした興行的な側面で語られることが多いのですが、もちろん、それによってお金儲けをしようという話ではなく、そのお金を学校や部、そして学生に還元して、施設を整えたり、コーチ・スタッフの人件費にしたり、あるいはスポーツを通じて地域の方々やファンに還元するなど、スポーツ、学校、そして地域に関わる大勢の人々が利益を得られるようにお金を使っていくことになります。
 
日本版NCAAが、本家アメリカのように高い興行収益をあげられるのかは未知数ですが、政府主導でスタートすることだけは確実なようです。
 
平成29年3月に文部科学省が発表した「大学スポーツの振興に関する検討会議 最終とりまとめ」の中に「日本版NCAAの在り方」としての「理念(ビジョン)」には、以下のようなことが書かれています。
 
「スポーツを通じた学生の人格の形成や社会人基礎力、生きる力、身体機能の向上を図る」
「次世代を担う人材の輩出に貢献する」
「学生の本分である学業とスポーツの両立を目指すことにより、競技・教育両面から大学スポーツの発展を実現する」
「大学の運動部活動の安全性を向上させるとともに、スポーツ事故等に対する保障を充実させ、本人や関係者にとって安心できるものとする」
 
これらは、帝京大学ラグビー部が日頃から常に心掛けていることと共通するものがあるように感じます。大学スポーツ界全体に、いい相乗効果が望めるかもしれません。
 
「箱だけ作っても、中身が伴わないと意味がない」という人もいるようですが、元千葉ロッテ・マリーンズの投手で、江戸川大学教授の小林至氏(大学スポーツの振興に関する検討会議タスクフォース座長)は「実は、箱を作るところが最大の難関。箱ができれば、あとは大丈夫」と強い期待感を表していました。
 
成功するかどうかは、国と大学だけでなく、私たち、大学スポーツファンの動向もカギになってくることでしょう。日本版NCAAが学生、学校、そして地域やファンの人たちすべてにとって、いい仕組みになっていくのかどうか。大学スポーツファンとしても、今後の動きをしっかりと見守っていきたいと思います。
 






《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。


PR 西山 幸佑(1年)

三好高校出身

身長180cm/体重102kg

「帝京大学ラグビー部は、入る前に聞いていた以上に先輩後輩の関係がフラットで、先輩方がとても優しいですし、みんな平等に扱ってくれます。いろいろなことをきちんと教えてもらえますし、僕たちも安心して自分のやるべきこと注力することができます。実は、高校時代にケガをした影響で、選手としてはラグビーから離脱するかもしれないのですが、もし離脱することになっても学生トレーナーや学生コーチなど、選手として以外の部分でチームに貢献できると思うので、しっかり切り替えて、きちんと勉強して、僕の頑張りでみんなが強くなれるようにしたいと思っています。」
 
 
PR 東浦 仁一朗(1年)

上宮太子高校出身

身長183cm/体重126kg

「自分の強みはボールを持ったら少しでもゲインを越えられる強さの部分です。課題はセットプレー、特にスクラムの強化に取り組んでいます。また、低いタックルがもっとしっかりできるように練習しています。帝京大学ラグビー部は、上級生がいろいろな仕事をされるとは聞いていましたが、思っていた以上で、その分、自分たちは余裕が持てて、いろいろなことに取り組むことができます。練習のあとの仕事を先輩方がやってくださることで、僕たちはその分、課題克服のための自主練習の時間を増やすことができています。とてもありがたいです。今後は、まずはPRとしてセットプレーを安定させて、さらにはもっと走れるプレーヤーになって、チームに貢献できるようになりたいと思います。」
 
 
SH 重 海人(1年)

鹿児島実業高校出身

身長166cm/体重65kg

「自分の強みはパスです。いつも相手が取りやすいパスを出すことを心掛けています。課題としては、身体が小さいので、まずは体を大きくすること、また、ラグビーの理解度がまだまだ低いので、そこをもっと高めていきたいです。帝京大学ラグビー部のことは兄(重一生・現神戸製鋼コベルコスティーラーズ)から聞いてはいましたが、聞いていた印象以上に、先輩方が優しく、細かい部分まできちんと教えてくださるので、あらゆることがとてもわかりやすいです。また、ラグビー以外でも頭を使うことが多いという点も、聞いていた以上でした。今後はもっとラグビーの理解度を高めて、さらに体を大きくして、上のチームで試合に出られるようになりたいです。」

 
PR 田中 大介(1年)

延岡星雲高校出身

身長172cm/体重114kg

「自分の強みはコンタクトプレーです。力強いヒット、ブレイクダウンの強さを出すプレーを見てほしいです。課題は、スタミナが足りないことです。また、スクラムのスキルがまだまだだと思っているので、常にどうすれば押せるかを考えて練習に取り組んでいます。入部前から、帝京大学ラグビー部は栄養管理が徹底していると聞いていましたが、食事ノートを書いてチェックしてもらえますし、僕たちのような1年生であっても、栄養士さんが栄養に関する細かい悩みの相談に乗ってくださるので、とても恵まれていると感じます。自分はまだまだスクラムが安定していないので、まずはスクラムを安定させることを目標にして、上のチームで活躍できるように頑張っていきたいと思います。」



《NEXT MATCH》

関東大学対抗戦A

対慶応義塾大学(https://www.kurfc.com/

11月5日(日) 相模原ギオンスタジアム

14時キックオフ
 


過去の対戦成績:関東大学対抗戦10勝8敗1分(大学選手権5勝0敗)

[慶應義塾大学の直近5戦]

9月3日 ○72-14関東学院大学(夏季練習試合)

9月24日 ○43-26筑波大学(関東大学対抗戦A)

10月1日 ○61-7成蹊大学(関東大学対抗戦A)

10月15日 ○49-22日本体育大学(関東大学対抗戦A)

10月28日 ○28-26明治大学(関東大学対抗戦A)
 

(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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