SPECIAL
スペシャル
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2020/12/19【 第57回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 準々決勝 】vs東海大学 マッチレポート
2020/12/24
《試合経過》
前半
04分 【東海大学】 PG成功 東海が敵陣でペナルティーを獲得 PGを選択 PG成功0-3
38分 【帝京大学】 認定トライ 敵陣ゴール前スクラムでスクラムを押し込み東海がスクラムを崩し認定トライ 7-3
42分 【帝京大学】 PG失敗 敵陣22m付近でペナルティーを獲得 PGを選択 15奥村PG失敗7-3
前半終了:帝京大学 7-3 東海大学
後半
06分 【帝京大学】9 片岡祐二 → 21 土永雷
14分 【帝京大学】 トライ 中盤から連続攻撃で敵陣に入り最後は3細木→14木村に繋ぎトライ 15奥村ゴール成功14-3
21分 【帝京大学】5 久保克斗 → 19 山川一瑳 , 14 木村朋也 → 23 押川敦治
29分 【東海大学】 トライ ゴール前ラインアウトからモールを形成 そのままモールを押し込みトライ ゴール不成功14-8
32分 【帝京大学】2 江良颯 → 16 李承爀 , 3 細木康太郎 → 18 渡邉元太 , 7 上山黎哉 → 20 山添圭祐
試合終了:帝京大学 14-8 東海大学
(試合速報担当:3年 中野光基・藤原清孝)
《BRIEF REVIEW》
大学選手権準々決勝。前の試合で対戦相手の同志社大学が新型コロナ感染症によって出場を辞退し、帝京の不戦勝となったため、この試合が最初のゲーム。その同志社大学の思いも一緒に背負っての戦いとなった。対戦相手はリーグ戦1位の東海大学。帝京のV1時の決勝戦での対戦相手であるなど、過去、何度も死闘を繰り広げてきた相手だ。その東海大学も、新型コロナ感染症の影響で、リーグ戦の最終戦を辞退。今シーズンの難しさを改めて感じさせられる戦いとなった。試合開始直後から、帝京はこれまではなかなか見られなかった、相手に突き刺さるようなタックルを見せる。FL上山、LOマクロビーらが気持ちの入ったタックルで相手をしっかりと止める。だが、ミスからピンチを招き、5分、PGで相手に先制を許してしまった。その後、スコアは膠着するが、流れはまさに一進一退。お互いの思いと思いがぶつかり合う、緊迫した展開となった。帝京はミスも出るが、ディフェンスへの高い意識でしっかりと守る。CTBマクカラン、CTB尾崎、LO久保らの激しいタックルに加え、全員、タックル後にすぐに起き上がる意識が高まっている。相手の守りも堅く、決定的なチャンスはなかなか訪れなかったが、38分、ようやく帝京にチャンスが訪れる。相手ゴール前での5mスクラムを帝京がぐいぐいと押し込む。相手はたまらず反則を重ね、帝京にペナルティトライ(認定トライ)が認められ、逆転。このまま7-3で前半を終了した。後半、ラインアウトでの課題が見られたものの、帝京のディフェンスへの意識は変わらない。試合開始直後のような、突き刺さるタックルは減るが、確実に相手を止めるディフェンスはしっかりと継続。相手のディフェンスも堅く、前半同様、決定的なチャンスはなかなか訪れなかったが、14分、クイック・スローインから丁寧にボールをつなぎ、チャンスを作る。BKがつなぎ、FWが縦に前進。さらに、久しぶりの出場となったPR細木が軽快なランで相手をかわすと、つかまりながらもバックフリップパスでWTB木村につなぎ、木村がトライ。14-3と突き放した。25分に、ペナルティからモールで押し込まれトライを許し、14-8と詰め寄られるが、ここから、まさにお互いのディフェンス力がぶつかり合う。6点差。トライとゴールを許せば逆転されるシチュエーションでも、最後まで泥臭くタックルをし続ける帝京。ホーンが鳴り、ラストワンプレー。帝京はさらにディフェンスの意識を高め、相手のノックオンを誘う。こぼれ球を拾ったNo8安田がタッチに蹴り出し、ノーサイド。帝京が14-8で勝利し、来年1月2日に行われる準決勝へと駒を進めた。
《COLUMN》
―― 最後までやり切ること ――
いよいよ大学選手権が始まりました。初戦となるはずの試合は対戦相手の同志社大学が新型コロナ感染症による辞退というたいへん残念なこととなりました。帝京は不戦勝で勝ち上がり、この日は東海大学との試合。帝京の選手たちは、これまで以上に「突き刺さるようなタックル」を続け、相手の粘り強い攻撃をさらに粘り強く防ぎ続け、勝利を手にしました。
「突き刺さるようなタックル」は、当然ながら、フィジカルに自信がなければできません。こちらが強く当たれば当たるほど、こちらに跳ね返ってくる衝撃も大きくなります。その衝撃をも恐れぬ当たりができるためには、自身にフィジカルという裏付けが必要になります。
そこで、この試合の前ですが、筋力、持久力、柔軟性など、帝京の選手たちの体づくり全般を担当されている三上紘典フィジカルコーチにお話を伺いました。三上コーチは、加藤慶コーチらとともに、ウエイトトレーニングやランニングの指導などを担当されています。
三上コーチもやはり、今シーズンはとにかくすべてが手探りだったようです。
「例年でしたら、まずはそれまでのベースがあって、そこから足し引きしていくのですが、今シーズンは誰も経験したことがないことばかりなので、手探りで少しずつ進んでいくしかありませんでした。それは『苦労』と言えば『苦労』なのかもしれませんが、そう感じる暇もなくやってきましたね。」
三上コーチのモットーは、選手たちを「よく見て、よく聞くこと」だと言います。
「まずはよく見ること。選手たちの状態を見ることです。さらに、よく聞くこと。声のトーンだったり、会話の内容だったりで、『この子はいま、こういう状態なのかな』と探りながら、何かあればさらに深く聞いていきます。」
実は「聞くこと」は、学生たちの目標達成にも大きな影響があるそうです。
「会話に出てきたちょっとした言葉で、こちらが求めていたものと、学生が求めているものとの相違が見えることがあります。私と学生とで、向かおうとしているゴールが違ったら、なかなか到達できません。同じ目標設定ができていれば、例えば1年で達成できるものでも、2年、3年かかってしまったり、もしくは4年間で達成できなかったり、ということになってしまうかもしれません。そういうことがないように、学生が求めているものを正確に把握するように努めています。こちらが求めているレベルがあっても、あるいは『この子なら、このレベルまで行ける』と思っても、それを本人が求めていなかったら、そのレベルに到達することは難しい。今は前から引っ張る時なのか、後ろから押す時なのか、横に寄り添う時なのか、それを判断するためにまず『聞くこと』が大事だと思っています。」
三上コーチは、試合前に全員で書く寄せ書きに、決まって必ず書く言葉があります。それは「Finish」という言葉です。
「『Finish』というのは、一つ一つのプレーを最後までしっかりやり切る、フィニッシュさせるという意味です。それをやり切ることによって、自分たちの目標をつかむことができると思っています。丁寧に、泥臭いプレーを最後までやり切ることこそが帝京の強みだと思っているので、ここから先もそれをやり通してほしいと思っています。」
この日の試合、帝京は最後の最後まで、丁寧に、泥臭いプレーをやり続け、接戦を勝ち切ることができました。次のゲームでもしっかりと「Finish」までやり切ってくれることでしょう。
(文・木村俊太/写真・志賀由佳)
前半
04分 【東海大学】 PG成功 東海が敵陣でペナルティーを獲得 PGを選択 PG成功0-3
38分 【帝京大学】 認定トライ 敵陣ゴール前スクラムでスクラムを押し込み東海がスクラムを崩し認定トライ 7-3
42分 【帝京大学】 PG失敗 敵陣22m付近でペナルティーを獲得 PGを選択 15奥村PG失敗7-3
前半終了:帝京大学 7-3 東海大学
後半
06分 【帝京大学】9 片岡祐二 → 21 土永雷
14分 【帝京大学】 トライ 中盤から連続攻撃で敵陣に入り最後は3細木→14木村に繋ぎトライ 15奥村ゴール成功14-3
21分 【帝京大学】5 久保克斗 → 19 山川一瑳 , 14 木村朋也 → 23 押川敦治
29分 【東海大学】 トライ ゴール前ラインアウトからモールを形成 そのままモールを押し込みトライ ゴール不成功14-8
32分 【帝京大学】2 江良颯 → 16 李承爀 , 3 細木康太郎 → 18 渡邉元太 , 7 上山黎哉 → 20 山添圭祐
試合終了:帝京大学 14-8 東海大学
(試合速報担当:3年 中野光基・藤原清孝)
《BRIEF REVIEW》
大学選手権準々決勝。前の試合で対戦相手の同志社大学が新型コロナ感染症によって出場を辞退し、帝京の不戦勝となったため、この試合が最初のゲーム。その同志社大学の思いも一緒に背負っての戦いとなった。対戦相手はリーグ戦1位の東海大学。帝京のV1時の決勝戦での対戦相手であるなど、過去、何度も死闘を繰り広げてきた相手だ。その東海大学も、新型コロナ感染症の影響で、リーグ戦の最終戦を辞退。今シーズンの難しさを改めて感じさせられる戦いとなった。試合開始直後から、帝京はこれまではなかなか見られなかった、相手に突き刺さるようなタックルを見せる。FL上山、LOマクロビーらが気持ちの入ったタックルで相手をしっかりと止める。だが、ミスからピンチを招き、5分、PGで相手に先制を許してしまった。その後、スコアは膠着するが、流れはまさに一進一退。お互いの思いと思いがぶつかり合う、緊迫した展開となった。帝京はミスも出るが、ディフェンスへの高い意識でしっかりと守る。CTBマクカラン、CTB尾崎、LO久保らの激しいタックルに加え、全員、タックル後にすぐに起き上がる意識が高まっている。相手の守りも堅く、決定的なチャンスはなかなか訪れなかったが、38分、ようやく帝京にチャンスが訪れる。相手ゴール前での5mスクラムを帝京がぐいぐいと押し込む。相手はたまらず反則を重ね、帝京にペナルティトライ(認定トライ)が認められ、逆転。このまま7-3で前半を終了した。後半、ラインアウトでの課題が見られたものの、帝京のディフェンスへの意識は変わらない。試合開始直後のような、突き刺さるタックルは減るが、確実に相手を止めるディフェンスはしっかりと継続。相手のディフェンスも堅く、前半同様、決定的なチャンスはなかなか訪れなかったが、14分、クイック・スローインから丁寧にボールをつなぎ、チャンスを作る。BKがつなぎ、FWが縦に前進。さらに、久しぶりの出場となったPR細木が軽快なランで相手をかわすと、つかまりながらもバックフリップパスでWTB木村につなぎ、木村がトライ。14-3と突き放した。25分に、ペナルティからモールで押し込まれトライを許し、14-8と詰め寄られるが、ここから、まさにお互いのディフェンス力がぶつかり合う。6点差。トライとゴールを許せば逆転されるシチュエーションでも、最後まで泥臭くタックルをし続ける帝京。ホーンが鳴り、ラストワンプレー。帝京はさらにディフェンスの意識を高め、相手のノックオンを誘う。こぼれ球を拾ったNo8安田がタッチに蹴り出し、ノーサイド。帝京が14-8で勝利し、来年1月2日に行われる準決勝へと駒を進めた。
《COLUMN》
―― 最後までやり切ること ――
いよいよ大学選手権が始まりました。初戦となるはずの試合は対戦相手の同志社大学が新型コロナ感染症による辞退というたいへん残念なこととなりました。帝京は不戦勝で勝ち上がり、この日は東海大学との試合。帝京の選手たちは、これまで以上に「突き刺さるようなタックル」を続け、相手の粘り強い攻撃をさらに粘り強く防ぎ続け、勝利を手にしました。
「突き刺さるようなタックル」は、当然ながら、フィジカルに自信がなければできません。こちらが強く当たれば当たるほど、こちらに跳ね返ってくる衝撃も大きくなります。その衝撃をも恐れぬ当たりができるためには、自身にフィジカルという裏付けが必要になります。
そこで、この試合の前ですが、筋力、持久力、柔軟性など、帝京の選手たちの体づくり全般を担当されている三上紘典フィジカルコーチにお話を伺いました。三上コーチは、加藤慶コーチらとともに、ウエイトトレーニングやランニングの指導などを担当されています。
三上コーチもやはり、今シーズンはとにかくすべてが手探りだったようです。
「例年でしたら、まずはそれまでのベースがあって、そこから足し引きしていくのですが、今シーズンは誰も経験したことがないことばかりなので、手探りで少しずつ進んでいくしかありませんでした。それは『苦労』と言えば『苦労』なのかもしれませんが、そう感じる暇もなくやってきましたね。」
三上コーチのモットーは、選手たちを「よく見て、よく聞くこと」だと言います。
「まずはよく見ること。選手たちの状態を見ることです。さらに、よく聞くこと。声のトーンだったり、会話の内容だったりで、『この子はいま、こういう状態なのかな』と探りながら、何かあればさらに深く聞いていきます。」
実は「聞くこと」は、学生たちの目標達成にも大きな影響があるそうです。
「会話に出てきたちょっとした言葉で、こちらが求めていたものと、学生が求めているものとの相違が見えることがあります。私と学生とで、向かおうとしているゴールが違ったら、なかなか到達できません。同じ目標設定ができていれば、例えば1年で達成できるものでも、2年、3年かかってしまったり、もしくは4年間で達成できなかったり、ということになってしまうかもしれません。そういうことがないように、学生が求めているものを正確に把握するように努めています。こちらが求めているレベルがあっても、あるいは『この子なら、このレベルまで行ける』と思っても、それを本人が求めていなかったら、そのレベルに到達することは難しい。今は前から引っ張る時なのか、後ろから押す時なのか、横に寄り添う時なのか、それを判断するためにまず『聞くこと』が大事だと思っています。」
三上コーチは、試合前に全員で書く寄せ書きに、決まって必ず書く言葉があります。それは「Finish」という言葉です。
「『Finish』というのは、一つ一つのプレーを最後までしっかりやり切る、フィニッシュさせるという意味です。それをやり切ることによって、自分たちの目標をつかむことができると思っています。丁寧に、泥臭いプレーを最後までやり切ることこそが帝京の強みだと思っているので、ここから先もそれをやり通してほしいと思っています。」
この日の試合、帝京は最後の最後まで、丁寧に、泥臭いプレーをやり続け、接戦を勝ち切ることができました。次のゲームでもしっかりと「Finish」までやり切ってくれることでしょう。
(文・木村俊太/写真・志賀由佳)
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