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2021/11/20【 関東大学対抗戦A 】vs明治大学 マッチレポート

2021/11/20【 関東大学対抗戦A 】vs明治大学 マッチレポート

2021/11/26

《試合経過》
【 前半 】
15分 【帝京大学】トライ ゴール前スクラムアドバンテージから10高本幹也から11高本とむへのキックパスが繋がりトライ 10高本幹也ゴール成功 7-0
28分 【帝京大学】トライ 14白國のキックカウンターからサポートについた1照内が走り切りトライ 10高本幹也ゴール成功 14-0

前半終了:帝京大学 14-0 明治大学


【 後半 】
04分 【明治大学】トライ ゴール前を押し切り3がトライ 12ゴール成功 14-7
10分 【帝京大学】 4 江里口真弘 → 19 山川一瑳 , 6 青木恵斗 → 20 リッチモンド・トンガタマ
16分 【帝京大学】 1 照内寿明 → 17 津村大志 , 3 細木康太郎 → 18 奥野翔太
23分 【帝京大学】 11 高本とむ → 23 ミティエリ・ツイナカウヴァドラ

試合終了:帝京大学 14-7 明治大学

(試合速報担当:3年 長谷川毅・湯浅宏太)



《BRIEF REVIEW》

対抗戦第6戦は、明治大学との全勝対決。春の練習試合では、32-28と接戦を制しているが、お互い、夏、秋の成長期間を経て、春とはまったく違うチームになっているはず。また、対抗戦では3年間勝ち星がない相手。試合前、細木康太郎キャプテンの「対抗戦の借りは対抗戦で返そう」という言葉で、全員のスイッチが入った。
試合開始直後から、帝京は気合い十分。キックがレフリーに当たったことで、開始早々、マイボールスクラムとなる。これを押し込み、ペナルティを得た。その後のゴール前まで攻め込んだチャンスでは得点には至らなかったが、相手の強みでもあるスクラムで押し勝ったことで、帝京FW陣は大きな自信を得た。
なおも帝京が攻め続けるも得点にまでは至らず、もどかしい時間が続く。もどかしさを打ち破ったのは15分。ここでもスクラムを押し込み、アドバンテージをもらった状態からボールアウト。SO高本幹也が大外へキックパスを送り、WTB高本とむがキャッチしてそのままトライを決めた(7-0)。
その後、攻められる時間帯もあるが、SH李の好タックルやLO江里口のタックルからFL山添がジャッカルを決めるなど、しっかりと守る。
28分、WTB白國が相手のキックをキャッチし、うまく体を使ってディフェンスをかわすと、カウンターアタックで大きく前進。しっかりサポートして走っていたPR照内にパスし、照内が30m以上走り切り、相手の快速ランナーのディフェンスも振り切ってトライを決める(14―0)。
なおも帝京は攻め続け、得点のチャンスも何度も訪れるものの、そのたびに反則を犯して得点できないというストレスのかかる展開となる。しかし、選手たちのメンタルは崩れない。しっかりとレフリーとコミュニケーションを取りながら、規律の改善に努める。ピンチのシーンもしっかりと守って、14-0で前半を折り返した。
後半は、一転して帝京が守る時間帯が増える。4分、反則からゴール前でのピンチを招く。ラインアウトから攻められ、幾度か粘るディフェンスを見せるものの、最後はゴールラインを割られてトライを許す(14-7)。
さらに耐える時間帯は続くが、WTB高本とむのインターセプトなどもあり、何とか防ぐ。ゴール前でのモールディフェンスでもしっかりと押し返して、その後、ターンオーバー。さらに相手の厳しい攻撃は続くが、インゴールでグラウンディングさせず、インゴール・ドロップアウトにするなど、全員で必死のディフェンスを見せる。
細木キャプテンがケガで交替するアクシデントはあったが、それでも帝京のプレーは揺らがない。ピンチの場面が続いても、全員でタックルし続け、大きなほころびは見せない。残り5分、相手の攻撃はさらに勢いを増すが、WTBツイナカウヴァドラ、CTB押川、FB二村らの好タックルで守る。
ロスタイム、マイボール・ラインアウトを奪われ、攻められるが、落ち着いてしっかりとディフェンスし、最後はWTBツイナカウヴァドラが前に出るディフェンスでプレッシャーをかけ、相手のミスを誘い、ここでノーサイド。帝京が14-7で勝利し、対抗戦全勝対決を制した。


《COLUMN》

―― メンタルの成長 ――

帝京が対抗戦の全勝対決を制しました。スコアは14-7。お互い、春の接戦とはまた違った成長ぶりを見せてくれて、とても引き締まった好ゲームとなりました。入場制限があるとはいえ、秩父宮ラグビー場にはファンの姿が戻り、試合後にはお互いのファンが両チームの選手たちの健闘を称え合う光景が見られました。

こうした引き締まったゲームになった要因の一つに、「メンタルの成長」があるのではないかと考えています。前半、実際に得点できた2トライ以外にも、2つ、あるいは3つは得点できたと思われるシーンがありました。途中で反則、もしくはスローフォワードなどがあり、得点にはなりませんでした。

こうしたことが続くと、いわゆる「ノンフロー」の状態になりやすくなります。得点できないことでイライラし、そのイライラがプレーの質を低下させ、さらにイライラが募るという悪循環に陥りがちなのです。

後半は逆に、前半には掴めていたチャンスがなかなかやってこない、守り続ける展開になりました。こうなると、「前半にはできていたことがなぜできないのだろう」とか「前半のあの場面で得点できていれば、今頃はもっと楽だったのに」といった気持ちが湧き上がり、前半とは違った意味での「ノンフロー」の状態になりやすくなります。

こうした状況では、自分自身を責めたり、ミスをした味方を責めたり、場合によってはレフリーの判定に不満を抱いたりすることもあります(反則を繰り返さないための確認は重要です)。こうなってしまうと、もうプレーに集中できなくなり、パフォーマンスは低下する一方です。

しかし、この日の帝京はこうした「ノンフロー」の状態を見せることはありませんでした。もちろん、ミスや反則などでうまくいかなかったプレーが出た直後は、「ノンフロー」の状態になったかもしれません。しかし、それに気付いてすぐに修正できることが重要なのです。

帝京には、そうしたメンタルの修正力が見えました。だからこそ、最後まで気持ちを切らすことなく、堅いディフェンスを続けることができました。

プレー面での成長とともにメンタル面での成長も見せてくれた帝京。全勝で迎える対抗戦残り1試合も、油断なく戦ってくれることでしょう。


(文 木村俊太/写真 志賀由佳)

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