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2021/12/4【 関東大学対抗戦A 】vs慶應義塾大学 マッチレポート

2021/12/4【 関東大学対抗戦A 】vs慶應義塾大学 マッチレポート

2021/12/15

《試合経過》
【 前半 】
01分 【帝京大学】トライ 中盤15二村抜け出してそのままトライ 10高本幹也ゴール成功 7-0
05分 【慶應義塾大学】トライ 敵陣ゴール前ラインアウトからモールを形成しトライ ゴール成功 7-7
18分 【慶應義塾大学】トライ 敵陣ゴール前ラインアウトからモールを形成し2が持ちこみトライ ゴール成功 7-14
23分 【帝京大学】トライ 敵陣で連続攻撃から3奥野が抜け出しトライ 10高本幹也ゴール成功 14-14
37分 【帝京大学】トライ 敵陣連続攻撃から13志和池が抜けてトライ 10高本幹也ゴール成功 21-14

前半終了:帝京大学 21-14 慶應義塾大学

【 後半 】
05分 【帝京大学】10高本幹也ペナルティゴール成功 24-14
10分 【帝京大学】 7 上山黎哉 → 20 山添圭祐
11分 【帝京大学】トライ 敵陣連続攻撃から3奥野が抜け出し5本橋へと繋ぎトライ 10高本幹也ゴール成功 31-14
16分 【帝京大学】トライ 敵陣連続攻撃から12押川が抜け出しトライ 10高本幹也ゴール成功 38-14
18分 【帝京大学】トライ自陣から連続攻撃、大外8奥井へと繋ぎトライ 10高本幹也ゴール成功 45-14
19分 【帝京大学】 12 押川敦治 → 22 松山千大
20分 【帝京大学】トライ キックオフから11高本とむの独走トライ ゴール不成功 50-14
21分 【帝京大学】 1 照内寿明 → 17 津村大志
22分 【帝京大学】 4 江里口真弘 → 19 リッチモンド・トンガタマ , 14 白國亮大 → 23 ミティエリ・ツイナカウヴァドラ
25分 【帝京大学】 9 李錦寿 → 21 岡本泰斉
27分 【帝京大学】トライ 敵陣連続攻撃から10高本幹也トライ 10高本幹也ゴール成功 57-14
【帝京大学】 2 江良颯 → 16 小林恵太
29分 【帝京大学】 3 奥野翔太 → 18 山本渓太
35分 【帝京大学】トライ 敵陣ラインアウトからモールを形成しそのまま押し込み17津村がトライ 10高本幹也ゴール成功 64-14

試合終了:帝京大学 64-14 慶應義塾大学

(試合速報担当:3年 長谷川毅・湯浅宏太)




《BRIEF REVIEW》

対抗戦の最終戦は慶応義塾大学との戦い。ここ2年、対抗戦で連敗を喫している相手だ。帝京はこの試合に勝てば、対抗戦全勝優勝、さらには大学選手権での「対抗戦1位枠」での出場が決まる。また4年生にとっては最後の対抗戦。強い気持ちで試合に臨むはずだ。帝京は前節の試合でケガをしたPR細木キャプテンを欠くメンバー構成となったが、各選手が細木キャプテンの思いを胸にピッチへと向かった。
その強い思いが、試合開始直後からいきなり結果となる。WTB高本とむのカウンターアタックからつなぎ、LO本橋が前進。ハーフウェイライン付近でFB二村がパスを受けて抜け出すと、ディフェンスを振り切ってノーホイッスル・トライを奪う(7-0)。
これで勢いづくかと思われたが、このあと、ミスとペナルティが重なり、ピンチとなる。5分、ラインアウトからモールで攻められ、トライを許してしまう(7-7)。さらに、ペナルティが増え、ピンチの時間帯が長くなっていく。必死のディフェンスを見せるが、18分には、やはりペナルティから攻め込まれ、ラインアウトからモールで攻められてトライを奪われる(7-14)。
それでも、帝京は焦ることなく、落ちついて試合を進めていく。23分、SO高本幹也からパスを受けたPR奥野が抜け出し、そのまま走り切ってトライを奪い、同点とする。
ただ、ここからもペナルティは減らず、耐える時間帯が続いていく。それでも、粘り強いディフェンスを見せ、失点にまでは至らない。37分、その粘り強いディフェンスがチャンスをもたらす。相手のペナルティからチャンスを得ると、ラインアウトからの攻撃でSO高本幹也-CTB押川-CTB志和池と渡り、志和池が抜け出して勝ち越しトライを決める(21-14)。その後、スクラムを押し込み、さらにチャンスを得たが、ここは攻め切れず、21-14で前半を折り返した。
ハーフタイムにはリーダー陣から、ペナルティを減らすこと、そのために不十分な状況では無理にボールへチャレンジするのではなく、ディフェンスラインに戻ってディフェンスを継続することなどの確認の言葉が出た。
後半開始早々は、お互いに一進一退だったが、5分に帝京がスクラムを押し込んでチャンスを作ると、ゴール正面でペナルティを得る。SO高本幹也が落ち着いてPGを決め、24-14とリードを広げる。このあと、ミスやペナルティも起こるが、LO本橋のジャッカルなど、しっかり守ってピンチの芽を摘む。
11分、ラインアウトからつなぎ、SO高本幹也-PR奥野-LO江里口と渡り、江里口がトライ(31-14)。これで相手は気落ちしたか、ここから帝京の怒涛の攻めが続く。16分、CTB押川が抜け出してトライ。18分、CTB押川の前進からチャンスを作り、WTB高本とむ-No8奥井とパスが渡り、奥井が抜け出してトライ。20分、キックオフのボールをキャッチしたWTB高本とむが、自陣22mライン付近からそのまま走り切ってトライ。連続でのノーホイッスル・トライを見せ、帝京が50-14と大きくリードを広げる。このあと、攻められる時間帯もあるが、帝京は粘り強いディフェンスで守る。
27分、CTB志和池が相手の厳しいタックルを浴びながらもボールをキープし、ラックサイドをSO高本幹也が抜け出してトライ。リザーブメンバーたちも攻守にわたってしっかり安定。35分に、ラインアウトからモールを押し込み、PR津村がトライを決める(64-14)。
終盤、相手も最後の力を振り絞っての猛攻を仕掛けてくるが、帝京はギリギリのところで守り、相手に得点を許さない。最後はマイボール・ラインアウトをキープし、タッチに蹴り出し、ノーサイド。帝京が64-14で勝利し、7戦全勝で3年ぶりの対抗戦優勝(単独優勝は4年ぶり)と「対抗戦1位枠」での大学選手権出場を決めた。


《COLUMN》

―― 4年力 ――

この日の試合、関東協会が選ぶプレイヤー・オブ・ザ・マッチに、PR奥野翔太選手が選ばれました。細木康太郎キャプテンが前節の試合でケガをして欠場したこともあり、先発出場となった奥野選手でしたが、スクラムだけでなく、フィールドプレーでも鋭い走りや器用なパスを見せ、ディフェンスでも貢献。「細木キャプテン欠場は帝京にとって大きなマイナス」といった下馬評を見事に覆してくれました。

試合後の記者会見で、ある記者さんから奥野選手に(シーズン開始時に細木選手がキャプテンに選ばれたことについて)「自分と同じポジションの人がキャプテンになったことは、正直、心穏やかではなかったのではないか」という質問が出ました。それに対して、奥野選手はこう答えました。

「学年でキャプテンを決める際、僕も『細木にキャプテンになってほしい』と思い、推薦しました。細木がキャプテンになることによって、自分が試合に出る時間、出る機会は減るかもしれないけれど、それでも細木にキャプテンになってほしかった。細木は『勝ちたい』という気持ちが前面に出ていて、それによって自分も熱い気持ちで試合に臨むことができる。とてもいいキャプテンだと思っています。」

すると今度は、別の記者さんから細木キャプテンに「奥野選手をどう思うか?」という質問が出ました。それについて、細木キャプテンはこう語ります。

「奥野とは2年生の頃から、3番(先発)の争いをしていました。特にスクラムでは、1番(左PR)、2番(HO)にはわからない、3番(右PR)だけの悩みがあるのですが、それを奥野とは話すことができて、それによってラグビーの話だけでなく、プライベートも含めて何でも話せる関係になりました。奥野は近くにいて心を許せる存在、心のよりどころです。でも、ただ甘える関係ではなく、本当はしたくない、苦しいポジション争いができる関係でもあります。とてもいい存在です。」

これを受け、岩出監督が自らマイクを握り、こう語りました。

「この二人の話を聞いていて、下級生と4年生の違いというものが大学ラグビーの魅力の一つだなと感じます。組織を背負っていける人間になって、お互いがコネクトし合っています。彼らはこれまで悔しい思いもたくさんしてきたと思います。さらに、この二人の後ろにも、試合に出ていない4年生たちがいます。彼らも含めて、今のチームがあり、これからがあると思っています。逞しい4年生たちに期待して、僕らのできるサポートをしていきたいと改めて感じさせてもらいました。」

試合前、細木キャプテンから奥野選手にかけた言葉は「頑張れよ」の一言。それだけで、お互いすべてが通じ合ったのでした。

人間的にも大きく成長した4年生たちが、ここから今まで以上に「4年力」を発揮し、チームを引っ張っていきます。


(文・木村俊太/写真・志賀由佳)

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