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2022/9/11【 関東大学対抗戦A 】vs立教大学 マッチレポート

2022/9/11【 関東大学対抗戦A 】vs立教大学 マッチレポート

2022/09/15

《試合経過》
【 前半 】
04分 【帝京大学】 トライ 連続攻撃から10高本が抜け出し最後に15谷中に繋いでトライ 10高本ゴール成功 7-0
13分 【帝京大学】 トライ 敵陣ゴール前スクラムから押し切り8延原トライ 10高本ゴール成功 14-0
17分 【帝京大学】 トライ キックカウンターから左に展開して3上杉から9李に繋ぎトライ 10高本ゴール不成功 19-0
22分 【帝京大学】 トライ 敵陣ラインアウトからモールを形成し押し切り1高井トライ 10高本ゴール成功 26-0
26分 【帝京大学】 トライ 敵陣で連続攻撃から左に展開して6青木が抜け出しそのままトライ 10高本ゴール不成功 31-0
31分 【帝京大学】 トライ 敵陣連続攻撃から15谷中が抜け出し9李に繋ぎトライ 10高本ゴール成功 38-0
35分 【帝京大学】 トライ 敵陣連続攻撃から13二村が抜け出し6青木に繋ぎトライ 10高本ゴール成功 45-0
43分 【帝京大学】 トライ 敵陣ゴール前スクラムから押し切り8延原トライ 10高本ゴール不成功 50-0

前半終了:帝京大学 50-0 立教大学


【 後半 】
08分 【帝京大学】 トライ 敵陣で左に展開し10高本が抜け出しフェーズを重ね最後は8延原がトライ 10高本ゴール成功 57-0
14分 【帝京大学】 トライ 敵陣で14小村が抜け出しそのままトライ 10高本ゴール成功 64-0
17分 【帝京大学】 4 山川一瑳 → 19 ダアンジャロ・アスイ
23分 【帝京大学】 トライ 敵陣連続攻撃から12松山から2江良に繋ぎそのままトライ 10高本ゴール成功 71-0
24分 【帝京大学】 1 髙井翔太 → 17 梅田海星 , 2 江良颯 → 16 津村大志 , 3 上杉太郎 → 18 崔暢賢
27分 【帝京大学】 8 延原秀飛 → 20 山添圭祐 , 11 ミティエリ・ツイナカウヴァドラ → 23 山口泰輝
31分 【帝京大学】 9 李錦寿 → 21 上村樹輝
31分 【帝京大学】 13 二村莞司 → 22 大町佳生
40分 【帝京大学】 トライ ゴール前10高本から15谷中へのキックパスが通りトライ 10高本ゴール不成功 76-0
42分 【帝京大学】 トライ 自陣左へ展開し22大町が抜け出し15谷中へ繋いでトライ 10高本ゴール成功 83-0
44分 【帝京大学】 トライ キックオフから20山添が抜け出し22大町へ繋いでそのままトライ 10高本ゴール不成功 88-0

試合終了:帝京大学 88-0 立教大学

(試合速報担当:4年 湯浅宏太 3年 辺 純鍾)


《BRIEF REVIEW》

いよいよ対抗戦が開幕した。相馬朋和監督にとっては、対抗戦初采配。舞台も秩父宮ラグビー場とあって緊張感の高まる状況ではあったが、帝京の選手たちは開始直後から集中力を見せた。
4分、キックカウンターからつなぐ。PR上杉が前進し、さらにSO高本-HO江良-FB谷中とつなぎ、谷中が抜け出して先制トライを奪う(7-0)。13分には、ゴール前でのスクラムを押し切り、No8延原がトライ(14-0)。17分、キックカウンターからFL青木-WTBツイナカウヴァドラ-FL青木とつないで前進。さらにPR上杉-SH李と渡り、李が抜け出してトライ(19-0)。22分にはラインアウトからモールを押し切り、PR髙井がトライ(26-0)。
その後も帝京の勢いは衰えない。26分、スクラムからつなぎ、パスがやや乱れるものの、FL青木がうまく拾い、ディフェンスをハンドオフでかわして抜け出し、トライ(31-0)。31分にはキックカウンターからつないで、FB谷中が抜け出す。SH李にパスし、李がトライ(38-0)。
攻められるシーンもあるが、FL奥井のジャッカルなどでしっかりと守る。ラインアウトからの展開でCTB松山がインゴールに持ち込むが、ここは惜しくもグラウンディングできずに、相手のゴールライン・ドロップアウトとなる。しかし、その返しのプレーからWTBツイナカウヴァドラが前進し、さらにCTB二村-FL青木とうまくつないで、青木がトライ(45-0)。41分にはスクラムを押し切り、No8延原がトライを決め、50-0で前半を折り返した。
後半になると、ややペナルティが増え、攻め込まれるシーンが増える。ラインアウトからモールを押し込まれ、インゴールまで持ち込まれる場面があるが、なんとかグラウンディングを阻む。FL奥井の再度のジャッカルなど、苦しい時間帯も全員でしっかりと守る。
そして、守りからチャンスが生まれる。9分、ラックでHO江良がボールを奪ってターンオーバー。SO高本が前進し、前方へキック。ラックからSH李-No8延原とつなぎ、延原がトライ(57-0)。14分には、相手のラインアウトが乱れ、こぼれたボールをうまく拾ってつなぐ。WTB小村がディフェンスをかわして抜け出してトライ(64-0)。23分にはキックカウンターからつないで、CTB松山-HO江良と渡り、江良が抜け出してトライ(71-0)。
ペナルティから攻め込まれる場面もあるが、大きな傷になる前に全員で相手の前進を止める。
終盤は途中出場メンバーも躍動する。39分、ラックでターンオーバーするとSH上村が拾って前進。つかまってラックになるも、FL奥井がボールアウトし、SO高本が外側へ大きくキックパス。FB谷中がキャッチしてそのままトライ(76-0)。
41分にはキックオフキャッチからつなぎ、CTB大町が大きく前進。FB谷中にパスし、谷中がトライ(83-0)。42分にもキックオフキャッチからチャンスをつくる。LO江里口がキャッチし、FL山添が前進。CTB大町へとつなぎ、大町が走り切ってトライ。
88-0でノーサイド。帝京が今シーズンの対抗戦初勝利を挙げ、相馬朋和監督は監督として対抗戦初勝利を飾った。


《COLUMN》

―― 第二試合の罠 ――

対抗戦が始まりました。帝京は日曜日の秩父宮ラグビー場、第二試合に登場し、88-0で勝利を収めました。

帝京の試合は第二試合でしたが、実はこの日の第一試合、秩父宮は異様な雰囲気に包まれていました。試合は昨年度のリーグ戦の覇者で大学選手権ベスト4の東海大学と、昨年度はリーグ戦2部2位、入れ替え戦を26-21で勝利して、29季ぶりに1部昇格を果たした東洋大学との対戦。

昨年度の戦績だけを見れば大きな差がある2校が、前半、後半を通じ、シーソーゲームとなる大接戦を演じ、後半36分には東洋大学が逆転トライを奪って、そのまま勝利。東洋大学がとてつもないジャイアントキリングをやってのけたのです。秩父宮のスタンドは沸きに沸きました。

その異様な雰囲気は、第二試合の準備をしている帝京にも少なからぬ影響があったようです。相馬監督も記者会見でその様子を述べています。

「私自身もこの会場に着いてから試合の行方が気になっていましたし、学生たちもロッカールームで第一試合のスコアの話ばかりしていました。どのタイミングでこの話題を切らなければいけないのかなと、タイミングをずっと見計らっていました。」(相馬監督)

第一試合の経過が気になって、自分たちの試合への集中力が削がれることを心配し、どこでこの話題から離れるように声を掛けるか、タイミングを計っていたと言います。

「気にしないようにしていましたが、でもやっぱり、ウォーミングアップ会場に行って、ノーサイドの笛が鳴ってお客さんの声が聞こえた時には、何かしらの動揺はあったように思います。でも、学生にはすばらしいリーダーたちがいたので、すぐに切り替えてくれました。リーダーたちが意識的に声の量を増やしていたように思います。ウォーミングアップが進むにつれ、みるみる顔つきが変わっていったので、これは大丈夫だろうと思いました。」(相馬監督)

松山主将もこう語ります。

「東洋大学さんがいい試合をしていて、正直、気にはなったのですが、そこを気にしていたら自分たちのことに集中できないので、ロッカールームを出るときに切り替えるようにしました。」

集中力の欠如は試合のパフォーマンスを左右しますし、なによりケガにつながりかねません。ましてや、それが過去にほとんどないようなジャイアントキリングであれば、「自分たちにも同じことが起こるかもしれない」など、無用の心配まで想起しかねません。

帝京の試合が第二試合に組まれ、第一試合で番狂わせや大接戦でスタンドが湧くという、この日の試合と似たシーンはこれまで(V9時代にも)何度もありました。実際、やや集中力が削がれているのではないかと心配になることもありました。経験すると集中力の大切さもわかるようになるのですが、今の学生たちはここ数年のコロナ・パンデミックによる無観客試合などもあり、あまりそうした経験を積んできていません。

ただ、それでもこの日の帝京は第一試合の推移に動じることなく、80分間、自分たちのラグビーをやり続けることができました。学生たち自身の強さによって、いい経験といい結果の両方を得ることができました。


(文・木村俊太/写真・志賀由佳)

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